創業者インタビュー

Vol.2 株式会社ビジネスストラテジー 代表取締役社長 上田 一輝氏

2018.3.1

企業を通して1分でビジネスがわかる
動画コンテンツを目指して

2018年1月取材

1分で分かりやすくビジネスを学べる動画経済メディア「ビジネスオンラインチャンネル(BOC)」をスタートさせた株式会社ビジネスストラテジー。最初はノウハウもなく、公開までの2ヵ月間で毎日のようにゼロからPDCAを繰り返した。多くの顧客の信頼を得ていた講師業を辞めてまで新たなメディアづくりに挑戦した熱い思いはどこからきているのか。創業者である上田一輝氏にお話をお聞きした。


株式会社ビジネスストラテジー
代表取締役社長 上田 一輝氏


東京農業大学応用生物科学部醸造科学科を首席で卒業後、「経営を学びたい」という強い思いから、研究室には残らずにイオングループのミニストップ株式会社に入社。人事管理から店舗経営まで幅広く担当する。そのノウハウや経験を活かし、講師として独立。2017年4月、株式会社ビジネスストラテジーを設立。同年10月、日本初の動画経済メディア「ビジネスオンラインチャンネル」をスタートさせる。


大学では科学者として研究を続けていたが…

株式会社ビジネスストラテジーの創業者である上田氏はこの業界では希少な経歴を持つ。

「東京農業大学の研究室で、白衣を着て日夜研究に励んでいました。私は味噌の香気成分を調べる、地道な研究を担当。とても長い蓄積が必要なテーマですが、それらのノウハウを貯めることで、どんな種類の味噌でも時間をかけずに作ることが可能になります。さらに、データを元に香りも調合できるようになるので、研究成果は大手食品メーカーや香料メーカーにとって貴重なデータになります。しかし当時、自分たちの研究がどれほど大きな価値に繋がるか、を考える研究者はわずかでした。もどかしかったですね。そうして研究ではなく、よりダイレクトに成果が見えて、かつ人々を幸せにすることがしたい!という想いが、経営者になるきっかけだったかもしれません」

そのため研究室には残らずに、イオングループのミニストップ株式会社に入社。フランチャイズシステムを学びながら、人事管理や店舗経営の経験を重ねることになる。

気軽に色々な企業に関心を持つことから始めてほしい

研究者時代を振り返るとロジックやプランを立てて緻密に実行していた自分がいる。その研究のプロセスと経営のプロセスはかなり類似点があると語る。

「学生のときは何かを始めるときに必ずPDCAを繰り返していました。自然に身についたそのやり方は自分の財産になっていますね。ひたすら結果を出すために毎日データを積み重ねる。時には失敗も成果の一つとして役に立つこともありましたが、そんなところが研究と経営は似ていると日々感じています」

学生、社会人で蓄積したノウハウを元に講師として独立。「どんな経験も、いつか活きる」と考え、失敗に対する不安は考えていなかったという。

「独立後は塾講師からスタートし、徐々に各種団体や大学から依頼を頂けるようになりました。そして上場企業の皆様とのネットワークも構築でき、少しずつ大きな研修にも携われるようになっていました。とても有難かったし、やりがいを感じていましたね」

ただある時、ものすごく衝撃的な出来事があった。

「経済学部の大学生を対象にした講義中のこと。大半の学生が日経新聞を読んだことが無かったのです。それどころか経済用語すら理解できていない。M&Aを知らない学生が8割もいました。これでは企業に就職しても、仕事に意味を見いだせないのではないか、と危機感を覚えました。しかしよく考えてみると、大半の学生は卒業するために教科書の内容を一夜漬けしますが、実務的な内容には興味がないもの。そんな現実を解消したいと思い、何か抜本的にやり方を変えなければならない、と考えるようになりました」

そこから「ビジネスをライトに」というコンセプトが生まれたという。

「ガッツリと経済を学びたいのであれば、日経新聞や経済誌を読み、多くの専門セミナーに参加すればいい。ただ、もっとライトに色々な企業について学び、ビジネスを楽しく学ぶメディアは設立当時、皆無でした。ですからテーマを絞らずに分かりやすく、楽しみながら知識を得られるようなメディアを立ち上げたいと思いました。それがビジネスオンラインチャンネル(BOC)なのです」

経営資源の分散は何よりもリスク。だから動画メディア一本で勝負した

メディアを立ち上げよう!と思い立ったのはいいが、動画を制作するノウハウは無いに等しかった。当然、周りからは「既存業務と並行して行うべき」とも助言を受けていたという。しかし、あえて動画1本で攻めることを決断したという。

「経営学において、経営資源の分散は最もやってはいけないこと。これはコンサルタントとして学生に教えていることなのに、どうして自分がやらないんだ、と(笑)。当時、動画に特化した経済メディアにはどこの企業も参入していませんし、間違いなく伸びる分野だと思ったのです」

「チャレンジするのならばナンバーワンを目指したい。そのためには一気にアクセルを踏み、動画一本で勝負するしかない、と。2週間悩んだ後、決断しました」

目指すのはビジネスをライトにするメディア

同社の動画メディアは「ビジネスパーソンに役立つ経済情報を1分でわかりやすくライトに伝える」ことに特化している。

「ライトというのが一番のキーワードになります。ですから動画の長さも1分と決めています。そして必ず、視聴者の皆様に何らかの情報が残る内容を企画に要求しています。とはいえ、それは難しいことではなく『へぇ~』と感じるだけでも、十分だと思っています。小さなきっかけが積み重なることで、人は変化していきますから」

だからこそ、一番大事にしている指標が「動画再生数」だという。

「どんなに一生懸命動画をつくっても、すぐに離脱してしまったら、それは見ていないに等しいわけです。ですから、大事なのはPVではなく動画再生数。これが高ければその動画を通して、会社や商品を楽しく知ってもらえたことになります。また掲載企業にとっては、採用活動やブランディングに有効なメディアになります」

サービスオフィスを卒業したら皆が働きやすいオフィスを創りたい

現在、神田に立地するサービスオフィスに入居。

「清潔感もあり、駅からのアクセスも良い。色々な物件を見た中で、今のオフィスに行き着きました。私は講師時代、登壇以外は自宅で仕事をしていましたが、一度オフィスを持ってしまうともう戻れないですね。自宅の時はお客様をお招きできる環境ではないので、打ち合わせはもっぱらカフェで行っていました。毎回場所を調整してカフェを探すのが面倒でしたが、今はそんな煩わしさはありません。あとはオフィスを構えるとオンオフが明確にできること、社員を増やすときに場所の心配をしなくて良いことも、オフィスを構えることのメリットですね」

とはいえ、いつかサービスオフィスを卒業するフェーズもやってくると語る。

「ある一定の人数に達すると、コストメリットはもちろん、様々な点で不便が出てくることは理解しています。今後、オフィスを改めて検討する際は、毎日出社したくなる魅力的なオフィスをつくっていきたいですね」

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。