- 改善すべき課題の再確認
たとえ少人数の会議であっても相応のスペースがないため、大会議室を使用せざるを得ない。そんな悩みを抱えていた。 - お客様へのサービスを向上するために
同じ会社であるのに見えない壁があることに社員全員が不満を感じていた。やはり社員が一丸となってお客様へのサービスを行うことが理想。 - オフィスの課題を明確にする
時間をかけてヒアリング手法を用いるグリッド法を使う。それによって50以上の問題点が明確になった。 - 仕事のやり方を変えるための仕組みづくり
自分の領域というのを自分で決めないでもっと幅広くかかわる。領域を広げ、より少ない人数で仕事を進めるようにする。そこで余ったパワーを違うクリエイティブの面に回す - 地道にワーカーの声を聞き続ける
時間をかけて設計をしても、いざ使ってみると使いにくさが分かることも。そのため、常にワーカーの声を聞いて改善していくことが重要になる。
立地、スペースの使い方など改善すべき課題を再確認する。
以前は、日比谷駅近くの賃貸オフィスビルに入居していたソニー企業。ソニーのグループ会社の移転に関しては、ソニーコーポレートサービス株式会社(以下SCOS)が包括的に業務をすることになっている。
「SCOSの小鷹さんには、移転計画、設計、工事監理といった移転全般をフォローしていただきました」(山村治一氏)
「立地に関してですが、ビルの建築中にすでにここを候補に決めていました。予算内での賃料で、ソニービルに数分で駆けつけることができる場所を探していましたので、まさに理想の場所でした。ですからこのビルの存在がなければ移転はしていなかったかもしれません」(唐崎澄人氏)
「当社創業時は、現オフィスの建て替え前のビルに入居していたんです。数寄屋橋富士ビルという名前でした。その後、業務拡張で品川に移転。それから分社化によって品川から日比谷へ。そしてまた発祥の地である銀座に戻ってきた。これも一つの運命だと思っています」(唐崎氏)
日比谷のオフィスでは、72坪を使用していた。今回の移転による新オフィスの面積は86坪。面積だけを比較すると多少広くはなっているが、その分増員もあったため、1人当たりの面積は減っている。
「今考えると日比谷のオフィスはかなり無駄なスペースの使い方をしていたと思います。今回の移転ではオフィススペースの使い方を改善することも目的の一つでした」(山村氏)
以前は入口を抜けると廊下が続き、その左側に会議室。反対側には収納スペース。そのまま進むと島型対向に机が並べられたオフィス空間。そしてその奥に社長室と役員室が配置されていたという。
「応接室はセキュリティゾーンの外にあり、もう少し簡易的な打ち合わせスペースが欲しいと思っていました。会議室はスペースの関係で1室のみ。それもソニービルに入居いただいているテナント企業の担当者の方が全員集まれる場所として大きな面積が必要でした」(唐崎氏)
今回の移転に際して、過去1年間に行われた会議の数を調査したという。そこで少人数の会議もかなり行っていたことが判明。たとえ少人数の会議であっても相応のスペースがないため、大会議室を使用せざるを得ない。そんな悩みを抱えていた。
働き方の提案。社員が一丸となってお客様へのサービスを向上するために。
ソニー企業では、ソニービルの実質的な運営を行う約7名はソニービル内にスペースを確保して常駐し、それ以外の企画管理を行う約25名が日比谷のオフィスに入居していた。スペースの関係とはいえ、長年にわたって分散したオペレーションを続けており、同じ会社であるのに見えない壁があることに社員全員が不満を感じていたという。
「やはり社員が一丸となってお客様へのサービスを行うことが理想でした」(唐崎氏)
このビルならば、ソニービルに常駐している運営部隊を呼び寄せることができる。しかもそれによって、新たに生まれたソニービル内の空室に別のテナントを誘致し、収入を得ることも可能である。まさに経営面からもベストなビルであった。
「本当に理想のビルに巡り会えました。費用をあまりかけずに移転を行うというミッションを守ることができる、ソニービルに常駐していた社員と一緒になることで会社が一丸となれる、ソニービルの空室から家賃収入を得ることができる、など移転メリットはかなりありますから」(唐崎氏)
それらは以下の移転コンセプトにまとめられた。
- 現地主義と、社員一丸となったお客様へのサービス向上
メンバーの集結とシナジー効果 - 社員の生産性向上を促すオフィス
働き方を変える
サイロを崩す...コミュニケーションを活発にする仕掛け
場所に束縛されない、自分で考えて行動できる知的生産の場 - FMの視点
オフィス移転費用を使っても中長期的に判断して収入増になる移転