株式会社リジョブ大阪支社

2017年8月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

オフィスを4倍の広さに拡張して企業ビジョンを具現化した

美容・ヘルスケア・介護に特化した求人メディアの運営で、安定した業績を重ねている株式会社リジョブ。
2015年4月に行った本社移転の内容は、本コーナーでも紹介しているのでご覧いただければと思う。
http://www.sanko-e.co.jp/case/rejob

本社移転と同時期に名古屋と大阪の支社移転を行ったが、まだ拠点展開といえるほどの規模ではなかった。
そのわずか2年後の2017年7月、大阪支社の移転を実施する。特筆すべき点は旧オフィスの約4倍の面積に
拡張したことだ。ここまでの広さを求めた理由はどこにあるのか? 同社の考えるオフィスのこだわりは? 
具体的なオフィスの新機能を交えながら紹介していこう。

プロジェクト担当

福原 雅子 氏

株式会社リジョブ
求人メディア掲載事業グループ
クライアント支援Div
チームマネージャー 
福原 雅子 氏

桜咲く公園

桜咲く公園

はやわかりメモ

  1. 2014年から経済活動を通じた社会活動に取り組んできた
  2. 対象を大阪から全国に。そのために大阪支社の拡張計画が始まった
  3. 条件を絞り込み、移転先をピックアップ。デザイン会社にもビルのイメージを確認してもらった
  4. 新オフィスのこだわりは本社同様に広々とした公園の存在
  5. 会社の成長には、社員のモチベーションの向上が必要

2014年から経済活動を通じた
社会活動に取り組んできた

人材ビジネスという時流の波に上手く乗れたこともあり、右肩上がりの業績を誇る株式会社リジョブ。その転機は「株式会社じげん」との合併にある。

「2014年10月に転職や引越し、結婚といったライフイベントを支援している『株式会社じげん』と合併しました。合併後の業績は約4倍に伸びています。組織のカルチャーも一気に変わりましたね。新たに企業ビジョンを『日本が誇る技術とサービスを世界の人々に広め、心の豊かさ溢れる社会をつくる。』に変更し、『事業で世界中の社会問題を解決させ、心の豊かさが溢れる社会の実現』を使命としました。もちろん、それだけで業績が伸びたわけではありません。合併を機に、もう一度自分たちの事業を見つめ直し、地道に取り組んだ結果だと思っています」

業績向上のためには目標の達成は必須だ。もちろん個人の成績は重要だが、同社ではチームでの目標達成に重点を置く。それが社員のモチベーションアップにつながっていると語る。そんなリジョブ精神を理解しているのか、大阪支社には『相手の利益を考える』ことができるメンバーが揃っているという。

「もともと創業時から、役職の垣根なく一つの目標達成のために全員で力を合わせてきた会社です。上司が頑張っている姿を見て、部下も一生懸命になる。そんな理想的な関係が自然にできあがっていますね」

そのひたむきな姿勢は自らへの行動だけでなく、他人に対する行為に関しても同様だ。

「例えば、目標に達成できなかった社員がいたとします。しかし結果は出したかったという気持ちはあるはず。それならば、その社員を一方的に責めるのではなく、その原因を一緒に探ってあげるのがベストな方法だと信じています」

「基本的な知識が理解できているか」「集中力を維持するには」「全体的なレベルアップの裏技」など、相手の立場にあわせて指導を行っている。

その考え方のベースとなる「REJOB STYLE」を紹介しよう。

社会貢献に向けて必要な考えを説いた「REJOB STYLE」

REJOB STYLE
私たちリジョブが、事業活動を通じてより良い社会実現に貢献し続けていくために
必要な考え方・行動。それが、「REJOB STYLE」です。
「REJOB STYLE」は、事業展開において大切にする「BUSINESS STYLE」と、
組織づくりにおいて大切にする「TEAM STYLE」の2つで構成されます。
このSTYLEを守り発展させていくことで、常に社会が求める価値を提供できる企業で
あり続けます。

同社の場合、今まで行ってきた「社会貢献」も大きな企業ブランドの一つになっている。そして、その部分に感銘を受けて入社してきた社員も多い。

「一緒に社会貢献に取り組みたい方、美容の世界を極めたいと思っている方、この業界の可能性に魅力を感じている方。入社理由は個々で異なると思いますが、すべての方の志望動機に叶えられるようにきちんと応えてあげたいと思っています」

対象を大阪から全国に
そのために大阪支社の拡張計画が始まった

大阪の美容・ヘルスケア市場は未だ発展途上の段階だ。だからこそ今回の大阪支社の移転には、同社の成長を考えるうえで大きな意義があると語る。

「業務の拡大を進めるためには、優秀な人材を大量に確保する必要があります。私どもの業界は、東京ではすでに人材採用が困難になりつつありますが、大阪はそこまで厳しくありません。他社と同じ水準の条件でしたら問題なく採用できると採算がありましたので思い切って舵を切りました。そしてこのチャンスをものにするためにオフィス移転を行ったのです」

オフィスを改善したことで、企業イメージも向上した。現在、当初の計画通りに人材採用が着々と行われているという。

「主婦の方を含めて女性を中心に採用できています。予定していた20名の採用までさほど時間はかからないでしょう」

条件を絞り込み、移転先をピックアップ
デザイン会社にもビルのイメージを確認してもらった

移転先の検討からプロジェクトの実務に関しては本社主導で行った。もともと手狭感がでてきたことから今後のことを検討していた矢先だったという。2017年3月に、大阪コールセンター構想が経営会議で承認。本格的に移転を検討することになる。

「支社は少ない人数で運営しているため、通常業務以外で社員に負担はかけられません。そのためオフィス移転に関しては本社の責任者と専門会社の間で行いました。週一回は顔を合わせて打合せをするなど、かなりの時間を要したと聞いています」

移転先は旧オフィスが立地していた心斎橋周辺にこだわった。取引先との営業効率を考えたときに、このエリア以外には考えられなかったからだ。

それに加えて、親会社である「株式会社じげん」の執務スペースも必要だった。じげんにとっては初めての大阪進出。そこでいきなり支社を開設するのではなくモニタリングの意味も含めて同フロア内に席を用意した。そうして必要面積を120坪前後と定めた。

心斎橋を中心としたエリア、120坪前後の面積、割安感のある賃料という条件でビル情報を収集。絞り込んだ10棟を見学する。最終的に重厚なグレード感を持つ現入居ビルが選ばれた。

物件確定の前に、東京本社のデザインを手がけたデザイン会社の担当者にもビルの外観、部屋型、窓の位置などを確認してもらう。その後4月に入居ビルの正式契約を行い、内装デザインに関する打合せを行う。6月から内装工事が始まり、7月に入居を完了させた。デザイン会社には移転プロジェクト全体のマネジメントをお願いした。非常にタイトなスケジュールではあったが、同社をよく理解している会社がマネジメントをしたこともあり、スムーズな流れの中で進められたという。

エントランス

エントランス

エントランスサイン

エントランスサイン

新オフィスのこだわりは
本社同様に広々とした公園の存在

旧オフィスでの課題は手狭感。簡単な打合せのために数人が集まることも難しかった。

「移転前は約30坪の面積を12名で使用していました。オフィスの大半が執務スペースとなります。しっかりと囲まれた応接室もありません。拠点間でマネジャー同士がスカイプを使ってミーティングをすることがあるのですが、そのたびに部屋の角に移動していました。また、個人情報が聞こえてしまうので外部の場所を借りて採用面接を行うこともありました」

旧オフィスにも公園はあった。しかし狭かったため4名用の机を置くのが精一杯。とてもリフレッシュできるスペースではない。そこで今回の移転でしっかりと企業イメージである「桜咲く公園」を前面に出すことにした。

「やはり当社のブランドイメージですから妥協せずにつくりこむことにしました。ただ、東京のオフィスデザインをそのままコピーしたわけではありません。東京のデザインをベースにここの立地を生かしたデザインになっています」

執務スペースと公園の組み合わせは本社同様となる。ただし大阪オフィスの公園部分の面積は全体の約3分の1とかなりの割合を占める。本社の場合、公園と執務スペースの境目は公園のフェンスをモチーフにして仕切りをつくっているが、大阪支社では完全に仕切った壁にはしていない。それはこのオフィス特有の日差しを上手く採り入れようとするデザイナーの発案によるものだ。

それではオフィスの新機能を具体的に見ていこう。

エントランスは、キョクアジサシと桜をモチーフにしたリジョブと親会社である株式会社じげんのロゴマークが飾られている。(*注1)

エントランスを抜けると一番の特長である「桜咲く公園」が一面に広がる。本社同様に芝生のある公園を象った多目的エリアだ。社内・社外問わず多くの方々とのコミュニケーションの広がりを期待してつくられた。芝生の上にはテーブルが4つ。ここで仕事をする社員も増えてきたようだ。

「現状は、ノートPCを用いての通常業務以外に、社内ミーティング、社外の方との打合せ、休憩、食事など様々な用途で使われています。そのほか、最近では社員勉強会、新卒説明会なども開催できるようになりました。新たに備えた天井収納型のスクリーンとプロジェクタを使って企業説明を行うこともあります。学生の皆様も、外部会場で説明を聞くよりも、リアル感が全然違うのではないでしょうか。何しろフェンスの向こうを覗けば実際に働いている雰囲気が伝わるのですから。実際に、先日初めてこの場所で新卒説明会を開催しましたが、皆様からの反応は上々でした」

毎月社員同士で交流を深める「咲くらBar」、隔月での「咲くらヨガ」もこの場所で開催される。
「普段仕事でしか関わっていない同士が交流を持つ場です。どこかのお店で話すよりもリラックスできるようですね」

今後は、この場所を活用してチャリティイベントの開催を計画している。過去、本社で行ってきたように、アロマスプレーづくりやマッサージ講習などを考えている。そこでの収益は同社が行っている「咲くらプロジェクト」の運営に充てられるという。

公園の手前には小応接室と大応接室。社員から要望が高かった仕切られた部屋がつくられた。本社は、昼と夜をモチーフとしたデザインに仕上がっているが、ここはいたってシンプルなデザインになっている。

「ここは東京本社と違って窓からの自然光が差し込んでくるため、デザインよりも素材感を重視しました。これもデザイン会社からの提案です。光が差し込む角度と摺りガラスの位置を計算しながら机の高さを調整しています」

芝生の奥にはバーカウンター。ここでミーティングを行う人もいれば、食事をする人もいる。「咲くらBar」開催時は、ここにアルコールが置かれ、大阪ならではのたこ焼きが並べられることもある。

そしてセキュリティカードをかざしてフェンス内に足を踏み入れる。そこが執務室となる。
現在、執務室の約半数がコールセンターの担当となります。一般的に、コールセンターはデスクを壁で囲むケースが多いのですが、当社ではあえて壁を設けずセンターに配置しています。そのほうが、その都度で気付いたことを教えられますし、新しく入社した方も気軽に近くの先輩社員に質問できますから。先ほどもお話しましたが、当社はチームでの成績を何よりも大切にしています。ですから上下関係なく、『教えあう』関係が出来上がっているのです。これは自慢できる当社の魅力だと思っています」

見える場所には大型モニタを設置。東京本社、名古屋支社と結び、相互でオフィス間の様子を映し出している。その横には、まだ空きが充分にある書庫が置かれている。

「順次、書籍を増やしていきたいですね。小説からビジネス書、自己啓発本など、ジャンルは問いません。例えば、ワンピースのようなコミックであっても、仲間を大切にすることがテーマになっている内容であれば全巻揃えてもいいと思っています」

支社という役割のため、それほど多くの機能が加えられたわけではない。しかし、働きやすさと社員のモチベーションは間違いなくアップしたといえる。

*注1 キョクアジサシは、1年間で北極圏と南極圏を行き来する世界一長い距離を飛ぶ渡り鳥。世界中にサービスを届けたいという同社の想いを込めてコーポレートシンボルになっている。桜は、日本を象徴する花。同社が事業の核にしている「求人サービス」が、新しく仕事に就くイメージである4月(春)をイメージさせるとの理由で採用されている。

ミーティング風景

ミーティング風景

執務室エリアとのセキュリティ

執務室エリアとのセキュリティ

ヨガ風景

ヨガ風景

大応接室

大応接室

小応接室

小応接室

バーカウンター

バーカウンター

執務室

執務室

大型モニタ

大型モニタ

会社の成長には
社員のモチベーションの向上が必要

同社はもともと自由な環境であったが、今回の移転で企業イメージを具現化したオフィスを構築することができた。社内外で移転効果が表れはじめているという。

「社員にとっては表面的な環境の変化に過ぎないのかもしれません。しかしストレスなく働けるというのは、最高の移転効果だといえます。リジョブという組織をより成長させるために、社員のモチベーションを上げることは必須です。今回のオフィス移転は、その第一歩となっていると思います」

もちろんそれだけではない。目に見える効果として来客者の数が大きく増えている。

「旧オフィスには、応接室がなかったためお客様が来社されると執務室の一角に設けられたわずかなスペースで商談をしていました。とてもお客様をお呼びできる環境ではありませんでした。移転後はたくさんのお客様にご来社いただいています」

「オフィスは、家にいる時間同様に長い時間を過ごす場所となります。いわば第二の家といえるかもしれません。自分の家だと思うと愛着がわきますよね。汚れていたらすぐに拭くし、電球が切れていたら自分で取り替える。そんな風にみんなでつくりあげていくオフィスになればいいと思っています。そういう意味では、オフィスに完成形はないのかもしれませんね」

書庫

書庫

コラム

リジョブが展開する途上国支援プログラム「咲くらプロジェクト」

「咲くらプロジェクト」は2015年春にスタートしたプロジェクトで、「日本が誇る技術とサービスを世界へ」をテーマに、世界の美容・リラクゼーション人口を増やす活動を行なっている。日本が誇る「桜」が世界中で花を咲かせるというイメージからその名が付けられた。

具体的な活動の一つとして、2015年7月にフィリピン・オロンガポ市に無料のセラピストスクールを開講。今まで、勉強の機会を得られなかった子どもたちが、基礎知識や技術・接客を習得。日本の技術やサービス力を学びながら、手に職をつけることで貧困や雇用問題を解決する道を探っている。今後は、現地の行政とも連携して学ぶ機会を増やす予定だ。現在、フィリピンに開講したセラピスト養成講座の卒業生は136名。そのうち33名は就職してセラピストとして活躍している。(2017年8月現在)

「咲くらプロジェクト」は、美容業界、セミナー講師、そして社員など多くの人間に支えられて継続している。社員の8割が「1時間プログラム」制度に参加。毎月の給与の1時間分をこのプロジェクトに寄付しているという。

活動支援についての詳細は運営会社(株式会社リジョブ)まで https://rejob.co.jp/