株式会社インソース

2023年3月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

都内2ヵ所の営業拠点を拡張統合し、
社内コミュニケーションを活発にした

顧客の経営戦略にマッチさせた教育支援サービスを提供している株式会社インソース。コロナ禍では、対面式研修サービスの需要減少という問題に迅速に対応し、売上を増加させている。そんな成長下の中、都内の営業拠点2ヵ所の統合移転を行った。今回の取材では、新オフィスでの働き方、オフィスに対する考え方を中心にお話をお聞きした。

川端 久美子 氏

株式会社インソース
取締役執行役員常務

川端 久美子 氏

Contents

  1. 迅速に組織変革を行いコロナ禍でも業績拡大を果たした
  2. 対面での会話こそが重要と考えて営業拠点の統合を決断した
  3. 「基本は出社」とはいえ、各家庭の事情に合わせて対応をしてきた
  4. 開放感のある新オフィスは社内コミュニケーションを活発にする
  5. 自由に働く環境が社内DXを推し進め、Something Newを生む
  6. 近くに誰かがいる安心感。それがオフィスで働く理由

エントランス

エントランス

迅速に組織変革を行いコロナ禍でも業績拡大を果たした

2002年11月、株式会社インソースが設立。社名には、「組織の内側『in』に眠る個人の力『source』を引き出したい」という思いが込められている。

「事業開始は20031月です。創業時は、戦略コンサルティングを行っていました。しかし、コンサルティングのレポートを提出した後に実行性、再現性のある活動に関わることはごく少ないというのが現実でした。『研修』は多くが1日程度です。短い時間ながらも、受講者一人ひとりにとって役に立ち、仕事が楽しく思えるように続けていくことが実は広く社会に貢献することである、という気づきがありました。それから社会人教育をメインとした研修事業にシフトしました」

企業理念を「あらゆる人が『働く楽しさ・喜び』を実感できる社会をつくる」に定め、堅実に事業を展開してきた。現在のサービスメニューは大きく分類すると、講師派遣型研修事業、公開講座事業、ITサービス事業、その他事業の4つとなる。講師派遣型研修事業は、組織に講師を派遣するオーダーメイド型研修を提供するもの。階層型、テーマ別と3,000以上のラインナップを揃えている。公開講座事業は、1名から参加できるオープンセミナー。オンラインでも来場でも受講が可能だ。ITサービス事業は、ITによる業務の効率化を目指すもので、主に人事サポートシステムの開発を行う。その他事業では、人事部門を中心に人材アセスメント、人材紹介、Webマーケティングなどを展開する。

「" 研修 "は、一つの教室に集まって、向かい合わせにグループで座って、ディスカッションをする。究極の『三密』です。コロナ禍では、研修サービスの売上が激減しました。そこで当社はオンライン教育事業部を立ち上げるなどして、迅速に組織変革とサービス拡充を行いました。加えて短期間に急激に増えたオンライン研修を効率的に、ミスなく実施するためのスタジオの開設と社内システムの開発を行いました。eラーニング教育の需要の高まりも追い風となり、コロナ禍であっても業績を拡大させました」

対面での会話こそが重要と考えて営業拠点の統合を決断した

「現在の本社は荒川区西日暮里。駅から数分の好立地に構えています。もともと神田錦町に立地していたオフィスビルに入居していたのですが、タイミング良く希望面積に合致した売却物件があったので購入しました。西日暮里は中心部から離れているイメージがありますが、JR山手線、東京メトロ千代田線が乗り入れていて、公開講座事業の拠点である御茶ノ水や、ITサービス事業の中心の巣鴨にもアクセスが良い場所です。現在、本社には、広報・IR、人事、総務、経営管理等の管理業務の部署と営業部門の一部が入居しています」

同社は、西日暮里本社の他にも都内に数ヵ所のセミナールームや営業拠点を配置している。今回の新オフィス開設の目的は、日本橋と浜松町に設けていた営業拠点の集約だった。

「日本橋オフィスは30坪に約20名、浜松町オフィスは28坪に約10名が在席していました。コロナ禍では、従業員が一斉に集まるような交流会の実施を自粛していました。働く場所が異なってしまうと、社員同士でもまったく顔を合わせることが無くなり、社内の活性化や情報共有に問題が生じていました。また、より事業拡大を目指すためには、業務に必要な知識やスキルを継承させて、個々の能力をステップアップさせる必要があります。そのためにも『対面』は重要な条件だと判断しました」

そこから都内2ヵ所の営業拠点を統合する計画が具体的となった。統合に際してのオフィス探しは、三幸エステートが担当する。同社の賃貸オフィスの仲介サポートを一任されており、同社のこだわりやニーズを理解しているのが理由だ。

「単に当社の希望に合わせたビル情報だけではなく、必ずプラスアルファの情報を提案いただいています。その情報には魅力的な提案が含まれていることが多いです」

今回は拠点集約ということで、各拠点の中間点にあたるエリアを立地条件としていた。

「それぞれ30坪程度でしたので60坪もあれば十分だと思っていましたが、今回もそれとは別の視点での提案がありました。少し広い面積でしたが、最終的に契約を締結したのは新橋駅至近の大規模オフィスビル。98坪の区画でした。今後の『採用』『Something New』を支えるスペースとして、その提案を受けることにしたのです」

「基本は出社」とはいえ、各家庭の事情に合わせて対応をしてきた

同社の特長の一つに、多様な人材が働く組織というのがあげられる。ダイバーシティを特別に意識したわけではなく、事業に必要な人材を採用していった結果だという。

「育休率は男女ともに高いですね。男性社員でも90%を超えています。日常から情報共有をしっかり行っているからこそ、スムーズな対応ができているのだと思います」

「コロナ禍、まん延防止対策時も、『基本は出社』でありながらもあえて会社として『全員、**』という方針にはしませんでした。本人や家庭の状況が異なるからです。高齢者や小さなお子さんと一緒に住んでいる場合、出社はできない、できるだけ控えたいでしょう。また、一人暮らしで仕事の報・連・相や通信インフラの事業で出社したいと考える社員もいるでしょう。そこで出社に関しては、在宅勤務や時差通勤、時短勤務など、それぞれの事情に合わせて対応することにしました」

同社では、コロナ禍以前から、ライフイベントにあわせた働き方を選択できる環境と実績があった。

「『あらゆる人が、それぞれの個性と能力を最大限に発揮し、お互いが尊重し認め合うことを通じて、組織の成長を実現する』というのが当社の組織づくりの指針にあります。オフィスに出社できないことを理由に会社を去ることは、結果として組織にとって大きな損失だと思うのです」

開放感のある新オフィスは社内コミュニケーションを活発にする

それでは新オフィスを順に紹介していこう。エレベーターを降りると落ち着いた佇まいを感じさせるエントランスが現れる。

エントランス

エントランス

エントランス

エントランス

「当社はCSRの一環として、東京藝術大学出身の若手アーティストや研究者を支援する取り組みを行っています。新オフィスのエントランスには、作品を幅広く鑑賞いただくために作品を展示し、展示作品は定期的に変えていく予定です」

エントランスの内装は、港区西麻布の三ツ星レストランを担当したデザイン会社が手掛けている。

「店舗や商業系の内装を得意としているデザインの会社さんにお願いをしました。当社からの希望通りにミュージアムや画廊のようなイメージを漂わせることに成功しています」

その他、エントランスエリアには応接会議室セミナールームオンライン配信ルーム3室を設けている。営業拠点にセミナールーム、オンライン配信ルームを備えたことで収益性も向上した。

セミナールーム

セミナールーム

応接会議室

応接会議室

オンライン配信ルーム

オンライン配信ルーム

「オンラインでも対面でも研修ができる部屋をつくることができ、結果としてこの面積にして正解でした。新卒採用活動が活発になるシーズンにはこのオフィスでも面接を行うため、このエントランスが当社の『顔』にもなります」

扉の奥が執務室となる。明るく開放感のある空間に机が並べられている。新オフィスへの移転を機に少人数のチーム構成に変えた。それは経営戦略上、より部下の行動や言動を確認すべきとの考えからだ。

「新オフィスは『区切らない』をルールとしました。見通しをよくするためにパーテーションのような遮るものは極力減らしました」

執務室の中には、3つのオンライン商談ブース、2つのチームミーティング用デスクが配置されている。

「オンライン商談が定着し、稼働率も高いです。また、別の拠点の営業メンバーが訪問の途中に新オフィスに立ち寄って仕事をしていくケースも増えて、今までになかったコミュニケーションも生まれています。それも大きな移転効果の一つと言えるでしょうね」

執務室

執務室

オンライン商談ブース

オンライン商談ブース

自由に働く環境が社内DXを推し進め、Something Newを生む

「コロナ禍と時を同じくして『DX(デジタルトランスフォーメーション)』の推進が求められるようになりました。当社でも社内のDX推進の一環で全社員が「Python(パイソン)」というプログラミング言語の研修を受講しました。若手ほど積極的に研修に参加し、その言語を使って業務に活かすために独自のシステムを組み始めました。ごく自然な形で社内DXが推進されました」

そしてこれを機に事業所内に新部署が急遽、誕生。IT研修や社内システムを構築するチームとなる。

社内DXを推進することによって、大きく3つの効果が生まれたという。

1つは、システムの構築によって業務効率が上がったこと、2つ目は、携わった社員それぞれに達成感が生み出されていること。そして3つ目は、当社が持つDXツールの促進に、自分の経験を活かしたセールストークが展開できることです」

近くに誰かがいる安心感。それがオフィスで働く理由

「少人数のチーム制によって新しいリーダーも生まれました。チーム内で、お互いに助け合い、アイデアを出し合っている姿を目にします。また同期入社のメンバーと遭遇する機会が圧倒的に増えました。お互いが刺激しあうことで、プラスの効果が生まれています」

そういった部分も含めて、対面での働き方は同社にとって必要だと語る。

「コロナ禍を経験して、対面でのコミュニケーションの必要性を再認識しました。今後も仕事をしていく中で、近くに誰かがいる安心感を大切にしていければと思っています。それがオフィスで働く最大の理由だと思っています」

株式会社インソース

創業以来、お客様が求めるものを早く、最適につくり、リーズナブルな価格で提供することに徹してきた株式会社インソース。今後も、どのような人でも活躍できる社会の実現を目指し、お客様が求めるサービスを提供し続けていく。