株式会社令和トラベル
株式会社令和トラベル
株式会社令和トラベル
2025年6月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
社内外のコミュニケーションを促進させ
さらなる創造性が生まれるオフィスに
「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに掲げ、デジタルテクノロジーを最大限に活用することでこれまでにない旅行体験の提供を目指す株式会社令和トラベル。同社は2025年5月、渋谷区桜丘エリア内で大規模オフィスビルへの移転を実施。移転を機にメンバーの働き方を一新し、「NEWTラウンジ 渋谷」という新たな取り組みも開始した。今回は移転の経緯とプロジェクトの全容についてお話を伺った。

株式会社令和トラベル
コーポレートデザインUnit
HRデザイングループ
上田 里恵 氏

株式会社令和トラベル
コミュニケーションUnit
PRグループ
鹿原 美奈 氏
Contents
- テクノロジーを駆使した旅行予約アプリで高成長を遂げた
- 移転先の決め手となったのはアクセス、広さ、街のエネルギー
- 旅の高揚感と開放感が広がる空間が完成。新たな取り組みもスタート
- 働き方の中心をリモートから出社へ。併せて新ルールを制定した
- 全員が集まる場所でアイデアを交わし合い、未来の旅行を描いていく

エントランス
テクノロジーを駆使した旅行予約アプリで高成長を遂げた
株式会社令和トラベルは、2021年4月に海外旅行事業専門で展開する旅行代理店として創立。コロナ禍という厳しい状況下でのスタートだったが、翌2022年の4月に旅行アプリ「NEWT(ニュート)」をリリース。ツアーの検索から予約、帰国までのトータルサポートをアプリで完結できる画期的なサービスである。特にU29をはじめとする若年層を中心に支持され、旅行需要回復とともに瞬く間に人気が広がった。今では10万を超える業界最大級のツアーラインナップを誇り、「かしこい、おトク、旅行アプリ」として高成長を続けている。
さらに、2025年4月には各界で活躍する著名人が旅をナビゲートする新プロジェクト「NEWT Wonder(ニュートワンダー)」を始動。同年6月にはAIがお薦めの旅行プランを自動生成する提案機能「トラベルプランナー(ベータ版)」を自社開発しリリースするなど、次々と新しいサービスや機能を世の中に送り出している。
同社が他の旅行会社と異なるのは、DXを積極的に取り入れている点だ。
「私たちはアプリをメインに開発し、テクノロジーの力とAIの活用でこれまでにない旅行体験の提供を目指しています。例えば、『予約名とパスポートの名前が違う』というのはよくあるトラブルですが、これは『パスポートスキャナー』機能を使うことで事前回避可能です。さらにチャットでの気軽な相談、旅行行程を瞬時に提案する機能等で、旅行にまつわる手間を最小限に抑えることができるのです。それがNEWTの大きな魅力となっています」(鹿原氏)
移転先の決め手となったのはアクセス、広さ、街のエネルギー
同社は旧オフィスに70名程で入居していたが、事業成長に伴うメンバー増加により、スペースが手狭になっていった。また、重要視する「集団凝集性」のベースとなる組織力を高めるため、直接のコミュニケーションが重要だと考え、より広いオフィスへの移転は急務となっていた。
移転に向けて動き出したのは、2024年の初頭。代表取締役 CEOと取締役 兼 執行役員CHRO(Chief Human Resource Officer)を中心に、一部のメンバーを加えてプロジェクトチームが結成された。移転先の条件は、経済性を踏まえたうえでのアクセスの良さや、今後の増員を見据えたコミュニケーションの活性化を設計できる広さと形状だった。同年6月頃からは、渋谷エリアを中心に移転先の検討を開始。他に表参道や六本木なども候補エリアにして選択肢を広げた。合計20棟ほど検討したがどれも決め手に欠け、難航していた時に今回の移転先物件と出会う。場所は旧オフィスと同じ渋谷区桜丘のオフィスタワービルの上層階。旧オフィスから約5倍の面積への拡張となった。当初の条件をクリアしていたことに加え、第一希望だった渋谷エリアである点と、1フロアを使うことでコミュニケーション活性化の仕掛けを施しやすい点が背中を押した。
「渋谷という街は一つのカルチャーになっており、流行や情報などの流れがとても早いのが魅力です。それらが全て集まるという点で、当社の事業に適していました。リクルーティングの観点でも同様です。メンバーも渋谷の街が好きですし、満足度の高い移転になりました」(上田氏)
旅の高揚感と開放感が広がる空間が完成。新たな取り組みもスタート
それでは新オフィスを紹介しよう。エレベーターホールから一歩進むと「NEWT」のシンボルであるウミガメのロゴと植栽を取り入れた爽やかな受付があり、奥には開放的なラウンジが広がる。ここではオープンな打ち合わせだけではなく、セミナーなどのイベントも行うことが可能だ。照明や音響にもこだわり、ビジネスイベントやインフルエンサーとのパーティー、ライブ配信イベントなど、さまざまな演出ができる空間となっている。

ウミガメのロゴ

ラウンジ
また、窓際にはオープンカフェのようなバーカウンターが設置されている。
「ここには、アンケートで寄せられた要望をもとに選んだスナックやドリンクを置いています。みんなが集まり、会話が弾んでいる様子もよく見かけます」(鹿原氏)
そのほか、渋谷の街を一望しながらリラックスできるソファスペースも設けられており、まるで空港のラウンジのようだ。新オフィスのデザインコンセプトはそのイメージ通り「エアポートラウンジ」。旅に出る前の高揚感、落ち着いた雰囲気、美味しい軽食とドリンク、出会いと発信が生まれる時間など、空港のラウンジに漂う空気感が再現されている。このコンセプトは内装デザイン会社に依頼する前から社内で考えられていたという。また、社内アンケートを活用したオフィスづくりは、今までオフィスで働いたことのないメンバーへ働きやすい環境を提供し、出社に対するハードルを下げることも狙いだった。

バーカウンター

ソファスペース
「旅といえば、『タビマエ』『タビナカ』『タビアト』と全て統括して旅だと思っています。それこそ空港のラウンジにいる時は、飛行機を見てより楽しみになることもあると思います。そういう旅行前のワクワク感や、ほっと一息つけるような落ち着きを体験できる空間を目指すべく、『エアポートラウンジ』をデザインコンセプトとしました」(上田氏)
「働きやすい環境になったとはいえ、出社する楽しみは必要だと思っています。今の若手3年目ぐらいのメンバーはコロナ禍もあり、入社してからこれまで『オフィスに出社する』という環境で働いたことがありません。彼らは出社のイメージが湧かないため、まずはそのハードルを下げることから始めました。快適なオフィス環境を提供することで、『少しでも来たくなる、ほんの少しのきっかけ』をつくる目的で考えたのです」(鹿原氏)
移転を機に新たな取り組みもスタートした。それが「NEWTラウンジ 渋谷」だ。予約制でお客様が実際にオフィスを訪れ、トラベルコンシェルジュと直接相談しながら旅行プランを組むことができる。オンラインだけでは表現しきれない旅の魅力やこだわりを伝え、お客様の要望などもくみ取りながら、新しい旅行体験の第一歩をサポートする。現地ガイドを依頼し、その場所でしか体験できないオリジナルツアーを企画することも可能だ。
会議室の中には、外部との発信機能を強化するための部屋もある。各扉には「Poke」「Pizza」「Sushi」などの各国の食べ物の名前とイラストが付けられており、これらは社内アンケートで決めたという。
「移転プロジェクトは少人数で進められましたが、メンバー全員のオフィスとしてみんなに愛着を持ってほしいという考えから、アンケートでアイデアを募りました。その結果、世界各国の代表的な食べ物の名前を付けることになったのです」(鹿原氏)
執務エリアも十分なスペースが確保された。現在、メンバー数はインターン生も含めると120名程まで拡大している。新オフィスは全員分の席を用意し、さらなる採用活動を行っても問題のない広さである。固定席の他にも、オンライン会議に適した個人用ブースやファミレス席、多人数用デスクが設置され、日々の何気ない会話からワークショップ、ミーティングまで行うことができる。

執務エリア

ファミレス席
働き方の中心をリモートから出社へ。併せて新ルールを制定した
また、同社は移転を機に、週に3日のオフィス出社をルール化した。一方で、やむを得ない事情や家庭の都合などがあれば柔軟に対応できるよう「優しい例外」を設けている。同社が掲げる自由と責任のポリシーのもと、組織・全社の成果にプロとして責任を果たすことを前提に、個々が自由に働ける環境を整えている。
「以前はコロナ禍の影響でリモートワークが主流でした。しかし、スピード感を持って成長していくために対面でのコミュニケーションを重視し、出社を推奨することにしたのです。とはいえ、リモートワークの良さももちろんあると考えているので、完全出社にはせずにハイブリッド体制を採用しています」(上田氏)
出社ルールに加え、新たに日直制度も制定された。全員で一つの共通したことに取り組むことで、メンバーの意識改革を図るのが目的だ。
「最初はオフィス内の植栽への水やりから始まりました。今では通路に落ちているゴミを率先して拾うなど、メンバーもオフィスに対する愛着が生まれてきたように思います」(上田氏)
「視覚から入る情報はメンバーの創造力やコミュニケーションに良い影響を与えるだろう、という代表の強い想いも含まれています」(鹿原氏)
全員が集まる場所でアイデアを交わし合い、未来の旅行を描いていく
新オフィスとそれに伴う働き方の変化はメンバーからの評判も良く、すでに移転効果が表れ始めているという。
「バーカウンターで休憩していると自然と会話が生まれるというような、偶発的なコミュニケーションが多くなったという声も寄せられています」(上田氏)
「当社では、インターンシップで参加されている学生の方々も学業と両立しながら働いています。多くのメンバーと自由に議論し、業務に取り組む姿は社内に良い刺激を与えています」(鹿原氏)
また、開放的なラウンジは、同社を訪れる社外関係者からも好評のようだ。
「航空会社の方々からも、まるで本物の空港ラウンジのようだという感想をいただいています。そんな風に皆さんに喜んでいただけるという点では、ベストなテーマでのオフィスづくりができたと感じています」(上田氏)
「最近は採用面接時に実際にオフィスに足を運んでいただくこともあり、実際の開放的な社風を感じ取ってもらえているようです」(鹿原氏)
同社が今回の移転で重視したのは、対面での人と人との集い、交わりだった。その中で改めてオフィスの重要性を感じたという。
「移転後は全員が出社するようになったことで、対面ならではの価値を改めて実感しました。コミュニケーションのスピード感や熱量は、顔を合わせることで生まれてくることも大いにあると思います。リモートワークを含めた働き方を併用することももちろん重要ですが、『全員が一度に集まる、帰ってこられる、そしてまた出発できる場所』という意味で、オフィスはやはり必要だと考えています」(上田氏)
「私たちは旅行業を営んでいるため、ツアー企画の際は柔軟な発想や豊かな創造力が求められます。多くの人が集まるオフィスだからこそ、何気ない雑談から生まれるアイデアもありますし、隣の人の会話を聞いているだけでプラスになることもあります。一方で、テクノロジーを活用したハイブリッドな環境も重要だと思いますので、どちらかに重きを置くのではなく、両方の"良いとこ取り"をすることが大切だと考えています」(鹿原氏)

国内だけに留まらずグローバル展開も進めている株式会社令和トラベル。ハワイ・ワイキキに次いで、2025年7月に韓国現地法人「Reiwa Travel Korea, Inc.」を設立した。今後も魅力ある旅行商品の企画をスピーディに、そして柔軟に実現していく。