先進オフィス事例

~オフィスを経営の力に~

日本事務器株式会社 後編

2018年6月取材

※記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

本社オフィスの各フロアにはそれぞれテーマを持たせた

本社はフロアごとに、そこで働いている事業部のミッションを表現したテーマを設定。そのイメージに合わせた色調にするなど特色を持たせた。

9階は開発チームのフロアとなる。新規事業の計画や調査、研究を行うためテーマは『Future(未来)』。ロボットやロケットのイメージを醸し出すようなデザインを採り入れている。

11階のテーマは「Marche(市場)」。社内外の人とのコラボレーションを目的としたフロアとなる。

「受付を抜けるとピッチ・コワーキングエリアと呼ばれる社外の方との交流を促進するエリアがあります。ガラスで仕切られた向こう側がカフェテリア。55席の椅子を用意し、社員同士のコラボレーションを推進しています。窓際にはハイカウンター席も用意しており、ここで資料作成をするワーカーの方が増えているそうです」(北本氏)

16階は首都圏支社。営業拠点ということもあって、活動的なイメージを持たせた。テーマは「Vitamin(ビタミン)」。入口近くにはカンファレンスルームを配した。

「ショールーム的な役割も持たせ、実際にお客様に働き方を見ていただくことができます。このフロアには地方拠点で展開している『5Work modes』が揃っています。ちなみに個人ワークとなるFocusは50席、Rejuvenateは6席、チームワークとなるCollaborateは42席、Socializeは23席を用意しています」(熊倉博幸氏)

個室のミーティングルーム

9階フロア内のラボ

窓際のフリースペース

11階 ピッチ・コワーキングエリア

16階 カンファレンスルーム

さまざまなコラボレーションが必要であると考え、色々な用途を持つ機能を備えた。

「アドホックミーティングというエリアでは無線LANによる大型モニタを設置しています。モニタに投影した課題を全員で見ながら打ち合わせを行う場面が増えてきました」(熊倉氏)

同社ではちょっとしたミーティングを「ちょいミーティング」と呼んでいるという。「ちょいミーティング」を行うためにファミレス風の打合せエリアも採用した。その他、遠隔地とのWeb会議を可能にする個室や簡単な打ち合わせに有効なスタンディングデスクなど。椅子の高さは調整可能で、椅子に座ったままの社員と立っている状態の社員の目線が同じになる工夫も採り入れた。「ちょいミーティング」など、複数の人がディスカッションする場合は、ビジュアルに情報を共有しながらやるほうが、理解度、共有度が高いという。立ち話でさえ視覚的な情報共有ができるように各所にデジタルサイネージやディスプレイを配置、かつ、手持ちのiPhoneでさえも簡単にクラウドにある資料などをワイヤレスで表示できる工夫がされている。

「スチールケースではWellbeingの観点で家具を設計しています。また素材のチョイスの幅も広げ、ワーカーの感情のWellbeingをサポートしています。その考えが生かされた家具は身体的だけでなく、精神的、社会的にも良好な状態を保ちます」(大島氏)

「それらは最終的にEngagement(社員同士の絆)を向上させ、良好なビジネスライフの実現を可能にするといわれています」(北本氏)

その他、Intelligent Work Areaとして知的なイメージを持たせた「Owl(フクロウ)」、Calming Management Floorとして落ち着いたホスピタリティをイメージさせた「Ocean(大海洋)」をテーマにしたフロアを用意している。

ポイントはITとの融合。社内情報システムの構築に取り組んだ

「もちろん家具やデザインだけ変更しても成功するはずがありません。ポイントはITとの融合です。どこででも働けるような社内情報の構築がカギを握っています。9年前から段階的にiPhoneを配備してきました。3年前に全従業員への配備が完了し、今では、業務に必須のアイテムとなり、それが結果的に良い方向に向かいました」(黒崎氏)

これまでは固定席で、しかも資料の大半が大量の紙だったため、一旦会社に戻ってこないと仕事ができない。そこで運用や管理が容易なデバイスが必要だった。次期デバイスはセットアップや運用管理、情報漏洩リスクのことも含めて検討された。

「高い生産性を確保するために、情報共有やコミュニケーション、コラボレーションのあり方など、一つひとつの課題について検討を進めました。その結果、iPhoneに加え、共有デバイスとしてChromebookを採用しました。Chromebookは数秒で起動し、すぐにデータにアクセスできます。万が一Chromebookを紛失してもデータはクラウドで一元管理されているため安全です。セキュリティ対策も万全なので安心・安全なデバイスです」(浅野 利也氏)

「新入社員への配付もIDとパスワードで簡単にセットアップが完了します。動作環境やアプリケーションのインストールの手間がなくなりました。また、破損した場合も復旧にかける作業の必要がありません。利便性の高さを感じますね」(浅野氏)

また「G Suite」というグループウエアとの組み合わせでスケジュール管理も行う。その他、コミュニケーションの取り方も大きく変貌した。

「確認や課題解決のために電話一本で片付くことはよくあることかもしれません。聞く側からすると短時間で解決するのですから生産性は上がります。しかし聞かれる側は集中力が途切れ、生産性がダウンしているかもしれません。そこで気軽で、スピーディに使用できるビジネスチャットを社内で導入しました」(黒崎氏)

ビジネスチャットの採用で仕事の取り組み方が大きく変わった。

「『業務報告』から『情報共有』になりました。それまでは会社に戻ってから報告書の作成を行っていました。わずかではありますがタイムラグがあるため情報の鮮度が落ちることもあります。しかしビジネスチャットを使って随時書き込んでいけば、リアルタイムで情報共有が実現できるのですから報告書の提出は不要となります」(浅野氏)

「会社の中はもちろんのこと、移動中、訪問先、コワーキング、在宅など、いつでもどこにいても安心して安全に業務ができるIT環境を構築できました」(黒崎氏)

働き方改革をきっかけに企業風土も変えていく

「働き方改革のコンセプトであるW×I×Cのうち『Workplace』と『IT Solutions』は社内に浸透しつつあります。しかし『Change management』に関してはまだまだですね。少しずつ、会社の風土自体を変える覚悟で進めていきたいと思っています」(田中氏)

「当面の目標は、さまざまなツールを活用して今まで以上にコミュニケーションを増やすことです。視点の違う情報を交換しあうことで、今までにない発想や成果を生み出します」(熊倉氏)

「フレームワークを我々がつくって、それに合わせてオフィス機能を改善していく。その作業の繰り返しです。iPhoneとChromebookだけあれば場所がどこであっても今までと同じ環境で仕事ができる。それこそが我々の考えていた働き方の実現なのです」(黒崎氏)

同社が掲げているテーマは「Change to change」。変わるために変わる。常に変われる体質でいることを目指している。

「それは、テクノロジーがものすごいスピードで進歩しており、我々を取り巻くビジネス環境も変わり続けていく。そのスピードに対応し、新しい環境の中で必要とされる企業となるためにも 早く(Early)、速く(Fast) 、着手、行動する「あたりまえ」が必要ということです。新たなことをやるということは、その効果が期待できる反面、想定していなかった問題も出てくる可能性があります。それらを、いち早く我々が体現し、その対処方法も編み出した上で、お客様に提案、訴求する、というのが、我々が率先して新しいことに取り組んでいる理由の一つでもあります。行動を起こしながら新たな改善点を見出していきたいですね」(田中氏)

16階 アドホックミーティングエリア

16階 ファミレス風エリア

16階 スタンディングスペース

 
 
オフィス移転を成功させる物件選び