株式会社JTOWER

2022年8月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

「移転によって実現したいこと」を
明確にして新オフィスを構築した

2022年7月、執務スペースの拡張を理由にオフィス移転を実施した株式会社JTOWER。4点の実現したいことを明確にして新オフィスの構築を行った。今回は、移転プロジェクトの背景や新機能の概要、コンセプトについて、主要メンバーの方々にお話を伺った。

貝畑 あかね 氏

株式会社JTOWER
コーポレート本部
人事・総務部
労務・総務グループ

貝畑 あかね 氏

佐藤 千晶 氏

株式会社JTOWER
コーポレート本部
人事・総務部
労務・総務グループ

佐藤 千晶 氏

山岸 習子 氏

株式会社JTOWER
コーポレート本部
広報グループ長

山岸 習子 氏

小中 紗樹 氏

株式会社JTOWER
コーポレート本部
法務グループ

小中 紗樹 氏

Contents

  1. 通信インフラシェアリングの提供で社会が必要とする未来をつくってきた
  2. 旧オフィスの課題は手狭感と社員間のコミュニケーション不足
  3. 「移転によって実現したいこと」をレイアウトデザインで表現した
  4. 旧オフィスの課題を改善するためにオフィスコンセプトを考え出した
  5. フロアの特性を活かしたレイアウトを構築していく
  6. 新オフィスではハイブリッドの空間づくりを目指していく

執務室全景

執務室全景

通信インフラシェアリングの提供で社会が必要とする未来をつくってきた

2012年、日本初の通信インフラシェアリング会社として株式会社JTOWERが設立された。当時の日本ではインフラシェアリングという言葉自体、一般的ではなかったという。

「インフラシェアリングとは、携帯キャリア各社が単独で整備してきた携帯通信設備を共用化する仕組みのことです。効率的なネットワークの整備だけではなく、コストの削減や消費電力、資材、工事工数の軽減といった環境負荷にもプラスの影響を与えることが可能です。また5Gの拡大が進む中、その電波特性からより多くの基地局の設置が必要とされます。そんな将来的なネットワーク環境の側面からも通信インフラシェアリング活用の広がりが見込まれているのです」(山岸氏)

その対象も、オフィスビルや商業施設、医療施設、行政施設といった大型の建物で、広範囲にわたっている。

「設立当初は、屋内のインフラシェアリングが主力事業でした。現在はそれに加えて屋外の電波環境設備を効率化するタワーシェアリング事業、ローカル5G事業と、事業を拡張しています」(山岸氏)

旧オフィスの課題は手狭感と社員間のコミュニケーション不足

旧オフィスの面積は約150坪。手狭であるのと同時に、2フロアに分散していたためスペース効率の悪さと社員間のコミュニケーション不足が課題となっていた。

2020年の緊急事態宣言の直前に全社員を対象に在宅勤務をスタートさせました。在宅勤務を採り入れたことで一時的に手狭さは緩和されましたが、将来的な採用計画を考えるとすぐに手狭になることは明白でした」(小中氏)

「しかもオフィスフロアは2階と4階でしたので移動がとても不便でした」(山岸氏)

「当社は、事業の案件ごとに部署を横断したメンバーでプロジェクトを組みます。頻繁な打ち合わせが必要になるのですが、旧オフィスには簡単に集まれる場所が限られていました」(貝畑氏)

「事業の拡大に比例して採用計画も活発になっていきます。そのためには十分な執務スペースの確保が必須だったのです」(佐藤氏)

「移転によって実現したいこと」をレイアウトデザインで表現した

移転先となるオフィス探しは、数年前から動き出してはいたものの、なかなかタイミングが合わなかった。そんな中でも、JTOWERのニーズに沿うような物件情報を定期的に提供していた三幸エステートが仲介を行った。

「物件情報はいずれも当社のニーズを捉えていました。また、こちらの相談にも細かく対応いただいていたため、送られてくるものはしっかり確認するようにしていました」(貝畑氏)

「青山という立地は慣れ親しんでいただけでなく、ビルのグレード、面積も含めて希望通りの物件でした」(小中氏)

新オフィスとして選んだビルは地下鉄「青山一丁目」駅から徒歩1分の立地となる。

「外苑東通りに面したガラス張りのモダンな外観で、1フロア300坪超。分散していたフロアを1フロアに統合することができる理想的な移転先でした」(貝畑氏)

そして20221月、移転のためのプロジェクトチームを組成する。

「プロジェクトメンバーは、総務をメインに働き方やデザイン、コミュニケーションなどの観点から広報などの担当が加わりました。そして正式にアサインされたのが私たち4人だったのです」(佐藤氏)

20227月を新オフィスのオープン日として設定する。日数はあまりない。そのため急ピッチでデザイン会社の選定を進める必要があった。

4社コンペを行いました。コンペの依頼時には、当社から『移転によって実現したいこと』を優先的に解決すべき課題として提示しました。提出期限は1ヵ月後。とてもタイトなスケジュールの中で、各社様ともに素晴らしいデザイン案を提示いただきました」(山岸氏)

【移転にて実現したいこと】(JTOWER資料から)

  • 全社員が出社しても問題ない設備(席数、スペース)
  • 対面コミュニケーションの活性化による効率アップ
  • オンライン/オフライン含む、さまざまな業務に集中できる環境
  • JTOWERらしさを体現できる洗練されたデザイン


「最終的には当社の思いがうまくデザインに落とし込まれていた案を採用しました」(小中氏)

旧オフィスの課題を改善するためにオフィスコンセプトを考え出した

新オフィスのデザインコンセプトは「JTOWER LINK STATION」とした。旧オフィスでのコミュニケーション不足の課題解消を考えてつくられた。

「チーム同士のリンク、組織としてのリンク、社外のステークホルダーや協力会社とのリンクが今よりもさらに強く、拡がっていくためのワークプレイス構築を目指します。つまり新オフィスがそうしたさまざまなリンクを生み出す基地としての役割を担うことを意味しています」(貝畑氏)

「旧オフィスもフリーアドレスを採用して働き方に自由度を加えていました。しかしいつの間にか固定席のように座る位置が変わらないという状況になっていました」(山岸氏)

「フリーアドレスにもかかわらず机の上に私物を残したまま退社するといったケースも増えていました。そこで新オフィスでは、以前より収納力のあるパーソナルロッカーを用意しました」(小中氏)

そして「JTOWER LINK STATION」のコンセプトに基づいてオフィスレイアウトの構築を進めた。

フロアの特性を活かしたレイアウトを構築していく

「新オフィスは仮に在宅勤務の社員が全員出社した場合でも、席が足りなくなるということはありませんし、家具の配置を含めてかなり余裕のあるレイアウトになっていますので、今後の増員にも対応可能です」(貝畑氏)

「新オフィスを構築するにあたり、会議室の数に関しては議論を重ねました。結局、会議室の数自体は1室しか増やしませんでした。その分、容易に打ち合わせができるエリアを増やしたのです。オープンな場ではありますが、ミーティングのやり方も変わってきているので、その方が相応しいと判断したのです」(山岸氏)

「結果的に応接会議室の稼働率も上がり、無駄のないスペース運用ができています」(小中氏)

それでは具体的に新オフィスを紹介していこう。

エントランスは、自然を感じさせる植物とともに、先進性を感じさせるデザインでまとめた。思い切ったチャレンジをしながら華美なデザインになりすぎないことに気を使った。そんな落ち着いた雰囲気は訪れたお客様からの評価も高いという。

エントランス

エントランス

「エントランスを過ぎると応接会議室エリアとなります。会議室は、16人用の大会議室1室。それに10人用、6人用を2部屋ずつ用意しています。大会議室は各社様とのプレゼンや役員会議などでの用途が多いですね」(佐藤氏)

会議室エリアの通路

会議室エリアの通路

大会議室

大会議室

執務室はパーティションを設けず見晴らしの良い空間とした。そして広い窓面に沿ってフロアを回遊するための「通路」を設けた。

「この通路は『CIRCUIT』と名付けています。ここが新オフィス最大の特長になりますね。社内外の移動の動線となることで、オフィス全体に動きと活気を創出させることが目的です」(山岸氏)

「『CIRCUIT』の内側には窓面からの採光を最大限利用した『PHYSICAL』エリアを配置しました。コミュニケーションが活発になる仕組みとして、カフェカウンターソファエリア、ファミレスエリアをつくりました。打合せだけではなく、ランチやリフレッシュなどで多くの方が会話を楽しむ場所になっています」(小中氏)

CIRCUIT

CIRCUIT

カフェカウンター

カフェカウンター

ソファエリア

ソファエリア

集中スペース

集中スペース

これらのオフィスづくりは、「コミュニケーションに使えるカウンターが欲しい」「簡単に集まれる打合せスペースは必要」「Web会議室は今後の業務に重要」「集中できるスペースを新設してほしい」といった社員の声を大事にした結果となる。実に9割の要望が生かされているという。

「どこかのタイミングで全社員を対象にしたオフィス満足度調査をやってみたいですね」(貝畑氏)

フロアの最奥は作業に集中するための「FOCUS」エリアを設けた。

「ここはフォンブースが2つ、集中スペースが4つ。それらに関しては、使用時間や使い方の運用ルールはあえて厳密に決めていません。あくまでも私たちが心掛けたのは、『禁止』ではなく『緩やかなルール』でした」(山岸氏)

新オフィスではハイブリッドの空間づくりを目指していく

「新オフィスはデザイン面だけを重視するのではなく、ロジカルな考えに基づいた当社らしいオフィスになりました」(山岸氏)

「当社の場合、関係各社との複雑な調整が常に発生します。そのため働き方が変わったとしても、対面でのコミュニケーションは重要と考えています」(小中氏)

「新型コロナウイルスの感染予防対策として採り入れた在宅勤務でしたが、いつの間にか2年以上が経過しています。社員はオンラインでの働き方にも慣れてきました。おそらくコロナが収束しても在宅勤務は継続することが予想されます。今後はハイブリッドの働き方が無理なく実現できる。そんなオフィスづくりを行っていきたいですね」(貝畑氏)

「社員が出社したいときに出社できる。そんな環境に整えていかなければと思っています。今回の新オフィスの構築がゴールとは考えていません。常に社員の要望を聞きながら改善を重ねて、働きやすいオフィスを提供していきます」(佐藤氏)

株式会社JTOWER
株式会社JTOWERは、インフラシェアリングのパイオニアとして通信分野における技術力や蓄積された実績・ノウハウを最大限に活かした事業展開を行っている。今後も新規事業を本格的に稼働させながら、社会全体のデジタル化の推進に貢献していく。