株式会社日刊建設工業新聞社

2025年5月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

創刊100周年、そして次の100年へ向け
新たなオフィスとともに次のステージへ

建設専門新聞の全国紙として、専門分野に特化した情報を発信し続けている日刊建設工業新聞社。202810月に創刊100周年を控え、50年以上入居していた旧オフィスからの移転を実施。今回の取材では、移転に踏み切ったきっかけや新オフィスに込めた想いなどをお聞きした。なお、本案件は三幸エステートが提供する「オフィス総合コンサルティングサービス」を活用した事例となる。

髙橋 治光 氏

株式会社 日刊建設工業新聞社
取締役社長

髙橋 治光 氏

佐々木 修 氏

株式会社 日刊建設工業新聞社
常務取締役 総務局長

佐々木 修 氏

髙都 陽介

三幸エステート株式会社
第一営業部


髙都 陽介

菅野 誠

三幸エステート株式会社
ワークプレイスコンサルティング室


菅野 誠

齊藤 勇

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部


齊藤 勇

Contents

  1. 入居から約50年。「創刊100周年」が新オフィスへの移転を後押し
  2. 息を呑むような眺望。これからの職場環境に相応しいビルに巡り合う
  3. 書類削減、什器選定、スケジュール管理...悩みを迅速に解決してくれたプロの力
  4. 歴史と先進性を共存させながら「みんなが集まれる」オフィスを
  5. コミュニケーションが広がることで生まれる新たなアイデアに期待

エントランス

エントランス

入居から約50年。「創刊100周年」が新オフィスへの移転を後押し

株式会社日刊建設工業新聞社は、192810月に前身の「鉄道新聞」を創刊。時代の移り変わりとともに「日刊土木建築新聞」「建設工業新聞(隔日刊)」と形を変え、19509月に現在の「日刊建設工業新聞」となった。以来70年以上にわたり、全国の公共事業やインフラ整備の概況から民間ビルの新築・改修情報、新技術や新商品の情報、建築・土木に携わるあらゆる企業の人事動向に至るまで、建設産業界に関するさまざまな情報を発信し続けている。

同社の旧オフィスはJR・地下鉄「新橋」駅から徒歩5分、第一京浜に面した好立地のオフィスビル。2階・3階・地下1階の3フロア、計217坪を賃借し、2階と3階は執務室、地下は倉庫兼会議室として使用していた。

「執務室は約70名で業務を行っていました。編集局と総務・事業局でフロアが分かれていたため、意思疎通が十分に図れないことは課題として感じていました。会議室も少なく、用途に応じた会議室の設置を求める声も多かったです」(髙橋氏)

「ビルの老朽化が進んでいたことも課題の一つでした。入居から50年以上が経過していましたから、いろいろな面で使いづらさを感じ始めていたことは事実です。当時はインターネットが普及していませんでしたからOAフロア仕様ではありません。床上げ工事を行って最低限の環境こそ整えたものの、ITインフラの整備は喫緊の課題でした」(佐々木氏)

IT環境が整備され、全従業員が1フロアで働けるオフィス。その実現のためには移転するほかなかったが、話はなかなか進まなかった。そんな中、同社の移転を後押ししたのが2028年に迫った「創刊100周年」だった。

息を呑むような眺望。これからの職場環境に相応しいビルに巡り合う

「従業員のモチベーションをより一層高めるためにも、この機会を逃す手はない。さらにもう一つ言えば、『新聞業』という業態について、これまでと同じ形での継続は難しいだろうと常々感じていたのです。働く環境を変えることで気分も変わるでしょうし、新しいアイデアが生まれるトリガーとなるかもしれない。このタイミングで生まれ変わる必要があると感じていました」(髙橋氏)

折しも同社の業績は上昇傾向にあった。2023年秋、役員会での決議を経て移転の実施を決定。10月には、不動産会社4社へのヒアリングを順次進めていった。三幸エステートからは、第一営業部の髙都 陽介が対応した。

「問い合わせをいただいた翌日に訪問し、内容を伺いました。すぐに社内を調整し、2度目の訪問でコンサル~物件仲介~プロジェクトマネジメントをワンストップで行う当社サービスを提案させていただきました」(髙都)

「社内に移転を経験した者がいなかったので、何から手をつけていいのかもわかりませんでした。そこで、移転先探しだけではなく、その後のオフィスづくりまでお願いできる会社にしたいと思っていました。コストやサービス内容、それまでの打合せで感じた人柄まで加味して、三幸エステートさんにお願いすることに決めました」(髙橋氏)

「物件を決めるにあたって最も重要視したのは、賃料でした。旧オフィスは新橋駅から近く、割安感もあった東新橋エリアでした。そこで、初めはそのエリアを中心に探すことにしました」(佐々木氏)

コスト試算や働き方も加味した要件整理に関しては、ワークプレイスコンサルティング室の菅野 誠が担当。髙都とも連携しながら、第一希望の東新橋エリアの他、芝・大門エリア、築地エリアまで含めた7棟のオフィスビルを候補として提案した。

「まずは収納量と会議室利用の現状把握を行いました。その結果を踏まえてレイアウトの要件を整理し、ボリュームチェックを重ねて、コストとの最適なバランスを考えていきました」(菅野)

「移転プロジェクトチームとして、『内覧ワーキンググループ(内覧WG)』をつくりました。メンバーは各局から推薦されたメンバーと役員で構成された計10名ほど。このメンバーで、20243月に候補ビルの内覧を行いました。すると、ほぼ全員の賛成で1棟のオフィスビルに決定したのです。もちろん総合的な判断ではありますが、ビルからの圧倒的な眺望が何ものにも代えがたかったのです」(髙橋氏)

「広大な庭園だけではなく、晴れていれば富士山まで見渡すことができる最高のロケーションです。内覧の際の皆さんの嬉しそうな顔を見て、ここに決まるだろうという予感がしていました」(髙都)

こうして、築地エリアのオフィスビル1フロア、約210坪への入居が決定した。

窓からの眺望

窓からの眺望

書類削減、什器選定、スケジュール管理...
悩みを迅速に解決してくれたプロの力

移転先決定後、プロジェクトマネージャーとして三幸エステート プロジェクトマネジメント部の齊藤 勇が加わった。内覧WGのメンバーはそのままオフィスレイアウトWGとしてプロジェクトに参加。その他、書類削減WGも立ち上げて詳細を詰めていった。

「今回の移転で一番印象に残っているのが書類削減です。まずは菅野さんからWGメンバーに書類削減について説明いただき、それから会社として何年分の資料を保管するのか方針を決定。各局で捨てるものを判別してもらいました」(髙橋氏)

50年も入居していましたから、廃棄するか否かの判断もなかなか難しかったです。当初はスケジュールにも余裕があったのですが、結局ギリギリまでかかってしまい、引越間際までたくさんの廃棄物が出ました。廃棄する物は地下倉庫に集めてもらい、いっぱいになる度に廃棄業者を呼ぶ。その繰り返しでした」(佐々木氏)

内装デザインについては、デザインとコストパフォーマンスに優れた会社を三幸エステートより提案。定例会での打ち合わせやショールームの見学を重ね、予算内で最適な什器を確保できたという。

「三幸エステートさんには、書類削減や什器選定の件以外にもスケジュール管理や物品の廃棄、引越などさまざまな面で有用なアドバイスをいただきました。総務局が中心となって動く必要がありましたが人数が少なく、日常業務もこなしながら...という状況でしたので、いつ何を聞いても迅速にレスポンスをくださる三幸エステートさんには本当に頼りっぱなしでした」(佐々木氏)

「こういった業界にいますから、プロジェクトマネジメントがどういったものかある程度理解していました。ですが今回このプロジェクトを通じて、本当に全てに寄り添ってくれるそのきめ細やかさを実際に肌で感じ、やはりプロの力は必要だと改めて実感しました」(髙橋氏)

プロジェクトは順調に進行し、20252月に無事引越が完了。心機一転、新たなオフィスでの業務が開始された。

歴史と先進性を共存させながら「みんなが集まれる」オフィスを

それではオフィスの紹介に移ろう。エントランスは、落ち着いたデザインながら温かみのある色調で、親しみやすさも感じられる。向かって右側には過去の新聞のレプリカ、左側には大型ディスプレイを設置。ディスプレイでは当日の記事を流すようにした。

新聞のレプリカ

新聞のレプリカ

「最近は多くの新聞社がディスプレイで当日の記事を流しているんです。コスト面が懸念でしたが、内装会社から現実的な価格での提案をいただき、想定よりも安価に実現できました。当社で行ったイベントの動画も流せるので、良いPR効果に繋がっています」(髙橋氏)

エントランスから中に入ると、左側に約70名が働く執務エリアが広がる。間仕切りはなく、一番奥の執務席まで全てを見渡すことができる。大多数の従業員の要望により、旧オフィス同様に固定席での運用だが、窓側の一部には12名が座れる交流スペースを新たに設けて歓談・飲食もできるよう配慮した。植栽も施されたこの空間は、髙橋氏たっての希望だという。

「『みんなが集まる場所をつくりたい』という強い想いをずっと伺っていたので、このスペースは絶対に実現しなければと思っていました。想定よりデスクの台数が増えたり、旧オフィスには無かった機能の要望が増えたりしましたが、佐々木様を中心に各所を調整いただき、面積を確保することができました」(齊藤)

執務エリア

執務エリア

交流スペース

交流スペース

一番奥の整理部のエリアは、作業効率を強く意識したレイアウトを採用した。

「あえて執務席を背中合わせにし、中央の作業台を囲む形にしています。振り向くだけで他のメンバーのパソコン画面を確認することができますし、台上で紙面を広げることもできます。制作工程の最後は11秒を争いますから、こうして一覧性を持たせるだけでぐっと作業効率が上がりました」(佐々木氏)

エントランスから向かって右側は、会議室・応接室などの個室エリアとなる。会議室は最大30名収容可能で、間仕切りで小さく区切ることも可能だ。応接室は革張りのソファーとテーブルを黒で統一。歴史ある新聞社らしい風格と、洗練されたシャープなイメージとが共存している。

「応接室内は壁面への機器設置や装飾を最小限にとどめ、お客様に窓から見える景色を楽しんでいただけるよう意識しました。奥まで見渡せる執務室も併せて、皆さんに感動していただけて嬉しいですね」(髙橋氏)

整理部

整理部

応接室

応接室

コミュニケーションが広がることで生まれる新たなアイデアに期待

今後のオフィス運営については、社内でオフィスアメニティ委員会を立ち上げることが決定しているという。

「各局からメンバーを集める予定です。若手社員も含めて、皆で意見交換しながらオフィスづくりをしていこうと思っています」(佐々木氏)

「せっかくの1フロアですから、これまで以上に風通しの良い職務空間を創出していきたいと考えています。組織改編や新卒採用に向けた体制の整備を行うことが今後の目標です。本社オフィスは会社の顔ですから、時代の変化に合わせた対応を継続していきます」(髙橋氏)

長年切望していた1フロアのオフィスを実現した同社。最後に、オフィスを持つことの必要性について伺った。

「旧オフィスを知っている方は、新しいオフィスを見て本当にびっくりされるんです。『見違えますね』とまで言っていただける。自社に誇りを持って働くにあたって、好きだと思えるオフィス、自慢できるオフィスの存在は重要だと思います。移転後にみんなの働いている姿を見ると、それを強く感じます」(佐々木氏)

「引越当初は静かでしたが、最近では笑い声も聞こえるようになりました。1フロアであることのメリットを生かし、コミュニケーションの輪が広がることで新たなアイデアが生まれ、ひいては新たな『メディアの形』につながるかもしれない。そうしたシナジーを生み出すには、対面で一緒に一つのことを行える、オフィスという場所があることが必要不可欠だと思います」(髙橋氏)

株式会社日刊建設工業新聞社

長い歴史の中で、時代のニーズに即して形を変え、今日までその名を残し続けてきた株式会社日刊建設工業新聞社。今後はDE&I(Diversity, Equity and Inclusion、多様性を受け入れ、公平性を持って、個々の違いを力に変えることで高い創造力を生み出し、企業のさらなる成長を促す考え方)をベースに、多様な人材のそれぞれが働きやすい環境づくりを行っていくという。


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