先進オフィス事例

~オフィスを経営の力に~

楽天株式会社 後編

2018年7月取材

※記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

3. オフィスコンセプトは「リフレッシュ&コミュニケーション」

入居ビルが確定し、内装デザインのフェーズに入る。今回は特に大掛かりなプロジェクトチームを組むことなく、数人規模で進めた。デザイン会社2社に企画コンペを依頼。同社のオフィスコンセプトは「リフレッシュ&コミュニケーション」であることをコンペ2社に伝えた。

「このオフィスはあくまでもラクマのカスタマーサポートセンターです。問い合わせに対する応対が主業務になります。そんな体系的な業務をより効率的にするためにはリフレッシュできる空間とコミュニケーションが必要だと考えました。その考えをオフィスデザインにも採り入れようと思ったのです」

カスタマーサポートの業務には目に見えにくい色々なストレスが存在する。そのため気持ちの切り替えやメリハリを持たせる仕組みづくりが重要だと語る。

「カスタマーサポートということもあり固定席にせざるを得なかったのです。ですから集中して業務を行うスペースと開放的なスペースとのバランスの取れた強弱あるオフィスを目指しました。同時に今まで新潟市内になかったスタイリッシュなオフィスデザインをリクエストしました。見ただけで働きたくなるようなオフィスにしたかったのです」

またカスタマーサポートは個人プレーの業務だと思われがちだが、思いのほかコミュニケーションを頻繁にとらなければ成立しないことがたくさんあるという。

「業務自体は各自のメール返信で完結します。しかし全員が自分の対応に自信を持っているわけではありません。そんな不安や成功例を共有するためにミーティングを何度も行っています。それを日々積み重ねていってナレッジが蓄積されていくのです」

それでは色々な工夫やアイデアが詰まったオフィスを紹介していこう。

エレベーターを降りると木目調の落ち着いたエントランスが姿を現す。エントランスを抜けると社内外で使用するための会議室が3室。うち1室は楽天本社とテレビ会議ができる環境を整えている。

個室のミーティングルーム

エントランス

窓際のフリースペース

テレビ会議室

執務室

リラグレーションエリア2

リラクゼーションエリア3

オフィス入室にはICカードを使用。足を踏み入れるとそこは壁のないオープンな環境が広がる。その中心には多目的のリラクゼーションエリア。50名前後が一堂に集まることが可能だ。そこにも一つのデザインの工夫が採り入れられている。

「デザイン会社からの提案で、リラクゼーションエリアは執務エリアとの境界のように床を一段高く設けています。高さの変化はワーカーの視点を変えることになり、それにより新鮮な発想を生むことに繋がると考えました。同様の考えで一段低いゾーンもつくりました。ここはリラックスが目的のため土足厳禁としています。柔らかい発想で色々なアイデアが生まれる場所として社内からの評判も上々ですね」

リラクゼーションエリアの前には2台のスタンディングデスク。簡単なミーティングを行う場所として使用頻度も高いと聞く。窓際には個人作業に適したカウンターエリア。その隣にはチームミーティングなどを行うファミレスエリアを設置。ファミレスの座席下は空洞になっており、今後は備蓄品や防災グッズなどを収容する予定だ。

現状、執務室エリアの座席数は130席を用意している。

「執務室エリアではロングテーブルをオーダーしました。ですから急な増員があったとしても大幅にレイアウト変更をすることなく容易に座席の追加が可能です」

スタンディングデスク

カウンターエリア

ファミレスエリア

ロングテーブル

4. ラクマのTVCM放映が追い風となりスムーズに現地スタッフの採用ができた

オフィス開設時点での採用目標は40名。年内には160名を目指す。できるだけ新潟市内の在住者を雇用するという方針となった。採用計画を達成するために早い段階から採用活動が進められた。

「オフィスの完成を待っていたら採用が到底間に合いません。そこで地場のエージェントと打ち合わせを行い3月から採用活動を行うことにしたのです」

春先という時期がよかったのか、エントリー数は予想以上に多かったという。

「ちょうどTVCMを中心にPR活動を行っていたタイミングと合致したのも良かったのでしょう。求人媒体にはラクマのロゴを載せるだけで効果がありましたね。9割は女性からの応募者です。応募者のほとんどがフリマアプリユーザーだったことも特長的でした。実際に慣れ親しんでいる方ばかりでしたから、スムーズな流れで面接に進めました」

そうして3月、4月と順次採用試験および面接を行う。6月初旬のオフィス開設時には当初の予定通り40名の第一期生が出社してきた。

「出社後は全体の業務を掴んでもらうために数日かけてのオペレーション研修。その後、実務トレーニングを行いました。そこに1ヵ月くらいかけましたね。そうしてようやく一人でこなせるようになるのです。この業務にタイピングの速さは求めていません。むしろ相手に納得いただける内容の文章を打てるかどうか。少しずつ知識を積み重ねていくことがお客様への信頼につながると思っています」

5. カスタマーサポートセンターだからこそコミュニケーションを大事にしていく

「現在のメンバーが以前働いていた会社は、典型的な島型対向型のオフィスが多かったようです。それに対して僕らがつくったのはワーカーが自由にリラックスでき、コミュニケーションを高められる機能を持ったオフィスです。皆さん、最初にこのオフィスを見たときは衝撃を受けていましたね」

オフィスの使い方は、初日にワーカー全員に対して説明を行った。

「業務自体が個々の判断で進められることも多いため、少しでもワーカー同士がコミュニケーションを取りやすいように工夫をしています。例えば、休憩時間が重なるようにスケジュールを調整しました。その甲斐あってメンバー同士の距離が縮まるのも早かったですね。その他、定期的にリラクゼーションエリア内で懇親会を行っています。とても簡易的なものではありますがプライベートな会話を楽しむきっかけになりました。そういった催しは今後も続けていきたいですね。そうすることで少しでもストレスフリーな職場環境につなげてもらえればと思います」

同社では、精神的なストレスからの解放を最重要課題として捉えている。

「ここは今後もカスタマーサポートセンターであることに変わりはありません。個々で行う業務中心だからこそコミュニケーションを取り合うことが大切なのです。これからもその考えは変わらないでしょう」

 
 
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