株式会社ネットプロテクションズ

株式会社ネットプロテクションズ

2018年8月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

多くのコミュニケーションポイントをつくり働くというより話すことで
「つぎのアタリマエ」を生み出す環境を構築した

テクノロジーを活用して新しい信用を創造する「Credit Tech(クレジットテック)」のパイオニア企業として、あらゆる商取引を円滑にしていくことを目指している株式会社ネットプロテクションズ。2002年より日本で初めて未回収リスク保証型の後払い決済サービス「NP後払い」の提供を開始し、今では年間ユーザー数3,000万人超と圧倒的な業界シェアを誇っている。そんな同社も前年対比約140%の成長を支える人員採用でオフィスが手狭に。近隣に分室を設けて切り抜けてきたが、同社が2013年から掲げるビジョン「つぎのアタリマエをつくる」を活性化させることを目的に統合移転を行った。今回の取材では、移転計画、コンセプトワーク、オフィス構築を中心にお話を伺った。

鈴木 史朗 氏

株式会社ネットプロテクションズ
取締役CTO

鈴木 史朗 氏

赤木 俊介 氏

株式会社ネットプロテクションズ
カスタマーサービスグループ
マネージャー
赤木 俊介 氏

森田 千絵 氏

株式会社ネットプロテクションズ
セールスグループ
営業支援チーム チーフ

森田 千絵 氏

エントランス

Contents

  1. 圧倒的な業界シェアを誇る後払い決済サービスのパイオニア
  2. 50棟超の物件情報から最適なオフィスに絞り込んでいく
  3. 新オフィスに何が必要かを考えた結果、旧オフィスの課題解決にもつながった
  4. 新オフィスの最大の特長はコミュニケーションポイントの設置
  5. 今後はオフィス移転のWGから働き方改善のWGに移行していく

圧倒的な業界シェアを誇る後払い決済サービスのパイオニア

株式会社ネットプロテクションズは2000年に創業。創業時から「eコマースに新しい標準を」をミッションとして掲げてきた。

2002年から通信販売事業者向けの後払い決済サービス「NP後払い」をスタートさせた。日本初の未回収リスクを保証した決済ソリューションは、お客様のニーズに合わせて次々に新しいサービスを展開していく。そして今では、テクノロジーを活用して新しい信用を創造する「Credit Tech」分野のパイオニアとして急速に成長を続けている。

「主力事業である「NP後払い」は、累計1億4000万人以上が利用。23,000店もの導入実績を誇るまでになりました。現在、日本で初めての未回収リスク保証型の後払い決済サービス「NP後払い」の他に、同サービスにより培った独自の与信ノウハウとオペレーション力を企業間取引向けに展開した「NP掛け払い」は前年比約170%のスピードで成長を続けております。昨年には、購買体験がこれまでよりも快適になる新しいカードレス決済「atone(アトネ)」をリリースいたしました。決済サービスを通じて、顧客の購買歴・支払い歴をあわせた取得難度の高い信用ビッグデータを保有しており、今後はさまざまな領域でのデータ活用・展開を模索していきます。」(鈴木史朗氏)

50棟超の物件情報から最適なオフィスに絞り込んでいく

創業時は赤坂のオフィスビルに入居。数人でのスタートアップだった。すぐに手狭になり同エリア内で移転。その後、またも拡張の必要に迫られ移転を行う。

「当時は赤坂以外に日比谷や六本木のオフィスビルも候補になっていました。最終的には広さと交通アクセスの良さ、周辺環境のイメージが決め手となり銀座に移ったのです。1フロア面積230坪のオフィスビルでした」(鈴木氏)

当初は4階フロアだけを借りていたが、業務拡張により次第に人員も増えていく。応急処置的に2階フロアの増床や近隣オフィスの確保をするも、それでも手狭になりいよいよ本格的に本社移転の検討を始める。ここからオフィス移転のアドバイザーとして三幸エステートが参加することになる。

「この時に社内の移転プロジェクトチームが発足しました。メンバーはわずか5名。少ない人数ではありましたが、意思決定の全権を与えられていたので迅速な決断が可能でした。当時は移転までのタイミングが合わなかったため、分室を設けてしのぐことに。そして同時並行で今後の人員増加に備えて移転計画を進めることにしたのです」(赤木 俊介氏)

同社の人事制度の特長にワーキンググループ(WG)がある。それは、個々人がメインの業務を持ちつつ、業務時間の20%程度で自分の想いのある業務に手を挙げてチャレンジしていくという制度だ。

「別の分野での経験は自らを成長させる要因の一つになるという考えのもとで会社として推奨しています。人事管轄ではなく有志だけで運営しているのもユニークな点です。いくつものWGの中の一つが『Relocation(移転)』でした」(鈴木氏)

「私は立候補をして移転プロジェクトに加わりました。会社のことを考えるいい機会だと思いまして。とはいっても会社の引越しなんてすべてが初めてのことばかり。三幸エステートさんには基本的なことから契約書の見方まで丁寧に教えていただきました。とても心強かったですね」(森田 千絵氏)

「当社のビジョンの一つに『歪みのない事業・関係性をつくる』というのを掲げています。三幸エステートさんの誠実な対応は、当社の目指す姿勢と重なり共感できました」(赤木氏)

最初は旧本社を構えていた銀座を中心にオフィスビルの情報を見ていくが、なかなかイメージに合う物件に出会えない。そこで範囲を広げることにする。提供された50棟以上の候補物件の詳細をすべて確認。周辺のビジネス環境も優先条件に加えて10棟に絞り込む。そこから2日間を使ってビル見学を行った。

「見学した10棟のビルはエリアを絞ることなく広範囲に分布していましたね。そしてすべてのビルの広さ、周辺環境、飲食店の多さ、交通アクセスなどで総合的に判断しました。三幸エステートさんに提出いただいた通勤時間・交通費のシミュレーションはとても参考になりました」(森田氏)

「入居可能時期を確認後、現在のビルに決めました。6駅8路線が利用できる交通利便性も気に入った理由の一つです。1フロア面積320坪の3フロア。理想としては1フロアへの集約でした。しかし3フロアといっても連続フロアですし、ゾーニング計画によって働きやすさを高めることは可能だと判断したのです」(赤木氏)

新オフィスに何が必要かを考えた結果、旧オフィスの課題解決にもつながった

2017年12月にビル側との契約を終え、オフィスデザインに進む。ただしビルの竣工は2018年5月。7月には移転を完了させたいため、工事期間はわずか2ヵ月しかない。そのため、事前に明確にデザインコンセプトや家具、色調などを決めておく必要があった。

「コンペ開始の前段階で、当社が目指すべき方向性について全社を巻き込んだグループディスカッションを行っています。私たち5名のWGが主導で全社から性別や年齢、属性がバラバラになるようメンバーを募って。グループディスカッションでは『なぜ、自分はネットプロテクションズにいるのか』『ネットプロテクションズは自分にとってどういう存在か』というテーマでディスカッションをしました。オフィスという軸ではなく、会社と自分の関係性という軸でのメンバーの意見を聞き出すことにしました。最初からオフィスだけに焦点を当ててしまうと正しいオフィスのあり方にたどり着けないと思ったのです。3チームに分けて1ヵ月間をかけてディスカッションを実施しました。その後、ディスカッションで出た声を元にWGメンバーと協力会社さんで半年かけてコンセプト作成をしました」(森田氏)

「今回のプロジェクトでは、旧オフィスの良い部分を踏襲しようとか、課題の解消とかを考えたわけではありません。当社の理念である『つぎのアタリマエをつくる』を達成するためにどのようにアプローチすべきかを考えたのです」(赤木氏)

「新オフィスのコンセプトは『Activity Based Talking~働くというより、話そう~』としました。会話は人と人をつなげるための重要なファクター。当社の理念である「つぎのアタリマエ」は会話の中に存在すると考えました」(鈴木氏)

「確かに以前のオフィス環境は、社員のコミュニケーションを分断してしまうという問題が生じていたのは事実です。結果として課題を解決することにはなりましたが、最初からそこにフォーカスしたわけではないのです」(赤木氏)

コンペに参加した各社ともに魅力的な提案だったという。その中から満場一致でデザイン会社が確定した。

「各社様ともに素晴らしいプレゼンテーションでした。その中で今回依頼した会社は、少しだけ当社への理解度が高かったかなと。良質なオフィスをつくるというよりも継続的に働く環境をプロデュースするという考えで。当社のパートナーとして長くお付き合いできる先だと感じさせるものがありました」(赤木氏)

■オフィス移転スケジュール
2017年8月:物件探し・グループディスカッション開始
2017年12月:移転先ビルと契約締結
2017年12月:コンペによりデザイン会社が決定
2018年5月:ビル竣工
2018年5月:内装工事開始
2018年7月:完成・入居

新オフィスの最大の特長はコミュニケーションポイントの設置

新オフィスの特長はいたるところに自由に使えるコミュニケーションポイントを設置したところにある。

「オフィスの使い方って、メンバーや時期によっても大きく変わります。ですから『このエリアではこんな使い方をしてください』といった決められたルールをつくらないようにしました。そのように発信した時点で、『自由』から離れてしまう気がしたからです」(鈴木氏)

新オフィスは連続階で3フロア。フロアが上下階に分かれたが、なるべく統一のイメージとなるように工夫された。

「各フロアともに外周にベンチを置き、ベンチに囲まれている状態をつくりました。どのフロアにいても同じようなインタラクションとなります。メンバーとの結びつきをイメージできる居心地のいい空間です」(森田氏)

それでは5階フロアから順に紹介していこう。5階は来客スペースが中心となる。エントランス横にはちょっとした打ち合わせやコワーキングスペースとなる「Qisui」。130名の着席が可能で社内外の勉強会やセミナーなどにも活用される。淡水と海水が入り混じる「汽水域(キスイイキ)」が由来で、社内外から得られる刺激が混ざり合うことでシナジーを誕生させるという思いから名付けられた。

奥には会議室エリア。大小の個室を6室用意し、会議の用途ごとに使い分けをする。すべての部屋には瞬時に空室確認ができるように曇りガラスをはめ込んだ。

「会議室の名称は『P-chiku(やんちゃにピーチク)』『PA-chiku(おちゃめにパーチク)』『BOSS(重要な話らしい)』など、各室内で想像できる行動が名称となっています」(森田氏)

その他、2つのオープン席も用意されており、時間内で会議が終わらなかった場合などに使用できるようになっている。40名が着席できる大会議室「G20(ずらりと並ぶ本気のオトナ)」は個室では一番大きい広さで主に取締役会や総会といった用途でも使用ができる。

ボックス席

ボックス席

ソファ席

ソファ席

会議室「BOSS」

会議室「BOSS」

オープン席

オープン席

大会議室「G20」

大会議室「G20」

来客エリアと執務エリアの間には全面ガラスを使用。セキュリティを確保しながら開放的な雰囲気を演出している。執務エリア手前には、共用の備品やモニタなどが置かれるユーティリティエリア。2名で使用すれば個別面談スペースになり、1人で使用すれは集中スペースとしても使用できるボックス席。モニタが設置された壁の近くには背の高い机と椅子が配置されており、即席で軽く打ち合わせをする際に大変人気な場所となっている。ゆったりと会話を楽しむことができるソファ席、靴を脱いで使用するリラックススペースでは、休憩はもちろん、プロジェクタ投影も可能となっているためチームでの打ち合わせとしても使われている。

6階に入室するとまず視界に入ってくるのがリフレッシュエリア『iCOi(いこい)』だ。
「人と人をコミュニケーションでつなぐという意味を持っています。ランチやリフレッシュだけでなく、設置したプロジェクタを使って社内勉強会も行われています」(森田氏)

その奥には350人分の個人ロッカーとハンガーラックが設置されている「げたばこ」と呼ばれる空間が広がっている。

「このフロアは全員のロッカーを集約しているため、出社と退社時に必ず立ち寄る場所となります。そのため普段あまり接点のないメンバーと顔を合わせる機会が増えました。もちろんそこでは偶発的な会話が発生しています」(赤木氏)

そしてフロア全体がワークスペースとなる7階。フロア内には同社の社風を表現した独特のエリアが新設された。一つが中央に設置されたドアのない会議室「GAYA(そのツッコミに愛はあるか)」。部屋の中はひな壇とプロジェクタ。自由な意見が交わされる場になっている。もう一つがブランコ会議室「BLANCO(ゆらぎ、ふわり、にやり)」だ。身体感覚を刺激しながら斬新な発想が生まれることを期待してつくられた。

「新オフィスは自由な社風をアピールしているため、今後の採用にもかなり良い影響を与えるのではと思っています」(赤木氏)

その他、社長含めた役員席をフロア内に点在させ、いつでも気軽に相談できる環境とした。もちろん他のフロア同様に、色々な使い方ができるベンチやソファ、可動式デスクもレイアウトされている。

「目的に応じて上下フロアを回遊して必要なところで自由に働いてもらう。あえてルールを決めすぎないということを決めています」(鈴木氏)

リフレッシュエリア「iCOi」

リフレッシュエリア「iCOi」

ドアのない会議室「GAYA」

ドアのない会議室「GAYA」

ブランコ会議室「BLANCO」

ブランコ会議室「BLANCO」

今後はオフィス移転のWGから働き方改善のWGに移行していく

約2年にわたるオフィス移転プロジェクト。一旦、WGは解散する。そして、より社員が快適にオフィスエスを使用できるよう、現場の意見の集約や、各人で判断ができるようになるための判断基準を作るための「オフィス改善委員会」を新たにメンバーを募り発足したという。

「オフィスを継続的に改善していくためのチームで、私も参加することにしました」(森田氏)

「あまり僕ら作り手側の意思が強くなりすぎないようにバランスを取りながら現場主導で変えていければと思っています。『オフィス改善のあり方』といった原点から考えていければいいですね」(赤木氏)

「会社の理念である『つぎのアタリマエをつくる』は、決して新しいことだけにこだわっているわけではありません。今まで常識として成り立っていたことは果たして正しいのか。そこに手を加えて本当のアタリマエにしていきたいと思っています。オフィスづくりも同じです。常にコミュニケーションをとり、想像力を高める。そして今後も色々な角度から『働きやすさ』に挑戦していきたいと思います」(鈴木氏)

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