- 総合的な情報提供サービスから求人情報に絞ったサービス提供へ
- 経営課題の一つだった「オフィス移転」。5年先を見据えて本格的に検討した
- デザインコンセプトは「20周年を迎え、新しいステージに立ったディップを体現する
働きやすいワークプレイスの実現」 - 日本一コミュニケーションをとりやすいオフィスを実際に体感してみる
- 新たな機能の利用頻度を見れば働き方が換わったことが認識できる
総合的な情報提供サービスから
求人情報に絞ったサービス提供へ
今回の取材先であるディップ株式会社は、「バイトル」「はたらこねっと」といった求人情報サイトの企画・運営で急速に事業を拡大している。創業は今から20年前。現代表取締役社長兼CEOである冨田英揮氏が出身地である名古屋で起業した。オフィスもない、資金もない、社員もいない、あるのは自らのアイデアに対する自信と強い気持ちだけだったという。そうして、自らのアイデアを実現するための営業活動を続けた結果、首都圏のコンビニエンスストアで「無料カタログ送付サービス」を開始する。
「当時はインターネットが普及する前でしたから、首都圏のコンビニエンスストアに置かれた専用の端末に情報提供することから始めたそうです。続けていくうちに、多くの利用者のニーズは『派遣のお仕事情報』にあることが分かり、その情報の提供だけに絞ることにしました。それが今の『はたらこねっと』の前身となっています」(本間氏)
創業間もない段階で活動ステージを東京に移す。その当時も、紙媒体を使った求人情報は数多く存在していたが、「派遣」に絞った求人情報サービスは決して多くない。情報が集まる東京なら、この分野で勝負できると強く感じたという。
その後、2002年に「はたらこねっと」からアルバイト情報を独立させた「バイトル」を開始。今では日本最大級のアルバイト・パート求人情報サイトに成長している。
ちなみに社名であるdipは、企業理念である「夢(Dream)とアイデア(Idea)と情熱(Passion)で社会を改善する存在となる」の頭文字だという。
経営課題の一つだった「オフィス移転」
5年先を見据えて本格的に検討した
東京進出にあたっては、まず都内のインキュベーションオフィスを活用。渋谷区神宮前に1年、渋谷区初台に1年、千代田区有楽町に3年。そして地盤を固めた上で、港区六本木の大規模オフィスビルに移る。
「六本木のオフィスビルに2003年に入居し約13年が経過していました。オフィスレイアウトの設計思想は一昔前のまま。会議室も足りず、気軽に行えるミーティングスペースもない状態でした」(本間氏)
旧オフィスの面積は600坪。そこに300名が在席していた。現在は950坪に拡張したが、すでに社員数が400名に増えている。
「旧オフィスに移転した2003年の従業員数は全社で42名。業績拡大に伴う増員で、今では1,620名の会社に成長しました。従業員間コミュニケーションが活性化されるように、オフィス環境を改善することはもちろんですが、それに伴い一人ひとりの生産性を上げられるのではないかと考えていました」(藤川氏)
移転先は旧オフィスの目の前にある新築オフィスビルに決まった。
「六本木はもちろんのこと、赤坂、丸の内、大手町など広範囲で移転先を探しました。そして数棟のビルに絞りこんだのち、比較表を作成。最終的に希望条件に一番合致したビルを選びました。また、これは主たる理由ではありませんが、最寄駅も移転前と同じです。通勤定期の変更手続きがないのもよかったですね」(本間氏)
「具体的には、ワンフロアに本社の全社員が収容できること、駅へのアクセスが良く移転前のビルよりグレードが劣らないこと、入館時のセキュリティが高いこと、入居フロアが安全性の高い免振構造だったこと、が大きな理由となります。まさに私たちの20周年に相応しいビルだと思います」(藤川氏)
とはいえ20周年はあくまでもきっかけ。移転理由ではないという。
「オフィスの改善はここ数年の役員会の議題になるなど、解決しなければならない課題の一つでした。旧オフィスを全面改修すべきか、違う場所に移転すべきか。定期的に物件情報を三幸エステートさんにいただいており、常に準備はしていました」(本間氏)
「費用対効果や移転メリットについても、こと細かに議論を重ねました。物件を選ぶ際にも5年先を見据えた議論をしてきました。結局、旧本社の全面改修では増員やコミュニケーションスペース不足の問題が解決できないため、最終的に移転をすることになりました」(藤川氏)
デザインコンセプトは「20周年を迎え、新しいステージに立ったディップを体現する働きやすいワークプレイスの実現」
移転プロジェクトを遂行するにあたり、パートナー会社を選定するためのコンペを行った。
「社内には移転プロジェクトやデザインに特化した専門部署は存在しません。全体のプロジェクトを一緒に進めていくパートナーが必要だったのです」(本間氏)
最終的な条件面をクリアさせ、パートナー会社を決定した。想定していた以上に色々な側面から提案していただいたという。以下が簡単なスケジュールとなる。
2016年6月:移転先ビル確定
2016年7月:パートナー会社決定
2016年8月~11月:レイアウトプランの検討
2016年12月:オフィス家具・什器の発注
2017年1月:オフィス内装工事スタート
2017年3月14日(設立記念日):移転完了日
設立20周年。つまり会社として「20歳の成人・新しいステージに立つ」ことになる。その新しいステージに相応しいデザインを演出するために、どのような機能を持たせ、どのような素材を使用すべきなのか。社内のやり取りをスムーズに行うために各部署の代表となるレイアウト委員を選出。それぞれが各部署の代表として移転プロジェクトに参加した。また新しいステージに立つディップのデザインについては、何度も納得のいくまで役員やパートナー会社を含めて打合せを重ねた。

左:特徴的な天井と床面 右:ピクトサイン