- 無駄な空間の削減で1.4フロアを1フロアに集約
創業から四半期を経て、研究員の減少や組織改変などを背景に無駄な空間(デッドスペース)が多数発生。今回、フレキシビリティの改善とともに0.4フロアを削減し1フロアに集約した。 - 入居ビルの改修工事に伴うフロア移転を契機にスマートオフィスの実現に取り組む
目標は、ビルの建築・設備に手を付けず、テナントが独自に行える「室内環境の快適性やオフィスワークの生産性を損なうことなく節電可能なスマートオフィスの実現」。LEDを使ったタスク&アンビエント照明や最新のシステム環境などを用意して新たなワークプレイスを構築。結果として消費電力を大幅に削減できるインフラを整備した。 - 所員の要望を調整しながらコンセプトを具体化することが重要
アンケートやヒアリングで所員の多様な要望をくみ上げながら、当初のフロア設計コンセプトを具体化していった。新オフィスの運用開始後にもアンケートを実施、適切な調整を行うことでより満足度の高い執務環境づくりを目指す。
レイアウトの見直しと家具類の刷新で1.4フロアから1フロアに集約。
2005年に日本生命日比谷ビルから現在の九段センタービルに移転してきたニッセイ基礎研究所。当時はビルの約1.4フロアを使用していたが、今回のフロア移転を機に1フロアに集約した。
「移転自体は入居しているビルの改修工事に伴うもので、当社として切実な必要性があったわけではありません。しかし2階が受付・会議室ゾーン、3階が執務室・情報センターとなっていたため、お客様の来社や郵便物が届くたびに上下移動しなければならず、業務効率がやや阻害されていたことは確かです」
執務室の広さは、創業時とあまり変わっていなかったが、その後の研究員の減少や組織改変によってフロア内に多数の無駄な空間(デッドスペース)が発生。所員にとっては余裕ともいえる空間だが、空いている分だけ書類や図書が乱雑に積み上がって美感上も問題だったという。また、設立当時に導入した家具類もフレキシブルなレイアウト変更を阻害してデッドスペースを生み出す要因の一つとなっていた。
「設立当時に購入した大型デスクは、ブラウン管型モニタを前提にした奥行きの深い半特注製品で、パーテーションも家具一体型のために取り外しができませんでした。また、これを使う研究部門と既製品を使うスタッフ部門で互換性がなく、組織改変などの際に無駄が生じました。半特注だったためメーカーも大量生産しておらず、次第に在庫がなくなって、研究部門でも2種類の机が混在する状態でした」
「すぐに対策を考えればよかったのでしょうが、家具の刷新にはそれなりにコストもかかり、オフィス移転などの大きなイベントがなければ、なかなか取り組めないものです。今回の移転に際して、委託したコンサルタント会社から、1人当たり面積でみれば、通常より相当に余裕のある広さだと指摘されました。組織規模は小さくなったのにスペースはそのままだったわけです」