株式会社アウローラ

2020年2月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

新規事業の開始に合わせて斬新なデザインのオフィスを構築した

創業時から「女性の働き方」を意識して事業を展開してきた株式会社アウローラ。2019年12月、オフィスに関するいくつかの課題解決を目的に本社移転を行った。今回の取材では、新オフィスの最大の特長であるコワーキングスペース構築の背景やデザインコンセプト、各機能についてお話を伺った。

多久 博之 氏

株式会社アウローラ
サービス開発部兼
採用サービス事業部

多久 博之 氏

中島 恵音 氏

株式会社アウローラ
採用サービス事業部

中島 恵音 氏

AURORA GARDEN

AURORA GARDEN

Contents

  1. 創業時から「女性雇用」の夜明けを願ってきた
  2. 旧オフィスの課題は、執務スペースが3区画に分かれてしまったこと
  3. 時間がない中での移転プロジェクト。移転先が確定する前からデザイン案を企画した
  4. 気分によって働く場を変えられるように多様なバリエーションを用意した
  5. 大きく生まれ変わったオフィス。今後も働きやすさを追求していく

創業時から「女性雇用」の夜明けを願ってきた

社名のAURORA(アウローラ)とはローマ神話に登場する「暁」の女神名。創業時から女性雇用の夜明けを願ってきた同社は、その想いをそのまま社名に込めたという。そして創業6年目の2013年4月、その強い想いがオウンドメディアを誕生させることになる。

「自分らしくHappyに働きたい女性をサポートするためのメディア『RUN-WAY』をつくることができました。『働く女性の困った』を解決し、キャリアを豊かにする情報をお届けしています」(多久氏)

その後、人材紹介サービス「おしごとスタイリスト」、「働くと子育て」の両立を支援するための保育園の運営が事業として加わる。

「おしごとスタイリストはポテンシャルが高いといわれる20代の女性求職者と企業をマッチングさせるサービスです。当社の専門アドバイザーが細かい部分までヒアリングをして求職者のスキルに合致する企業を導き出します」(中島氏)

「保育園では自社開発の保育補助プログラムをロボットに搭載し、保育現場の人手不足といった環境改善を図っています。園児とのコミュニケーション向上、登校データの分析、各種行事の写真撮影とロボットの業務範囲はとても広いですね。今後もIT機能を活用しながら革新的な保育事業を目指しています」(多久氏)

旧オフィスの課題は、執務スペースが3区画に分かれてしまったこと

旧オフィスは西新宿に立地する超高層ビルに入居していた。業務拡張による突発的な増員にはスペースの増床で対応してきたが、結果として3区画に分かれ、執務室の反対側から反対側へ移動するために2分程度かかってしまう事態となった。幸いなことに3区画とも同フロア内ではあったが、コミュニケーションの低下は避けては通れない課題となっていた。

「当社は『RASHISシフト』という独自の制度としてコアタイムのないフルフレックス制度を推進していまして。極端な話、1ヵ月の前半に集中して勤務し、一定の成果を上げさえすれば残りの2週間は出社しなくてもいいという制度です。そのため、誰が出社しているのかさえも分かりにくい状況で。直接話せば簡単に済む案件でも、相手の所在を確かめることから始めなければなりません。その非効率な過程に大きなストレスを感じていました」(多久氏)

それに加えてスペースの改善も大きな課題の一つであった。

「一昨年前に事業の見直しをしたことでスタッフが減少して。決して実用的な使い方とはいえませんでした。使用していない区画だけを解約する。そんな選択もありましたが、社内のコミュニケーションを向上させるという命題もあったため1フロアに集約できるオフィスを求めることにしたのです。期限は次の契約更新まで。至急、プロジェクトをスタートさせる必要がありました」(多久氏)

時間がない中での移転プロジェクト。移転先が確定する前からデザイン案を企画した

オフィス探しは三幸エステートが担当する。同社からの希望条件をヒアリング後、数棟の移転先候補が提案された。実際に内見をしながら絞り込んでいく。現オフィスのある千駄ヶ谷という場所は特段に馴染みのあった場所ではなかった。それでも「最寄り駅からの近さ・分かりやすさ」「中央に柱がない1フロア」「適切な面積」「入居時期」「賃料条件」と、考えていた移転条件が揃った物件だった。

物件が確定する前にフリーランサー事業部の新設が決定する。せっかく新オフィスを構築するタイミングである。オフィスデザインを活用して新事業を加速させるための援護ができないかが話し合われた。

「そこで少しでも時間を有効に使うために移転先が確定する前から移転プロジェクトチームを立ち上げて社内の要望を取りまとめました。当初はブレーンストーミング形式を採用して、率直な意見を出し合いました。斬新なアイデアも多かったですね」(多久氏)

「家具はあえてメーカーや色調を統一させないほうが自由な社風のイメージが出るのではとか、気分を変えられるハンモックを採り入れようとか。最終的には管理上の問題やコスト面を考えて採用できませんでしたが、いずれチャレンジしてみたいです」(中島氏)

そうして2019年7月に賃貸借契約が締結される。そこから外部デザイナーを交えて詳細部分を決めていく。同社からの要望は「オフィスっぽくないオフィス」であった。

「その要望に合わせてあえて店舗設計に多くの実績を残している設計デザイン会社に依頼しました。移転完了の期限は2019年12月末。残り約半年で形にしなければならないスケジュールでした」(多久氏)

それから次々と新オフィスにふさわしいデザイン案が提出される。両社で打ち合わせを重ねる中、同社からのリクエストで決まったのが今回のオフィスの特徴である女性専用のコワーキングスペースの設置だ。

「コワーキングスペースはAURORA GARDENと名付けました。執務エリア全体に配置し、登録したフリーランサーの方々が自由に使えるスペースをつくりました。フリーランサー本人の経験やスキルによっては仕事の紹介も可能です。まさに仲間と仕事に出会えるスペースとなっています」(多久氏)

気分によって働く場を変えられるように多様なバリエーションを用意した

その他にもデザイン会社からの多くの提案により、オフィス内に斬新な機能が加えられていく。まるでオシャレな街のカフェに来たようだと来客者からの反応も上々だ。

それでは個性的かつ機能的な新オフィスを入口から順に見ていこう。入口はカフェのような円型のハイカウンターデスク。フラッパーゲートを使っての入室となるためセキュリティ面も万全である。室内に入ると右側がミーティングエリア、左側が執務室エリアとなる。ミーティングエリア手前にはセミナールームが設けられている。

「60人超が着席できる本格的な部屋になっています。外部の方を対象にしたセミナー開催や社内勉強会、会社説明会などの用途で使用する予定です」(多久氏)

円型のハイカウンターデスク

円型のハイカウンターデスク

ミーティングエリア

ミーティングエリア

執務室

執務室

その他、12人用部屋、8人用部屋、6人用部屋、4人用部屋、2人用部屋と用意。会議の内容や人数に合わせて使い分けられる。旧オフィスでは、1on1や面談で使用する部屋が足りなかったことから新オフィスでは2人用部屋を増やしたという。

「どの部屋も円滑に打ち合わせができるようにモニターやプロジェクターを取り付けました。壁は全面ガラス張りにして透明性を演出しています。会話内容の音漏れを聞こえにくくするためにサウンドマスキングを導入。オフィス全体にBGMを流して雑音遮断の工夫をしています」(多久氏)

執務室エリアは集中エリア、コラボレーションエリア、ソファ席、ファミレス風ミーティング席など、最近のトレンドを考えながら組み合わせた。そして旧オフィス同様に完全フリーアドレスを採用している。

「当社は『自分らしく働く』を大切にしている会社です。ですからその瞬間の気分や業務内容に合わせて個々が働く場所を選べるようにしました」(中島氏)

「オフィス全体のテーマは『カフェ』です。その構想は、女性専用のフリーランサー事業をスタートする段階からある程度決定していました。とにかく女性が働きやすい環境をつくろうと。新規事業でもありますので、オリジナリティのあるブランドイメージがあふれるオフィスが必要だったということもあります」(多久氏)

2人用部屋

2人用部屋

ファミレス風ミーティング席

ファミレス風ミーティング席

執務室エリアの中央には巨大な机が配置されている。椅子の形状や色調はまちまちで。あえて統一はしなかったという。

「この机は4つに分割することができます。そうすることで、16名の座席を生み出します。急激な増員計画への対応として考えられました」(中島氏)

窓際には図書館の個人閲覧室風の「Carrel(キャレル)」を5室。自分の作業に没頭する、電話を掛けるなどでの使用が多く、稼働率も高い。その片隅では同社の福利厚生の一つでもある「社内ネイル」サービスを提供している。

執務室奥には多久氏がこだわった「白い丸いテーブル」が置かれた。上座がなく常にフラットの関係を生み出せるため自由な発言が生まれやすいという。

「チーム会議で使用されることが多いようです。これを配することでオフィスイメージの払しょくができました」(多久氏)

そして最奥の壁に面したスペースに機密情報を扱う部署を配置した。ここで社内の有益な情報管理を行うとはいえ、見通しの良いガラス張りのため堅苦しさは感じられない。

「全体的に開放感が出るように工夫しました。当社のミッションは『女の子の世界を変える』ですが、本質としては、ジェンダーギャップのないフラットな世界を創るということなので、そういった世界になるように今後も働く人を応援していきたいと思います」(中島氏)

図書館の個人閲覧室風の「Carrel」
図書館の個人閲覧室風の「Carrel」
白い丸いテーブル
白い丸いテーブル



大きく生まれ変わったオフィス。今後も働きやすさを追求していく

今回のオフィス移転プロジェクトでは、単にオフィスデザインだけではなく働き方そのものも大きく変化させた。そのため全スタッフを対象にオフィスの機能や使用ルールの説明会を実施したという。

「コワーキングスペースの誕生によって不特定多数の方が自由に出入りすることになります。セキュリティ面を危惧される方もいましたので、オフィス全体のガイドラインを作成して説明しました」(多久氏)

そして入居直後には、バックオフィスのメンバーを中心に『オフィス見回り隊』を結成。オフィス内を一定の時間を決めて巡回したという。

「基本は個々の判断としていますが、外部の方に見られても恥ずかしくないように最初はかなり厳しく指南しました」(中島氏)

移転後に管理部が主体となって行った「移転後アンケート調査」では細かい要望を集めた。その中には、ゴミ箱や冷蔵庫が執務室内に1ヵ所しかないことへの不平不満もあった。しかし多久氏の目的は1ヵ所だからこその優位性。そこにマグネット効果が生まれ、偶発的なコミュニケーションが活発になることに期待してのことだ。したがって特に改善する予定はないという。

「もちろん要望に妥当性があり、働きやすさや生産性につながるのであれば改善を検討していきます。せっかく働きやすさを求めて構築したオフィスですから、これで完成とせずに時代に合わせながら更新していきたいと思っています」(多久氏)

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