株式会社レノバ

2019年1月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

コンセプトを具現化したおもてなしとワークシーンに応じた空間により
企業ブランド・仕事のパフォーマンスを向上

太陽光、バイオマス、風力、地熱など複数種類の再生可能エネルギーを利用した発電所の開発・運営を行う株式会社レノバ。同社は、再エネ発電を専業とする日本で唯一の東証一部上場企業として業界をリードしている。その実績と共に従業員数も拡大しているため、2018年10月に大手町から京橋の新築大規模ビルに本社移転を実施した。今回の取材では、移転プロジェクトの開始から終了まで、フェーズごとのポイントについてお話を伺った。

古田 晃一 氏

株式会社レノバ
コーポレート本部
本部長

古田 晃一 氏

石渡 さやか 氏

株式会社レノバ
プロジェクト
推進本部
事業開発部

(移転PJ当時:
組織管理本部
人事総務課)

石渡 さやか 氏

リフレッシュスペース

リフレッシュスペース

Contents

  1. コンサルティング事業・リサイクル事業から再生可能エネルギー事業へ
  2. 新オフィスへの移転を決意。事業成長に合わせて、快適なオフィス環境を
  3. まずは移転条件を洗い出し、数ある物件の中から絞り込みを開始
  4. 新オフィスにはゾーン別に2つのコンセプトを用意。お客様向けコンセプトと社員向けコンセプトが共存
  5. オフィスを通じた組織の進化、企業の成長

コンサルティング事業・リサイクル事業から再生可能エネルギー事業へ

グリーンかつ自立可能なエネルギー・システムの構築に取り組んでいる株式会社レノバ。株式会社リサイクルワンとして2000年に創業。当初は環境・エネルギー分野での調査やコンサルティング事業を、2008年頃からはプラスチックリサイクル事業を主軸としながら幅広い領域での事業展開をしていた。

「その後、東南アジアをフィールドとした再生可能エネルギー事業を模索するなど、さらなる事業の広がりを見せていた時期のことです。国内でFIT法(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーによって発電された電力を電気事業者が買い取ることを義務づける制度)が2012年に制定され、日本に新たな電気事業のマーケットが誕生しました。再生可能エネルギーへの想いと世の中の情勢がようやくリンクしたのです。コンサルティング事業で培った深い知見や全国のコネクションを基に事業展開できることもあり、当社は再生可能エネルギー事業への経営資源の注力に舵を切りました」(古田晃一氏)

2013年に再生可能エネルギーへの無限の可能性を信じ、現在の株式会社レノバに社名を変更する。本格的な参入を踏まえてのことだ。同時に本社を東京・大手町に移した。ちなみにレノバには同社の理念である「ReNew」のラテン語「Renovarent」に由来し、再生可能な社会「Renewable society」の実現をリードする新しい星「Nova」でありたいという想いが込められている。

2016年にグループ傘下のリサイクル事業を全て他社に譲渡。再生可能エネルギー事業に特化することを決定する。その後、順調に実績を積み上げ、今では、再生エネルギー業界の旗手として称されるまでになった。

「当社は発電事業の開発・運営の核となるエンジニアリング、不動産、許認可、ファイナンス、法務といった各分野のプロフェッショナルをインハウスで擁しています。ただし、もともと独立資本であり、また、専門的知見・技術の内製化をベースとしているとはいえ、もちろん調査や設計・施工、といった多くのパートナー企業の皆さまとの協業が不可欠です。再生可能エネルギーは、もともと地域の資源です。地域の資源を活用させていただくわけですから、その地域の自然やそこに暮らす方々との共生が重要となります。ですから当社グループの事業が地域の活性化に繋がるように社員一人ひとりが意識しています」(古田氏)

「例えば現在、事業開発を推進している日本最大級の洋上風力発電においては、地元の漁業活動といかに共存できるかが重要なポイントの一つです。地元漁業協同組合の皆さまと何度も対話を続ける中で、少しずつ私たちの経営理念をご理解いただきました。今では、書道家でもある漁業副組合長から『飛翔』『共存共栄』の書を頂戴するほどに。その書は、私たちへの励みとして新オフィスの会議室に飾らせていただいています」(石渡さやか氏)

現時点で、レノバは大規模太陽光発電とバイオマス発電を中心に日本国内14ヵ所で発電所を運営(建設中含)。稼働中の発電所は、発電出力185.3MW(メガワット)、CO2削減量約164,000トン/年(2019年3月現在)となっている。今後3~5年で現在の約9倍に当たる1.6GW(ギガワット)の発電容量となる予定だ。

新オフィスへの移転を決意。事業成長に合わせて、快適なオフィス環境を

今回のオフィス移転は組織管理本部(現コーポレート本部)が中心となって進めた。オフィスの手狭さは2017年に入ったころからすでに感じていたという。

「事業が順調に成長することで人員を増やす必要がありました。しかしこのまま増員を続ければ、快適に働く環境の維持が難しくなることは予想できました。拡大していく事業を滞りなく推進していくためには、事業開発に必要な人員を確保しなければなりません。以前のオフィスの座席数120席に対して現在は160席。以前のままでしたら・・・」(石渡氏)

まずは移転条件を洗い出し、数ある物件の中から絞り込みを開始

2017年秋頃からビル探しがスタート。移転先には、アクセスの利便性、空調やエレベーター設備などのビルスペックの充実、それにセキュリティなどの安全性が確保できることを求めた。

「アクセスは、通勤や毎日のように国内外へ出張するためのスムーズな移動だけを考えたわけではありません。当社がお世話になっている全国の事業パートナーさまや、大手の金融機関、弁護士事務所、会計事務所などの方々に訪問していただけやすい場所ということも考慮しました。そのため、新幹線や空港と連携がしやすい東京駅周辺を重視しました。新築ビルに限定していたわけではありませんが、ビルスペックや安全性を考えると必然的に築年数の浅い大規模ビルに絞られました」(石渡氏)

最終的に絞り込んだ候補ビルを内見し、他社の先進的なオフィス見学を続けながら比較検討を重ねる。そして2018年2月末に移転先ビルとの契約を締結した。オフィスの仲介会社である三幸エステートの今回の役割は移転プロジェクト全体のマネジメント。本格的に始動したのはビル側との契約が終わった3月からとなる。

「当社には、オフィスやファシリティの専門的な知識を十分に持ち合わせた担当がおりませんでしたので、プランの精査やコスト管理などのディスカッションパートナーを外部に必要としました。 また、オフィス設計や内装工事の世界では当然の慣習が、私たちにとっては当然に感じられないこともあります。そんなとき、専門用語を言い換えて説明し直していただいたり、理由を補足していただいたり。設計・施工会社からの提案も、一旦、三幸エステートさんが確認したうえで分析・交渉を進められましたので心強かったです」(石渡氏)

三幸エステート監修のもと数社コンペを行い、3月末に設計会社を決定した。それからオフィスコンセプトや基本要件などをまとめる作業に入る。

「もともと自分たちが漠然と考えていたことを、移転プロジェクトの外部関係者の方にご理解いただけるようにするのは簡単にはいかないものです。この要件整理に一番時間をかけました。また、コンセプトの仮説検証も兼ねた社内インタビューでは、新オフィスを良いものにしようと、社員から次から次へと魅力的なアイデアが出てきました。その中で、本当に必要なものを精査し、コンセプトに磨きをかけていったのです。もちろん、社長以下のマネジメントメンバーとの密なディスカッションも欠かせませんでした」(古田氏)

新オフィスにはゾーン別に2つのコンセプトを用意。お客様向けコンセプトと社員向けコンセプトが共存

新オフィスのコンセプトは、対外的(お客さま向け)、対内的(社内向け)とエリアのゾーン別に分けた。それらをどちらかに寄せるのではなくバランス良く組み入れたのが特長的な点といえる。


■新オフィスのコンセプト(一部を抜粋)
対外的(お客さま向け)コンセプト
(レセプションのあり方)
・レノバらしさや安心感を、自然に感じていただけるおもてなしの空間とする。
・会社の特長である温かみ、クリア感、オープンさを表現するために自然光を極力、採り入れる。
・ミッション・ビジョンの具現化に向けた使命感、姿勢が分かるよう、デジタルサイネージを採用して
 全社の自己紹介を補完する。
・全体的に一定の品位を保ちながらも、華美・ラグジュアリー感は排除する。

対内的(社員向け)コンセプト
(執務スペースのあり方)
・一体感、開放感を重視しながらも個々人が仕事に集中でき、落ち着いた環境を基本とする。
・ワークシーンごとに合わせた共有空間を十分に用意する。
・必要時には部門間でいつでも即時にコミュニケーションをとれる機能を設け、新たな刺激を得られる
 仕掛けを配備する。

それでは具体的にそれぞれのエリアの機能について紹介していこう。

レセプションは白を基調とし、4面が横一列に繋がった斬新的な配置のデジタルサイネージで再生可能エネルギー事業のオリジナルイメージ動画を流している。

「私たちの事業へのご理解を深めていただくことを目的にした動画を流しています。その他、エントランスから外の景色が見えて開放感があることも特長ですね。また、打ち合わせに入る方と打ち合わせが終わった方との動線を分けているのは、レセプション内がゆったりと快適な空間となることを意図しています」(石渡氏)

外部用の応接は、大会議室1室、中会議室3室、小会議室4室、そして音響設備を完備させたボードルームと呼ばれる特別室が1室設けられている。

「ボードルームは取締役会議、経営会議などの重要な意思決定会議の用途で使用していますが、最近は分野ごとのプロフェッショナルによる社内研修などでも使用されます。全席数は約40席ですが周囲のベンチ席を使うことでそれ以上の人数が収容可能です。計6面のモニタとスクリーンを配していますので、今後は国内外とのTV会議がもっと増えるでしょう」(石渡氏)

エントランス

エントランス

応接室

応接室

ボードルーム

ボードルーム

次に、ICカードを使い執務エリアに入室すると、そこにはオープンな空間が広がる。

「壁を作らず、デスクパーテーションも半透明の素材を採用する等、開放感を演出しています。また、当社の場合、電源ごとのフロント部門、エンジニアリング・ファイナンス・リーガルなど横串機能の部門、経営企画や経理、コーポレート部門など、各部署が連携して事業を推進しています。そのためミーティングの内容や目的に合わせて相応しい場所・機能を選択できるよう設計しました」(古田氏)

個人集中ブースや電話ブース、クローズドのミーティングルーム、ソファー席を用いたオープンなファミレススペース、昇降デスク、ドリンクスペース、リフレッシュスペース、などがバランス良く配置されている。また、通路際の収納棚も高さを低く設定したことで、スタンディング用ミーティングデスクのような使い方もできているという。偶然出会ったもの同士が会話を弾ませている姿が今では当たり前になっている。

リフレッシュスペースは30人が一度に座れる広さを確保した。それも窓際の最も景観の良い場所に配した。

「スペース内には、個人カウンター、ミーティング用スペース、休憩用デスクと変化を持たせました。同様のスペースは、以前のオフィスにも用意していましたが社員の採用に比例して削っていった苦い経験があります。新オフィスでは、この場所は最後まで維持してほしいというリクエストが多いです。私もそれが雰囲気だけでなく、結果的に社員の仕事の効率に寄与すると考えています」(石渡氏)

「建物確定から移転実施まで、時間が極めて限られていた中でのプロジェクトでしたから、ある程度、空間のクオリティに関しては設計どおりにいかず取捨選択しなければならないこともあるだろうと覚悟していました。しかし終わってみれば思い描いていた通りの理想的なオフィスを構築して、お客さまと社員の両方にサプライズを提供することができました」(古田氏)

執務室

執務室

オープンスペース

オープンスペース

オフィスを通じた組織の進化、企業の成長

「オフィス移転の計画策定時に、次の5つを実現したいと思っていました。まず、それぞれのワークシーンに応じた空間を提供する。それによって仕事の生産性を向上させる。そしてコミュニケーションやコラボレーションが活発になる仕掛けを持たせる。続いてゲストの快適性と社員のモチベーションアップ。最後に採用活動へのプラス効果を生み出すことです」(古田氏)

思い描いた通りの結果に。新しいレノバを社内外のたくさんの方々に印象づけることができた。社員同士のコミュニケーション環境は向上し、モチベーションもアップ。ゲストの満足度も高く、移転後に社員の家族を招いた内覧会も大好評だったという。移転効果はプラス面が非常に大きいと語る。

「人事担当者からも『面接に来られた方がレセプションや応接室をご覧になり、とても良い印象を持ってもらえたようです』と報告を受けています。そういった企業ブランディングの観点でも、移転効果が表れているのだと思います」(石渡氏)

同社の場合、展開している事業の推進は一つの部署内だけで完結することが無い。外部を含めて常に誰かと関わっているため、今後も「繋がり」を意識したオフィス設計をしていくという。

「戦略に沿って組織を進化させるように、オフィスも同じく進化させる必要があります。今後も試行錯誤を繰り返しながらよりよいオフィス環境を創造していきたいと考えています。それは事業パートナーや取引先の方々、社員への提供価値の蓄積となり、最終的には当社のミッション・ビジョンの達成に繋がります」(古田氏)

休憩スペース

休憩スペース

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