株式会社Relic

2024年2月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

新オフィスでは、シナジーを最大限発揮する
共有のオープン空間を構築した

株式会社Relicは、新規事業開発やイノベーションの創出を共創・支援する事業で創業。以降、急速に業容拡大を続けている。順調な採用計画の中でオフィススペース不足の課題に直面し、その解消のために増床移転を行った。今回の取材では、新オフィスのコンセプトワークや新たに構築した機能を中心にお話を伺っている。

齊藤 優友 氏

株式会社Relic
Co-Creator Experience部
部長兼HRBP

齊藤 優友 氏

佐藤 知世 氏

株式会社Relic
Co-Creator Experience部
PRマネージャー

佐藤 知世 氏

田中 良平 氏

株式会社Relic
プロダクトディスカバリー事業部
アートディレクター


田中 良平 氏

Contents

  1. 創業時から社会貢献を意識。現在は対象を広げ、全国各地への拠点進出に取り組んでいる
  2. 3社の強みやシナジーが最大化する空間づくりを目指した
  3. 新機能によってコミュニケーションが活発になったことを実感している
  4. 出社途中の情報、対面での偶発的な出会い、それらトータルでオフィスは必要と感じる

執務室全景

執務室全景

創業時から社会貢献を意識。現在は対象を広げ、
全国各地への拠点進出に取り組んでいる

日本が世界に誇る技術や文化、アイデアを世界に届けたい。日本発の事業やプロダクトを次々と誕生させたい。そんな強い思いを実現させるために2015年に株式会社Relicが創業した。以降、スタートアップや大企業の新規プロジェクトの創出や成長をサポートしてきた。

「当社の事業は大きく3つの柱で成り立っています。一つ目は『SaaS型プラットフォームの提供』。新規事業支援に特化した独自のプラットフォームを提供しています。二つ目が『イノベーション創出サポート』。新規事業戦略の立案から実行、開発、事業成長までを一気通貫で支援するものです。そして三つ目は『オープンイノベーションサービス』。これは共同事業開発やJVの立ち上げを通じて新規事業開発やイノベーション創出に取り組むというものです」(齊藤氏)

Relic(遺物)という社名は、同社代表の北嶋貴朗氏が感銘を受けた書籍から付けられているという。

「北嶋が学生時代に読んだ『後世への最大遺物/内村鑑三』という書籍です。その中で、『何人にも残し得る後世への最大の遺物とは?』という問いに対する回答が、『勇ましく高尚な生涯=生き様』であるとされています。企業にとって新規事業開発やイノベーション創出への挑戦とは、まさに後世への最大遺物に相応しく、我々自身が後世への最大遺物を残すこと。そして誰もが後世への最大遺物を残すことが社会の実現に繋がります。その強い意志や覚悟を忘れることがないように、遺物=Relicを社名にしたそうです」(齊藤氏)

そして企業ビジョンを「大志ある挑戦を創造し、日本から世界へ。想いを持った挑戦者と共に走り、共に創る」とし、数年先を見据えてきた。

「ビジョンへの共感を基準に創業当初から採用活動をしてきましたが、最近は特にビジョンにシンパシーを感じて入社する方が増えているようです」(佐藤氏)

同社の目標の一つは全国47都道府県に拠点進出を行うこと。積極的に地方都市に拠点を開設していることも同社の特長の一つになる。

「開設時期や開設エリアに方針はあるものの、トップダウンで細かな計画を決めているわけではありません。メンバーの進出意志を最も大切にしながら、地方自治体の誘致活動やメンバーが地元に戻る時期など、さまざまな要素が合致したタイミングで決めています。基本はトップダウンではなくボトムアップを望んでいます。失敗を含めて、自発的な経験こそが、人も会社も成長させることを知っているからです」(齊藤氏)

「当社は『あらゆる挑戦者と共創する』ことを掲げて新規事業の開発支援をしています。しかし地方の中堅・中小企業では後継者不足を原因として、数年後の黒字倒産が120万社にも登り、これによる経済損失は12兆円以上になるという予測もあります。これまでは東京の大企業やスタートアップといった一部企業への支援が中心になっていましたが、地方拠点の拡大や企業成長に合わせ支援対象を広げたのです。現在、地方の中堅・中小企業の新規事業開発の支援をするとともに、新規事業の担い手である人材の発掘・育成を進めています。そのためにも全国各地への拠点進出が必要だと考えています」(佐藤氏)

3社の強みやシナジーが最大化する空間づくりを目指した

創業後の1年間はパートナー企業の近くにオフィスを構えていたが、順調に事業が進むにつれて本拠地を恵比寿エリアに移した。

「その当時から都心のIT・ベンチャー企業は渋谷エリアに集積していました。当社もIT企業ですが、取引先にはあらゆる産業の大企業やスタートアップも多いことを踏まえ、各種ステークホルダーのオフィスへのアクセスやコミュニケーションなども重要視しました。そこに当社メンバーの人柄や雰囲気と沿う街をさまざまな観点から総合的に検討した結果、落ち着きある恵比寿エリアが相応しいとなったのです」(佐藤氏)

毎年の採用計画が順調だったのに加え、コロナも収束に近づいたことで出社率も上がっていた。物理的に会議室が足りないという現状もあり、増床を検討する必要があった。

「移転を前向きに検討するきっかけとなったのは、ビル全体で実施された改修工事ですね。入居していた8階の改修工事が始まろうとしていた時、現在入居している19階はすでに工事が完了していました。面積も約270坪と予定通りの広さを確保できることから、同じビル内での移転を決めました」(齊藤氏)

「社内で20232月から始まったリブランディング活動と並行して進めたオフィスデザインは、ウェブサイトを含めた各アウトプットにも影響する重要なターニングポイントとなるものでした」(田中氏)

具体的なオフィス構築プロジェクトでは、大まかなゾーニングを齋藤氏が考え、それをデザイン担当の田中氏と内装会社が精査していくというやり方をとった。

「新オフィスは当社が出資する提携会社2社の同居が決まっていました。それが各社の強みやシナジーが最大化する空間づくりのポイントとなりました」(田中氏)

「当社には、BI(ビジネスイノベーション:知的・硬質)とPI(プロダクトイノベーション:カジュアル・クリエイティブ)のバランスを体現できる機能が必要でした」(佐藤氏)

新機能によってコミュニケーションが活発になったことを実感している

それでは新オフィスの特長を紹介していこう。エントランス正面には入居している3社のロゴが表示されている。その横のボードには、グループ会社のロゴ。今後も増えていく予定だ。ドアを開けて入室すると、応接エリアの長い通路が表れる。通路の壁際にはさまざまな商品が飾られている。

エントランス

エントランス

商品の陳列棚

商品の陳列棚

「当社がクラウドファンディングで関わってきた商品を陳列しています」(齊藤氏)

旧オフィスの会議室はわずか5室。そのため効率的に使用することが困難だったという。新オフィスではWeb会議用ブースを含め15室のミーティングスペースを用意している。

会議室

会議室

社内用会議室

社内用会議室

本社で働く従業員数は約130名。希望者はリモートワークを継続しているため、実質の出社人数は100名くらいだという。

「コロナ禍に行った完全フルリモートの環境に慣れた方もいらっしゃるので、完全出社に戻していません。あくまでも出社は推奨といった位置づけになっています」(佐藤氏)

「新オフィスでは人と人との距離に配慮しました。近すぎることによる業務効率の低下を防ぎたかったのです。距離を保ったうえで働きやすい環境を維持させる。それでいてブランドイメージも意識する。そんなオフィスが構築できたと思っています」(田中氏)

「執務ゾーンは、部署ごとにゾーニングをしています。基本は固定席となっていますが、フリースペースも設けています。私はリモートでの勤務が多いので、出社時はフリースペースで作業をしています」(佐藤氏)

「かなり昔からペーパレスを推進していましたので、社内に紙の資料は少ないです。契約書くらいですね。ですから収納キャビネットも少なく、スペース効率は極めて高いと思います」(齊藤氏)

窓際の景観のいい場所にはリラックススペースを配置している。

「ここは『グリーンラウンジ』と名付けています。図書棚、ソファ、植栽、コーヒーカウンターで構成しており、業務というよりはリラックスの場としての活用を推奨しています。執務ゾーンとはっきりと区切るために、床はコンクリートと木目のルーフィングに張り替えました。誰でも自由に使えますので、会社や部署を超えたワンチームの実現に寄与しながら、新たな出会いやアイデアの創造など、今までになかった効果に期待しています」(田中氏)

グリーンラウンジ:図書棚とソファ

グリーンラウンジ:図書棚とソファ

グリーンラウンジ:コーヒーカウンター

グリーンラウンジ:コーヒーカウンター

「ここからは都心が一望でき、晴れた日は富士山もよく見えます。それだけでも心が落ち着きますね」(佐藤氏)

奥は提携会社2社のエリアとなる。壁での仕切りはなく、開放的にレイアウトした。もう一方の壁にはWeb会議用のブースを5室設置。Web商談だけではなく、集中作業、1on1としても活用されている。予約制で稼働率はかなり高いという。

そして提携会社とRilicの接結点となる場に、多目的スペースとなる「シナジーハブ」を新設した。ソファ席の他に卓球台を置き、オープンなコミュニケーションを促進する。

「もちろんコロナの影響もありますが、旧オフィスに比べると出社人数が大幅に増えています。これらの新機能を有効に活用しています」(齊藤氏)

シナジーハブ

シナジーハブ

「コロナ禍では社内ミーティングであっても日時を設定する必要がありましたが、今は気軽に話しかけられるので、コミュニケーションが円滑になっています」(佐藤氏)

出社途中の情報、対面での偶発的な出会い、
それらトータルでオフィスは必要と感じる

現在、定期的に「オフィス運営会議」を行っているという。

「オフィスの使い方を含めて、入居している3社でミーティングを行っています。議題も多岐にわたり、備品管理やウォーターサーバーの契約、働く中で見えてきた新たな課題などを話しています。新たなルールの策定も必要になる場合もあると思いますので、当面は継続していく予定です」(齊藤氏)

最後に、オフィスの必要性について聞いてみた。

「私からはクリエイティブの視点でお話しします。人は、家を出てからオフィスに着くまでに色々なものを見たり聞いたりしています。それらのリアルな情報はリモートで得ることはできません。それらの中には自分に刺激を与えてくれる情報も少なくありません。それだけのことでも、オフィスにくるメリットがあると思います」(田中氏)

「広報としては、情報は発信するだけではなく入手することも重要だと考えています。その情報ですが、あらかじめ時間と場所をセッティングして準備をした回答よりも、偶発的に通路で得られる内容の方が魅力的だったりします。ですから従業員にとって共有の場であるオフィスの存在に意義があると思っています」(佐藤氏)

「業務上、一人の力だけで完結できないことがたくさんあります。最終的にはチーム力でカバーするのですが、そのためには普段からのコミュニケーションが重要だと考えています。コミュニケーションの観点でいうと、相手の顔色や精神状態を知ることができる対面がベストです。それが健康経営にもつながると確信しています」(齊藤氏)

株式会社Relic
2015年の創業以来、約4,000社・20,000件以上の新規事業開発の実績を持つ株式会社Relic。今後も、BTC(ビジネス×テクノロジー×クリエイティブ)が一体となったチームとして新規事業の成功をサポートしていく。


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