vol.9 達成する勇気が湧いてくる!自分をアゲる目標の立て方

vol.9 ~達成する勇気が湧いてくる!自分をアゲる目標の立て方~

人は目標がないとどうしてもダラダラと無為に時間を過ごしてしまいがち。仕事においても、適切な目標を立て、それを達成することで仕事は滞りなく進み、また個人の能力も上がってきます。しかし、目標も立て方次第では「いやいやいやいや!そんなの無理!」と拒否反応が強まったり、メンバーが迷走する原因を作るだけだったりすることも。

今回は、心理学的に正しい目標の立て方をご紹介しましょう。

<今月の4コマ>
※このまんがはフィクションです。実際の人物や団体とは関係ありません。

vol9.jpg

効果が出にくい目標は「精神論」

「社員一丸となって頑張ろう」「明るく楽しく売上アップ」といった理想を追い求めるスローガンは美しいかもしれませんが、目標としては不十分。頑張るとは一体どういうことなのか、何をすれば明るく楽しくと言えるのか。これらが明確でないと何をしていいのかわかりません。目標を立てる際は、何をするかということと、いつまでにどれくらいするのかという数字を明確にすることが基本です。

大きな目標は細かく分割する「スモールステップスの原理」

「売り上げ○億円」「成約数1,000件」といった大きな目標を与えられたとき、相当優秀な人でもない限り「そんなの無理だよ......」と思ってやる気がダウンしてしまったり、仕事がいやになってしまったりするものです。

そんな時は「スモールステップスの原理」を使ってみましょう。これは大きな目標をできるだけ小さいステップに分割するということです。例えば半年で達成する目標であれば、まずは毎月の目標に落とし込んでみましょう。そしてさらに1週間に何をするか、1日に何をするかと細かく分割していきます。そして日々それを実行していく、という流れです。

スモールステップスの原理は実は皆さんも小さい頃から経験しているはずです。それは勉強。もともと教育心理学で使われるテクニックですが、いきなり全部学ばせようとするのではなく、学期ごと、定期試験ごとと細かく分け「いつまでに何をする」と明確に決めて身に付けていく。これを仕事にも適用していくというわけです。

vol9_image_linetouka.jpg

「目標の欲求勾配仮説」でやる気を維持する

スモールステップスの原理が効果的なのは、目標の欲求勾配仮説で説明できます。大きな目標を設定したとき、その目標があまりにも遠いと、人が達成することの価値を強く感じられません。面倒だなとか、ムリじゃないかといった気持ちが先に立ってしまうのです。しかしスモールステップスの原理で目標を細かく分割すると、ゴールは比較的すぐそこ。達成しようと気持ちもわいてきますし、実際に達成すれば自己効力感(自分はできると確信する感覚)が得られ、さらにモチベーションが上がるという流れが出来上がってきます。大きな目標も自然と達成できるようになるのです。

なお、目標達成のためには「自分で目標を決める」ことが重要です。たとえ与えられた目標数値であっても、自分なりに納得のいくように目標を捉え直してみてもいいかもしれません。

パブリック・コミットメントで退路を断つ

目標は周囲の人に公言すると、より達成できる可能性が高まると言われています。これは「パブリック・コミットメント」といい、人前で口にすることで明確に意思が固まることがわかっています。アメリカの心理学者・レヴィンがおこなった実験でも、みんなの前で目標を宣言した人のほうがモチベーション高く目標に取り組み、実際に行動にも移したそうです。これは引っ込みがつかなくなるということもあるでしょうが、言葉にして発言することで明確に自分がやるべきことをイメージするという効果も大きいでしょう。

*   *   *

みんなの前でダイエット宣言をしたり、「週に1キロやせよう」と決意したりした人は多いはず。その成功率はともかく、計画の立て方次第でやる気が変わってくるなら、効果的な計画を立てたほうが仕事も楽しいですよね。心理学を上手に取り入れて、ぜひ大きな目標を達成してください。

監修:赤木麻里

フリーライター。学習院大学文学部日本語日本文学科、東京福祉大学心理学部卒。
書籍やウェブサイトを中心に幅広く執筆を行う中で、特に思想、哲学、心理学の分野で多数の執筆協力、コンテンツ提供を行っている。

バックナンバー