株式会社ブラケット

2015年2月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

「世の中に新たな価値を付け加える」。その思いをオフィスにも採用した

誰でも簡単にオンラインストアを開設できるサービス「STORES.jp(ストアーズ・ドット・ジェーピー)」の運営を行っている株式会社ブラケット。必要機能が実装されているためWEBサイト制作の知識が全くなくても、簡単にオンラインストアの新設が可能となる。課題だった手狭感の解消を理由に2013年8月にオフィス移転を実施した。目指したのは、創造性を高めるためのオフィス。今回はそのこだわりについてお話を伺った。

プロジェクト担当

光本 勇介氏

株式会社ブラケット
代表取締役/CEO

光本 勇介氏

千田 絵美氏

株式会社ブラケット
PRマネージャー

千田 絵美氏

ブラケット

はやわかりメモ

  1. 自分たちのサービスが新しい付加価値に。その強い思いから会社を設立した
  2. 自分たちの世界観を持つオフィスビルでクリエイティブ力を高める
  3. クリエイティブはロジカルでないほうが成立する。それをオフィスにも採用した

自分たちのサービスが新しい付加価値に。その強い思いから会社を設立した

社名のブラケット。括弧を意味する英単語だ。通常この記号は既存の言葉に意味を付け加える場合に使用されることが多い。

「自分たちのサービスが新しい付加価値になれるように。世の中を特別な形に変えていければという思いがあって社名を付けました」(光本勇介氏)

会社設立は2008年8月。当時は自宅兼オフィス。黙々とインターネットを使ったサービスを行っていた。そして2年半前から「STORES.jp」の事業が始まる。

「今では当社の主力事業になっています。決済機能やオーダー受付の仕組みなどの機能を実装していますので、あまりスキルや知識がない方でもオンラインストアの開設が容易にできるサービスです。デザインプレートを活用して誰でも世界で一つだけのオンラインストアをオープンできます」(千田絵美氏)

その使い勝手の良さとオンラインコマースという時代の潮流に乗り、販売数が大幅に増加。現在20万店舗以上が同社のサービスを介してオンライン上でショップの展開を行っている。思った以上の反響で、この事業に社内リソースを集中させていこうと決断。同社の転換期となった。以降順次社員を増やしていくことになる。そうして2013年8月に現在のオフィスに移転をした。

「移転に関しては全て渋谷内で行っています。特に渋谷である絶対的な理由はないのですが、この空気感が好きなんです。また、よく言われるように渋谷はIT系のベンチャー企業が多く集積している街です。様々な情報が集まってくることは間違いない。色々な刺激も受けますし、様々な企業の皆様とコミュニケーションもとりやすいというメリットもありますね」(光本氏)

2013年10月には日本デザイン振興会が主催する総合的なデザインの推奨制度である『GOOD DESIGN AWARD』を受賞。受賞を追い風にますます店舗数を増やしている。

自分たちの世界観を持つオフィスビルでクリエイティブ力を高める

同社の移転日である2013年8月に対して、移転を検討したのは同年5月。わずか3ヵ月で移転プロジェクトを完了させたことになる。

「移転理由は手狭になったからですね。もうどうしようもなくて。とにかく今より広いところに直ぐにでも移りたかったです。それからかなりのビル情報を集めていただいて見学しました」(光本氏)

渋谷内に立地していること、50坪前後の面積が確保できること、ワンフロアで隅から隅までを見渡せる部屋の形状であること、そして何よりもビルの存在感を重要としていた。

「探しているうちにどのオフィスビルも同じように見えてしまって。そういう観点で見始めるとなかなか見つからなかったですね。僕たちがベンチャーである以上、誰かと同じような事業をしていても評価してもらえません。誰も足を踏み入れていないことにチャレンジしていかなければならないわけです。そういうことを考えた場合、オープンでカジュアルで独創的な世界を持つビルのほうがクリエイティブな仕事ができそうな気がして」(光本氏)

最終的に決めたオフィスは賑やかな大通り沿いにあるガラス窓が特長的なビルの2階だった。元々は帽子の専門店が入居していたという。

「ほぼ条件通りのオフィスが見つかりました。非常に満足しています」(光本氏)

クリエイティブはロジカルでないほうが成立する。それをオフィスにも採用した

移転先のビルが無事決まり、内装デザインを始める。基本コンセプトを含めて光本氏自らが詳細なデザイン案までを考え抜いたうえで依頼をする。

「ガラス張りの多目的スペースや煉瓦風の壁、ソファの位置・形状などは全て光本からのアイデアです。期日が迫っていますので早く工事に取り掛からないと間に合いません。つくりながら考えていきました」(千田氏

「内装工事は近くの工務店にお願いしました。参考になると思われる写真等を揃えて。お互いズレが無いように打合せを重ね、こちらの依頼内容に忠実に作業を行っていただきました」(光本氏)

とにかく細部の一つひとつにこだわった。そして道路に面した部分にはガラス張りのミーティングルームを設けた。

「以前のオフィスには満足にミーティングができる部屋がありませんでした。来社いただいての打合せも増えてきているので、今回は絶対に必要だったのです」(光本氏)

「ミーティングだけではなく多目的な使い方をしています。ここで通りを行きかう人の流れを見ながら食事会やパーティを行うことも。飲食をしながらコミュニケーションを深め、自由な意見交換ができています。この開放感が当社のカルチャーを象徴していると思います」(千田氏)

多目的スペース

多目的スペース

執務室は、開発グループ、デザイングループ、業務グループの3つのブロックに分けられている。固定席ではあるが別にどこで仕事をしても自由だ。あくまでも本人の自主性に任せている。ちなみに室内の机は全てオリジナルで制作。イメージ通りのものが無ければつくってしまったほうが早いという考えによるものだ。

「実際の創造性や生産性は数値で明確に図れるわけではありません。だけど気持ちの高まりによる相乗効果はあると思っています。きっといい方向に影響を与えているのではないでしょうか」(光本氏)

執務室

執務室

部屋の奥は煉瓦風の壁が。手触り感も煉瓦そのものだ。

「当初は本物の煉瓦にしたかったのですが、幅をとることもあり無理だといわれて。それでネットでこの商品を探して大量に購入。直ぐに張ってもらいました」(光本氏)

「広くなり、雰囲気もあり、こういった素敵なオフィスで働ける喜び。移転初日は社員全員が感動していましたね。と同時に、私たちはまだまだ小さなベンチャーなのに...という気持ちもあり、気が引き締まる思いでした」(千田氏)

煉瓦風の壁

煉瓦風の壁

室内には何故か意味の無いものも置かれている。

「オフィス全体が創造力の高まる空間にできればと。あえて不釣合いなものも取り入れました。クリエイティブなことってロジカルではないことのほうが多いと思っています。何でここにあるんだろうって考えてもらえればそれでいいかなと。だから社員に対して意味の無いものを置いている説明はあえてしていません」(光本氏)

無意味なオブジェ

無意味なオブジェ

ソファ

ソファ

「これからもオフィスに「クリエイティブ性」を求めていきます。そして社名のコンセプトである『世の中に新たな価値を付け加える』といった思いを忘れないように事業を展開していきたいと思います」(光本氏)