株式会社レノバ

2019年9月取材

この事例をダウンロード

バックナンバーを一括ダウンロード

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

「事業と共に進化するワークプレイス」をコンセプトとした増床プロジェクト

太陽光、バイオマス、風力、地熱など再生可能エネルギー発電所の開発・運営を行っている株式会社レノバ。
成長を続ける同社のオフィス増床プロジェクトの背景、コンセプトについてお話を伺った。
*株式会社レノバが2018年10月に実施した本社移転記事:https://www.sanko-e.co.jp/case/renova

馬場 綾 氏

株式会社レノバ
コーポレート本部
コーポレートサービス部
マネージャー

馬場 綾 氏

佐々木 陵多 氏

株式会社レノバ
コーポレート本部
コーポレートサービス部

佐々木 陵多 氏

コワーキングスペース

コワーキングスペース

Contents

  1. 継続的事業拡大を見据えたワークスペースの確保
  2. コラボレーションを促進するフリーアドレスの採用
  3. さまざまな利用シーンを想定した働きやすいワークプレイス
  4. 魅力あるワークプレイスのための家具・什器選定
  5. オフィス向上委員会の立ち上げ
  6. ワークプレイスを起点とする組織の活性化

継続的事業拡大を見据えたワークスペースの確保

成長著しい再生可能エネルギー発電業界で、積極的な事業開発で業績を順調に拡大させている株式会社レノバ。同社では、2018年10月に現在のオフィスに移転した直後から、次のワークプレイス構想に着手していた。

「再エネ発電所の順調な事業開発と連動して、人員計画も増員基調で更新されていました。そのため、現在のオフィスに入居した直後から、今後の事業展開を見据えた次期ワークプレイス構想の検討に入りました」(馬場氏)

検討を進める中で、同ビル内の別フロアに約140坪の空室があることが判明。この好機を活かして直ちにビル側と詳細を協議し、増床契約を締結した。

コラボレーションを促進するフリーアドレスの採用

増床プロジェクトを進めるにあたり、馬場氏と佐々木氏は、現在のオフィスへの移転時に策定した「組織の一体感と個々人の集中しやすい環境の両立」等のコンセプトを基に、最新の自社の状況と今後の事業展開を分析。事業拡大に伴って国内外に点在する事業開発拠点への出張が増えた社員にとってのより良い働き方や、続々と参画するさまざまなバックグラウンドの社員が、既存社員と自然に交流を深め、互いに成長し合い、組織力を高めていく仕組みが必要と考えた。マネジメントと何度も意見を交換した結果、①多様な働き方の推進、②コラボレーションの促進、③社員の自立的成長支援の3つをコンセプトの柱とした。

「当社の旺盛な事業拡大にマッチするワークプレイスの在り方を目指して、単なるレイアウト変更ではなく、あるべき働き方そのものの検討を人事部門メンバーと共に行いました。また、同時に各部署に丁寧にヒアリングを実施し、結果としてフリーアドレスの採用が最適という仮説を導き出しました」(馬場氏)

同社の場合、プロジェクトごとにメンバーが編成される「部門横断型」での業務が多く、メンバーは複数プロジェクトにアサインされることが多い。そのため、メンバー同士が有機的に集まれるオフィス空間がコミュニケーションの効率性を上げ、コラボレーションを生むと考えた。

さらに、事業開発メンバーは国内外への出張機会が頻繁にある。それらの働き方に沿った方法としてフリーアドレス、グループアドレスを検討し、さらに実際に導入済みの各社を訪問し、ヒアリングを重ねた結果、フリーアドレスの導入を決定した。

「出張を頻繁に行う事業開発メンバーのオフィス利用データを集めた結果、在席率は40%に満たないことが分かり、フリーアドレス採用という仮説の検証に役立ちました」(佐々木氏)

さまざまな利用シーンを想定した働きやすいワークプレイス

最終的には、フリーアドレス席の導入の他、コワーキングスペースの拡大、パントリーや文具などを集中させたコミュニケーションスペースの設置の実施を決定した。増床の狙いを具現化しうる魅力的な空間をプロデュースするために、デザインや調達に十分な検討時間を必要とする一方、増員計画に伴う時間的な制約が厳しいことが、増床プロジェクトの課題となった。そこで、設計・施工会社の選定や設計、バリューエンジニアリングがスムーズに進むよう、三幸エステートプロジェクトマネジメントチームがサポートをすることとなった。前回のオフィス移転プロジェクトの経緯を熟知する担当が引き続き受け持つことで、一貫性と効率性を担保した。

部門ごとの業務特性や在席率に応じて、従来フロアはフリーアドレス席及び固定席の両方を配置し、増床フロアは固定席での運用を開始することとした。

増床フロアエントランス

増床フロアエントランス

増床フロア内の固定席

増床フロア内の固定席

2フロアに分かれることで、同社が大事にしてきた一体感が薄れることが無いように、増床フロアには広いコワーキングスペースを設けた。このスペースは、将来の組織体制変更に合わせて再プロデュースできるように、自由度が高く設計されている。

プロジェクトごとや部門ごとに開催されている社内会議については、増床フロアも含めた社内会議室を利用するルールを設置。また、従来フロアのフリーアドレスを増床フロアの社員も自由に使えるようにしたことで、両フロアの社員が行き来する機会をつくった。

社内会議室

社内会議室

大会議室

大会議室

「人員増に対応するため、増床フロアの執務スペースを先行して工事を進めました。新オフィスの運用開始まで時間がない中で、まずは増床フロアの執務スペースを約3週間で完成させ、全体の竣工に先行して増床フロアでの業務開始を実現しました」(馬場氏)

「増床フロアの残りのコワーキングスペースや会議室スペースについては、仮囲いやパーテションを立てて夜間や休日に工事をしていくことで、人員増への対応と、工期の短縮の両立が可能となりました」(佐々木氏)

細かいレイアウトプランについては、馬場氏の手書きのラフ案がベースになっている。

「必要なスペースを確保しながら、どのようなレイアウトが効率的か、また、どうしたら現状レイアウトを変更できる可変性を持たせることができるかについて、設計の皆さんの意見をいただきながら、デザインの質を高めていきました」(馬場氏)

ファミレスブースは従来フロアにも配置しているが、人気のスペースであり利用率が非常に高いため、増床フロアにも3ヵ所新設したという。

ファミレスブース

ファミレスブース

「当社では、忙しい社員同士がさっと集合してディスカッションしたり、発電所の図面資料等を広げて打ち合わせしながらの作業をしたりする機会が多くあります。そのため、執務スペース近くにある予約不要のファミレスブースは重宝されており、多くの社員から追加の要望がありました」(佐々木氏)

増床フロアの中で一番人気が高い場所が窓際のソロワーク席だという。

「企画書作成等を集中して行いたい社員に人気です。こうした利用シーンを想定して、机と机の間隔を広めに調整しています。オープンな空間でありながら、隣の気配を意識せずに集中できるという声を聞きます」(馬場氏)

「最初は、集中作業ブースとして個々のテーブルの周りに囲いをつけることも検討していました。しかしそこまでやらなくとも十分機能を果たしているようです」(佐々木氏)

窓際のソロワーク席

窓際のソロワーク席

魅力あるワークプレイスのための家具・什器選定

両氏は多様なミッションを抱える部門、多様な働き方をする社員にとって働きやすい空間を第一に考え、研究に余念がなかった。

「会議室のテーブルも実際にショールームに行かなければ出会えなかった商品でした。もちろんカタログにも掲載されていますが、実物とはイメージが全く違っていて。増床プロジェクトでは、さまざまな商品を採用しました。中には、机と椅子でメーカーの違う組み合わせを選んだスペースもあります」(佐々木氏)

「一般的には同一メーカーの商品をまとめて購入するケースが多いのでしょうが、今回は分離発注することでコストダウンを目指しました。その際に、三幸エステートさんにも協力していただき、バリューエンジニアリングを図るため、工事費用、家具・什器の一覧を何度も一緒にチェックしていきました。ポイントは、全てを一律のコストダウン対象にするのではなく、オフィスの重要部分には良質のアイテムを採用し、メリハリをつけること。最終的にはデザイン性、機能性を果たしながら、トータルでコストダウンが出来ました」(馬場氏)

オフィス向上委員会の立ち上げ

2019年6月末のレイアウト完成に伴ってオフィス増床プロジェクトは終わりを迎える。そして間髪を入れずに立ち上げたのが、「オフィス向上委員会」だ。フリーアドレスは、社員がその日働く場所を自由に選択できることで新たな効果を生み出すものだが、その一方でオフィス家具を共有するため、ユニバーサルな使用ルールが今まで以上に必要となる。そこで運用面をサポートするための委員会を開催し始めた。

「二人が所属するコーポレートサービス部が事務局となり、各部署から数名が参加。オフィスの改善ポイント告知やよろず窓口的な役割を果たしています。開始して2ヵ月が経過しました。一例ですが、ファミレス席での話し声が響くという意見に対して、ピクトサインを使った小さなメッセージプレートを置くことで対応しました。また、フリーアドレス環境でも誰がどこに座っているかすぐわかるようにしたいというリクエストには、社員がその日に座っている場所をイントラネット上で申告する仕組みを設けました。そういった気づきは新オフィスで実際に働くことで分かることです。今後オフィスを使っていく中で、さらに違う角度から要望が出てくるかもしれません。コーポレートサービス部からの企画提案を続けながら、今後も社員からの要望にしっかりと応えていきます」(馬場氏)

ワークプレイスを起点とする組織の活性化

同社のオフィスづくりには仮説検証及び社員へのヒアリングが重要な役割を果たしている。

「オフィスづくりの考え方のベースとして、あるべき論の仮説立案、それに対しての検証を大事にしています。何事にも裏づけとなるデータを収集し、その結果を踏まえて具体的な施策を決定する。これからもそのやり方は変わらないでしょう」(佐々木氏)

「全ての社員の要望を叶えることは不可能だということは分かっています。それでも、ともに働く社員が何を考え、何をして欲しいのかを積極的に把握することで、現状のオフィスのクオリティを向上させることができ、ひいては当社の組織を活性化することに繋がっていくと信じています」(馬場氏)

この事例をダウンロード