プライスウォーターハウスクーパース株式会社 東京オフィス

プライスウォーターハウスクーパーズ株式会社

2010年3月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

経営、組織、ワークプレイスの統合と再編成を一気に進める
困難なプロジェクトを成功に導いたプロフェッショナリズム

プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント株式会社(旧べリングポイント株式会社)とPwCアドバイザリー株式会社は2010年1月1日に経営統合し、国内最大規模のコンサルティングファーム「プライスウォーターハウスクーパース株式会社」として新たなスタートを切った。さらにこの動きと併行して進められていたのが、PricewaterhouseCoopers(PwC)グローバルネットワークの日本におけるメンバーファーム間の組織の融合だ。

新生プライスウォーターハウスクーパース株式会社では、あらた監査法人や関連会社とともにプライスウォーターハウスクーパースジャパン(PwC Japan)のメンバーファームとして一体型の経営を進めていく方針が決定。2009年11月にはそれまで6カ所に分散していたオフィスを中央区銀座8丁目の住友不動産汐留浜離宮ビルに統合している。

プロジェクト担当

杉山 優子氏

プライスウォーター
ハウスクーパース株式会社
杉山 優子氏

総務部
マネージャー

越田 壮一郎氏

株式会社ワークプレイス
ソリューションズ
越田 壮一郎氏

第二営業部 

顧客担当一課
課長

小澤 清彦氏

ドウマ株式会社
小澤 清彦氏

代表取締役

天野 大地氏

ゲンスラー アンド
アソシエイツ
インターナショナル
リミテッド

天野 大地氏

シニア アソシエイト
デザイン
ディレクター

はやわかりメモ

  1. 経営統合、組織再編成、オフィスの集約
    PwCの日本におけるメンバーファームであるプライスウォーターハウスクーパースコンサルタント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、あらた監査法人がオフィスの集約を計画。ビルの竣工時期の関係で移転プロジェクトにかけられる期間は半年ほど。プロジェクトマネジメント、プログラミング、デザインなどの専門家を結集してチームを結成した。
  2. 綿密な調査が移転を成功させる
    組織の再編成を進めながらのオフィス移転、しかも短い期間というマイナス条件を克服するには事前の調査が重要。家具や什器はもちろんのこと従業員のデータや仕事内容まで全て調査し、数値化。そうすることが、その後のプログラミングやデザインの精度につながる。
  3. コンセプトからデザインへ
    経営統合の目的を果たすために新オフィスのコンセプトはワン・インテグレテッド・ファーム(一つに統合された組織)に決定。そのコンセプトを具現化するデザイン案でコンペを実施した。
  4. キャンパスのような多様性を
    平行四辺形の新しいテーブルはさまざまなスタイルに連結が可能。人数や仕事内容に合わせて「席」を使い分けられる。また家具やパーテーションなどは全てキャスター付きで自由なレイアウト変更が可能になっている。
  5. 最高の眺望で人を集めるプロムナード
    新しいオフィスの目玉である東京湾や浜離宮の眺望を最大限に活かすために広い中央通路を用意。さらに人が滞留する仕掛けで「集まる、つながる、広がる」を実践。
  6. 会議室の最適化
    会議内容をきめ細かく調査することで会議室のサイズや必要となる数を最適化できる。
  7. 組織を融合するオフィスの力
    特徴的なアイテムを各フロアに同じように置くことで、たとえフロアが違っても同じ体験を共有できる。従業員の一体化を実現するために工夫。

統合する組織にふさわしいオフィス。完成までの期間はわずか5カ月!

「2009年は会社もオフィスも激動の1年間でした」。そう語るのは、現在、プライスウォーターハウスクーパース株式会社で総務部のマネ-ジャーを務める杉山優子氏だ。以前、ベリングポイント株式会社の大阪オフィスの紹介記事で登場していただいたことがあるオフィスづくりのプロフェッショナルである(2008年5月の取材記事)。

「米国Bearing Point, Inc.の日本法人だったベリングポイント株式会社が2009年5月にPwCの傘下に入り、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント株式会社となりました。それ以降、同業のPwCアドバイザリー株式会社と経営統合することが決まり、さらにプライスウォーターハウス クーパースHRS株式会社も参画し、2010年1月にはプライスウォーターハウスクーパース株式会社になることが決まったのです」杉山氏

それと同時に、PwCの日本におけるメンバーファームで業種の異なる「あらた監査法人」などが別法人のままプライスウォーターハウスクーパース ジャパン(PwC Japan)として同じオフィスに移転して専門性を結集し、クライアントの多様なニーズに対応したサービスを提供していく計画が進められていた。
「簡単に言えば複数の法人を1カ所に集めてシナジー効果を生み出そうということなのですが、組織もオフィスも同時に再編成しながら統合していくというプロジェクトは、当初からかなりの困難が予想されていました」(杉山氏

業種だけでなく、もともと系列まで異なる会社までも含めて一つの職場にし、組織の融合を果たそうというのだから、誰もが不安を感じたのも無理はない。
「しかも、新オフィスが入居することに決まった住友不動産汐留浜離宮ビルへの入居予定は2009年11月末。私たちが移転プロジェクトをスタートさせた2009年6月から数えると、わずか半年間で各法人と連携をとりながら、『経営統合の効果を活かすワークプレイス』を完成させなければならない。すぐに専門家たちに協力をお願いしました」杉山氏

期間の短い移転プロジェクトだからこそ調査とプログラミングには時間をかける。

最初に数社を集めてコンペを行いました。
「スケジュールの厳しさを考えて、とにかくプロジェクトマネジメントを任せられる人物を抜擢するのが先決だったのです」(杉山氏

その結果、株式会社ワークプレイスソリューションズの越田壮一郎氏にお願いすることになった。オフィス家具の販売から移転コーディネーション、ファシリティマネジメント(FM)コンサルタントまで幅広く手がける会社の中で多くの実績を積んできたベテランだ。
「正直言って、最初に話を聞いたときは移転までの期間の短さに驚きました。しかも経営統合によって組織自体が再編成されていく途中でしたから移転先のシミュレーションができず、『スペースが本当に足りるのか?』といった基本的なことすら判断できないのです。そこで、おおまかなスケジュールを立てるとともに、徹底的な現地調査を始めました」(越田氏

調査は詳細を究めた。そのころ、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、あらた監査法人が使っていたオフィスは都内に計6カ所あったが、そこにある全ての家具や備品を調べ、数値データとして記録していく。まるで棚卸しに近い手間のかかる作業には、約1カ月を費やした。
「ゴールが迫っているプロジェクトでは、ついつい焦って先の作業を急ぎがちです。しかし、きちんとした数値データがなければプログラミングやデザインの精度が落ちてしまいます。ここはしっかりと時間をかけて調査に集中しようと思いました」(越田氏

そしてプログラミングの専門家としてこの段階からプロジェクトに参加することになったのが、何度か取材に協力いただいている小澤清彦氏だった。現在は新しく発足したドウマ株式会社の代表取締役を務めている。
「今回はプログラミングのための調査段階で大きな組織変更がありました。しかし、組織名や部署の編成が変わっても、業務内容が同じであればワーカーのアクティビティーそのものが大きく変化することはないので、調査結果を分析し、新しい組織でのワーカーの動きを予測することが可能でした」(小澤氏


小澤氏がプログラミングで特に重視するのは、全ワーカーに参加意識を持ってもらうことだ。
「先ず、経営トップへのインタビューで達成すべきゴールを明確にした上で、WEB上で全従業員対象に詳細なデータ収集を行います。内容は現状オフィスの満足度調査、日常の業務行動調査、部署の近接関連調査などです。この結果を踏まえ、ワーカーとのフェイスツーフェイスのヒアリングを実施し、全社的なコンセンサスを形成しながら、新しいオフィスの構想と設計与件をまとめていきます」(小澤氏

詳細なプログラミングにさらに1カ月かけ、7月下旬、ついにオフィスデザインのコンペが始まる。しかしそれも前代未聞の展開になった。

23階のフロア中央に設けられたプロムナード

23階のフロア中央に設けられたプロムナード。

一つに統合された新しいファームを一人一人が実感できるオフィスへ。

今回の移転では、それまで6つあったオフィスのうち新丸の内ビルディングの1カ所だけをエグゼクティブタッチポイントとして残し、基本的には全ての従業員を集約させる。新オフィスはビルの10フロア分約4500坪で、これは移転前より若干狭くなるものの、統合によるスペースの有効利用効果を考えれば、問題のない広さである。従って、計算上はそのまま人数分の机を並べれば入ることにはなる。

「ただそれでは『単にオフィスを一つにしました』というだけで、統合を進めてきた意味がありません。私たちが新オフィスのデザインに期待したのは、組織の融合やシナジー効果につながるアクティブな仕掛けだったのです」杉山氏

ただし、その要求に応えるのが困難であることは、杉山氏自身も分かっていた。
「デザインコンペをする段階では、新しい組織がどうなるか、まだほとんど見えていない状態でした。普通に考えたら、レイアウトを立案する段階ではないのです。それでもスケジュールを考えると、そろそろデザイン会社を決めなければならない。そういう意味では、デザイン会社にとっては、どこが勝負どころか、全く分からなかったかもしれません」(杉山氏

小澤氏も難しいコンペになることは承知していた。
「今回のコンペでは組織がどうなるか全く決まっていないのですから、具体的なレイアウト案を提示しても評価のしようがありませんでした。従って、今回の経営改革によって何を目指していくのか、それを把握した上でコンセプトを紐解いていく必要があったのです」

そんな特殊な要件でいくつかのデザイン会社に提案をしてもらう。そして最終的にパートナーに選ばれたのは、やはり本誌に登場経験のある天野大地氏がリードするゲンスラー アンド アソシエイツ インターナショナル リミテッドだった。小澤氏が言う。
「コンペに先立ち、私たちは今回のオフィス統合移転のコンセプトをワン・インテグレテッド・ファームとしていました。つまり、一つに統合された組織といった意味で、オフィスのスタイルから、ここに集う個々人がPwC Japanの一員としての共有意識を持てるようなデザイン案に期待していたのです。それを最も明確に提案してきたのがゲンスラーチームでした」

それでは、実際に天野氏のデザインをもとに完成した新オフィスを見ていこう。

ワン・インテグレテッド・ファームから
「集まる、つながる、広がる」オフィスへ。

新オフィスをデザインしていくにあたり、天野氏は次のように発想を広げていったという。
「ワン・インテグレテッド・ファームというコンセプトを具体的なオフィスデザインに反映していこうとしたとき、思いついたのは『集まる、つながる、広がる』という言葉でした」

そしてそこから導き出したのがバーチャルキャンパスという裏コンセプトだ。
「大学のキャンパスは大教室や小教室、ゼミ室など、目的に合わせた多様なスペースが用意され、学生たちはそれらの場所を使い分けて集まりながら、つながりをつくり、世界を広げていきます。つまり、新オフィスでも変化のある空間を用意すれば、組織の一体感が自然に生まれてくるのではないかと思いました」

このような考え方は、杉山氏も同感するものだった。
「私たちのような業種ではオフィスがフリーアドレスであるケースが多く、席を移動しながら仕事をすることにはみんな慣れています。ただその一方で、フリーアドレスのオフィスにありがちな長方形のテーブルがずらっと並んでいる均一的な空間は、無機質で嫌だと思っていたのです。この点、天野さんの発想は、新しい時代のオフィスを予感させてくれるものでした」

そんな期待の通り、執務スペースには、カスタムメイドのちょっと変わった形のテーブルが置かれた。
「基本は平行四辺形で、向かいあう人の視線が重ならないようにしました。さらに三角形のテーブルと組み合わせることで、レイアウトの自由度がかなり高まったのです」(天野氏

平行四辺形のテーブルは長方形のものよりも連結のバリエーションが多くなる。そのため、デフォルトのレイアウトでは中央から星形に広がるような配置にしたほか、所々に少人数用のコーナーを設け、働き方の多様性に対応できるようにしている。

「集まる、つながる、広がる」オフィスへ

「このテーブルを含め、新たに採用したオフィス家具は全て下にキャスターを付け、簡単に移動できるようにしています。さらに会議室を含めてほとんどの仕切り壁も動かせ、空間を自由に変えられるのです。それによってさまざまな目的に使える多様な空間を提供できるだけでなく、働き方の変化によってオフィスもどんどん進化していくことができるのです」(天野氏

最高の眺望で「集まる」を演出する
フロアの中央に広々としたプロムナード。

執務スペースに置かれたデスクワークのための平行四辺形や三角形の変形テーブルは、いくつかを組み合わせることで簡単な打ち合わせ用のテーブルに変化する。さらに周囲に設けられた大小の会議室の利用頻度も高く、新オフィスは活気にあふれた「動」のイメージを感じさせる。それであって全体に雑然とした感じにならないのは、フロア中央を広いプロムナードが貫いているからだ。

「実はここが、デザイン案で最初に決まった部分でした。オフィスが入る住友不動産汐留浜離宮ビルは浜離宮庭園のすぐ北側に位置し、エレベーターホールから室内に入ると、正面に浜離宮からお台場、そして東京湾から房総まで見渡せる最高の景観が広がります。これこそ移転によって社員たちが得る最大の価値の一つなのですから、その眺望を遮らないプロムナードでフロアを突き抜けられるようにしたのです」天野氏
フロアの中央に広々としたプロムナード

プロムナードは執務スペースだけでなく、応接や会議室のあるフロアまで含めた統一されたデザイン要素になっている。
「海、空、緑が眺められるという共通のスペースを全フロアに設けることで、どこのフロアにいても『最高の場所にあるオフィス』という意識を持ってもらえるようにしたかったのです」天野氏

さらにプロムナードにはフロアごとに少しずつ違う仕掛けをつくり、人々が集まりやすいようにしている。
「円形カウンターやテーブル、ソファ、ベンチ、チェアなどを置いて交流の場として使えるようにしました。レイアウト上、オフィスに出入りするには必ずここを通るのですから、まさに『集まる、つながる、広がる』を実行できるスペースになっているのです」天野氏

その他、オフィスにおける特徴的な空間について、いくつか紹介しておこう。

『集まる、つながる、広がる』を実行できるスペース

ソーシャルラウンジ

23階をエントランスと直通エレベーターで結んで受付フロアとし、応接および会議室のスペースを「ソーシャルラウンジ」と呼んでいる。
「ここはPwCのグローバルネットワークを象徴する意味もあって世界地図と連動させました。当社で会議室名のテーマを従業員から募集したところ、"世界遺産"に決まり、各部屋にアンコール・ワットやタージ・マハルといった各国の世界遺産の名前を付けています。また家具なども全て違うものにして、デザイン的にも変化を感じられるようにしています」杉山氏
ソーシャルラウンジ

もう一つの特徴は、フロアのさまざまな場所にアート作品を並べたことだ。「飾っているのはフラワーアーティストの第一人者であるアヤコ タナカさんの作品です。デザイン的に優れているだけでなく香りも楽しめ、従業員たちだけでなく海外からのお客様にもかなり評判がいいですね。会社の印象を決めるスペースだけに、こういう工夫は大切だと思いました」杉山氏

カフェテリア

22階は従業員向けの会議室が並ぶスペースだが、その一画にカフェカウンターを設け、サービス会社が飲み物から軽食までの販売を行っている。
「オフィスの利便性を考えたとき、このような設備も必要ではないかと思いました。今では多くの人が集まる絶好のスペースとなっております」杉山氏
カフェテリア

PwC Window

プライスウォーターハウスクーパース株式会社とあらた監査法人のオフィスを統合しているが、業務内容上、監査法人や一部の部署の使用スペースはセキュリティ上の条件により入室が厳しく制限される。しかし、共有スペースから窓を通して内部の様子が分かるようにすることで、組織としての一体感が感じられるようにしている。

また、各フロアのエントランスには従業員に向けた各種情報を流す大型ディスプレイ「PwC Window」が置かれ、情報共有に効果を上げている。

少人数用会議室

移転前のオフィスでは各法人とも会議室の不足が従業員の不満として表れていたという。しかし新オフィスでもスペースが拡大する訳ではないので、調査段階で得られた綿密なデータなどをもとに少人数用の会議室を増やすことで対応した。

「それまでの仕事の進め方も調査対象でしたので、会議は何人で、どのくらいの時間、どのくらいの頻度で行うか、全て調べたのです。そのデータから、何人用の会議室をいくつ作れば効率的にスペースを使えるか、最適化シミュレーションを行いました。具体的には社内用の会議室の比率を高め、小会議室を増やすことにより、会議室が足りないといった不満はほとんどなくなりました」越田氏

経験を共有できる場が多いオフィスほど統合による「組織の融合」を促進させる。

今回の移転プロジェクトにおいて最大の課題は、組織の再編成と新オフィスの構築とを併行して進めなければならない点だった。一般的に考えたら、組織の概要が決まらないうちにオフィスのレイアウトなどできない。
「PwC Japanとしてのシナジー効果をより高めるため、業務上必要なセキュリティゾーンを明確にしつつも各法人のフロアを互い違いにスタッキングすることで、各法人間の交流を促進するようにしました。このスタッキングは、今回の統合で新しいビジネスモデルを創出しようという意図の表れです」(小澤氏

もともと各法人で採用していたフリーアドレス制は、小スペースが目的ではなく、いわゆるノンテリトリアル型の固定席だけを配したものだ。従って、席が移動することには多くの従業員が慣れていて、「移転当日の朝からみんなちゃんと自分で席を決めて働いていたのに感心した」(杉山氏)というほど定着したスタイルとなっている。そんな組織の特性を最大限に活かし、ワン・インテグレテッド・ファームの実現には大きな力を発揮できるオフィスを構築するのが、当初からの方針だった。天野氏が言う。

「経営統合だ、ワン・インテグレテッド・ファームだっていくら口で言っても、すぐに浸透するものではありません。ですから、オフィスを通してみんなに感じてもらうことが大事なのです」

ちなみに前述したプロムナードや平行四辺形のテーブルは、そんな共感につながる仕掛けの一つだという。
「他社にない特徴的なアイテムを各フロアに置くことで、例え階が違っても同じ体験を共有できる。そんなところからも『集まる、つながる、広がる』へのきっかけが生まれるものなのです」(天野氏

期間的にはかなり短いプロジェクトではあったものの、移転後のオフィスへの従業員からの評価は高く、特に社内のコミュニケーションに関しては多くの従業員が「非常に向上した」と答えている。
「これまでの常識からいったら、これだけの短い期間でこれだけの大規模なオフィス移転を行うなんて考えられなかったことです。しかも、今回のプロジェクトメンバーは『時間がないからこのくらいで妥協しましょう』といった言葉は口にせず、常に最高のオフィスを目指してきました。その結果、予想以上のオフィスに仕上がったのですから、やはりプロの力を借りて良かったと思いました」(杉山氏

ところで、杉山氏が働く総務部も、それぞれの法人から集まったメンバーで構成されていることもあり、最初は互いに気を遣いすぎる場面が多かったという。
「最初はデスクの間にパーテーションを立てていたのですが、それが意思の疎通を阻害している原因と考え、パーテーションを外して見通せるようにしたのです。たったそれだけで一気に打ち解け、今では何でも話せるようになりました。これまで何度かオフィスの構築を行ってきましたが、空間のつくり方一つで人の心がこれほどまで変わるとは大きな驚きです。オフィスが経営に与える力の大きさに改めて気付かされた思いです」(杉山氏