株式会社デジサーフ

2015年3月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

事業ドメインは「余暇」。快適を提供している会社がつくったワクワク空間

O2O(オンライン・ツー・オフライン)の手法でネットとリアルを融合。複数のビジネスモデルを次々と成功させている株式会社デジサーフ。2013年11月に業務拡張のため神奈川県・辻堂駅前に立地する大規模オフィスビルへの移転を完了させた。同社の全ての事業に共通するキーワードは「余暇」と「快適」。今回はそのキーワードとリンクする新オフィスのコンセプトについて語っていただいた。

プロジェクト担当

高橋 佳伸氏

株式会社デジサーフ
代表取締役

高橋 佳伸氏

大江 愛弓氏

株式会社デジサーフ
O2O事業部
販促チームリーダー

大江 愛弓氏

エントランス部分

エントランス部分

はやわかりメモ

  1. 徹底的に「余暇」「快適」にこだわり革新的な事業を実現させた
  2. ショールームを兼ねた多目的スペースで「快適」と「自由」を演出する
  3. これからも自由な発想で次の事業を展開していく

徹底的に「余暇」「快適」にこだわり革新的な事業を実現させた

「余暇をもっと快適に」をキーワードにネットとリアルを融合したO2Oサービス(オンライン・ツー・オフライン)を展開している株式会社デジサーフ。家でも会社でも学校でもない第3の場所(サードプレイス分野)を快適に過ごすことを目的に複数の事業を運営している。

「世の中にはたくさんの情報が溢れています。そこで『余暇』というニッチな市場にターゲットを絞ったのです」(高橋佳伸氏

「最初に手がけたのは『SURF』という事業です。これは北海道から九州までの海岸に固定カメラを設置。その映像に付加価値を付けて波情報を扱っているコンテンツプロバイダに提供しています。全国100万人のサーファーをターゲットにしたサービスですが、今さら同じ事業を行おうとする会社も無く安定した事業となっています」(大江愛弓氏

「今後は、外部の地震予知速報会社と連携を行い、津波対策の情報サービスへ幅を広げようと検討しています」(高橋氏

その後、同様の発想で「SNOW」を立ち上げる。そこでは積雪情報やスキー場のイベント情報の提供だけでなく、研修会の参加費用をネット上で決済させる仕組みを構築。主催者との協業で展開するという新たなビジネスモデルを実現している。そうしたO2Oサービスの進化系として誕生したのが「BBQ」だ。これは現在同社の主力サービスとなっている。

「大きなバーベキュー場を運営している公園管理者から煩雑な予約システムの構築について相談されたのがきっかけです。しかし、システムの構築だけではなく食材の予約やレンタル機材の使用料といった、その後の付加部分に価値があると提案。その部分を管理者側と協業できないかと。管理者側からすればシステム構築費は無償で、なおかつ今後はオンラインサービスによって利益が生まれるわけですから断る理由が無い。そうした当社独自の手法が瞬く間に神奈川県全域に広がりました。それがバーベキュープラットフォームサービス『デジキュー』の始まりです」(高橋氏

「デジキュー」は、ITを活用した情報提供サービスからリアル店舗での運営までをゴールとした。

「公園ってたくさんの方が利用することで価値があるものだと思っています。バーベキューであればコミュニケーションが生まれ、なおかつ安定的に収益が見込める。公園のあり方が見直されました」大江氏

インターネットを使えない方のためにコールセンターも用意した。ネット環境と同じプラットフォームを使用するため、集まった情報は一元管理をしている。そのため全ての登録者にリアルな予約情報の提供が可能だ。

「バーベキュー市場は公園だけではありません。最近では駅ビルの屋上に当社のバーベキュー場を誘致する商業施設も増えてきました。食材等の決済は事前に済ませているため、手ぶらで来場し本格的なバーベキューを楽しむことができます。必要な食材は前もって分かるため廃棄ロスもありません。まさに今の時代にマッチした運営ができるのです」(高橋氏

「今まではバーベキュー場の利用というと曜日や場所が限定されがちでした。ビルの屋上でしたら仕事終わりに集まることもできますし、何よりも夏の定番だったバーベキューが殻付き牡蠣を焼くだけで牡蠣小屋に変わり、冬でも利用することができます。昨年、東京のダイバーシティ東京プラザ屋上で営業したバーベキュー場では、4月から11月の間で9万人の利用者がありました」(大江氏

ショールームを兼ねた多目的スペースで「快適」と「自由」を演出する

「社員数こそ少ないですが、その分をバイトやパートで補っています。まだまだ成長過程の会社ですから採用活動を行なっても応募者自体が少ないという現実。そこを多くの主婦の方々で補填しています。特に子供がいる方は、それだけで労働時間が制限されてしまい、なかなか仕事に就くことができません。採用する側とされる側、お互いの利害を合致し、たくさんの主婦の方々を採用しようと。これは都心の企業ではなかなかできないスタイルかもしれないですね」高橋氏

本格的な業務のスタートは2009年からとなる。そして今後も業務メニューの多様化と運用施設の増加によって従業員も大幅に増やす予定だという。

藤沢本社には「販売促進」「開発」「管理」の大きく3部門が入居している。

「旧オフィスは雑居ビルの30坪を借りていました。今後の成長戦略の中でコールセンターの設置や採用計画を考えるとさすがに狭いと。そこで広めの面積を確保しました」(高橋氏

同社のオフィスの特長は何といってもショールームを兼ねた多目的スペースとなる。移転先をここに決めたときからこのスペースの使い方を思い描いていたという。

多目的スペース内のソファ席

多目的スペース内のソファ席

「執務室はどうしてもPCが中心となります。コールセンターも設けますのであまり賑やかな空間をつくるのは無理がありました。しかし自由な発想ができる部分は必要だと思っていましたので、思い切ってこれだけの広いスペースで展開したのです」(高橋氏

「自由な発想が生まれやすいレイアウトになったと思います。前のオフィスでは会議用のテーブルが1個置いてあるだけでしたから」(大江氏

この多目的な空間の効用は予期していなかったところでも発揮している。

「来訪していただいた方々に、斬新なアイデアを持っている会社として接していただけるようになりました。一つのブランド戦略になっていますね」(高橋氏

応接からの景観

応接からの景観

執務室

執務室

コールセンター

コールセンター

これからも自由な発想で次の事業を展開していく

同社では、事業の新しい試みとして「コインスペース事業」をスタートさせた。これは今後のオフィスのあり方に一石を投じるものになるかもしれない。

「最近ではフリーアドレスを導入する企業が増えてきました。どこでも仕事ができる環境。その環境は必ずしもオフィス内に限ったことではありません。とはいえ、喫茶店で長居するにも限界があるわけです。それならば最初から『余暇』の部分に付加価値を付けて料金設定をすればいいのではと考えたのです」(高橋氏

簡単に言うとスペースの時間貸し。場所や使用用途によって100円あたり居られる分数を変える。入退場時間を明確にするためにバーコードで管理する。まさに時間貸駐車場のようなワーキングサービスだ。1号店を渋谷の東急プラザに出店。

「そこをモデルケースとして3月には渋谷スクランブル交差点前の一等地QFRONTの7階にもTSUTAYA様のご好意により出店できました。今後は全国に展開していく予定です」(高橋氏

「この事業は、まさに当社のオフィスに対する考え方のイメージです。可能な限り自由で、働きやすさを考えた環境の構築。それがストレスの無い生活に繋がる。誰もが同じように考えていることなのかもしれません。しかしそれは働く上で一番重要なことでもあるのです」(高橋氏