株式会社エスビーティー

2024年4月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

多様なコミュニケーションを生み出す。
そんな空間を追求してオフィスを構築した

「Smile and Happiness to ALL」という理念のもと、新車・中古車輸出販売をグローバルに展開している株式会社エスビーティー。数年前から2フロアに分散していた本社機能を1フロアに集約して、コミュニケーションを活性化させたいという強い思いがあったという。今回は、オフィス移転の経験の少ない企業が、三幸エステートのオフィスコンサルティングサービスを活用してオフィス戦略を成功させた事例を紹介する。

稲見 太郎 氏

株式会社エスビーティー
代表取締役社長


稲見 太郎 氏

野下 真実氏

株式会社エスビーティー
取締役 管理本部本部長

野下 真実 氏

丸山 義史 氏

株式会社エスビーティー
管理本部管理部
人事総務課係長

丸山 義史 氏

佐藤 幸匡

三幸エステート株式会社
第二営業部

佐藤 幸匡

中嶋 美穂

三幸エステート株式会社
ワークプレイスコンサルティング部
コンサルタント

中嶋 美穂

齊藤 勇

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部
プロジェクトマネージャー

齊藤 勇

Contents

  1. 自動車輸出販売を行う国内大手としてさらなる事業拡大を目指していく
  2. オフィス戦略を成功させるために現状の分析からスタートした
  3. たくさんのコミュニケーションが生まれる場所を目指して
  4. 「コミュニケーションの待ち合わせ場所」として、オフィスの存在意義は変わらない

オフィスエントランス

オフィスエントランス

自動車輸出販売を行う国内大手としてさらなる事業拡大を目指していく

株式会社エスビーティーは1993年の設立後、新車・中古車輸出販売のリーディングカンパニーとして急激に業績を伸ばしてきた。今後国内外での新規拠点の立ち上げや、国外での新車・中古車以外の商品の取り扱いを視野に入れるなど、さらなる事業拡大を目指している。

「数年前、採用の強化や国内での仕入れ強化を目指して、会社のブランディング施策を検討したことがありました。しかしコロナ禍でなかなか前に進まなくて。次第にコロナの収束が見えてきたことで、ようやく会社のブランド力向上を前向きに捉える時期になったと感じていました」(稲見氏)

それでまずは本社のオフィス移転を計画した。旧本社オフィスは横浜駅から徒歩8分、1988年竣工のオフィスビルの7階~8階、合計367坪を使用していた。

「旧オフィスは7階と8階に分散していました。それは従業員同士の会話を阻害する原因となっていました。さらにコロナ禍での出社率低下に比例して、部門を超えた従業員同士のコミュニケーション不足が明らかになっていました」(稲見氏)

ちょうど同社の創立30周年のタイミングでもあり、オフィス移転を行うならこのタイミングしかないという気持ちもあったという。そこで取引銀行から紹介いただいた三幸エステート営業部の佐藤幸匡に相談をする。

「単なるオフィスの移動ではなく、オフィス移転には目的や意義を明確にする必要があることを説明しました。そしてコンサルから物件の提案、オフィス構築までをワンストップで行う当社のサービスを紹介しました」(佐藤)

オフィス戦略を成功させるために現状の分析からスタートした

何度目かの打ち合わせで、ワンストップサービスを依頼することとなった。その後、すぐに適正面積を算出するためのさまざまな調査が行われた。

「アンケート調査では改善点やコミュニケーションの実態を明らかにし、出社率や会議室調査ではスペースの使い方を考え、収納量調査で移転後に必要な収納スペースを導き出しました。そして働き方によって必要面積も変わるため複数のレイアウトパターンも用意しました。結果として旧オフィスよりも縮小できました」(中嶋)

「この調査がなければ、おそらく同じ本数のキャビネットを置いて、同じ面積に机を並べただけのレイアウトになっていたかもしれません」(稲見氏)

「コンサルティング業務の一環で、三幸エステートさんから他社のオフィス見学の機会をいただきました。その当時はオフィスの予備知識を得るための軽い気持ちではありましたが、実際に見学したことで働く環境の重要性を再認識できました」(野下氏)

最終的に360坪が適正面積として割り出された。その面積で候補物件が提案された。

「移転先の必須条件の一つは横浜駅至近という立地、もう一つが1フロアに収まる広さであることです。その2大条件に移転時期というフィルターをかけて、移転候補ビルを数棟に絞り込みました」(佐藤)

「その中の1棟が現在のビルとなります。フロア内に柱がなく、天井高は3m。開放感があり、一目で気に入りました」(野下氏)

たくさんのコミュニケーションが生まれる場所を目指して

移転先を確定させ、オフィスデザイン構築のフェーズに移る。以降は、三幸エステートプロジェクトマネジメント部の齊藤勇が担当した。

「まず、デザイン会社のコンペから始めました。引越しまでのスケジュールも考えて、色々な会社にデザインや家具を分散して発注するのではなく、同じ会社に依頼したいという要望がありました。それで大手家具メーカーを中心に声をかけたのです」(齊藤)

「当社は業務の関係で、比較的に手が空く時期はゴールデンウィークと年末と限られています。それで202312月末に移転完了のスケジュールを立てました」(稲見氏)

4社コンペで設計デザイン会社を決定させた。デザイン面ではいずれも遜色なく、最後の決め手となったのが、従業員が最も長時間にわたって使用するのが椅子。提案者がその椅子について熱く語っていたことが会社選定の理由となったという。

「それからは毎週定例会議を開催しました。常に白熱した議論になりましたね」(齊藤)

「オフィスコンセプトについて話し合う中で、"コミュ二ケーション"という言葉のニュアンスが参加者ごとに異なっていることが分かりました。そこで、まずはコミュニケーションのあり方について意見を出し合ったのです。最終的には『コミュニケーションに正しい形というものはなく、今の自分たちに必要な"コミュニケーション"について常にみんなで考え続けることが重要なのではないか』という結論に至りました。その想いから、オフィスのエントランスにも『Think Communication, Create the Future』というオフィスコンセプトを掲げています」(野下氏)

オフィスエントランス

オフィスエントランス

新オフィスは異なる用途や雰囲気に合わせてグラデーションを変化させ、業務シーンに応じて働く場を選択できるようなデザインとした。

「リフレッシュエリアは、最も自由度の高いスペースです。ここでは休憩を含めどんな使い方をしてもOKとしました。また、ランチタイム時に効率よく時間を使えるように、電子レンジを4台配置しています。そのため移転後は、リフレッシュエリアでランチをとる社員が増え、自然なコミュニケーションが生まれるようになってきています。そして、デザイン面で特にこだわったのが入口近くに新設した『共創空間』です。ここは自由に集まって自由にミーティングをして、さっと解散するためのスペースになります。なので、このエリアの椅子は、あえて長時間は座りづらいものを選んで設置しました」(野下氏)

リフレッシュエリア

リフレッシュエリア

共創空間

共創空間

海外オフィスを含む本社勤務者以外のメンバーとのコミュニケーションも重視し、Web ミーティングに特化した個室型ブースも設けられた。たとえ海外にいる従業員であっても同じ空間で仕事をしているように感じるワークスペースをつくりたいという想いがあったという。

個室型ブース

個室型ブース

執務室全景

執務室全景

「旧オフィスでは自席でWeb ミーティングを行っていました。どうしても会議の声が通常業務の妨げになることもありましたね。会議室の数も適正ではなかったため、予約を取るのも大変でした」(丸山氏)

オフィス移転後、出社率はおのずと上がっているという。

「これは嬉しい誤算ですね。現在は、フリー席だけでなくフリースペースや集中スペースも利用してもらいながら対応しています」(丸山氏)

フリースペース

フリースペース

移転当初は「共創空間」でのミーティングに抵抗感を持つものが多く、利用者がなかなか増えないという悩みを抱えていた。

「『案件に関係のない人に内容が聞こえてしまう』『意見を聞かれてしまう』といった心理が働いていたように思います。まずは自由に使ってもらえるよう新オフィスの運用を考えることから始めました」(野下氏)

「そこで、まずは私たち役員が率先して『共創空間』を利用することにしました。海外子会社の役員会をはじめ、時にはお客様とのミーティングでも活用したり。そうしていく内に徐々に利用率が高まり、少しずつ部署を超えたコミュニケーションが活発になっているように感じます」(稲見氏)

「最近では『さっきの話に興味があるんだけど、詳しく聞かせて』といった声がミーティングに参加していない従業員からあがるようになってきました。そうした人が時としてプロジェクトのキーパーソンになる場合もあります。周囲の従業員の業務に自然と興味が湧いてくる、そんな風土が新たに醸成されていることを肌で感じ、オープンスペースを設置してよかったな、と少し嬉しくなりました」(野下氏)

「コンセプト立案から設計、工事、引越しまで着実にステップを踏めたのは三幸エステートさんのおかげです。『もしかしたら間に合わないかもしれない』という不安もありましたが、詳細なスケジュールを提示いただいたので、妥協することなく最後までデザインや什器の選定など、細部にこだわることができました」(野下氏)

「退去費用や工事費用も分からないことだらけ。高すぎても困るし、どんなに安くても品質が悪ければ意味がありません。何しろ適正価格を知らないわけですから交渉もできません。それらを細かくチェックし、削減部分や追加部分を明確にしていただけたので全てに納得して進めることができました。ビルオーナーや家具メーカーに難しい要望を伝える際も、一旦クッションになっていただけたのでやりやすかったですね。これらを振り返ると、とても自社だけでは完結できなかったと思っています」(丸山氏)

「旧オフィスは雑談できるスペースすらなく、『コミュニケーションの場=会議室』でした。新オフィスに移り、現在は、会議室に限らずオフィスのさまざまな場所でコミュニケーションが生まれるようになったと感じています。そんな当社のコミュニケーションに関する考え方を根本から変えてくれた三幸エステートさんには感謝しかありません」(稲見氏)

会議室

会議室

スタンディングデスク

スタンディングデスク

「コミュニケーションの待ち合わせ場所」
として、オフィスの存在意義は変わらない

最後に、オフィスの必要性についてお聞きした。

「今回、対面を重視したオフィスをつくりました。その結果、新たなコミュニケーションの創出を目の当たりにしています。全員が同じ場所で仕事をし、時には雑談をして笑いあって。まさに私たちがイメージしていた理想的なオフィスの姿に近づいてきています」(丸山氏)

「同じ空間にいると、誰がどのような動きをして、どのように自分にバトンが回ってきたのかが少しずつ見えてきます。一人ひとりの表情が見えるオフィスは、その存在自体が重要だと感じています。移転後、当社のキャラクターのオブジェをエントランスに置いたのですが、それを背景に従業員やその家族が写真を撮っている姿を目にしました。そういう旧オフィス時にはなかった光景に出会えたりすると、本当に嬉しくなりますね」(野下氏)

「当社の『コミュ二ケーション形成』は、まだまだ発展途上です。ですから、より顔を合わせて会話をする。そして自然に誰かに手を差し伸べる、そんな環境づくりが重要だと思っています。今の私たちにとってコミュニケーションを生み出す最善の場所が"オフィス"です。『コミュニケーションの待ち合わせ場所』として、その存在意義はこれからも変わらないと確信しています」(稲見氏)

 株式会社エスビーティー
株式会社エスビーティーは自動車を中心とする輸送機器を世界中に輸出・販売。現在、東南アジア・中南米・欧州・アフリカにもグローバル展開を行っている。今回のオフィス移転を機に企業ブランディングも加速させており、国内外での人材採用にも注力していく方針だ。


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