株式会社オプト 本社オフィス

2009年8月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

急成長を続ける「元気な会社」だから構築できた
自由な交流と情報交換を促す新スタイルオフィス

インターネット専業の広告代理店として日本でトップレベルの実績を誇る株式会社オプトは、2009年4月、大手町から神保町(千代田区神田錦町)への移転を行った。新しい本社となるのは地下鉄神保町駅近くにある一ツ橋SIビルの地下1階~地上4階の5フロア(約1300坪)。グループ会社を含めた約700人の従業員が入居している。

今回のプロジェクトは、わずか4カ月という短い準備期間しかなかった上、限られた予算の中で「急成長する若い企業」に相応しいオフィス環境を実現するという課題があった。このため、外資系や大手企業などで数多くの実績があるゲンスラー アンド アソシエイツ インターナショナル リミテッドにコンセプトづくりからデザイン、プロジェクトマネジメント、工事監修まで一貫した設計・施工プロジェクト形式での委託。機能美を追究した理想的なワークプレイスを完成させている。

プロジェクト担当

山縣 泰彦氏

株式会社オプト
山縣 泰彦氏

執行役員

岩田 雅弘氏

ゲンスラー アンド
アソシエイツ
インターナショナル
リミテッド
岩田 雅弘氏

シニア アソシエイト
スタジオディレクター

天野 大地氏

ゲンスラー アンド
アソシエイツ
インターナショナル
リミテッド
天野 大地氏

シニア アソシエイト
デザインディレクター

黒川 梨江氏

ゲンスラー アンド
アソシエイツ
インターナショナル
リミテッド

黒川 梨江氏

はやわかりメモ

  1. オフィス探しの第一条件は立地
    インターネット広告の代理業はクライアントや外部スタッフなど社外との交流がビジネスの基本。このため大手町や丸の内を中心とした都心のビジネスエリアに近いことが絶対条件だった。
  2. 移転を機会に社内文化を強化
    急成長して大きくなった組織に再度活力を入れて、オプト文化の原点に戻ることも移転の目的。よって、今回の移転を良い機会として大幅な組織変更も同時に行った。
  3. 神保町という「穴場」
    大手町にも近い神保町は、竹橋駅も含めると東京メトロの半蔵門線と東西線、都営新宿線と3本の地下鉄を使える便利な立地。若い社員が多い会社にとっては周囲に利用しやすい飲食店が多くて便利なほか、大手町に比べて借り増しもしやすく、拡張ニーズにもフレキシブルに対応しやすい。
  4. ワンフロアオフィスは絶対ではない
    ワンフロアに集約したフラットオフィスは社内コミュニケーションの活性化に効果的だ。しかし1,000坪クラスになると横の移動にも限界が生じる。上下のフロアに分かれていても、その間の移動を促進できれば、ワンフロア300~500坪程度のオフィスでも充分。ただし、これは組織の性格にもよるので会社ごとにニーズは異なる。
  5. ビルのイメージも重要なポイント
    本社オフィスを置くならビルから受ける印象は非常に重要。特に来客の多い会社では、開放感のあるエントランスを持つビルを探すべき。
  6. オフィスの美しさとは機能美である
    オフィスのデザインを考えていくと、機能をどうやって形にしていくかということになる。そして求める機能は組織ごとに異なるので、会社によって美しいデザインも変わってくる。オプトの場合は若くて元気のいい社員が中心になった組織であるため、使い方を限定しないようなシンプルなオフィスデザインを採用。
  7. フレキシブルだからアドレスを明確に
    成長企業では組織の変動に対応できるフレキシブルなオフィスをつくる必要があるが、その分、場所ごとの性格付けを明確にしておかないと最初のデザインコンセプトが崩れてしまう。「ここはこのためのスペース」と目に付くアイテムの採用や、天井を利用した表示などが効果的。
  8. オフィスに対して「横」のデスク配置
    オフィスフロアの長辺に対し「縦」ではなく「横」にデスクを配列していくと、窓の位置による優劣が無くなるので着席の自由度が高くなる。また、島をずらしてレイアウトすることで変化に富んだ斜めの通路を実現できる。

「会社の顔」となる本社オフィスだからこそ
ビルの持つイメージは重要なポイントになる。

1994年 有限会社デカレッグスを設立し、FAXおよびテレマーケティング業を手がける。

1995年 株式会社オプトに社名変更。

1997年 eマーケティング事業に進出。

2000年 インターネット広告代理事業に本格進出。

2004年 ジャスダック上場。

2005年 株式会社電通とeマーケティング分野全般における業務提携。

2007年 株式会社電通と資本・業務提携を強化。

2008年 インターネット広告代理で市場シェアNo.1になる。キャンペーン企画およびデータ分析の専門部署を設置。

株式会社オプトは拡大するインターネット広告市場において最も成功している企業の一つだ。沿革を見てわかるように、わずかな期間に事業も組織も急激な成長を遂げている。

急成長した組織に再度活力を入れて、オプト文化の原点に戻ることも必要だと思っていたので、オフィスの拡張移転は常に検討の対象になっていたという。
「今年4月までの3年間、大手町にあるビルに本社オフィスを置いていました。入居したときにはその後の従業員数の増加も計算に入れて1,000坪ほどのスペースを確保したのですが、実際にはすぐに手狭になってしまったのです」

こう語るのは、今回のオフィスリニューアルプロジェクトで全体指揮を執った執行役員の山縣泰彦氏だ。
「旧入居ビルは1958年竣工のため、空調などインフラ面で少し不満を感じたものの、日本を代表するビジネスエリアにあってワンフロアで広い面積を借りられる貴重なビルでした。しかし、内部はもちろん、周辺のビルを調べても簡単に増床できるスペースはなく、フレキシビリティには欠けます。そんなことから、契約期間が終わるのを機会に、新しいオフィスへの移転を考え始めたのです」山縣氏

そして2008年の春ごろから本格的に物件探しを始めたのだが、そのときこだわったのは立地だった。

「ネット広告代理事業、テクノロジー事業、ソリューション事業、コンテンツ事業と、私たちの手掛けるビジネスは全て、お客様の要望を伺ってから形にしていくものになります。したがって、多くの企業と交流するのに便利な場所、具体的にいえば大手町や丸の内に近いことが絶対的な条件だったのです」山縣氏

そんな思いもあり、新オフィスを探し始めた当初、山縣氏は毎日のようにこのエリアを歩き回っていたという。
「会社の顔になる新本社オフィスですから、資料だけで判断せず、必ず、自分の目で確かめようと、昼休みを利用して候補となるビルを全て訪ねて回ったのです」山縣氏

最初は大手町を中心に、やがて同心円上に範囲を広げながらチェックを続けていくが、なかなかイメージに合ったビルは見つからない。
「総面積として1,300坪以上は必要でした。しかし大手町や丸の内では1棟のビルでそれだけのスペースを確保するのは難しく、半分諦めかけていたころ、神保町でこのビルに出会ったのです」山縣氏

それが一ツ橋SIビルだった。
「地下鉄の神保町駅の出口から徒歩1分、竹橋駅からも約5分という好立地はどこに行くにも便利で、求める条件は充分に満足できるものでした。ただそれ以上に、このビルを初めて目にしたときの印象が、移転を決意させたのです」山縣氏

その印象とは、「入りやすいビルだな」というものだ。
「毎日毎日、多くの建物を見ていると、ひと目でいいビルかどうか分かるようになってきます。このビルは道路で囲まれた敷地に建ち、しかもエントランスがガラス張りであるため、外からも見通せて開放的なイメージがするのですね。私たちの会社はお客様や協力会社のスタッフなど多くの人が出入りしますので、『入りやすさ』はそのまま経営上のメリットにつながります」山縣氏

ちなみに、一ツ橋SIビルの竣工は1979年(昭和54年)と決して新しいビルとはいえないが、定期的にリニューアル工事を続けてきたのか、年数は全く感じられない。
「もともと自社ビルとして設計され、使われてきたためか、空調や電源などのインフラも時代に合ったものになっていましたし、全体に使い勝手が良さそうなビルだと思いましたね。それだけに、すぐに『ここしかない』と、移転計画を具体的に進め始めたのです」(山縣氏

広すぎる「ワンフロア」オフィスよりも
効率的に上下に重ねるほうが使いやすい。

移転先を探すにあたり、山縣氏がもう一つ気にしていた条件がある。
「それはフロア面積でした。社内コミュニケーションの活性化を考えたとき、横に広いオフィスほど良いとよくいわれます。今までのビルでそういうフラットなスペースに入居していただけに、次もワンフロア面積が広いビルにしようと考えていました」(山縣氏

しかし、立地と広いフロア面積の両方の条件を満たすビルがタイミング良く空くことはなく、悩んでいたときに神保町の物件を見つけ、考えが変わっていく。
「今回の移転を機会に大幅な組織変更も行いました。そこで、ワンフロア約300坪のこのビルで移転のシミュレーションをしてみると、各階に一つの部門がすっぽり入り、都合がよかったのです。フラットオフィスが良いといっても、1,000坪クラスになってしまうと横の移動が大変になり、交流上のメリットはあまりないと考えました。それより機能的に上下に重なっているほうが、人の行き来はしやすくなるのではないでしょうか」(山縣氏

ただし、これには注釈が必要かもしれない。

株式会社オプトの場合、「主力となっているのは20代の社員であり、中間層が少なく、その上はいきなり私たち40、50代なのです」と山縣氏が笑うほどに若いメンバーが多い。このため社内は活気に満ち溢れており、今回の取材・撮影中にも、元気な若者たちが階段を駆けて抜けて他のフロアに移動するシーンが頻繁に見られた。
「組織のスタイルによって『良いオフィス』は違ってくると思います。オプトの場合は営業と企画のスタッフが常に情報や意見を交換しながら仕事を進めるスタイルが定着しているので、たとえフロアが分かれていても交流が阻害されることはありませんでした」(山縣氏

また、あとで紹介するように、オプトの新オフィスではスタッフたちが自然に上下階を移動するようにフロア構成にさまざまな工夫をしている。
「縦の移動が問題なくできるのであれば、ワンフロア300~500坪くらいのオフィスが一番使いやすく、また借りやすいかもしれません。つまり、自分の会社にとって何がベストかという視線でオフィス探しをすることが重要なのです」山縣氏

セミフリーアドレスを採用した執務室

部門内で自由に着席できるセミフリーアドレスを採用した執務室。

「機能美の追究」というコンセプトから会社の個性に合ったデザインが生まれる。

一ツ橋SIビルへの入居を最終的に決断したのが2008年末。そこから新オフィスの構築作業が始まる。旧入居ビルとの契約により2009年の4月中には移転をしなければならず、スケジュール的にはかなり厳しい条件だった。
「それでも満足のいくオフィスを構築するためには妥協したくなかったので、デザイン会社数社にお話をお聞きしました。その結果、デザインだけでなくコンセプトワークからお手伝いしていただけるゲンスラーさんにお願いすることになったのです」山縣氏

最初に話を聞いたゲンスラーの岩田雅弘氏は準備期間の短さに驚いたものの、オプトという企業を知るにつれ、プロジェクトの成功を確信したという。
「インターネットという日進月歩の世界で成功してきただけあって、オプトさんはとにかく決断が早い。例えば会議も30分間と決めて始めれば絶対に延長せず、しかもドアの外には次の会議のメンバーが待っているほどなのです。こんなスピード感のある組織ですから、意見交換して結論が出た後は、『専門分野はスペシャリストに任せる』と、余計な口出しをしたり、予定に無い変更を要求したりはしません。私自身、論理的に仕事を進めたいタイプなので一緒に仕事をしていてやりやすく、強力な信頼関係が築けましたね」

そしてこのとき、ゲンスラーが提案した新オフィスのコンセプトが「機能美」だった。説明するのは、以前、株式会社WOWOWの新オフィス紹介記事でも登場していただいた天野大地氏だ。
「ゲンスラーは多くの外資系企業をクライアントに持つことから豪華なオフィスばかり作っていると思われがちですが、これは完全な誤解です。私たちが目指しているのは、会社ごとに異なる機能美の追究であって、余計な装飾をオフィスに持ち込もうとしているわけではありません。そういう視点で今回の新オフィスについて考えたとき、この会社は従業員の年齢が若く、とにかく元気一杯なのですから、彼らが思いっきり活躍するためには、頻繁に交流できるシンプルで自由な空間をつくることが機能美につながると思いました」

それは、言葉にすれば「無地のイメージ」だという。
「急成長に伴い組織もどんどん変化していくのでしょうから、フレキシブルなオフィスであることは重要です。しかしそれだからこそ、場所ごとの意味付けはしっかりしておかなければ、ぐちゃぐちゃになってしまいます。そこで、『このスペースはこう使って欲しい』というメッセージを伝えるための工夫をいくつも採り入れたのです」(天野氏

その一つが、"包(パオ)"と呼ばれる新しい仕切り用のツールだ。設計・製作に携わったのがデザイナーの黒川梨江氏である。
「発想の原点はモンゴルの遊牧民が使ってきたテント式の移動住居です。金属の枠と布地で構成された球体の仕切りを置くことで、オフィス内に独立した空間をつくり、コピーコーナーや出会いのスペースに利用しました。この方法だと工事が不要になるため、短期間に設置でき、移動も簡単で、もちろん予算も抑えられます。さらに、あまりオフィスらしくないアイテムをあえて置くことで、個性的な空間を実現できるというメリットもあるのです」

また、オフィス内の位置を自然に意識できるようにフロアごとにイメージカラーを設定したほか、場所ごとのアドレスを天井にプリントしている。
「オフィスの天井はこれまで設備用にしか使われていないスペースでした。しかしオフィス内のアドレスをどこに付けるか考えたとき、邪魔にならず、かつ効果的なのがここなのです」黒川氏

天井へのプリントは工事費用もそれほどかからない上、原状回復も簡単なので、今後、他の企業にも積極的に提案していきたいという。
「今回のプロジェクトは期間的にも予算的にも余裕のない厳しいものでした。だからこそ、いろいろ工夫する必要があり、そこから新しいアイデアが生まれてきたのです。個人的には『良いオフィスとは何か?』と改めて考える機会となり、かなり楽しんで仕事ができました」(天野氏

フロアごとに異なる機能を持たせることで社内の移動を促進し、
交流の機会を増やす。

それでは、株式会社オプトの新本社オフィスについて、詳しく紹介していこう。
最大の特徴は、フロアごとの位置付けを明確にしているところだ。これにより、従業員たちは仕事の内容によって上下階への移動を自然に行うようになり、出会いと交流の機会が生まれる。その結果、移転前のワンフロアに集約されていたとき以上にコミュニケーションは活性化されているという。

地下1階:サーバールーム、書庫、個人作業スペース

スペースの半分は業務上欠かせないコンピュータのマシンルームに充てたが、残りのスペースを有効活用するために設置されたのが、書類管理倉庫と集中作業用のシンキングルームである。
「前のオフィスでは狭い空間に書類が溢れていたため、移転に伴って大胆にペーパーレス化を進めました。それでもデータにできない紙の資料については、デスクまわりには置かず、地下にまとめて保管することで執務スペースをすっきりさせたのです」山縣氏

「集中作業用のブーススペースを10席ほど設けましたが、社内では『オプトの缶詰』と呼ばれ、企画などをまとめるときに重宝されています。もともと社員のアイデアから生まれたコーナーで、そういう提案を実現してしまうところがこの会社らしいと思いましたね」(岩田氏

1階:パブリックゾーン

エントランスから続くスペースにガラス張りのミーティングコーナーを設けた。
「ここは簡単な打合わせだけでなく、社外の人にも自由に使っていただけるコーナーとして設置しました。外からも見えるスペースだけに、人が集まることで活気をアピールできるのではないかと思っています」山縣氏
ガラス張りのミーティングコーナー

また、受付から奥に続くスペースに会議室を並べ、接客および社内の打ち合わせに多用している。
「会議室の特徴は、パーテーションで区切ってあるため、全て外すことで100人以上が収容できる広いスペースを実現できる点です。このため、社内の全体会議やセミナーなどにも利用できるフレキシブルな空間になりました」(黒川氏

全体会議やセミナーなどにも利用できるフレキシブルな空間

2~4階:執務ゾーン

2階が営業部門、3階が企画や制作担当のメディア部門、4階が間接部門とグループ会社と、セクションごとにフロア分けを行った。デスク配置は対向型の島を並べたユニバーサルプランだが、通常の縦配列ではなく横にしてあるのがデザイン上の工夫になる。
「窓からコアに続く縦配列の島を並べたレイアウトではどうしても上座と下座が生まれ、コミュニケーションが阻害されてしまいます。そこでデスクを横配列とすることで、オフィス内のヒエラルキーをできるだけ無くすようにしたのです」天野氏

しかも、机の配置を少しずつずらし、斜めの動線を導入するようにしている。
「これにより、オフィス内を歩いて移動するときに視線が動き、変化が感じられます」(天野氏

なお座席については間接部門を除いて固定席とせず、部門内では自由に着席できるセミフリーアドレスを採用している。
「1人当たりのデスク面積は1,200×600㎜で、スペースの関係から奥行きは少し狭くなっています。しかし、ほとんどの作業はノートパソコンで行っているので問題は生じていません。また向かいの席との間にパーテーションは一切無いのですが、これも『打ち合わせをしながら仕事ができる』とかえって評判がいいくらい。こういうところは、まさにオプトという会社の個性の反映だと思いますね」(黒川氏
執務ゾーン

共用コーナー

1階だけでなく、執務ゾーンの各フロアにはさまざまなタイプのミーティングスペースや雑談コーナーなどが設置されているほか、4階にカフェスペースを置いて昼食や休憩、打ち合わせなど多目的に利用している。
「カフェスペースは大手町の旧オフィスにもありました。神保町は飲食店が多いため、食事だけに使うなら必要ないかもしれませんが、会議室と異なる自由なコミュニケーションスペースとしてすでに社内では定着しており、利用率は非常に高いですね」(山縣氏
執務ゾーン

新しい環境に柔軟に対応できる若い組織だから
今後もオフィス改革を大胆に進めていきたい。

移転を決めてから4カ月で新しいオフィスを構築する。今回のプロジェクトは山縣氏を中心とする社内チームやゲンスラーのスタッフにとってはまさに時間との戦いだったが、オプトの従業員たちにとっても急激な環境の変化は戸惑いにつながったはずだ。
「一番の違いといえば、書類だけでなく私物もデスク上に放置できなくなったことでしょうね。ペーパーレス化に伴い個人用のキャビネットを全て無くし、外出や帰社するときにはノートパソコンも含めた全ての備品をロッカーにしまわなければなりません。その他、新しいオフィスの使用ルールを徹底するのが、移転プロジェクトにおける最も大切な作業の一つだったのです」(山縣氏

しかし実際に新しいオフィスに移ってみると、大きなトラブルはなく、不満の声もほとんど聞かれなかったという。
「大胆なオフィス改革をしてもすぐに受け入れられるのは、やはりこの会社が若いからだと思いますね。若い人ほど環境の変化に柔軟に対応できるのですから、それだけ、新しいことに挑戦しやすい。個人的にも、うらやましい会社だと思いましたね」岩田氏

同じことは山縣氏も感じている。
「社員たちの関心はオフィスの外にもあるようで、『大手町に比べると、飲食店の単価が安いので、みんなが集まる機会が増えた』と喜んでいるほどです。そういう意味では、今回の移転は大成功だったのかもしれません。
もちろん、オフィス内部の環境整備はこれからも続け、彼らが充分に力を発揮できるようにしていくつもりです」

次の課題としては、今後、組織が拡大していったときの対応だが、今のところ、短期間で移転することは考えていないという。
「ある程度の増員は吸収できるように余裕を持ったレイアウトにしてありますが、それ以上の人数になったとしても、周辺への借り増しで対応できると思っています。今回、移転したビルは本社として相応しいグレードと機能を持っており、しかも立地的にも満足度が高い。それだけに、私たちの会社の一時代をつくる重要な拠点になると信じています」山縣氏
本社として相応しいグレードと機能を持つビル