- 官公庁でもオフィスの生産性向上に高い関心
経済産業省では業務の生産性を向上させるため、省内で取り組み案の募集を行っていた。これまでクリエイティブ・オフィス推進運動などに携わり、民間企業のオフィス改革にも強い関心を持ってきた職員がいる製造産業局日用品室では大胆なレイアウト変更を提案し、承認される。 - 「明るいオフィス」は全てのワーカーの希望
レイアウト変更に先立ち、書類の整理や電子化などを進めることでスペースの効率化を図る。その結果、ロッカーの上の山積みになっていたファイル類を無くすことができ、フロア全体が見通しの利く明るいオフィスに。職員の満足度は大幅に上昇した。 - コミュニケーション用のスペースは捻出できる
書類の整理により書棚63本の処分に成功。そこで生まれたスペースにコミュニケーションコーナーを設けた。課や室を超えた交流が進むようにマグネット効果を生むアイテムなどを揃えている。 - レイアウト変更には発想の転換も必要
デスク配列を一部「斜め」にした大胆なレイアウトを採用。従来、窓際にあった管理職席の場所を変え、会議卓などを配置。無駄なスペースを生じさせず、オフィスイメージの一新に成功した。今後は、このような「変化」から創造されるアイデアに期待。
コミュニケーションの促進、働き方の多様化、
セキュリティの強化がオフィス改革の目的。
官公庁のオフィスといえば、狭い机や山積みされた書類による旧態依然とした事務所のイメージが強いが、最近では少しずつ変わりつつある。その一つが、千代田区霞が関にある経済産業省本館6階の製造産業局日用品室だ。
「このフロアの西側部分には、日用品室と伝産室(伝統的工芸品産業室)が共有するスペースに加え、繊維課、紙業課(紙業生活文化用品課)、デザイン室(デザイン・人間生活システム政策室)がおります。3年前にもデスクやテーブルなどの入れ替えをしたのですが、今回、私たちが提案する形で、これら2課3室の大胆なレイアウト変更を行ったのです」(日用品室・小保方 勉氏)
目的は大きく3つあった。
第一は「コミュニケーションの活性化」だ。
「官庁では業界ごとに担当が分かれていますが、今は従来型の業界区分の枠を超えた融合ビジネスが盛んになってきているので、私たちの間でも頻繁な情報交換が重要になってきました。そのためにはオフィス全体を見通せるようにし、課や室をまたがる交流の場を設けるべきだと考えたのです」(日用品室・内野 絵里香氏)
第二の目的は、働き方の多様化だ。
「個人による集中作業、会議などのコミュニケーション、リラックスなど、行動のパターンに合わせた場を用意することで、メリハリの利いた働き方を実現しようと考えました」(内野氏)
そして第三の目的が、情報セキュリティの強化だ。
「これまでのオフィスは書類に溢れ、しかも、頻繁に人事異動があるせいか、誰が管理しているかも分からない書類もありました。これでは仕事の効率が落ちるどころか、情報漏洩の危険性も増してしまいます。従って、リニューアルを機会に不要なものを一気に廃棄するだけでなく、必要に応じて電子化していく計画を立てたのです」(小保方氏)