株式会社HBA

2023年5月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

旧オフィスでの課題を改善して従業員のエンゲージメントを高めた

システムインテグレーション、アウトソーシング、ソフトウエア開発をメイン事業として、ITソリューションを提供している株式会社HBA。旧オフィスの課題改善を理由に2023年3月、オフィス移転を実施した。新オフィスでは、「共創」を目的としたビジネス空間の構築を実現している。今回の取材では、新オフィスのコンセプトや特長を中心にまとめた。

高野 達 氏

株式会社HBA
経営企画本部 副本部長



高野 達 氏

佐々木 要 氏

株式会社HBA
ICTソリューション本部
データマネジメント部 部長


佐々木 要 氏

北川 茜 氏

株式会社HBA
ICTソリューション本部
クラウドソリューション部
クラウドソリューション一課

北川 茜 氏

板羽 尚大 氏

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部
プロジェクトマネジャー


板羽 尚大 氏

Contents

  1. 札幌で創業後、3つの事業をメインにITソリューションを提供してきた
  2. 旧オフィスの課題改善にはオフィス移転が不可欠だった
  3. スケジュール管理、コスト管理など自社だけで行うのは困難だと判断した
  4. 社内でプロジェクトチームをつくりオフィスデザインについて議論を重ねた
  5. デザインコンセプトは、フロアごとに「カラフル」と「ナチュラル」とした
  6. 新オフィスの一番の特長は、フロアの四分の一以上の面積を持つABWエリア
  7. 目指したのは「繋がり」の場の構築。それこそがオフィスの役割と考えている

6階のカラフルをテーマにしたABW全景

6階のカラフルをテーマにしたABW全景

札幌で創業後、3つの事業をメインにITソリューションを提供してきた

株式会社HBAは、19644月に北海道ビジネスオートメーション株式会社として設立。「ITHumanityの融合により、お客様と社会の幸せに貢献します。」を経営理念に、北海道のIT産業を牽引してきた。現在も、システムインテグレーション事業、アウトソーシング事業、ソフトウエア開発事業の3つの事業をメインに高度なITソリューションを提供している。

札幌を起点に道内各地に営業所を増やしながら、東京、関西、山梨、そして海外への進出を果たしている。東京への進出は1976年のことだった。

東京拠点は開設から今日まで何度かオフィス移転を行っており、札幌本社との行き来を考え、羽田空港とのアクセスを重視した立地で拠点展開を行ってきた。

旧オフィスの課題改善にはオフィス移転が不可欠だった

旧オフィスは、東品川に立地するオフィスビルの3フロア、合計約670坪を使用し、入居して約30年が経過していた。東京オフィスは首都圏市場のソフトウエア開発事業の拠点という位置づけで、全社の50%近くを売り上げており、約250名の従業員が所属している主要拠点となっている。

そんな旧オフィスでは4つの課題を抱えていたという。

「一番大きな課題は『ビルの老朽化』です。かなりの築年数が経過しており、過去の地震の影響かはわかりませんが、窓ガラスに亀裂が入るなどの不具合が発生していました。BCPを考えたときに安全性の面から至急の対応が必要でした。二つ目は『手狭感』です。首都圏での事業拡大によって人員を大幅に増やしたため、座席数が足りなくなる直前でした。三つ目は『感染症対策』です。三密を避けるためには一定の距離を保てる空間が必要でした。在宅勤務は導入していましたが、それだけでは対策としては不十分だったのです。そして四つ目は『コミュニケーション不足』です。企業カルチャー改革のためにコミュニケーション活性化を進めているのですが、旧オフィスはフロアごとに部署を分けていたため、他部署同士のコミュニケーションが円滑に取れていませんでした。その対策として5階フロアにコミュニケーションエリアをつくったのですが、なかなか人が集まらなくて。社員同士がもっと自然な形でコミュニケーションがとれる環境をつくりたいと思っていました」(高野氏)

スケジュール管理、コスト管理など自社だけで行うのは困難だと判断した

同社から相談を受けたのは、札幌本社との付き合いもある三幸エステートだった。これまでも関西ソリューションセンター、山梨ソリューションセンターで移転のサポートを行ってきた。

「三幸エステートさんには、品川エリア内の空室物件状況を調べていただきました。その中の1棟が立地、面積、予算が、当社の希望していた条件にピッタリの物件でした。ほぼ即決です。すぐに条件の交渉に入っていただきました」(高野氏)

20228月に賃貸借契約を締結。1フロア約450坪の67階。合計約900坪と拡張移転となった。20234月からの入居を想定すると、わずか半年たらずしかない。そこで必然的にオフィス構築のプロジェクトマネジメントを三幸エステートに依頼をした。

「スケジュール管理、コスト管理、関係各社との調整など、専門的な知識が必要になります。全てを自社だけで行うのは無理があると判断してお願いしました」(高野氏)

社内でプロジェクトチームをつくりオフィスデザインについて議論を重ねた

まず社内でプロジェクトを組成した。メンバーは、東京の各部署から招集した10名ほどの従業員となる。

「オフィスのレイアウトデザインを検討するチーム、ネットワークや設備系のチーム、全体のバランスを考えるチームに分けて進めていきました。過去のオフィス移転は主に総務部門が主体となりましたが、今回は解決すべき課題が多いオフィス移転プロジェクトです。そのため、現場の意見もしっかりとヒアリングする必要があると考えました。同時にそうすることで従業員のエンゲージメントの向上にもつながると思ったのです」(佐々木氏)

そうして同社で構成されたプロジェクトチームと三幸エステートのプロジェクトマネジャー、内装デザイン会社が一体となってオフィスづくりを進行していく。

「オフィスコンセプトは『コラボレーションができるオフィス』としました。旧オフィスは仕切りを多く用いたため、偶発的なコミュニケーションが生まれにくくなっていました。それで新オフィスでは、仕切りを大幅に減らすデザインを目指したのです」(北川氏)

「入居人数から割り出して大まかなスペース配分を行いました。それをもとにレイアウト案を作成いただき、その提案に要望を加えていく。その繰り返しでした」(佐々木氏)

プロジェクト全体の事務局は、三幸エステートプロジェクトマネジメント部の板羽尚大が担当した。

「工事期間を考えるとレイアウト案は約2ヵ月で確定させる必要がありました。曖昧なまま進めてしまうと、今後の工程に支障が出てしまいます。特にデザインに関しては活発な意見が出ていましたので、都度内容を確認しながら速やかに判断をしていきました。それによって生じる関係各社とのスケジュール調整にも気を使いましたね」(板羽)

「定例会ではしっかりとサポートしていただきました。通常の業務を抱える中でのプロジェクトでしたので、効率的な時間の使い方ができてとても助かりました」(北川氏)

「各社との調整でも、常に私どもの目線で交渉をしていただきました。スケジュールもコストも安心してお任せできました」(佐々木氏)

デザインコンセプトは、フロアごとに「カラフル」と「ナチュラル」とした

「旧オフィスでは、席の配置の関係で一日中ブラインドを下げていました。そのためせっかくの天気でも、景観を楽しむことができません。新オフィスではもっと開放的にして、スペースの有効性を高めたいと思っていました」(北川氏)

レイアウトを考えるヒントとして、三幸エステートの関連会社のオフィス見学やWebサイトの数多くのオフィス紹介記事を参考にしたという。

そうして具体的な内装デザインの工程に入っていく。「社内のDX化を進める」「新規事業を創出させる」「ブランドバリューを向上させたい」といった課題を踏まえて、デザインのテーマを「個人と組織が一体となって、双方の成長に貢献しあう空間にする」とした。

「デザインテーマを突き詰めていく中で、『共創』『コラボレーション』『十人十色』といったキーワードが浮かび上がってきました。そこからさらに発展させて、受付・エントランス、ABWエリア、営業・管理系を中心に構成した6階は『カラフル』、技術・開発系が中心となる7階は『ナチュラル』としました」(佐々木氏)

「今までの『東京支社』から『品川コラボレーションオフィス』と名称を変更しました。移転を機に、新オフィスのコンセプトを表現したネーミングにしたのです」(高野氏)

新オフィスの一番の特長は、フロアの四分の一以上の面積を持つABWエリア

6階の受付・エントランスから執務室に入ると目の前に開放感あふれるABWエリアが現れる。エリア内には、「ハイテーブル」「スクリーンエリア」「ベンチ・ソファ」「ブロックソファ」「バーカウンター」「無人コンビニ」「ダーツエリア」「卓球テーブル」などの、存在感のある機能がバランス良く配置されている。

「このABWエリアが新オフィス最大の特長となります。誰かと一緒にランチをとる場、気分を変えて働く場、リラックスして会話を楽しむ場。多様な用途に応じた環境を提供しています」(北川氏)

6階受付・エントランス

6階受付・エントランス

6階ベンチ・ソファ

6階ベンチ・ソファ

6階ブロックソファ

6階ブロックソファ

6階バーカウンター

6階バーカウンター

6階ダーツエリア

6階ダーツエリア

6 階卓球テーブル

6 階卓球テーブル

応接・会議室は、ABWエリアの北側に置かれている。

「来訪いただいたお客様は、このABWエリアを通って、応接・会議エリアに向かうことになります。少しでも当社の雰囲気を感じてもらえればと動線計画をしました」(高野氏)

「応接・会議室は旧オフィスよりも減らしています。旧オフィスでは通常の会議室でオンライン会議を行っていたケースが多かったからです。それならば将来的な働き方を見据えて、個室ブースやWeb会議用ブースを増やそうと判断しました」(北川氏)

「その他、High-Lowを組み合わせた作業デスク、歩いている人と目線が合うように高さを調節したテーブルなど、今までになかった家具も採用しています」(佐々木氏)

7階は、ABWエリアや個室ブース、Web会議用ブースを一部に取り入れながら、技術開発の部署を集中させた。そのため固定席が中心となっている。もちろんユーザ先などの現場常駐の従業員が帰社時に業務をするためのフリーアドレスも用意している。

7階Web会議用ブース

7階Web会議用ブース

7階プロジェクトルーム

7階プロジェクトルーム

目指したのは「繋がり」の場の構築。それこそがオフィスの役割と考えている

移転後、まだ間もないが新オフィスで働く従業員を対象にアンケートを行った。全員ではないが、「移転して良かった」が96.2%と満足度の高い数字が出ている。満足している点は、「デザイン」が最も多く28.4%、次に「立地」が25.7%、「執務スペース」が14.9%と続く。

「今までの利用駅を継続している人にとっては少し距離が遠くなりましたが、最寄り駅からは直結の利便性を誇ります。その点も評価が高い理由なのかもしれません」(北川氏)

このようにして新オフィスが完成した。最後に、オフィスに対する思いを語っていただいた。

「何年か前は現場に常駐する業務でした。たまにオフィスに戻ってくるのですが、自分の席がないときは寂しい思いがありました。やはり自分が帰る場所があるとホッとします。そんな安心感がオフィスにはあると思います」(北川氏)

「コロナ禍では3割出社としていました。在宅勤務を中心とする中で孤独を感じる従業員も少なくなかったと聞いています。やはり人と人のコミュニケーションはオンラインでは生まれにくいのかもしれません。だからこそ新オフィスでは『繋がり』にこだわったのです」(佐々木氏)

「対面での会話を楽しめる場をつくることで、従業員のエンゲージメントが高められると考えました。また、中期経営計画でイノベーションによる事業構造変革を掲げているのですが、その達成のためには社員同士はもちろん、お客様やパートナー企業などさまざまな人や会社と「コラボレーションする」ことが重要だと感じています。そしてこのオフィスから総合力や技術力などHBAの持つ魅力をもっと社内外に発信していきたい。そのためにオフィスを活用した色々な仕組みやイベントを考えていきます。そのような意味においてもオフィスは必要だと思います」(高野氏)

株式会社HBA
「IT」で「幸せ」に挑む。それを最大のミッションに最適なソリューションを提供してきた株式会社HBA。今後も高い創造力や技術力を持つプロフェッショナルとして、社会全体の「幸せ」の実現のために各種事業を拡大していく。

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