先進オフィス事例

~オフィスを経営の力に~

株式会社Phone Appli 前編

2018年3月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

「働き方改革」を意識した
究極のアウトドアオフィス

「人と人、人とモノをインターネットでつなぎ、イノベーションを生み出す」を経営理念とする株式会社Phone Appli(フォンアプリ)。2008年1月に創業した同社は、2014年1月に港区赤坂へ本社を移転。翌2015年8月には業務の効率化を図るため虎ノ門へオフィスを統合し、さらに設立11年目を迎えた2018年2月13日、神谷町に大規模移転を行った。今回の取材では「CaMP」と称される同社の新本社オフィスについてお話を伺った。

 

杉山 優子氏

株式会社Phone Appli
代表取締役社長

石原 洋介 氏

小澤 清彦氏

株式会社Phone Appli
営業本部 マーケティング部
部長

北村 隆博 氏

 
 
 
 
 

エントランス

自然を意識したエントランス

Contents

  1. コミュニケーション改革支援は「社内で実践できていること」が大事
  2. 相次ぐ増員でミーティングスペースが不足。諸条件の良い神谷町へ移転
  3. 「自然の中で生産性を高める」を実現するオフィス
  4. オフィスは業務をこなす場ではなく、人と会って共創する場所
  5. 言葉で説明しにくいサービスも実際に見学することでわかりやすくなる

1. コミュニケーション改革支援は「社内で実践できていること」が大事

米国Cisco Systems社製のIP電話の電話帳アプリケーションとしてスタートした株式会社Phone Appli。海外製のIP電話は優秀な性能ではあるが、日本人にとっては使いにくく、人を探して繋がるという機能が少ないことから、以前から日本市場の中で何か付加できるサービスはないかを模索していたという。

「そこで、『人を探す、人と会う』をコンセプトとして、Web電話帳アプリ『連絡とれるくん』を開発しました。『連絡とれるくん』はクラウド上で社内外問わずに登録相手の番号や名刺情報を閲覧・発信できるサービスです。端末にデータを登録する必要がないため紛失による個人情報の漏洩も防げます」(石原 洋介氏)

以降、スマートフォンやコミュニケーションツールの急速な普及が追い風に。同社の製品は、ビジネスチャットやメール、テレビ会議など、さまざまなツールを一元的に管理できるポータル機能を持つということもあり、大手メーカーと提携しながら多くのニーズを獲得している。

「当社では内閣府が提唱する以前から、『働き方改革』を重要課題として積極的に取り組んで参りました。当社製品の導入顧客層も、かつては従業員数1,000名以上の大企業が大半でしたが、ここ数年は50名以下の中小企業や10~20名前後のベンチャーなどでも導入を検討するケースが増えていますね」(北村 隆博氏)

「お客様に納得して採用していただくためには、まず、提案している私たち自身がコミュニケーション改革や働き方改革をきちんと実践できていなければなりません。しかし、移転前の旧本社オフィスは、改革を実践するのに十分な環境ではありませんでした」(石原氏)

2. 相次ぐ増員でオフィスが手狭に。諸条件の良い神谷町へ移転

創業当初は10名足らずのメンバーでスタート。次第に業績を伸ばし従業員数を増やしていく。2014年1月に東京都港区へ進出。赤坂の溜池山王オフィスで約1年半、虎ノ門オフィスでは約2年半を過ごしたが、毎月メンバーが増えていく採用ペースで、たちまち手狭となってしまった。

「前回、2015年に移転した直後は、従業員数40名で約120坪と、スペースに余裕がありましたが、それから2年半足らずの間に従業員数は100名を超え、スペースに限界がきました。一部の社員からは『会社では仕事がしにくい』という声も上がっており、なんとかしなければと思っていたところでした」(石原氏)

「旧オフィスでは会議室は2室のみ。そのほか役員用応接室しかなく、社内・外のミーティングスペースが絶対的に不足していました。当社では以前から『1 on 1ミーティング』という上司と部下の面談を日常的に行っていますが、旧オフィスにはそのための場所もありません。そのため、近隣のカフェなどで行うことも多かったのですが、そうした環境では社外の人間の耳目を意識せざるをえず、パーソナルな部分まで素直に話せる環境には適していませんでした。結果として思うようにミーティングの効果が上がらないという不満がありました」(北村氏)

執務エリアにはアドホックなミーティングを行う場所も用意していたが、次第に増員に次ぐ増員のためほとんど機能しなくなっていたという。

3. 「自然の中で生産性を高める」を実現したオフィス

2016年からオフィス移転は意識していた。しかし企業としては利益を出さなくてはならない時期でもあったため、すぐにアクションを起こすことはできなかった。

「2017年に入り市場が追い風に。業績が向上したこともあり、数年先を見据えて今のタイミングが移転に適しているとの判断で移転を決意しました。決まるまでに8棟程のオフィスビルを内見しましたね」(石原氏)

旧オフィスが立地していた虎ノ門に不満はなかった。当社の顧客はもちろん、OEMを提携しているキャリア各社とも行き来しやすく、従業員の通勤にも便利だったからだ。最終的に、旧本社に近いエリアにあるオフィスビルに決定した。新本社に選んだオフィスビルは賃料も手頃で、面積も270坪と申し分ない。移転先決定後は、社内でコンセプトを固め、PM会社と相談しつつ新オフィスづくりを進めていった。

「当社は『働き方改革』を商品として顧客に提案しているにもかかわらず、旧オフィス(特に後半)は、とても人に見せられる環境ではありませんでした。そこで、今回の移転をきっかけに社内の『働き方改革』を加速し、従業員一人ひとりが自分たちの働く姿に誇りを持てる環境を取り戻そう、というのがキーワードになりました」(北村氏)

在宅勤務などのテレワークや、交通ラッシュの時間帯を避けるオフピーク通勤などの制度は以前から実施されていた。新本社オフィスではそれらをさらに推し進め、自宅・会社・顧客先・街中のカフェなど複数の選択肢の中から「自分の力を一番発揮しやすい場所」で仕事ができるようにしたのだという。

「例えば、海外では、資料を顧客先にメールで送ってテレビ電話などで営業をかけるということは当たり前に行われています。ところが日本の場合、未だに紙に出力した資料の束を持参して、スーツにネクタイ姿で顧客先を訪問する、という営業スタイルが一般的です。仕事の生産性が圧倒的に違うのです」(石原氏)

何もやみくもに真似をしろということではない。ただし「働き方改革」が仕事の生産性を上げ、国際競争力を高めることを目的としている以上、優れたメソッドは積極的に採り入れていくべきだと石原氏は主張する。社内コミュニケーションでも、報告・連絡はもちろん、簡単な相談であればWeb会議でも十分対応可能だという。

「今はスマートフォンがあれば、操作一つで資料の共有もできますし、映像や音声も鮮明にストレスなくやりとりできます。ただし、ブレイン・ストーミングの場合は実際に会議室に集まったほうが現状では効果的です。海外にはブレストもWeb会議で、というところもありますが、日本ではどうやらお互い顔を突き合わせる環境のほうが、より建設的な意見が出やすいように感じています」(石原氏)

同社が提唱する「新しい働き方」は、取引先や提携先だけでなく、広く一般の見学者に向けても公開されている。実際にオフィスで働いている姿を見てもらうことで、従業員たちに「新しい働き方」を実感してもらうのが狙いだという。昨今はオフィス機器メーカーなどを中心に、自社のオフィスを一般公開する、いわゆる「ライブオフィス」を実施している企業も少なくないが、石原氏の考えはこれらとは少し異なる。

「見ていただきたいのは、オフィスというハードの面ではなく、そこで働く従業員たちの姿や働き方といったソフトの部分です。『こんな新しい便利な機器があります』『こんな面白いレイアウトにしています』ではなく、働き方そのものを見てほしいのです。ですから、社外的にも『ライブオフィス』という呼び方はせず、Collaboration and Meeting Placeの頭文字をつなげた『CaMP』という独自の呼称にこだわっています」(北村氏)

それは、この神谷町新本社オフィス自体の通称でもあり、英単語の「camp:野外」の意味も併せ持つダブルミーニングになっている。

「自然という言葉には、『気持ちよく過ごせるもの』『飽きの来ないもの』『常に変化し続けるもの』といった意味も含まれていると考えています。人間もまた自然の中から生まれた生き物である以上、自然の中にあってこそ最大のパフォーマンスを発揮できるはずなのです」(石原氏)

 

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