先進オフィス事例

~オフィスを経営の力に~

パーソルホールディングス株式会社 後編

2019年3月取材

※記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

それぞれの業務内容を考えてフロアごとに機能設計を行った

パーソルグループでは、自らが働き方を見直し改善することで「はたらいて、笑おう。」を企業スローガンとしている。

「5ヵ所から集まった多様なワーカーが働いて笑えるために、今回のオフィスコンセプトは『知の融合』としました。新本社で働く約800名はグループごとに業務を行っています。ですから全て同じ働き方にするのではなくフロアごとに働く機能を分けたのです。いかにABWが先進的な働き方だといっても全ての業務に当てはまるとは思っていません。例えば財務系の業務は典型的なオペレーションのため、一番効率が良いのは固定席だと考えています」(白井氏)

フロアごとに機能を分けた新本社。それが新オフィスの最大のポイントとなる。それではオフィスの特長的な機能を紹介していこう。

1階エントランスは受付と応接室で構成されている。

「大理石などの石材を薄く切って板ガラスに挟み込んだ『石合わせガラス』を使った壁を含めて、ほとんど旧テナントが構築したデザインを引き継いでいます。受付奥のビジネスシーン用の応接室もそのまま使用しています」(白井氏)

2階は「KNOT United Square」。ワーカー同士が結びつく場所になればと名付けられた。

「『Thanks café』『コミュニケーションダイニング』をフロアの中心に配しました。たくさんのワーカーが使用できるように100席超の席数やランチメニューを多く揃えています。想像以上にコミュニケーションが深まっているように感じます。そのほか、総務系やIT系トラブルに対応するための有人サポートデスク、お子さん連れで仕事ができる『Dad&Mon Room』、電子タバコ用を別に用意した喫煙ルームで構成されています」(白井氏)

個室のミーティングルーム

1階 エントランス

窓際のフリースペース

2階 Thanks café

2階 有人サポートデスク

4階は「Innovative Office」。新規事業の開発拠点としてのフロアとなる。

「よりクリエイティブな発想が生まれるようにポップなイメージでデザインしました。自社だけでなく他の会社の方々と打ち合わせをするためのオープンイノベーションの場も備えています。このフロアのデスクは簡単に動かせる什器を使用しており、新規事業が増えた場合でも容易にレイアウト変更が可能です」(槌井氏)

5階は「PCA Office」。
「パーソルキャリアのコーポレート部門が使用しています。現在、セールスでなくてもフリーアドレスが成立するかを検証中です。モバイルワークを採り入れて、アメーバー型の曲線的なデスクを採用。個々が自由に働く場所を選択しています。評判は上々ですね」(白井氏)

8階はさまざまな設備を試す実験フロア。スタンディングや昇降型といった健康オフィスを意識したデスクが置かれている。そのほか、ソロワーク、少人数用を中心とした打ち合わせデスクを配置。集中作業を効率的に行うための専用エリアもある。

9階は社長室と企画・広報部門の執務室、ボードルーム、「CENTRAL LOUNGE」で構成している。「CENTRAL LOUNGE」はどこも予約なしで使用可能だ。以下4つのコワーキングを用意した。「KOAGARI(コアガリ)」はプレゼン専用で20名前後が使用できるスペース。「DOUBUTSU(ドウブツ)」は会議の流れを視覚化する手法の一つグラフィックレコーディングを採り入れた。リアルタイムに会議の発言が分かりやすくまとめられるため、情報共有を促進する会議に効果があるといわれている。「HOUGAN(ホウガン)」もグラフィックレコーディングを採用。壁面は方眼状のマス目が印字されたホワイトボードシートで生産性向上を支援する。「HANGETSU(ハンゲツ)」は2人用のミーティングエリア。TV会議も可能となっている。

「2階のコミュニケーションエリアとの差別化を図り、変化を持たせた環境によって新たなアイデアが生まれることを目指しています。どうしたら社長室のある最上階まで来てもらえるか、を考えてつくりました」(白井氏)

4階 オープンイノベーション

4階 Innovation Office

8階 集中作業用デスク

9階 KOAGARI(コアガリ)

9階 HOUGAN(ホウガン)

9階 CENTRAL LOUNGE

「ビル全体のコワーキングスペースには、それぞれのエリアとGPSを組み合わせて稼働率調査をしています。その属性、時間帯、使用人数などの調査・分析を行うことで、今後のオフィス改善に役立てる予定です」(槌井氏)

これら新たな機能を有効に使うために、2階から9階までの混雑状況を可視化する仕組みを導入している。

「コワーキングをしようとフロアに移動しても満員で使えなかったら時間の無駄になりますし、モチベーションも下がってしまいます。事前に可視化できるシステムで無駄を省きながらワーカーの行動推進を狙っています」(槌井氏)

そのほか、地階は旧テナントが書庫として使っていたエリアだが、今回は大きく用途変更を行った。「Charge Floor」と名付けられ、3つの要素で組み立てられている。「South Blue Mountain Parlor」はWell Beingを採り入れ、メリハリのある働き方をサポートする。室内には、ぶらさがり健康器、卓球台、バランスボールなどが置かれている。「Silent Room」は瞑想や休眠するための部屋、「Refresh Room」は本格的なマッサージが受けられる部屋。ワーカーのパワーチャージをバックアップする。

これらのコミュニケーションスペースを用意することで、ユーザー側では縦割りになりがちな社内コミュニケーション打開を目的とした交流イベントも自然とスタートしました」(槌井氏)

本社ビルの隣に設けられた「PERSOL ACADEMY」も有効に活用されている。

「別棟になります。2つの部屋は可動式壁を移動させることで大ホールに変えることができます。セミナーや新卒採用の説明会、グループ会社を対象にしたトレーニング、記者会見など、多様な用途で使用しています」(槌井氏)

地階 瞑想エリア

地階 South Blue Mountain Parlor

ワーカーとのコミュニケーションをとることがワークスタイル変革のコツ

2019年1月、地下1階フロアの完成で移転プロジェクトは一旦完了となった。そのタイミングで手書きの社内通信を配布したという。

「朝9時にスタンバイしてここで働く全てのワーカーに配布しました。新本社は色々な機能を備えていますので、フロアごとの特長やコンセプトを伝えようと思ったのです。メールでは開封されないこともありますので、あえて手渡しという方法を選びました。私たちオフィスをつくる側と使う側のコミュニケーションを取るために実施して良かったと思います。実際にたくさんの方から反響がありました」(白井氏)

このアナログの通信は、今後も不定期ながらも配布していきたいと語る。

「働き方を効率化するためのICTはとても大事なことですが、まずはオフィスに興味を持ってもらうことから始まります。そのためにこのアナログな文化は非常に有効だと思っています。理由がわからないまま単にトップダウンで無理やりオフィスを変革しても、そこには抵抗しか生まれません。ですからハードを用意するだけではなく、ワーカーとのコミュニケーションにはこだわりたいのです。それこそがFM側の仕事だと思っています」(槌井氏)

手書きのPFM通信

 
 

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