テレワーク特集 Vol.5~テレワーク事例 株式会社Legaseed~

Vol.5 テレワーク事例 株式会社Legaseed

2020年8月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

コロナ禍で気づいたオンライン業務の可能性と
見直されるオフィスの在り方。

「はたらくを、しあわせに。」を企業理念に掲げ、新卒採用支援を中心に事業を展開する株式会社Legaseed。2013年11月に設立した同社は、今回のコロナ禍を受けて2020年3月末より全面テレワーク体制に移行しました。そして、緊急事態宣言中の4月末、立地・面積・賃料の全てが旧オフィスよりも大幅にグレードアップした新オフィスへの移転を決定しました。敢えて費用と時間と労力をかけて移転に踏み切った理由は何か、同社代表取締役 近藤悦康氏にお話を伺いました。

近藤 悦康 氏

株式会社Legaseed
代表取締役

近藤 悦康 氏

早わかりメモ

  1. 社員の健康リスクを回避するため、3月末から全面テレワーク体制に移行
  2. 緊急事態宣言中に移転先を決定。出社解禁後も働き方を選べるようにする
  3. オンライン業務は信頼感が前提。今後求められるオフィスの在り方は?

社員の健康リスクを回避するため、3月末から全面テレワーク体制に移行

「当社はクライアント企業の採用・教育・人事制度等、労務関係のトータルコンサルティングを主幹事業としています。この3つの中で、企業組織を理想に近づける一番の早道は新卒採用の変革である、というのが私自身の約20年間にわたるコンサルティングキャリアを通じて得た結論です。新卒採用の変革には、私たち自身がお客さまの採用チームの一員として『伴走』しながら進めていくのが当社のやり方です」

創業当初、マンションの1室からスタートした同社は、何度かの移転を経て、2015年11月に港区芝の旧オフィスに入居しました。日常の業務はオフィスワークが中心であり、テレワークの導入については「3月頃までまったく考えていませんでした」と近藤氏は言います。その大きなきっかけとなったのが今回の新型コロナウィルス禍でした。

「当社は3年後の株式上場を目指し、新オフィスへの移転も年間計画に組み込まれていました。ところが、移転先を検討中にコロナ禍は急激に拡大し、ついに政府から緊急事態宣言が発令されました。コロナに関するあらゆる情報を収集し検討した結果、万が一にも社員に健康リスクがあれば、『はたらくを、しあわせに。』の理念にそぐわないと判断しました」

社員が安心して働けない環境はしあわせではありえない、と考えた近藤氏は、3月24日、「一週間後の31日から全面テレワーク体制に移行する」と決定したと言います。

緊急事態宣言中に移転先を決定。出社解禁後も働き方を選べるようにする

全面テレワークへの移行は、経営推進部メンバーを中心に進められました。同社では全社員にノートPCを配布しており、以前は持ち帰り禁止だったのを解禁。同じく全社員に配布していたiPhoneをWi-Fiルーターとしてネット接続できる「テザリング」で通信環境を確保しました。さらに、全体朝礼から部門別朝礼に変更し、朝、昼、退勤時と1日3回の報告で業務の進捗を把握できる流れをつくりました。

「当社はフレックス制を採用しており、テレワーク中の出退勤管理についても、出張が多い会社でもあるのでクラウド上で管理する仕組みがありました。交通費に関しても『フリー3(スリー)』と言って全社員に毎月3万円を定額支給(家が近ければ家賃補助として使用可)する制度があったため、大きく変える必要はありませんでした。また、4月末の時点で一度、通信環境やセキュリティ上の問題点を洗い出し、それぞれ対処しました」

テレワークの問題対処を行ったのと同じ4月末に、同社は品川駅港南口の一等地にあるオフィスビルを移転先として正式決定します。新オフィスのスタートは9月とし、旧オフィスの賃借期限に合わせて5月28日にシェアオフィスへの仮移転を実施、6月1日から出社を解禁しました。

「2ヵ月間の全面テレワークで、通常業務はオンラインでも問題がないとわかりました。また、コロナに対するリスク感は社員一人ひとりで違うため、そこは尊重しなければなりません。そこで、本人の希望と上司の承認があれば、出社しても在宅勤務でもいいと、社員が自分で働き方を選べるようにしました」

出社解禁から2ヵ月が経過した8月上旬時点でシェアオフィスへの出社率は約5割、社員40名中20名前後が出社しているそうです。

オンライン業務は信頼感が前提。今後求められるオフィスの在り方は?

「出社メンバーの約半数は日によって入れ替わります。毎日出社している約10名にはそれぞれ家庭の事情があり、家の中に仕事をする場所が確保できなかったり、集中できる環境にないため、出社した方が効率的に仕事ができるという人たちです。また、新卒者はセルフマネジメントができないため、上司の指導を受けやすいように、特にコンサルティング部門に配属されたメンバーは全員出社としています」

ただし、同じ新卒でも提案・マーケティング部門に配属されたメンバーには、在宅勤務者もいるそうです。近藤氏が留意しているのは、「家で仕事をしたから生産性が落ちた」という状況にさせないことと、社員が働きすぎないようにすることだと言います。

「社員がサボるという心配はまったくしていません。当社の場合、サボっていたら仕事が成り立たないのですぐわかりますから。それより、業務時間を超えて働くことで社員が健康を害したり、翌日の作業に影響することのほうが心配です」

以前はノートPCの持ち帰りを禁止していたのも、PCの使用状況を確認できるシステムを導入したのも、それを心配したためだったそうです。このほか、コールセンター業務に就いているアルバイトや学生インターンも、通話状況をチェックして分析できるシステムを導入し、在宅勤務で対応していると近藤氏は言います。

「コロナ禍が始まった頃、シリコンバレーのある経営者との電話の中で『今後は商談も難しくなります』と言ったら、笑い飛ばされました。『アメリカでは10年以上前から、商談も採用活動も全部オンラインだよ。相手とは飛行機の距離だし、いちいち対面でやっていられないからね』と。その通りだと納得しました。そこで、それまで『できれば対面で』と考えていた業務も『できるだけオンラインで』に切り替えました」

この方針転換の結果、4月・5月の営業実績は前年度を上回る成果を上げています。

「実際にやってみて、ほとんどの業務はオンラインで代替可能だとわかりました。ただし、これが成立するには、相手との信頼感が大前提です。信頼感の構築には対面コミュニケーションなどの空間的体験が有効であり、オフィスはそのための場となります。さらに、『企業の未来戦略や行動指針を体感できる』『仕事モードに気持ちを切り替えられる』『業務以外でも会社に来たくなる』『売上や新規顧客獲得にもつながる』などの機能を備えることが、これからのオフィスの在り方になると考えています」

新オフィス
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