プライマル株式会社

2018年11月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

移転を機にオフィスの「見える化」に取り組み
コミュニケーションの活性化を目指す

SI事業・コンサルティング事業・ソフトウェアプロダクト事業の3つの事業を通じて多くの企業に付加価値を提供しているプライマル株式会社。同社は事業拡大に伴い、2018年7月、東京本社オフィスを新宿区へ移転した。さらに、同年11月にはそれまで利用していたレンタルオフィスから新大阪駅徒歩圏内のオフィスビルへの移転を実施した。新宿と大阪、これらの新オフィスに共通するコンセプトについてお話を伺った。

近藤 誠 氏

プライマル株式会社
代表取締役社長

近藤 誠 氏

上田 晃 氏

プライマル株式会社
取締役

上田 晃 氏

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Contents

  1. ユーザー固有の企業資産であるExcelデータを活用したシステム構築
  2. 契約更新のタイミングで増床か移転かを検討。最終的に移転を決断する
  3. 業者からの提案をベースに、オフィス見学で得た発想も取り入れた
  4. オープンスペースの活用で「見える化」を推進。風通しの良いオフィスに
  5. 本社と同じ設備を持つ大阪オフィスを構え、さらなる事業拡大を目指す

ユーザー固有の企業資産であるExcelデータを活用したシステム構築

現在、企業の財務会計や経営管理用に国内だけでもかなりの数のソフトウェアが存在する。各社がそれぞれ工夫を凝らしたパッケージソフトを提供しているが、その多くは自社仕様のカスタマイズが必要となるものばかりだ。社内データを会計ソフトに移行する作業には少なからず手間も時間もかかるため、特に中小法人や個人事業主ではなかなか導入が進んでいないのが実状といえる。

プライマル株式会社は「自社ブランドを通じて世の中の役に立ちたい」との思いから数名のメンバーでスタート。2009年に最初の製品を市場に投入した。その当時の導入先とは現在も継続した取引をしているという。

「企業が成長していく過程で経営管理システムの構築は不可欠です。そして多くの企業が集計しているExcelデータをそのままベースとして活用したいという潜在的なニーズをお持ちです。そこで、当社はExcelデータを活用しつつ専用のシステムを構築するSIベンダーとして2006年に旗揚げしました。SIベンダーとしてはかなりの後発になりますが、財務会計ソフトの導入が遅れている企業に絞り込んだサービスをすることで、使い勝手やコストパフォーマンスの面で高い評価をいただいております」(近藤 誠氏)

同社の強みは、豊富な業務知識を持つ技術者集団だということ。一般に、経理・会計・人事などの経営管理実務と、ソフトウェアの技術開発実務はまったく別物であり、両方の知識・経験を合わせ持つ人材は少ない。しかし、同社に在籍するITエンジニアは公認会計士や日商簿記などの有資格者が半数以上を占めており、ユーザーがどんな機能を求め、それをいかにシステム上で実現していくかを理解しているのだという。ちなみに同社代表の近藤氏の前職は大手監査法人で公認会計士としてキャリアを積み、創業メンバーでもある取締役の上田晃氏は社内システムを開発するエンジニアであった。

「当社は、お客様の使い勝手や品質に徹底的にこだわったソフトウェア開発に取り組んでいます。2018年にはグループ経営管理システム『BizForecast(ビズフォーキャスト)』ブランドを統一。常にバージョンアップを重ねながらお客様のさらなる業務の効率化・軽減につなげられるように努めています」(上田 晃氏)

契約更新のタイミングで増床か移転かを検討。最終的に移転を決断する

同社の組織構成は、システム開発を担当するエンジニア部門とユーザーへの導入を促進するコンサルティング部門の2つに大別される。2006年6月、顧客のオフィスの一角を間借りして創業し、翌2007年1月には港区西新橋に15坪前後の自前のオフィスを借りる。その後、2~3年おきに港区内で移転をくり返すことになる。2番目のオフィスは50坪前後となり、3番目のオフィスは70坪前後と、メンバーの増員とともに規模を拡大してきた。現在の本社に移転する直前には港区虎ノ門に4番目のオフィスを構えていたが、事業の拡大に伴い組織も成長を続け、やがてそこも手狭になってきたという。

「3番目のオフィスはもともと取り壊しが決まっていたビルだったため、相場よりかなり格安の賃料で借りることができました。4番目のオフィスはそこと同じオーナーの物件だったこともあり、入居時には条件面でいろいろ配慮していただきました」(近藤氏)

しかしいくつかの課題が生じていたという。一つは、打ち合わせ用のスペース不足だ。外来者用の応接室を兼ねたクローズドの会議室を2室用意していたが、常に予約が一杯でメンバー同士が打ち合わせをする場所がなかったという。また、フロア内の区画割りの関係で空調が効きづらくなっているゾーンがあった。一部の社員からはしきりに室温に関する要望があがっていた。

「室温調整ができないことで作業効率も大幅に低下しますし、社員の健康面でも不安を感じていました。そこで、55席分あった執務室がほぼ満席になったのを機に、同ビル内での増床か、移転を検討することになりました。最終的に移転を決断したのですが、これまで通りの港区内ではなかなか条件に合う物件が見つからなかったのです」(近藤氏)

そこで渋谷区や新宿区、千代田区、さらには湾岸エリアなども含めて移転対象エリアを拡げた。最終的に30棟前後となった候補物件の中から絞り込み、2017年11月から内見を始める。

内装業者からの提案をベースに、オフィス見学で得たアイデアを取り入れた

オフィス仲介は三幸エステートが担当した。三幸エステートの担当営業は、同社が創業間もないころからの付き合いとなる。

「当社のことを十分に理解していただいているので、あえて言葉に出さないような細かい要望まで組み入れた提案をいただきました。最初にリストアップされた候補物件の中から書類選考で5棟まで絞り込み、すべて現地に足を運びました。そうして内見した中で、この新宿のオフィスが一番良かったのです。設備やグレード感はもちろん、何といっても29階の窓からの眺望が印象的で。やはり、実際にこの目で見てみないと判断できないこともありますね」(上田氏)

今回のオフィス移転プロジェクトから上田氏が全面的に指揮をとることになった。上田氏にとっては、慣れない業務のためにいろいろと戸惑う場面もあったようだが、同社をよく知る担当営業のサポートもあり無事に移転を遂行できたという。

「2017年末には現ビルに正式に申し込み、2018年の年明け直ぐに内装会社と顔合わせを行いました。今回の内装業者さんは初めてのお付き合いになります。数社コンペを行った結果を見て決定しました」(上田氏)

内装会社である株式会社ヴィスからは、同社の基本的な要望を踏まえた上で、さまざまなファシリティが提案された。たとえば、窓際に設けられた「カウンター席」や、3つのブースから構成される「ファミレス席」などは、内装会社から「ここに、こういう機能があると良いのでは?」と提案されたことがきっかけで実現したものである。

「内装デザインをお願いするにあたって、ヴィスさんのオフィスを見学させていただきました。他社のオフィスを見学する機会はあまりないので、いろいろと勉強になりましたね。たとえば、バックヤード倉庫については、このときのオフィス見学がきっかけとなって、こちらから特にリクエストしたものです。『バックヤードに倉庫スペースを設ける』というアイデアは、自分たちだけで考えていたら絶対に思いつかなかったと思います」(上田氏)

「移転実施時の座席数は約70席としました。移転直前が55席だったので、それなりに余裕のあるレイアウトです。将来的にさらに増員した場合でも対応できるように、フリースペースを設けることで拡張性を持たせました。計算上では、執務スペースは最大88席分まで拡張できる設計になっていますので当面の間は移転せずに対応できると考えております」(近藤氏)

レイアウトプランも含めて最終的なオフィス設計が決定し、内装工事に入ったのは2018年5月から6月にかけてのことである。新オフィスでの営業開始は7月2日であり、スケジュール的にはあまり余裕のない移転計画となったが特に混乱などもなかったという。

「三幸エステートさんにはこちらからの問い合わせに対するレスポンスも早く、初めての移転業務で行き届かない私をきめ細かくサポートしていただきました。そして2017年暮れに社内向けに移転スケジュールを発表したのです」(上田氏)

カウンター席

カウンター席

ファミレス席

ファミレス席

オープンスペースの活用で「見える化」を推進。風通しの良いオフィスに

今回の移転コンセプトは "コミュニケーションの活性化" 。フリーアドレスの導入なども検討したが、結果的には従来通りの固定席の採用となった。エンジニア部門の作業環境を重視したこともあるが、コンサルティング部門にとってもチーム単位での動きやすさを考えての判断であった。

「具体的な移転計画を発表したとき、まさか移転先が新宿とは誰も予想していなかったようで、皆驚いていました。カウンター席やファミレス席といった機能は初めて見た者が多く、一同感激していましたね」(上田氏)

壁や天井の色調も新オフィスを機にイメージを変えた。旧オフィスではコーポレートカラーであるグリーンを基調としていたが、新オフィスでは明るいホワイトに統一。社内の雰囲気を一変させた。

「ファミレス席でのミーティングや、カウンター席に数人が集まってランチをとるなど、新しく用意されたファシリティは自然に使いこなしていますね。特に『この場所はこういうふうに利用してほしい』といったアナウンスはしていないのですが、たちまち活況を呈するようになりました。今では、3つあるファミレス席のブースが全部埋まっていることも珍しくありません。カウンター席にノートPCを持ち込んで気分転換をしながら仕事をしているメンバーの姿もよく見かけます」(近藤氏)

カウンター席側の窓は新宿の高層ビル街とは反対方向に面しているため、視界を遮る建物もなく29階からの眺望を堪能できる。さらにコーヒーやドリンクサーバーなどを用意したバーカウンターもあり、社員が自由に飲食できるようになっている。カウンター席4つと、大きな丸テーブル3つを配置したオープンスペースは、社内でも人気のスポットだという。

「会議室には今回新たに導入した『インタラクティブホワイトボード』を設置しました。これはスクリーンとホワイトボードの兼用でPCに繋いで資料を映写し、その上にマーカーで直接上書きできるようになっています。さらに、スカイプも内蔵していて遠隔会議もできるという優れものです。TV会議や新卒説明会、ミニセミナーなど、さまざまな場面で活用しています」(上田氏)

何より「今そこで誰が何をしているのか?」外から見て一目瞭然であるため、社内の風通しも良くなり、「見える化」が進んでいるという。

オフィスエントランス

オフィスエントランス

執務室

執務室

フリースペース

フリースペース

会議室

会議室

本社と同じ設備を持つ大阪オフィスを構え、さらなる事業拡大を目指す

同社では営業エリアの拡大に伴い、2013年1月より大阪オフィスを立ち上げている。当初は現地メンバー1名からのスタートで、レンタルオフィスを利用していたが、担当する案件が拡大傾向に。メンバーも増員しつつあるため、今回独立したアカウントとして事務所を構えることになった。

「大阪オフィスは、東京本社のミニチュア版というイメージで、特にコンペなどは行わず、仲介業者も内装業者も東京と同じ会社に発注しています。また、これまではスカイプ機能を使ってPCの小さな画面で遠隔会議をしてきましたが、新オフィスでは『インタラクティブホワイトボード』を導入しました。デスクやチェアをはじめ、小規模ながらカウンター席やファミレス席も本社同様のファシリティを備え、本社と同じ環境で仕事できるようになります」(近藤氏)

大阪オフィスの担当する案件は、四国や九州など西日本全域に及ぶため、新幹線のアクセスの良い新大阪エリアで物件を探し、新大阪駅まで徒歩圏のオフィスビルに決定。2018年10月に契約し、11月末に入居を行った。

「当社は現在、中途採用よりも新卒採用に力を入れており、2019年4月には東京6名、大阪2名の計8名の新卒者の採用が決定しています。今後も引き続き採用を進め、事業規模を拡大していく方針です」(上田氏)

「そして経営管理ツールの専門ベンダーとしての地位を固め、日本経済の発展に貢献することを目指していきます」(近藤氏)

大阪オフィス

大阪オフィス

大阪オフィス ソファ席

大阪オフィス ソファ席

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