株式会社アイノグラフィックス

2015年2月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

「変えなきゃいけない」。今回の移転は社員への強いメッセージ

1995年5月に設立。創業当時からあらゆるジャンルに対応した企画・デザインの制作を行なってきた株式会社アイノグラフィックス。設立当初から、業界に先駆けてデジタルでのデザイン制作に取り掛かってきた。2014年5月に20周年を迎え、本社移転を実施。今回は代表取締役社長の木村有希氏に新オフィスへの思いについて語っていただいた。

プロジェクト担当

木村 有希氏

株式会社アイノグラフィックス
代表取締役社長

木村 有希氏

アイノグラフィックス

はやわかりメモ

  1. 設立当時からビジュアルの重要性を提言。先進的な考え方で事業を展開してきた
  2. 20年の紆余曲折の中で、キーワードは「変えなきゃいけない」
  3. 原点であるロサンジェルスのイメージをオフィスに持ってきた
  4. 企業ブランディングの一環としての役割を果たすオフィス

設立当時からビジュアルの重要性を提言。先進的な考え方で事業を展開してきた

音楽CDジャケット、ゲームパッケージ、Webデザイン、販売促進の企画など、あらゆるジャンルに対応した企画・デザインの制作を行なっている株式会社アイノグラフィックス。その設立は1995年のことだ。

「設立の2年前から大手ゲームソフトのパッケージデザイン・制作開始にあたり、組織づくりと準備を開始しました。高品質・短納期を実現できたこともあり、正式に制作会社として発足。今でもその会社とは業務委託契約を結び、スタッフを常駐させています」

その後、業務を拡大。1998年にはネットビジネスの技術開発部門をロサンジェルスに開設するなど、精力的に事業を展開する。

「社名のINOとは、『インタラクティブ・ネットワーク・オーガナイゼーション』の略となります。その当時から、拠点間の情報のやり取りを課題にしていました。商業デザインをリードしている都市に海外拠点を持っていることで、デザインの潮流を早い段階で知ることができましたね」

年間500タイトルのパッケージデザインをこなすために、いち早くマッキントッシュを導入。DTP(机上でデザイン・レイアウトを作成すること)を実施し、他社に先駆けてデジタルでの業務を数多くこなしてきた。

「紙かデジタルか。どちらかが無くなるわけではありませんが、アナログがデジタルに侵食されつつあるのは間違いないだろうと。世の中の流れを見据え、長期的に物事を考える。そうして今までやってきました」

20年の紆余曲折の中で、キーワードは「変えなきゃいけない」

同社は会社設立時から何度か移転を行なってきたが、全て業務委託先の近くにオフィスを構えてきた。ここに移転する前も市ヶ谷に立地するオフィスビルに入居。80坪の広さを25名で使用していた。

「グレー一色のまるで作業部屋のようなオフィスでした。一人あたりのスペースが狭く、会議室も1つだけ。形だけの打合せブースを2つ用意していましたが、お客様が来社されると打合せ途中でも移動しなくてはならない。そんな悪環境でした」

どちらかというと同社の社員はあまり要望や不満を口に出さない。現状のものを工夫して何とかしてしまう。しかしそれでは何も生まれないと、社長自らが主導の下で移転計画を進めた。

「とにかく『変えなきゃいけない』という思いが強かったですね。私をメインに3~4名でチームをつくって。何とかしなければと思っていました」

移転は経営的にも必要だったという。

「狭いであるとか、打合せをする場所がないといった物理的な改善は移転理由の一つに過ぎません。それよりもオフィスを変えることで社員のモチベーションを向上させたかった。その成果の一つとして会社初の自社メディア" W A N N A M E S H I " http://www.wannameshi.jp/ というサービスがまだティザー段階ですがローンチしました。今後受け身にならず能動的になれる組織に変わらなくてはいけません」

原点であるロサンジェルスのイメージをオフィスに持ってきた

実際に移転を計画したのは2013年12月。市ヶ谷という立地であること、後の採用活動を考えて広い面積であること、ワンフロアで見渡せるスペースであることを必須の条件として絞り込んだ。その中で比較的すぐに決まったという。

「部屋の中に柱が少ないことや三方向に窓があり見晴らしがいいことが気に入りました。市ヶ谷を中心に10棟ほどのビルを見学しましたがその中でもダントツで良かったですね」

それから内装デザインに入る。3社コンペによって選んだ会社と打合せを進める。

「自分たちの中では、当社の原点でもあるロサンジェルスのイメージをオフィスに取り入れたかったんです。最初にそういう雰囲気を出したいことを伝えて。デザインのベースを決めたあと、徐々に細かい部分を詰めていきました」

2月に大まかなデザインが決定。それから工事が始まる。途中、社員にも情報を与えて意見を聞く。椅子に関しては全社員の投票で決めたという。

「僕らにとって椅子は体の一部といってもいいくらい大事なものですから。しっかりと時間をかけて選びました」

それではオフィス内の特長について説明していこう。

エントランス

多目的スペース

多目的スペース

全体が木のイメージでつくられたリフレッシュエリア。ソファー席と多目的のスペースが用意されている。エリアの隅には同社のシンボルであるフクロウが。知恵の象徴を意識させるために色々なところに置かれているという。

会議室

会議室

会議室

エントランスからスムーズにエントリーできるガラス仕切りの会議室。主に来客用としてお客様をお迎えし、自分たちのクリエイティブを存分にアピールする場となっている。社内会議の場にも使用され、広く開放的な雰囲気で活気のある話し合いが多くなった。

執務室

オープンな見渡しのいい執務室。チームごとに分かれている。中央には1つの大きなテーブルが。真ん中にあるシンボルツリーが癒しを与える。あえて椅子は統一せずバラバラなものを用意したという。通路の左側が書庫となる。

執務室

執務室

執務室

執務室

企業ブランディングの一環としての役割を果たすオフィス

オフィス移転をきっかけに、社員全員が胸を張って「うちの会社」といえるようになった。これは最も大きいプラス材料だ。

「その意識は採用活動にも大きく影響しています。自信を持って『当社に来てほしい』といえるようになりました。段々とオフィスは自分たちの活動をアピールするためのものになりつつあります。モチベーションを上げ、新しい自分に生まれ変わる。これからどれだけ面白いことができるか。何かやろうと思ったときに自発的に声をかけやすい環境になったのではないでしょうか。それこそが今回のオフィス移転の目的だったのです。そしてこれからどう活用し続けていけるかが今後の課題だと思っています」