株式会社ハイリンク
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株式会社ハイリンク
2023年2月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
事業拡大に伴い従業員のパフォーマンス向上、
採用強化を目的にオフィスの拡張移転を行った
香りの総合プラットフォーム「カラリア」を運営し、「香り」を通した未来を提供している株式会社ハイリンク。主要事業の一つである香水のサブスクリプションサービス「カラリア 香りの定期便」は順調に会員数を伸ばしている。そんな同社は、今後の事業拡大を見込んで2023年1月にオフィス移転を実施した。今回の取材では、新オフィスに取り入れたさまざまな工夫や機能、その目的についてお話を伺った。

株式会社ハイリンク
プロダクトマネージャー
小西 彰仁 氏
Contents
- 香りに新たな可能性を見つけて創業。以降、順調に事業を拡大してきた
- 事業規模の拡大に伴い働き方を考え抜いたオフィス
- 新オフィスのコンセプトは「個とチームの居場所づくり」
- 個々の判断に任せたオフィス運用で自由な発想の創出をサポートする
- 対面でのコミュニケーション。オフィスは安心感を守る防波堤となっている

室内に置かれた香りのアイテム
香りに新たな可能性を見つけて創業。以降、順調に事業を拡大してきた
2017年6月、株式会社ハイリンクが創業した。同社の代表を務めるのは、大学在学中からベンチャー企業2社のインターンを経験してきた南木将宏氏である。南木氏は経営システム工学を専攻しており、日々、進歩しているテクノロジーやAIの技術を活用することで新たな価値創造を実現できるという強い意志を持っていた。
「ファッションやコスメの領域はECでの購買体験が少しずつアップデートされています。しかし香水は目に見えないこともありオフラインでの購入が主流となっていました。特に化粧品ブランドの地方戦略は大型百貨店などを通じての販売が中心となっています。オフラインでの購入が中心ということもあり、香りに関してはお客様の行動分析や趣味趣向といったデータの蓄積が満たされていませんでした」(小西氏)
「このような背景で、『香り』のサブスクリプションサービス『カラリア 香りの定期便』がスタートしました。SNSを上手く活用することで、全国の香り好きな方にカラリアの認知拡大を図りました。現在、新型コロナウイルス発生前と比べて約30倍も会員数を伸ばしています」(小西氏)
同社は、現在約130ブランド1,000種類の香りアイテムを取り扱っている。また、香りに関する専門メディア「カラリアマガジン」を運営している。フレグランス(香り)に特化した情報を満載したメディアで、Instagram、TikTok、Twitterで配信を行う。総フォロワー数は40万人を超えており、ほぼ毎日、社内の専門部署のメンバーが内容の更新・配信を行っているという。
「創業時からはユーザー数の獲得を第一目標にしてきました。今後は、ブランドメーカーとの協業といった違う角度からの事業展開も実現させたいと思っています。当社が蓄積してきたさまざまなデータは唯一無二のもので、新たな商品開発の支援ができると考えています」(小西氏)
事業規模の拡大に伴い働き方を考え抜いたオフィス
移転前は千代田区内神田に立地するオフィスビルに入居していた。面積は約80坪。新型コロナが発生する前からリモートワークと出社を併用するハイブリッドワークを導入していた。しかし会議室は一室のみ。規模の拡大に応じたオフィス環境を整えることが経営課題の一つとなっていたという。
「おかげさまで我々の事業は堅調に成長しています。しかし、その一方で自分たちに課せられた課題の難易度も高くなっています。その解決のためには、より高い専門知識を持つ人材の雇用、多様なワーカー同士の活発なコミュニケーションの促進などが求められていました。それには単純に面積の広い場所に移るだけではなく、しっかりと考え抜いたオフィス戦略が不可欠だったのです」(小西氏)
2022年3月、代表の南木氏を中心に緩やかながらオフィス移転に関するプロジェクトがスタートした。移転先の情報収集を進める中で、旧オフィスの周辺エリアに固執することはなかったという。どちらかといえば面積や交通アクセス、最寄り駅からの距離、周辺環境などを重視し、総合的な判断を行った。最終的には移転候補先を数棟に絞り込み、内見を実施。現在の入居ビルへの移転を決定した。そして将来的な働き方への考えをプロジェクトとして共有していく。その後、小西氏が正式に移転プロジェクトリーダーとして任命された。
「私自身、初めての経験でした。しかし立ち止まっている暇はありません。急いで部署を横断した移転プロジェクトメンバーを招集しました。そして打ち合わせを重ねながらオフィス構築のフェーズに進んでいったのです」(小西氏)
新オフィスのコンセプトは「個とチームの居場所づくり」
「自分たちが身を置いている香水のマーケットというのは、日本ではまだまだ未開拓の部分がたくさんあります。そんな不確実なマーケットですから、何をするか? なぜするのか? を議論しつくしたうえでのアイデアや結論が求められると考えます。そういった新たな発想や思考を創出するための環境をつくること。それがオフィスの一番の目的のはずです。それを考えるとやりがいがありましたね」(小西氏)
「もちろん閃きが生まれにくい日もあると思います。そんなときは気持ちの切り替えが必要です。どんな時でも集まって、相談できる場所がある。そうした働く環境を求めていました」(小西氏)
新オフィスのコンセプトは、「個と組織の居場所をつくる」とした。オフィスに来ることで何かを解決する。同じ場所で、同じ時間を共有することの大切さを言葉にしたという。そして自分たちで決めたオフィスコンセプトを内装デザイン会社に提出。両社で打ち合わせを重ねながら、その思いを具現化していった。
「当社には、『振り返り』というイベントが毎週行われています。何をしたか、何ができなかったのか、今後どうするべきか。中には言葉では伝えにくいこともあります。そんなときでも全員が理解できるまでコミュニケーションを取り続ける。そんな自慢できる文化をオフィス機能として形にしたいと思いました」(小西氏)
個々の判断に任せたオフィス運用で自由な発想の創出をサポートする
それでは新オフィスを順に紹介していこう。
エレベーターを降りると開放感のあるエントランスが表れる。同社のロゴマークの下には受付システムのタッチパネルが配置されている。そこを抜けると会議室が3室。各部屋には「香り」の名前が付けられている。

エントランス
「手前にはシンプルな6人用会議室『Bergamot(ベルガモット)』を配しました。窓面が大きく明るい部屋になっています。その正面には『Zinger(ジンジャー)』。生姜を意味するジンジャーはGingerですが、あえてZingerにしています。音感は同じですが、Zingreにはあっと驚く、ひらめきという意味があります。そういった発想が生まれやすいように、オフィス什器ではなく、ソファーやクッションを並べました。この部屋は代表の考えを最も具現化した部屋といえます。会議というよりはセッションの場になることを目指しています。そして一番奥の部屋が『Rose(ローズ)』です。ここも6人席なのですが、壁際にソファーを付けたことで、大人数での参加を可能にしています」(小西氏)

Bergamot

Zinger

Rose
扉の向こう側が執務室になる。セキュリティカードをかざして入室。執務室は、大きく執務スペースとフリースペースとに分けられている。フリースペースの奥の棚には、約1,000種類の香水が並べられており、そのアイテムは今後も増え続けていく予定だという。

フリースペース全景

約1,000種類の香りを揃えた棚
「このスペースはミーティング、集中作業、食事と自由な使い方をしています。スクリーンを降ろすことで勉強会を行うことも可能です。その他、3室の集中ブースとスタンディングデスクを配置。そして、さらに自由な会話が生まれるようにダーツ台、卓球台、ボードゲームなども揃えています」(小西氏)
「仕事って究極的に考えると高度な伝言ゲームだと思うんです。どれだけ正確に伝えられるか。自分たちが取り組んでいる課題も、もっと気分を上げて取り組んでいきたい。しかし気分を上げる行為って、言葉にするととても難しいですよね。それを体感的に理解できるようにと考えたのが、このフリースペースになります。ミーティングの内容によって会議室を使うのか、スタンディングデスクを使うのかをその時の感覚で選べばいいのです。用途に応じて働く場の選択肢を増やした。それが新オフィスの最大の特長になります」(小西氏)

集中ブース

スタンディングデスク
執務エリアは、部署ごとに机の島がわかれているが、どこで仕事をしても自由となっている。
「当社は、在宅と出社のハイブリッドを取り入れています。そのため、その日の自分の業務を考えて、突然在宅勤務にすることもあります。あくまでも個々の判断に任せています。従業員同士はチャットや共有のカレンダーを使って出社情報を共有しているので、今のところ業務に支障は出ていません」(小西氏)

執務室全景
対面でのコミュニケーション。オフィスは安心感を守る防波堤となっている
さまざまな「居場所」を付加させた新オフィス。移転後は出社して業務を行う従業員が増えているという。
「来訪者の方々からの評価も高いですね。オフィスが一つの企業ブランディングとして機能しているようです」(小西氏)
「今後、このオフィスによってどのような『わくわく』が生まれていくのか。とても楽しみですね。コンセプトである『居場所』の意識が高まっているのだと思います」(小西氏)
「もともと当社にはコミュニケーションを密に取っていくという企業文化があります。新オフィスでは、さらに会話が生まれて全体の雰囲気が良くなっています。会話が生まれることにマイナスな要素は一つもありません。コミュニケーションを促進するための手段としてオフィスってやはり大事だなと思っています」(小西氏)
「やはり同じ場を共有できるというのが個々の安心感につながっていますね。対面という最も伝わりやすい方法で意見交換が出来るのですから。その安心感を守るための防波堤となっているのがオフィスではないかと思っています」(小西氏)

目に見えない「香り」とテクノロジーを組み合わせ、「わくわく」の持つ無限の可能性を信じ、心躍る事業に挑戦している株式会社ハイリンク。今後も、「わくわくする未来と新たな熱狂をつくる」をミッションに、世界中に「わくわく」を届けていく。