株式会社Legaseed

2020年10月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

コロナ禍の中で拡張移転を決意。その驚きと感動を与えるオフィスとは

成長企業の経営者にノウハウや情報、ツールを提供することで、人と組織の成長コンサルティングを行う株式会社Legaseed。コロナ禍の影響で2020年3月末に全面テレワーク体制に移行した。その後9月末に品川駅港南口に立地する大規模ビルに本社移転を実施する。テレワーク導入による「オフィスの縮小」を実施する企業もある中、なぜ拡張移転を決意したのか?その想いを代表取締役 近藤悦康氏にお話を伺った。

近藤 悦康氏

株式会社Legaseed
代表取締役

近藤 悦康氏

Contents

  1. 完全テレワークの実施から一転、必要に迫られてオフィスを構築した
  2. 「都会のオアシス」をコンセプトに癒しと未来への希望をもたらすデザインに
  3. アミューズメントパークのアトラクションのようなオフィス
  4. 「永遠に愛され、命を持つ会社」となるべくさまざまな工夫を凝らす
  5. 中途半端なモノでは誰も感動しない。徹底してこそ人に感動を与えられると考える

憩いの場「OASIS(オアシス)」を使ったインターンの運営風景

憩いの場「OASIS(オアシス)」を使ったインターンの運営風景

完全テレワークの実施から一転、必要に迫られてオフィスを構築した

「はたらくを、しあわせに。」を経営理念に掲げ、人と組織の可能性を極大化させるサービス提供を行う株式会社Legaseed。同社は20131111日、マンションの一室から業務をスタート。その後、港区芝周辺に本社移転を実施した。それが旧オフィスとなる。

当時は、いずれ近い将来に移転することを想定して建替予定のオフィスビルを対象に物件探しを行ったという。建替工事の直前に退去するのであれば原状回復をする必要もなく、割安な賃貸条件で借りることができると判断したためだ。しかし5年後と考えていた建替時期は予想よりも早く、入居約3年後に移転時期が訪れた。

「想定よりも早かったとはいえ、入居時から中長期の移転計画を立てていましたから問題はありませんでした。スケジュールを調整し直して移転候補ビルのリストアップを行いました。そして品川駅から東京駅までのエリアを対象に数多くの候補物件を検討。最終的に約20棟に足を運んで周辺環境やビルの設備環境を確認しました」

移転先選定までの工程に関してはほぼ近藤氏の主導で行われたという。そんな中、移転先を確定するタイミングで新型コロナウイルス感染症が全国的に広がる。3月末には完全テレワーク体制に移行。シェアオフィスを活用しながら業務を行っていた。従来は対面で行っていた営業促進や人事採用、その他全ての業務をリモートに。全社的にワークスタイルの転換を図った。

「いざ実施してみると、思っていた以上に円滑に活動できることがわかりました。しかし、『テレワークでは生産性が下がる』という社員も一定数いたことも確かです。私もオフィスは絶対に必要だと考えていましたから移転先探しは継続して行っていました。しかし次第に、コロナ感染対策もあってオフィスの内見自体が困難になります。思案していたところに現オフィスビルを見つけることができました。面積、立地の2大条件をクリアしていることもあり、あとはトントン拍子に。何しろターミナル駅の大規模ビルです。当社としては少々背伸びをしたと思われるかもしれませんが、ここで出会えた縁を大事にしました」

「都会のオアシス」をコンセプトに癒しと未来への希望をもたらすデザインに

移転先は、品川駅港南口からペデストリアンデッキで直結している超高層ビル群の1棟。多くの優良企業が入居している大規模オフィスビルである。新オフィスの面積は約235坪。旧オフィスよりも少し広い面積を確保した。

契約締結後、すぐにオフィス構築のフェーズに入る。近藤氏が詳細なイメージを組み立てていき、内装デザイン会社と打ち合わせを行う。デザイン会社も次第に同社の思いやイメージを感じ取っていく。打ち合わせを重ねるごとに思い描いていたデザインが形になっていく。

旧オフィスのコンセプト「都会の秘密基地/宇宙船」に対し、新オフィスのコンセプトは「都会のオアシス」とした。

「現在、コロナ禍の中で不安な気持ちになりがちです。それでもオフィスに来ることで気持ちが癒され、未来への希望が持てるようにとさまざまな機能を加えました。思う存分につくり込んだオフィスです。増員計画を行いながら長期にわたって使っていく予定です」

アミューズメントパークのアトラクションのようなオフィス

エレベータホールから案内図に沿って進むとオフィスエントランスに。間接照明で「Legaseed」の社名ロゴが浮かびあがっている。岩肌を模した壁と床で洞窟のイメージでつくり込まれており、まるでアミューズメントパークのアトラクションの様相だ。受付に配されたカメラは、顔認証システムで来訪者を識別するとともに非接触型体温計を組み込んだ。発熱者やマスク不装着者などの入室を禁止することでコロナ感染症対策も講じているという。

「エントランスから執務室までの通路は『GENESIS ROAD(ジェネシスロード)』と命名しています。岩肌には壁画風のイラストを描いていますが、その中にさりげなく社名の由来も紹介しています。また、サウンドエフェクト効果で洞窟の中にいるような風情を醸し出すなど、雰囲気づくりにも配慮しました」

オフィスエントランス

オフィスエントランス

GENESIS ROAD(ジェネシスロード)

GENESIS ROAD(ジェネシスロード)

CAVE(ケイブ)

CAVE(ケイブ)

GENESIS ROADの曲がり角には「CAVE(洞窟)」と呼ばれる小会議室が配置されている。この部屋の入口は木目状で組み立てられ、さながら秘密基地のような趣を持つ。さらに道なりに進んでいくと徐々に明るくなる。ちょうど「洞窟を抜けた」位置に「OASIS(憩いの場)」と呼ばれるエリアが現れる。ここは「満月」と「三日月」の形状の円卓が並べられており、いくつもの机同士を組み合わせることが可能だ。個々のワークプレイスとしての利用のほか、内定者の研修プログラムなどに使用される。

「研修プログラムはオンラインでも開催され、在宅で出席する方もいます。来社しても講師とは対面で向き合わずにノートPCのモニターを介して対話。感染リスクを下げながらの工夫を行っています」

OASISの中には「DEW COUNTER(露、しずく)」が設置されている。喉を潤して渇きを癒すためにドリンクバーを配置する。このカウンターでは、勤務時間終了後、社員がアルコール飲料を楽しむことも可能だという。ちなみにこのOASISの天井部分は『青空の広がり』をイメージさせている。天井をスケルトンにして照明を付けているが、もう少し改善の余地があると考えているという。

DEW COUNTER(デューカウンター)

DEW COUNTER(デューカウンター)

そこを進むと「FOREST(森)」エリアとなる。

「森をイメージさせた通路になります。壁に隠し扉があって通路からではここに部屋があるなんてわかりません。内部は掘りごたつ仕様の会議室を設置しました。こういう隠れ家的な仕掛けは遊び心からつくったものですが、オフィスへ足を運んでいただいた方に驚きを与えているようです。その驚きが感動に変わっていく。そして『また来たい』と思っていただく。それだけで今回のオフィスづくりは成功したと考えています」

FOREST(フォレスト)

FOREST(フォレスト)

FORESTを抜けると、そこから先は高セキュリティを備えたOFFICE AREAとなる。ここは、セールスやマーケティング、開発など会社に直接的な利益をもたらす部門が集結する「OFFENCE(オフェンス)」、総務・人事・経理などのバックヤードのメンバーが集まる「DEFFENCE(ディフェンス)」、それにインターンシップの学生やパート従業員などが勤務する「FLEX(フレックス)」にそれぞれ分割されている。オフェンスエリアに隣接して執行役員が主に使用する「COCKPIT(コックピット)」がある。                                                                    

「COCKPITでは、会社に関するあらゆる情報が常時表示されています。社員一人ひとりが今日どれだけの売上を立てたかはもちろん、『今、どこにいて、何をしているか?』までリアルタイムで追跡可能です。逆に社員に対しても、会社全体の今月の売上高から当期の損益、どこの金融機関にいくら借金しているかまで開示。全てオープンにしています」

OFFICE AREA(オフィスエリア)

OFFICE AREA(オフィスエリア)

「永遠に愛され、命を持つ会社」となるべくさまざまな工夫を凝らす

FLEXとDEFFENCE AREAに挟まれた小部屋「VIEW(ビュー)」は、オフィス内で最も眺望の良い窓際の一角に位置する。ここは内定者の最終面接や重要な商談などが行われる場所としてつくられた。さらに通路を進むと、ちょうどオフィスを半周してOASISに戻ってくる仕掛けだ。この通路は「FUTUER ROAD(フューチャーロード)」と呼んでいる。

「FUTUER ROADの壁には、社員一人ひとりの叶えたい夢を飾っています。壁の一角には誕生月ごとにパネルを分けました。そうすることで社員同士がお互いの夢や誕生月を知り、理解を深め合うという効果を期待しています。その中には将来、当社を巣立っていく方もいるでしょう。しかし、退職されたとしても会社の歴史を創った一員ということに変わりはありません。当然、書かれたパネルはいつまでも残しておこうと思っています」

FUTUER ROADを抜けると、OASISの手前には「バオバブの木」が置かれている。アフリカのサバンナ地帯に実在する樹齢数千年に達することもある植物のレプリカで、「永遠に愛され、命を持つ会社になる」という願いを込めたものだ。旧オフィスでは見学に来た学生がエントリーシートを投函するポストとして使用していました。

バオバブの木

バオバブの木

OASISから通路を挟んで窓側は「LOUNGE(ラウンジ)」と呼ばれるお客様向けのエリアになっている。エリア内には陽当たりのいい丘をイメージしたミーティングルーム「HILL(ヒル)」や集中作業のための「MOBILE BOOTH(モバイルブース)」が設けられている。LOUNGEの外周部は本棚になっており、ここには近藤氏や社員が読んだビジネス書や専門書、さらに近藤氏が執筆した著書がずらりと陳列されている。LOUNGEの突き当たりには「STUDIO(スタジオ)」と呼ばれる防音室があり、動画や音声コンテンツの制作、オンライン配信の部屋となっている。

LOUNGE(ラウンジ)

LOUNGE(ラウンジ)

「オフィス内の壁は『セルフィール』という有害物質を分解して消臭や抗菌効果のある化学物質を塗装しております。これは『空気中の水分を過酸化水素とオゾンに分解することで、ウイルスの膜を破壊して不活性化させる』というものです。また、オフィス内の動線も往路と復路が交わらないように配慮した動線設計になっており、狭い通路でのすれ違いによる接触感染のリスクを可能な限り低減しています」

中途半端なモノでは誰も感動しない。徹底してこそ人に感動を与えられると考える

移転前は30名だった社員数が、今では50名まで増員している。20214月にはさらに約30名の新卒採用が決定している。この他にパート従業員が約10名、半年後には90名前後が新本社オフィスで働くことになる。

そして業務の可視化を推進することと、テレワークをうまく併用することで、「密」にならない労働環境を維持していくという。

「新オフィスを構築するにあたり想定していたコストよりも増えてしまいました。しかし会社が成長していく過程でのこと。全く問題ないと思っています。前年比の目標も高い数値を設定していますが、現在のメンバーと来春の新卒者、中途採用者らの人材が当たり前に機能すればできない数字ではないと確信しています」

なお、今回の移転では社員のほぼ全員に新オフィスの内容を知らせていなかったという。

「できるだけシークレットにしてサプライズ効果を狙いました。お招きしたお客様も言葉が出ないくらいに驚いてくださいました。中途半端なモノをつくっても『こんなものか』で終わりです。徹底してこそ人は感動してくれると改めて知ることができました。きっとこのことは仕事でも同じなんでしょうね」

OFFICE MAP

OFFICE MAP

株式会社Legaseed
新卒や人材採用を切り口に理想の組織づくりを提案するコンサルティング会社として2013年に設立された株式会社Legaseed。
サービスポリシーは「自分たちにしかできない。自分たちだけの価値を創造する」。その言葉通り、同社でしかできないサービスにこだわり、完全オーダーメイドの採用システムを提供している。
https://www.legaseed.co.jp/