ClipLine株式会社

2020年9月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

リモートワークに移行しながらその働き方に合ったオフィスを構築した

社内教育や多店舗チェーンのマネジメントを効果的にするために動画を活用したマネジメント支援サービスを展開しているClipLine株式会社。同社はリモートワーク主体の働き方に移行しながら新オフィスへの移転を実施した。その際、リモートワークにおいて考えられる課題を洗い出し、新オフィスでの運営に生かしたという。今回の取材では、「働き方改善」「コスト削減」を行いながら、生産性向上の施策を行ったオフィス移転についてお聞きした。

遠藤 倫生 氏

ClipLine株式会社
取締役
ビジネス・アクセラレーション部

遠藤 倫生 氏

Contents

  1. 「できる」をサービスの品質基準としプロダクトを提供してきた
  2. リモートワークだけではなくオフィス環境も必要という結論に
  3. リモートワークの移行には会社ルールの変更も必要になる
  4. 新オフィスのコンセプトは「協調行動の場」。生産性向上に繋がるように意識的に構築した

「できる」をサービスの品質基準としプロダクトを提供してきた

多様化する業務情報やノウハウを組織全体にバラツキなく伝達させたい。多店舗ビジネスを行っている多くの企業がそんな悩みを抱えている。特に最近では教える側の人材不足といった問題もよく聞こえてくる。そんなマネジメント全体のオペレーションからスタッフ教育までを効率よく、高品質で使用できるプラットフォームを提供しているのがClipLine株式会社だ。

従来のように言葉や紙の資料だけでは伝わりにくいノウハウを動画にする。同社のプロダクトは本部と現場との距離を近づけ、単なるマニュアル作成ツールとは違った効果を生み出している。

「当社の特長は多店舗展開をしている大手チェーンのお客様が多いことです。導入いただいた企業の皆様からは、『社員教育が遠隔で実現できた』『離職率が下がった』『人事育成が効果的に行えた』といった評価をいただいています。とてもありがたいことです」

従来、本部から各店舗に指示を出す場合、確実に伝達できているのか、同じクオリティで再現できているのか、それらを確認する必要があった。同社のClipLineでは店舗ごとに写真や動画を容易にアップロードができ、アップされた動画を評価しコメントを付けることも可能だ。双方向で現場オペレーションの改善を重ねながらの運用が可能なツールといえる。

また、デジタル情報をアップロードするにあたって特別な機材は一切必要ない。最近はスマホを活用した動画アップも増えているという。そんな使いやすさを強みに急激に需要が増加。現在、18万人、約9,000店舗の利用となっている。(20208月末時点)

リモートワークだけではなくオフィス環境も必要という結論に

「旧オフィスはJR田町駅近くに立地したオフィスビルに入居していました。使用面積は約180坪。少し前からリモートワークの実証テストをしていました。外回りの営業や顧客支援などでメンバーが活躍しており、コロナ前の平時でも一日のオフィス使用人数は40名弱だった。ハイグレードなオフィスビルでとても使いやすかったのですが、一人あたりのランニングコストを算出する10万円超と、固定費としては大きな金額だったと言えます。経営的に見直す必要が出ていたのです」

そんな中で新型コロナウイルスが発生。それを大きな機会と捉え、感染予防も含めて本格的なリモートワークへの移行が加速する。実行するにあたって「開発」「映像編集」「セールススタッフ」「コンサルタント」「バックオフィス」と全ての部門にヒアリングを行った。

「すると『リモートワークは効率的に時間を使える』『通勤ストレスが緩和される』といった好意的な声がある一方で、『何気ない会話やコミュニケーションが減少してしまう』『自宅の環境では満足なパフォーマンスが発揮できない』『業務経験が乏しいため仕事を完結できるか不安』といった多くの不安材料も見つかりました。そこでリモートワークだけではなく、オフィス環境も必要という結論になったのです」

しかし旧オフィスの固定費について課題認識もあり、効率的にオフィスを使いたい。その結果、オフィス面積を大幅に縮小した移転となった。仮にコロナウイルスが収束したとしても、リモートワークは継続していくと考え、思い切った施策を行ったという。

縮小移転を実施する結論が出た。そこで至急、移転先オフィスの選定に入った。移転先の条件を固めるために全従業員の住所をMAP上に落とし込んでみる。従業員にとって公平感のある立地を探った。そうして旧オフィスと変わらない城南エリアが移転先の立地として選ばれたという。

オフィス面積は、全従業員数の20%が出社すると仮定して約80坪とした。今後の採用計画を視野にいれた面積だ。それでも当初考えていた面積よりは広めとなった。

「今回の移転のポイントは居抜き物件に入居できたことというのもあると思います。居抜き物件とは、前の入居テナントが使用していた内装をそのまま引き継ぐという契約です。したがって新オフィスの内装デザインにかかる時間やコストの軽減が可能です。デザインに関しての費用は多少の改修費だけで済ませることができました」

社内での移転条件がある程度確定した段階で、数社のオフィス仲介会社に物件の提案を依頼する。届いた物件資料は300件超。そこから一つひとつを見比べていった。

「最終的に40件くらいに絞りこんだでしょうか。そして具体的に見学をしていきました」

新オフィスの移転完了は同社の決算時期を考えて8月末を目標に設定した。ほぼ予定通りだったという。計画立案からわずか4ヵ月。時間が限られている中で多様な希望条件をクリアしたオフィスビルを選定する。結果的に旧オフィスと比べて年間約5,000万円のコストダウンが図れた。

「移転計画の成功は三幸エステートさんのサポートのおかげだと思っています。こちらからの要望に対して迅速かつバランスの良い提案をしていただきました。それも居抜きという特殊な案件だったにもかかわらず、レスポンスも早くて。本社移転は3回目ですが慣れているというわけではありません。契約に際しての条件折衝も円滑に進めていただき、大変感謝しております」

オフィス全景

オフィス全景

リモートワークの移行には会社ルールの変更も必要になる

リモートワーク中心の働き方となり、徐々に社内ルールも変えていく方針だ。

「顔を合わせる機会が減少するため、毎日決められた時間にオンラインミーティングを行うことにしました。これによってチーム内の情報をメンバー全員で共有し、相談しながら案件を円滑に進めることができています」

あくまで一例だが、リモートワーク移行を理由に郊外に引っ越した社員もいるという。

「頻繁に行われているオンラインミーティングのおかげで業務上の不便さは感じていないようです。オンラインでの促進活動を相手先からも求められていることもスムーズに移行できた要因かもしれません」

通勤交通費は実費支給に変更した。もちろん住んでいる場所によっては定期を購入するよりも高くなってしまうこともあるかもしれない。しかし本来、電車を使って訪問していた業務がオンラインに変わり、その分の営業交通費が大幅に削減できているという。

その他、新たな取り組みとして全従業員を対象に毎月1万円のリモート手当の支給をはじめた。

新オフィスのコンセプトは「協調行動の場」。生産性向上に繋がるように意識的に構築した

新オフィスは居抜きで入居したため、ほぼ旧テナントの仕様を引き継いでいる。エントランスには同社の企業ロゴ、その両サイドにはガラス壁で仕切られた会議室。正面の壁には同社の企業ミッションを表示。目の前の通路を進むとカウンター式のテーブルが設けられている。

エントランス

エントランス

正面壁の企業ミッション

正面壁の企業ミッション

「以前の会社はここにコーヒーカウンターを設けていたようですが、当社はスタンディング用のミーティングテーブルとして使用しています。ここは人気のエリアとなっていますね」

その奥、一面が執務空間となる。入口を背に右側がワークスペースだ。バックオフィスと映像編集の席は固定されているが、その他の部署はフリーアドレスとなっている。

スタンディング用ミーティングテーブル

スタンディング用ミーティングテーブル

バックオフィスエリア

バックオフィスエリア

「新オフィスのコンセプトは『協調行動が生まれる場所』としました。社員同士がお互いに影響を与え合って、少しでも生産性の向上に繋がるように意識的にゾーニングしました」

同社ではオフィスの役割を、「雑談を含めたコミュニケーションの場」「オンライン上だけでは共有が難しい共同作業の場」「ホワイトボードを使用したアイデア出しの場」「同僚や先輩の仕事の進め方を学ぶ場」としている。それだけにリモートワークへ移行することで、本来考えていたオフィスの役割を失うことは避けなければならない。そのための施策が執務空間左側のラウンジとなる。窓際にはソロスペースファミレス風のミーティングスペース、自由な多目的スペースで構成されている。今ではリアルな会話が生まれる重要な場として欠かすことができないスペースになっているという。

ラウンジ

ラウンジ

ソロスペース

ソロスペース

ファミレス風ミーティングスペース

ファミレス風ミーティングスペース

新オフィスは社内だけでなく社外からの評判も上々だ。

「採用面接を行うため新オフィスの場所をお伝えすると、『有名なビルなので知っています』『知っているベンチャー企業と同じですね』などと言われることが多くなりました。シンボルビルへの入居で当社のステータスも上がったようで嬉しいですね。加えてこの時期に移転を行ったことで、当社の決断力や行動力を褒められることも少なくありません」

今後は早い段階で「オフィス満足度調査」を実施したいと語る。

「その回答の中で出てきた要望や意見にはしっかりと向き合っていこうと思っています。そして新入社員を採用していく中で、その都度、働きやすい環境に整えていきます。その結果、会社全体の生産性向上が図れればいいですね」