- インドネシアNo.1のオフショア開発企業を目指して
- 日本と海外拠点での競争を促進。それが本来のグローバルカンパニー
- オフィスは働く"場"というより一つのメディアとして捉える
- ポイントは、バーチャルとフリーアドレス、そしてペーパーレス
- コミュニケーションを活発にさせる仕組みが企業理念であるバズールール
- 感動ある仕事をするために考えられたのが独自のプロセスであるバズーメソッド
インドネシアNo.1のオフショア開発企業を目指して
2006年に港区浜松町で設立した時の社員数は6名。ウェブ開発事業を主に行なっていた。今では、アプリの企画から開発、運用を中心に事業を拡大。設立後わずか5年後の2011年にはインドネシアにジャカルタ支社を設立し、話題のJKT48のプロモーションを手掛けるなど、急速なグローバル展開を行なっている。
「大学を卒業後、外資系の経営コンサルタント会社に従事していたのですが、ふと立ち止まった時に未来予想図を思い浮かべられない自分に気づきまして。その後、IT系コンサルタントなどを経験したのち、バズーを立ち上げました。29歳の時です」(森下洋次郎氏)
「設立後、何回かの移転を行なっています。このビルに来る前は、同じ港区内の芝大門駅が最寄り駅となる5階建の自社ビルを所有していました。その当時、事業計画を形にするというプロジェクト制度の一環で実施した企画の一つが、テーブルマナー講座やメイク講座などの女性向けのスクール事業。もう一つが、犬を対象にしたアパレル事業。犬用の洋服販売ですね。フロアごとに教室や店舗を構えて事業を行っていました」(森下氏)
もともとネットビジネスを行なうにあたって、リアルなビジネスの世界も知っておく必要があると思っていたという。「今振り返ると貴重な体験だったと思っています。そこで経験できた経営の原理原則は自分たちの財産として保有できています。そしてある程度の経験を積んだ後、本格的にアプリ開発事業に特化することにしたのです」( 森下氏)
それらの事業は順調に推移していたが、タイミングよく事業自体の引受先やビルの売却先が見つかったこともあり、アプリケーション事業を主軸にした事業展開に転換させた。
日本と海外拠点での競争を促進それが本来のグローバルカンパニー
その当時、海外進出に関しても検討を始めることとなった。
「ちょうど4年前になります。中国に視察に行く機会がありまして。中国人の生命力に圧倒されました。それからアジアの各国に可能性を感じて、中国とインドネシア、タイの3ヵ所に拠点をつくったのです。日本から社員を派遣しながらいろんなことにチャレンジしましたね。もちろん、たくさん失敗もしたのですが。最終的には、ビジネスパートナーとして当社の考え方にマッチしたインドネシアと協力体制をつくることにしたのです。現在も引き続き、インドネシアで事業を展開しています」(森下氏)
単に仕事の内容だけではなく、自分の思いが形になる。自分の意見をきっちりと聞いてもらえる。そんな社風が人材を招き入れることにつながっているようだ。現地の理工系の大学かの口コミもあり、リクルーティングも成功しているという。
「現在、日本法人の社員が15名に対して、インドネシア法人では50名が働いています。実は、私は正式に入社する前の学生時代からインターンとして関わっているのですが、マネジメントを学ぶために半年間もインドネシアに駐在させていただきました。私の同期の中にも、事業部を立ち上げているものもおり、意思決定のスピードが早い会社だと思います」(三井田 静氏)
「日本で営業や企画を行い、インドネシアではひたすら効率化して開発を行なう。そのために開発工程をパターン化しています。実際に海外で事業展開をして気づいたのはインドネシア人のポテンシャルの高さです。アプリケーションの開発に必要な言語は英語や日本語ではありません。共通のプログラミング言語です。力の差はコーディングの内容を見たときに明確に表れます。同一のスキルなら同一の賃金体系にするのが正しい経済原理ですから、日本人のエンジニアも危機感を持つことになる。するとそこに社内間のグローバル競争が起きるわけです。競争が激しくなると、今度はインドネシア人の社員が日本での勤務を希望してくる。意欲的な交流が生まれます。本当の意味で行いたかったグローバルカンパニーづくりが徐々にできつつあります。そんな流れをさらに活性化させるため、インドネシア法人にもう少し増員をしたいと思っています。会社全体で100名体制を目指しています」(森下氏)

採用イベント時の集合写真

インドネシア集合写真
オフィスは働く"場"というより一つのメディアとして捉える
以前の5階建ての自社ビルを売却しての移転。現在のオフィスは、慶應大学三田キャンパスの正門前に位置する築浅の大型ビルだ。
「私も慶應大学三田キャンパスの卒業生でして、今いる社員の半数以上が慶應大学の出身です。今後のリクルーティング活動を戦略的に行おうと考えたときに、この立地は有利に働くと思っています。加えてせっかく移転したのだから、社員のモチベーションが上がるような仕掛けをオフィス内に構築しようと。そこで10社ほどに声をかけさせていただきデザインコンペを行なったのです。コンペを行なう際に、木目調とガラス張りにはこだわっていましたので、デザイン要素として盛り込むようにお願いしました」(森下氏)
エレベーターを降りて、右側の廊下を少し進むと曲がり角が。そこを曲がると一面に開放感溢れるエントランスが広がる。上から見るとバズーの「無限大」を記したロゴマークが一面に浮かび上がるデザインとなっている。そして会議室の壁には、デザイン的に整理された沿革が表示。沿革の最後に書かれたネクストステージの文字が会議室の入り口となる。そして何といってもこだわりぬいただけあって、全体を木目調とガラス張りで構成されたデザインが特長的だ。
「まず、木目にすることで集中力が高まると考えました。たまに、議論が長引くことがあるのですが、集中して白熱した議論を交わすことができています。ガラス張りにしたのは会社の透明性を象徴させたかったこともあります。実際に財務状態も公開していますし、将来的には持株制度を導入して社員全員で経営を考えられるような体制をつくりたいですね。ですからオフィスは、単なる"働く場"ではなく、社内外に対して当社のメッセージを伝える一つのメディアとして位置付けています」(森下氏)

開放感溢れるエントランス

沿革が書かれた会議室壁