BEENOS株式会社
BEENOS株式会社
BEENOS株式会社
2025年1月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
その時々のニーズに合わせて出社したくなる❝最善のオフィス❞を
「日本と世界を繋ぐグローバルプラットフォームを創る」をビジョンに掲げ、設立以来成長を続けているBEENOS株式会社。2022年には東証プライム市場への移行を果たし、業績はますます好調だ。今回の取材では、実に16年ぶりとなった同社の移転について経緯やオフィスコンセプトを伺った。なお、本案件は三幸エステートが提供する「オフィス総合コンサルティングサービス」を活用した事例となる。

BEENOS株式会社
常務執行役員 兼
CBO サステナビリティ推進担当
笠松 太洋 氏

BEENOS株式会社
経営企画室/IR室 室長
川本 壮一 氏

三幸エステート株式会社
第三営業部
佐藤 圭

三幸エステート株式会社
第二営業部
佐藤 幸匡

三幸エステート株式会社
ワークプレイスコンサルティング部
稲川 あい

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部
永田 佳大
Contents
- 新たな気持ちでスタートを切るために長年親しんだ土地を離れることを決断
- 面積、スケジュール、収納量...。不安を自信に変えたコンサルティング
- 設計者と自社デザイナーが手を取り合いBEENOSらしさを表現した
- 「オープントーク」を体現しつつ集中もできる、機能的なオフィス
- ハイブリッドワークの本質を支えるオフィスで会社のさらなる成長を

エントランス
新たな気持ちでスタートを切るために長年親しんだ土地を離れることを決断
1999年に設立し、Eコマース事業を中心に発展を続けてきたBEENOS株式会社。近年ではエンターテインメントジャンルに特化したECプラットフォーム「Groobee」や、日本企業の越境EC出店等を支援する「クロスプラットフォーム事業」など、新たなジャンルのサービスを次々に立ち上げている。
同社の旧オフィスは品川エリアに位置し、2フロア600坪強を使用していた。2018年には「出社したくなるオフィスへの進化とオープントークの促進」を目的に大規模なリニューアルを行ったが、実はその直後から移転の話が出ていたという。
「旧オフィスには16年ほど入居していましたが、その間に経営体制も事業の構造も変化しています。思い出はもちろんたくさんありますが、新たな場所で新しいスタートを切りたいという気持ちも強くありました」(笠松氏)
そこで、三幸エステート 営業部の佐藤圭、佐藤幸匡の両名に相談を持ちかけた。
「最初にご相談いただいたのは6年ほど前です。具体的にご検討いただいたタイミングも何度かあり、その度に複数のオフィスビルをご覧いただいていました」(佐藤圭)
しかしコロナ禍やウクライナ侵攻など不安定な社会情勢の影響で、なかなか決定には至らなかった。
「コロナウィルスの感染拡大で計画が頓挫したとき、働き方をリモートワークに振り切りました。その間も採用は続けていましたから、オフィスに人はいないけど実は従業員は増えている。もし全員出社するようなことがあれば席が足りない、という状態になっていました」(川本氏)
「その後ハイブリッドワークに移行したことで席が足りないという最悪の事態は回避しましたが、経営サイドとしてはもう少しオフィスに来てほしい。そのために会社ができることは、従業員が『わざわざ通いたくなる』環境を用意することではないかという流れになり、再度移転の話が現実味を帯びてきたのです」(笠松氏)
移転先の条件として最初に挙げたのは「最寄駅に近いこと」「旧オフィスのエリアから遠くなりすぎないこと」だった。
「最初のご相談から数えると、ご紹介した物件は70棟はあると思います。そのうち今回のご移転に際しては20棟ほど。意外と条件に合う物件は少ないですね、とお話ししたことを覚えています」(佐藤幸)
その中から今回の五反田の物件と大崎の物件の2棟まで絞り込み、さらに検討を進めた。
「最終的な決め手は、面積に対する柔軟性が高かったことです。大崎は求めていた面積より広かったのですが、フロアの分割が難しかった。その点、五反田はかなり柔軟に相談に乗っていただけて、ベストな面積での入居が可能でした」(川本氏)
「五反田は現在の中核ビジネス創業の地でもあります。代表はもともとそのビジネスの創業者でもあって、五反田に対しての思い入れは強い。そういうものがいろいろ副次的に絡み合い、きっちりとかみ合ったのがこの物件でした」(笠松氏)
面積、スケジュール、収納量...。不安を自信に変えたコンサルティング
長きにわたる検討の中で、三幸エステートのコンサルティングサービスを利用することになったのはごく自然な流れだったという。担当したのは三幸エステート ワークプレイスコンサルティング部の稲川あいだ。
「インタビューやアンケート、面積策定、コストやスケジュールのシミュレーションなど、フルパッケージのサポートを行いました。面積策定では増員の有無や出社率の増減を加味したさまざまなケースを想定し、18パターンものシナリオを検証しました」(稲川)
「一番ありがたかったのは、スケジュールについて太鼓判を押していただけたこと。経営陣への提案がとてもスムーズになりました。また、担当者として最も不安だったのは収納量ですが、『書類量は他社と比較してもトップクラスに少ないです、問題ありません』とのコメントをいただき、大きな自信につながりました。いろいろなオフィスのケースをご存じですから、とても心強かったです」(川本氏)
度重なる計画の中止、さまざまな不安要素に関する比較検討。紆余曲折はあったものの、ようやく契約の締結にこぎつけた。
「実に6年越しの決定です。三幸エステートさんにはかなり辛抱強くご対応いただきました」(川本氏)
設計者と自社デザイナーが手を取り合いBEENOSらしさを表現した
無事に物件が決まり、オフィスづくりのフェーズを迎える。プロジェクトは笠松氏・川本氏の両名に、HR室長とインフラチームのマネージャーを加えた計4名が主軸となって進められた。
「私は主に取締役陣との調整、川本は各分科会やPM会社とのやり取りを中心に行いました」(笠松氏)
「PM会社については、改めて3社でコンペを行っています。重視したのはコストよりも透明性の確保です。施工と一緒にPMも行うからスムーズ、というのは当社の求めるPM像ではありません。ピュアPMとして、我々の立場に立って動いてくださる会社を選ばせていただきました」(川本氏)
プロジェクトマネージャーとして参加したのは三幸エステート プロジェクトマネジメント部の永田佳大だ。永田の主導のもと設計会社も3社でコンペを行い、デザイン力と価格競争力に優れた1社を選定。設計・デザインを進めていく中で、中盤からはBEENOS側からもデザイナー2名が加わった。
「当社のデザイナーを加えることについて、初めは『設計者と意見が食い違ったりしないだろうか』という不安もありました。しかし、双方が『当社❝らしさ❞をデザインに反映する』ということに非常に前向きに取り組んでくれ、素晴らしいオフィスをつくりあげてくれました」(笠松氏)
「オープントーク」を体現しつつ集中もできる、機能的なオフィス
オフィスのメインコンセプトは「オープントーク」。これは旧オフィスで2018年に行った大規模リニューアルと同じテーマだ。
「『オープントーク』は、もともと会社として重要視しているバリューです。特に誰が提案するでもなく、自然に決まりました」(笠松氏)
「代表からは『コミュニケーションする人と集中する人が共存する、カフェのようなイメージ』というリクエストがありました。そのためグリーンを多く配置し、木目調や白いトーンで明るさを出しています。さらに途中から明文化されたのは『フレキシビリティ』です」(川本氏)
「事業を行うにあたって、当然晴れの日があれば雨の日もあります。そういった浮き沈みがある中で、その度に移転せずとも今のオフィスの中で柔軟に仕切り方を変えて対応できるようにしていただきました。一方で、従業員にとっては来たくなるオフィスになるように。その2つの目線は常に意識していましたね」(笠松氏)
それでは新オフィスを紹介していこう。エントランスは中央のベンチに生木が配置され、外光が差し込むとても明るい空間だ。入ってすぐ右手の会議室のガラス壁には、世界地図が描かれている。
「エントランスに世界地図を入れたい、という希望は設計当初からお伝えしていました。裏手にも、世界地図を表現したサブエントランスがあります」(笠松氏)
「天井についてはかなり議論がありました。スケルトンにすると暗い色になってしまうし、かといって塗装を施すと原状回復のコストがかかります。室内が明るくかつコストも抑えられる今回の仕様は、結果的にベストだったのではないかと思います」(永田)
来客エリアからセキュリティゾーンに入ると、ラウンジスペースが広がる。

ラウンジスペース
「当初はラウンジスペースを執務エリア中央に配置する案もありましたが、外部のイベントを行うことも想定していたのであえてエントランス付近に配置しています。来客エリアと執務エリアのどちらからも独立したセキュリティゾーンとし、イベント時は来客エリア側を開けっ放しにしても執務エリアに影響が出ないよう配慮しました」(川本氏)
扉を開けてさらに先に進むと、広々とした執務エリアとなる。目を引くのは随所に配置されたグリーンと、湾曲した道路のように敷かれたダークカラーのカーペットだ。執務席はフリーアドレスで、ファミレス席やWebブースなどの機能も充実している。同社のロゴを彷彿とさせる六角形のテーブルも特徴的だ。

執務室通路

ファミレス席

集中ブース

六角形テーブル
「この通路は設計会社からの提案です。私たちからは出てこないアイデアですから、こういった提案をいただけるのはありがたいですね」(笠松氏)
来客エリアも含め会議室は全て透明なガラス壁。二重ガラスを採用しており、機能面も抜かりはない。

会議室
「会議室を全てガラス壁にする、というのはこだわったポイントです。目隠しのために目線の高さだけでもシートを貼れないかという声もありましたが、『オープントーク』を体現する場所としています」(川本氏)
「コロナ禍以前と比較して働き方が変わり、オンラインでのコミュニケーションが増えました。集中できるスペースの整備は早い段階から課題として認識していたので、惜しみなく費用をかけています。おかげで従業員からの評判はとても良いです」(笠松氏)
「オフィス構築は常に実現したいこととコストとの板挟みで、スケジュールにも決して余裕があったわけではありません。各業者さんとの調整も必要ですから、永田さんとしてはきっと苛立ちを感じることもあったのではないかと思います。しかしそれを我々には一切感じさせず、プロフェッショナルな仕事をしてくださった。本当に頼りにしていました」(川本氏)
ハイブリッドワークの本質を支えるオフィスで会社のさらなる成長を
新オフィスは2024年12月にオープン。出社率は上昇傾向にあり、従業員からの評判も上々だという。
「小さな要望はいくつかありましたが、本当にネガティブな話は一つも出ていません。社外の方からもお褒めの言葉をたくさんいただいています」(川本氏)
前回の大規模リニューアルに今回の移転と、積極的にオフィスに投資している同社。そんな彼らにとって、オフィスとはどういう存在なのか。
「今の時代、『オフィスに行かない』という選択をするのも一つの価値観です。とはいえ、やはり『あの人が近くにいたらスムーズに仕事できたのに』とか『ちょっと悩みを相談したかったな』と感じることはあると思うんです。オフィスが『みんなが来たくなる場所』になることで、そんなすれ違いが少しでも減ればいいなと思います」(川本氏)
「ビジネスは勝ち負けの世界です。スピード感を持って勝負に勝つためには、間接的なコミュニケーションだけでは不十分です。何かを決めるときは同じ空間に集まって、直接話して一気に決める。その後の細かな作業は、個々のライフスタイルや仕事の仕方に合わせて自由に場所を選んで進める。そうしたハイブリッドワークの本質を崩さないよう、今後もオフィスというサービスを拡大していきたいし、それによって会社も成長させていきたい。そんな願いを叶えるための最善のオフィスが完成しました」(笠松氏)

今回の移転とほぼ同じタイミングの2024年11月に設立25周年を迎えたBEENOS株式会社。今後も新サービスやコラボレーションビジネスを大胆に仕掛け、「Nextスタンダード」を創り続けることで30周年へ向けさらなる飛躍を目指す。