東京大改造2017

2017年1月25日、三幸エステートは新春セミナー「東京大改造 2017」を開催した。会場は、京橋駅直結の相互館110タワー・イトーキイノベーションセンター「SYNQA」。一般企業の総務担当者の方を中心に110名が参加した。

2017年1月25日 会場の様子

今回のセミナーは、プログラムの前に事前希望者を対象にイトーキオフィスツアーを実施。その後、3部構成で講演が行われた。プログラム1は、日経不動産マーケット情報編集長である三上一大氏による「東京大改造」。4つの多面的な視点で解説が行なわれた。プログラム2は、三幸エステート株式会社チーフアナリストの今関豊和による賃貸オフィス市場の動向について。プログラム3は、株式会社イトーキ FMデザイン統括部統括部長 平野啓一郎氏による「ワークスタイルイノベーション」。働き方変革についての提言を行った。

プログラム1
東京大改造 2020年のその先へ

日経不動産マーケット情報
編集長 三上一大


講演は4つのテーマに沿って進められた。最初のテーマは「迫り来る人口減社会」。人口推移グラフを用いながら、今後増減が予測されるエリアや特長について解説が行なわれた。

続いて「東京大改造の政策」。人口減は企業にとって大きなマイナスの影響を与えること、その対策には国際競争力の強化が必要だということを指摘。そして国際競争力のキーワードの一つとなる「規制緩和(特区)」の説明があった。

次は「面と線で捉える再開発」について。かつての再開発は単体ビルの建て替えなど「点」であったのに対し、近年は広範囲で複数の機能を設けるような「面」としての開発に変わりつつあること、それがエリアマネジメントの概念を生み、街全体で情報発信している流れになりつつあることを解説。加えて、都心で進行している大規模再開発の特長について紹介を行った。

そして「交通インフラ整備の今後」。都区部では移動手段として約半数が鉄道に頼っている事実を紹介。使いやすい交通インフラは国際競争力を高めることになると説いた。

最後に、人口減が進む中でインフラを高めていく施策として、コンパクトシティとネットワークの融合が重要であると提言し、プログラム1の講演を終えた。

プログラム2
2017年 賃貸オフィスマーケット市場の動向と展望

三幸エステート株式会社
チーフアナリスト 今関豊和


講演は、三幸エステートが毎年1月に発行している情報誌「オフィスレントデータ」をもとに行われた。最初のテーマは「オフィス賃料の変遷と経済動向」。2001年からの分析データをもとに、オフィス賃料と空室率のバランスにはサイクルがあることを説明した。

次に、三幸エステートがニッセイ基礎研究所と共同で開発したオフィスレントインデックスについて解説し、景気動向を背景とした将来予測を行った。その他、過去の集計データを用いて分析した需給バランスシミュレーションについての解説があった。

続いて、区や都市ごとに賃料、新規供給、空室率、特長を解説。新規供給に関しては、誌面の掲載ページ「オフィスビル竣工年表」を用いて説明を行った。

最後に、三幸エステートが毎月配布している賃料レポート「オフィスマーケット」から、直近の東京のマーケットについて、空室率及び募集賃料は横ばい傾向が続くと予測した。そして、今年から取り組んでいる賃料データの集計方法変更についての説明を行いプログラム2が終了した。

プログラム3
ワークスタイルイノベーション SYNQAオフィス紹介

株式会社イトーキ
FMデザイン統括部統括部長 平野啓一郎氏


講演は、厚生労働省が2035年を見据えてまとめた報告書の紹介からスタート。理想的な働き方として、「時間や空間にしばられない」「より充実感働き方についてがもてる」「自由な働き方の増加が企業組織を変える」「働く人が働くスタイルを選択する」など、9つの項目について解説が行なわれた。

そして「社会貢献」「地域共創」「自己実現」など、ワーカーの幸せの尺度に変化が見られてきたことを背景に、今後はマネジメントのあり方に課題が出てくるだろうと推測した。

後半は、労働人口減少に伴う働き方の関係について。高い価値の創造のためには、「量」と「質」の両面から考え、企業はワークスタイルバランスを意識することが重要と唱えた。

そして最後に、働き方のキーワードを「スタイル自在」とまとめて講演を終えた。