株式会社エンファクトリー
株式会社エンファクトリー
株式会社エンファクトリー
2023年7月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
新オフィスのコンセプトは「Play Adventure」。
自由な働き方を象徴するオフィスを構築した
ECサイトを中心としたマーケティングサービスや各種専門家とのマッチングサービスを展開している株式会社エンファクトリー。2023年4月、働く環境の向上を目的にオフィス移転を実施した。新オフィスには、自由度の高い働きやすい機能が設けられているという。今回の取材では、新オフィスのコンセプトや具体的な機能についてお話を伺った。
株式会社エンファクトリー
みんなのユニット
ユニット長
花﨑 亜希子 氏
株式会社エンファクトリー
みんなのユニット
みんなのスタッフ
浅尾 真由 氏
Contents
- たくさんのen(縁)を大事にする。そんな気持ちが事業の根底に流れている
- 従業員のモチベーションの向上を求めてオフィス移転を決断した
- 新オフィスのコンセプトは根柢に流れていた「Play Adventure」
- オフィスの中には、対面ならではの必要なシーンがたくさんある
シャボンティ諸島「テーブルエリア」
たくさんのen(縁)を大事にする。そんな気持ちが事業の根底に流れている
総合情報サイト「All About」を運営する株式会社オールアバウトより、2011年4月にスピンアウトし、さらなるサービスの拡充を目的に株式会社エンファクトリーとしてリスタートした。
設立当初から人材理念に「専業禁止‼ ~生きる力、活きる力を身につける~」を掲げてきた。もちろん単純にパラレルの働き方だけを推奨しているわけではない。そこには「これからの不確実な社会に適応するためには、生活や働き方、生き方をデザインし、生きる力を身につけることが重要である」といった考えが根底に流れている。現在、その理念に共感して集まってきた従業員は約50名。中には、北海道や鹿児島といった遠い地域からフルリモートで働く従業員も存在するという。
同社の事業は、大きく3つに分類したユニットで構成されている。1つ目が「ショッピングユニット」だ。「私と暮らしとアップデート」をミッションにライフスタイル型のセレクトショップ「スタイルストア」を運営する。他社との違いは、取り扱っている商品群にある。社内のバイヤーが全国を奔走して商品化計画を実施し、地方の工房で制作された作品など、こだわりを感じさせる商品が大多数を占める。その他、着物や地域といったテーマを絞ったECサイトの運営を行っている。
2つ目は「プロクルユニット」。これはさまざまな分野の専門家と企業、個人をマッチングさせるサービスとなる。「企業の課題解決に向けて専門家へのアサイン」「専門家の知見を使ったWebサイトの制作支援」「相談したい分野の専門家探しのサポート」といったメニューを揃えている。
そして3つ目が、「ライフデザインユニット」と呼ばれるものだ。企業向け越境学習「複業留学」のピアラーニング、越境・対話型オンライン研修「越境サーキット」の実施、個と組織の成長を促進するプラットフォーム「Teamlancerエンタープライズ」の提供を行う。
「各ユニットだけを見るとまったく異なる事業に見えますが、実は『人』『縁』『支援』といったキーワードがベースにあります。当社の最初の事業である『ショッピングユニット』に関しても、高品質な商品と買い手との有益なマッチングが目的でした」(花﨑氏)
従業員のモチベーションの向上を求めてオフィス移転を決断した
旧オフィスは、JR恵比寿駅から徒歩圏内のビルに入居。使用面積は80坪。約40名が勤務していた。
「普通に机と椅子を並べただけのレイアウトでした。コロナ禍で次第にWeb会議が増えたのですが、周辺の雑音が業務を妨げていました。このままアフターコロナを迎えたとしてもWeb会議は続けていきます。業務効率の向上のためにもWeb会議専用ブースを早急につくる必要がありました」(花﨑氏)
2022年10月、ハイブリッドの働き方を前提に移転の検討に入る。出社率を考えて、面積縮小も視野に入れた。立地も、旧オフィスの周辺だけではなく全方位的に広げた。新宿、五反田、大手町と内見を行っていく。その中で大手町駅から徒歩圏内のオフィスビルに出会った。旧オフィスと変わらず80坪を確保しながら月額賃料は変わらない割安感のある物件だった。そうして移転探しから約2ヵ月。2022年12月に契約を締結した。
2023年1月からオフィスデザインのフェーズに入る。なるべく多くの意見を知るために、各ユニットから選抜メンバーが集められた。その中でも中心的な役割で進行管理を行った部署が管理部門全般を担当する「みんなのユニット」だ。
「総務、経理、法務、人事、広報といったバックオフィス業務全般を専門的に行っています。今回の移転プロジェクトは部署を横断した6名に参加してもらいました」(浅尾氏)
内装デザインは、株式会社オールアバウト時代から付き合いがあるdada株式会社の野村大輔氏に依頼をする。
ミーティングを重ねる中で、元々の課題だった「Web会議専用ブースの設置」に加えて、「撮影部屋と会議室の兼用」「会話が生まれやすい環境への整備」「グリーンの採用によるリフレッシュ効果」など、多くの要望が寄せられた。それらの要望を野村氏に伝える。そして要望を反映したデザイン案が提出された。
新オフィスのコンセプトは根柢に流れていた「Play Adventure」
最初に、執務室の中央に大きなデスクを配置。デスク中心に木を茂らせるというデザインが提案された。
「それを見たメンバーの一人から『ジャングルみたいでカッコいい』という発言があったんです。それは、普段から代表が口癖のように発している『冒険しよう』や『とりあえずやってみよう』といったフレーズに妙にマッチしていて。結果的にそこからオフィスコンセプトが生まれましたが、そのルーツはもともと会社に根付いていた言葉だったのです」(花﨑氏)
新オフィスのコンセプトは「"Play Adventure" さぁ、冒険のはじまりだ!」となった。
「木があることで直接の視線を外すことができます。それでいて会話も促進できる。何よりもこの木は私たちを象徴するモニュメントになりえると思いました」(浅尾氏)
それでは新オフィスを順番に見ていこう。
エレベーターを降りると、同社のロゴマークが象られたパネルが正面に現れる。
「このパネルは旧オフィスで作成したものをそのまま使っています」(浅尾氏)
入口には、壁に取り付けられた内線電話と丸テーブル。テーブルの上には、総合受付の内線番号のプレートが置かれている。
執務室までの通路には会議室が2室。1室は「Tenjiku」と名付けられた6人用の応接会議室。もう1室が「Zipang」。ここはオンラインショップに掲載する商品の撮影を行う撮影部屋も兼ねている。当初は撮影専用の部屋を借りるという案もあったが、撮影部屋との行き来や商品の受け取り、細かい運用などを考えてオフィス内への設置となった。
会議室「Zipang」
「撮影日は毎週水曜日と決めています。撮影部屋が別の建物でしたら、別のユニットメンバーとのコミュニケーションが取りにくくなっていたでしょうね」(花﨑氏)
扉の奥がセキュリティに守られた執務室となる。手前にはソファやテーブル、バランスボールなどが置かれたコミュニケーションエリアが広がる。ここは「シャボンティ諸島」と名付けている。少年漫画「ONE PIECE」に登場する地名の一つだ。
シャボンティ諸島「ソファエリア」
シャボンティ諸島「バランスボールエリア」
「物語の中に『また、シャボンティ諸島で集まろう』というセリフがあって。集まるを象徴する言葉としてピッタリだったのです」(花﨑氏)
そしてオフィスの中央には前述したコンセプトのもとになった大テーブルがある。
「この10人がけのテーブルは『世界樹』と名付けました。世界中で語り継がれているさまざまな神話に登場する樹木の名前です。世界は1本の大樹で成り立っているという概念がとても気に入っています」(浅尾氏)
世界樹と名付けられたテーブル
窓際には大型モニタが並んだカウンター席が配置されている。ここの名称は「グリードアイランド」。同じく少年漫画「HUNTER×HUNTER」に登場する名称だ。その横の壁一面には本棚を設置。同社の「学びの場」というメッセージを伝える空間となっている。
グリードアイランド
本棚「学びの場」
「この本棚は、当社がECサイトで取り扱っている工芸作家さんの作品です」(花﨑氏)
電話対応を考えて部屋の最奥にはカスタマーサポートの部署を配置した。その途中にハイカウンターエリアを配する。
ハイカウンターテーブル
「まだ完成していませんが、部署を超えたコミュニケーションの創出を目的につくりました。月1回、アルコールを提供するイベントを企画する予定です。そういった集まりがエンゲージメントにつながると思っているからです」(花﨑氏)
その他、Web会議用の部屋が2室。稼働率はとても高いという。
「移転後にアンケートを取ったのですが、『広く感じる』『リラックスできる』『会話がしやすい』など、満足度の高い結果がでています」(浅尾氏)
「毎日出社するメンバーは限られており、不満を訴える意見はあまりありませんでした。むしろ、複数を使える交通路線、飲食店の多さといった部分で、社内からの満足度は高まっています」(花﨑氏)
オフィスの中には、対面ならではの必要なシーンがたくさんある
旧オフィスではサヨナラパーティー、新オフィスではお披露目パーティを開催した。
「単なる飲み会にはしたくなかったので、ケータリングにも気を使いました。外部の方にも参加いただいたのですが、とても満足したご様子で。それを考えると対面ならではのパワーを実感した思いです」(浅尾氏)
コロナ禍に入社してきた社員へも対面が効果を発揮したという。
「リモートだけでは、オンボーディングが難しいことを痛感しました。それで入社後もしばらくはオフィスへの出社を続けてもらい対面でのレクチャーを続けました。どんな些細なことでも対面だからスムーズにいく。そんなことを思い知らされました」(花﨑氏)
「人間関係ができている同士のリモートワークは比較的に効果的だと思いますが、それでも対面で話した方がコミュニケーションは取りやすいです。テキストが中心になるやり取りではどうしても冷たい印象になってしまいますので。そういったことを踏まえて、出社したくなるオフィスづくりを目指しました」(浅尾氏)
「ハイブリッドの働き方に転換はしましたが、やはりオフィスに来ることって大事だと思っています。例えば、何かをテーマに議論するときも、言葉や表情があるからこそわかりあえるのだと思っています。だからこそ出社したときはなるべく対面でのコミュニケーションが生まれる仕組みを考えたのです。それはこれからも変わりません」(花﨑氏)
創業以来、一貫して「en(縁)」を大事にしてきた株式会社エンファクトリー。新オフィスへの移転後は、新たな働き方での「冒険」が定着できるように考えている。そして、ここから始まる新たなチャレンジ、それらを楽しめる組織づくりを目指していく。