vol.6 仕事ができる人は断り上手!マイナスイメージを抱かれない「断り方の極意」

vol.6 ~仕事ができる人は断り上手!マイナスイメージを抱かれない「断り方の極意」~

急な仕事や無理なお願い事など、仕事をする上で「ううっ、断りたい......」と思うことは多いものです。引き受けて敢えてハードな環境に身を置くことで、成長できる依頼もあることは事実。そして、立場上断れない、急を要する場合もあるでしょう。

でも「誰でもできることだけど頼みやすいから君に?」「自分はやりたくないから誰かに?」というものまで断りきれずに引き受けていれば、長時間労働やストレスにもつながってしまいます。とはいえ会社ですから、オフィスで毎日顔を合わせる仲間に嫌われたりマイナス評価をされたりするのが怖くもあるでしょう。

今回は、相手の印象を悪くしないための、心理学的に上手な断り方をご紹介します。

<今月の4コマ>
※このまんがはフィクションです。実際の人物や団体とは関係ありません。

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やってはいけない断り方パターン

断りたいほどの状況であれば気分も良くないもの。でも、それでオフィスの人間関係がギクシャクしてしまってはさらに良くない状況を招いてしまいます。そうした意味で、もっとも避けるべきなのは「間接的攻撃反応」。「これお願い......」と言われたときに返事もしないで立ち上がったり、ムッとした様子でにらんだりとネガティブな反応だけをすることです。この場合、相手は困惑したり、真意もわからずカッとしたりしがち。人間関係が最も悪化しやすい反応です。

次に良くないのが「直接的攻撃反応」。「そんなのできません!」「状況を見て無理ってわかりませんか?」などネガティブな言葉で反論することで、間接的攻撃反応よりは言葉にする分良いことではあるのですが、相手を不快にさせてしまいます。オフィス全体にもネガティブなムードが伝染し、ギスギスした空気が生まれてしまうこともあります。

3つのステップで上手く断ろう

忙しかったり、相手に問題があったりすれば気持ち良いはずはないのですが、上手な断り方を身に付けておくことで、自分も相手も気持ち良く断ることができます。ポイントは、「謝る」→「理由付け」→「代替案の提示」の3つのステップを踏むこと。詳しくご説明しましょう。

1.謝る

まずは「申し訳ありません」と、言葉にして謝ります。いきなり断るよりも、悪く思っているのだということが伝われば相手も悪い気はしないものです。

2.理由付け

理由があることで相手は納得しやすくなります。「忙しいので」といった主観的なものよりは「AとBとCがあり、今日は1日かかりっきりです」等と、相手にわかりやすい具体性を持った表現をすると良いでしょう。

3.代替案の提示

「明日の午後からなら取り掛かれますが、いかがでしょう?」「火曜日ではどうですか?」と代替案を示します。

これらを使うと「申し訳ありません、今日はAとB、Cにかかりっきりなんです。明日からであればできますが、いかがでしょう?」となります。この要素が入るだけで、相手の理解を得やすくなるはずです。

偉い人には「喜び」を示そう

上司やクライアントなど、偉い人の頼みやお誘いを断るのは小さなことでも気がひけるものです。そんなときは、断るときに喜びを示す言葉を付け加えると良いでしょう。「大変光栄なんですが......」「嬉しいんですけれども......」といった具合です。

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理由付けは「外的な理由」が一番

「いやいや、そこをなんとか......困ってるんだよ」等とゴリ押ししてくる相手には、理由付けの効果をより強くするために「外的な理由」をいくつかストックしておくと良いでしょう。外的な理由とは、自分の都合ではどうにもできない理由のこと。「病院に通わなければいけないので......」「家族の調子が悪くて......」などといった理由であれば、相手も反論しにくくなります。とっさのとにパッと返せるよう、普段からいくつか考えておくと良いですね。ただし、自分が発言した内容はよく覚えておかなければいけません。こちらは忘れていても、向こうは意外と覚えているもの。あとあと「そうそう、お母さんの具合どうなった?」などと言われてうろたえないためにも、あまりにも実態とかけ離れた嘘はつかないほうが無難です。

どうしてもやりたくないことは繰り返す

他のことはなんでもやるけれど、これだけはやりたくないということもあるものです。業務に影響のないことであれば、普段から周囲に刷り込んでおくという手もあります。たとえば「残業はいいけど休日出勤だけはイヤだ」を口癖にする、といった感じですね。折りに触れそういった発言をしていると、「あいつはダメだったな......」と打診されなくなるはずです。

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同僚が相手ならユーモアで返す

断りたい相手が気が置けない間柄の人であれば、敢えてユーモアを混ぜて返すのも上手な断り方と言えるでしょう。「今日は無理なんだ!3年後なら手伝えるんだけど?」「ごめん、今日は分身の術が使えないからアイツに頼んでくれない?」などと代替案を提示すれば、笑って受け入れてくれるかもしれません。ただ、これも普段の関係あってこそ。協力し合い、なんでも言える関係性があるから冗談が言えるむきもあるはずです。そうした意味でも、自分が助けられるときは助けるようにしておきたいものですね。

*   *   *

断らなくても仕事が無理なく進められるなら、受け入れてあげるのも良いでしょう。感謝されますし、仕事の幅を広げることにもつながるかもしれません。ただ、思っていることがあるなら断らないまでもきちんと伝えていくことは大事です。我慢すればストレスはたまる一方。1日の大半を過ごすオフィスですから、快適に働くためにも適度な自己主張は大切なのです。

監修:赤木麻里

フリーライター。学習院大学文学部日本語日本文学科、東京福祉大学心理学部卒。
書籍やウェブサイトを中心に幅広く執筆を行う中で、特に思想、哲学、心理学の分野で多数の執筆協力、コンテンツ提供を行っている。

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