株式会社スノーピーク

2019年8月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

3つ目の国内拠点を東京に開設して新たなビジネススタイルを提案する

日本発のアウトドア総合メーカーとして知られる株式会社スノーピーク。創業以来、新潟県三条市に本社を構えて自然指向のライフスタイルを提案してきた。2018年1月、東京に新拠点を開設。今後、新たな取り組みを発信していくという。今回は新拠点開設の背景や特長についてお話を伺った。

青栁 克紀 氏

株式会社スノーピーク
執行役員 人事管理本部長

青栁 克紀 氏

オープンなミーティングエリア

オープンなミーティングエリア

Contents
  1. 多くのアウトドア用品を生み出してきたスノーピークの理念とビジョン
  2. "情報発信拠点"としての東京オフィス開設
  3. 素材の美しさで世界観を体現できるスノーピークらしいオフィスを目指した
  4. オフィスには自社の想いを可視化させブランディング効果を意識すべき
  5. キャンピングオフィスを通じて新たな働き方を提案していく
  6. オフィス戦略に完成はない。日々変わっていくことがあたり前

多くのアウトドア用品を生み出してきたスノーピークの理念とビジョン

新潟県燕三条エリアでつくられる優れた金属加工技術を活用してアウトドア用品を次々と生み出してきた株式会社スノーピーク。黎明期から、「The Snow Peak Way」を理念とし、「自然指向のライフスタイルを提案し実現する、リーディングカンパニーをつくりあげる」ことを目指して成長を続けてきた。

2011年、スノーピークの本社「Headquarters」が完成。そこは5万坪のキャンプ場が併設された3階建ての建物で、店舗、工場、アフターサービス、オフィスが一体の施設となった。

「当社ブランドを体現する場所として、当時の売上規模からするとかなりの予算を投じてつくられました。社屋は景観を邪魔しないように丘に沿って設計されています」

本社への移転時から日常的にキャンプ場のテントやタープの下で打ち合わせや研修を行うように。クリエイティブな発想を生み出したり、チームビルディングの一環としてキャンプを採り入れることが、ビジネス上さまざまな効果があることを、その後のスノーピークの事業成長が証明してきた

「2017年には今後の成長に耐えうる物流拠点を設ける目的で、新潟県見附市に『Operation Core HQ2』を開設し、物流機能とともに、製造、アフターサービス、バックオフィスも含め移転をしました。そのため現在、本社『Headquartes』は、製品の企画開発などデザイナー約20名が常駐し、自然環境の中で、新たな発想を生み出す場となっています。さらに2019年8月には、スノーピークのものづくりの歴史を振り返る展示空間『スノーピークミュージアム』をオープンしており、燕三条という土地とともに歩んできたスノーピークの歴史をご覧いただいています。今後はキャンプをやらない方にとっても楽しめる拠点として、『Headquartes』を発展させていきたいと考えています」

"情報発信拠点"としての東京オフィス開設

スノーピークは2015年、東証一部に上場。その後、「人と自然、そして人と人をつなぎ、人間性を回復する」という社会的使命のもと、アパレル、住宅、オフィス、グランピング、地方創生など、非キャンパー向けの新たな事業を展開し始める。

「しかしグループ会社や新規事業が立ち上がっていく中で、各事業がより連携し、シナジーを発揮していく必要があり、また事業が拡大するにつれ、東京での商談スペースも必要とされつつありました」

そこで東京オフィス開設の計画が具体化する。東京オフィス開設にあたっては代表の山井 太氏も含め、検討が進められた。移転候補ビルの情報を調べていく中で、当時まだ建築途中だったオフィスビル情報を入手する。それが現在入居している神宮前タワービルディングだ。

「いくつかのビルを検討した中でも、立地、面積といった条件をクリアしているだけでなく、眼前には明治神宮の森が広がり、都心にいながらも自然を感じられることが大きな決め手となりました」

そうして新潟県三条市の「Headquarters」、新潟県見附市の「Operation Core HQ2」に続く、同社の3番目の拠点として「Tokyo HQ3」が誕生した。営団地下鉄明治神宮前駅から徒歩5分、明治通沿いに位置する地上23階建大規模ビルの最上階、使用面積は約200坪、天井高3mの開放感溢れる執務空間。加えて東西二面採光の明るいオフィスだ。

同社の世界観を感じてもらうためにショールームをつくることは決定事項だった。他にも今後の採用を考えて広い面積を確保したい。そんな理由で当初から200坪前後の面積を望んでいたという。そこでビルの竣工前ではあったが条件の確認を行い、早々に賃貸借契約を締結させる。以降、2018年1月の入居を目指して内装工事が進められた。

素材の美しさで世界観を体現できるスノーピークらしいオフィスを目指した

「スノーピークの製品は高い機能性と美しさを追求しており、オフィスのデザインについても同様の思想を重視しています。」

東京オフィスのレイアウトやコンセプト作成は同社副社長でデザイナーでもある山井梨沙氏が中心となった。

「このビルの一番の特長は高層ビルの最上階でありながら大きなテラスを使えることでした。このテラスからは明治神宮の森が一望でき、三条本社同様に自然との一体感を感じられます」

このテラスではテントやデスク、チェアを設置しての会議や、新商品展示会後のレセプション、社員の懇親会などを行っている。もちろん自然の光や風を感じながらソロワークをしている社員も少なくないという。

明治神宮の森を一望できる大きなテラス

明治神宮の森を一望できる大きなテラス

それでは具体的に新オフィスについて紹介していこう。
オフィスは大きく2つのエリアに分類される。その一つ、エントランスを含めて手前部分がショールームエリアとなる。

「ショールームエリアは、プレスルームとオープンなミーティングルーム、クローズの応接室で構成しています。プレスルームでは、主にアパレルの商品と主要なキャンプギアを展示しています。オープンなミーティングエリアでは、タープを張ったミーティングスペースが人気です。こちらは、『CAMPING OFFICE』のショールームを兼ねており、『CAMPING OFFICE』の導入の商談場所であることはもちろんですが、その他さまざまな事由でご来社いただいたお客様に、『CAMPING OFFICE』を体験していただくことも目的です」

ショールームエリア

ショールームエリア

クローズの応接室

クローズの応接室

オープンなミーティングエリア

オープンなミーティングエリア

使用されているテーブルやチェアはスノーピークのキャンプ用品。折りたためて収納できたり、移動が容易という特長を持つ。そのため使用内容、人数によってレイアウトを自由に組み合わせることが可能だ。その他、外部用応接室3室を壁際に配置した。

「エリア全体のレイアウトを変更し、新製品発表会や決算説明会、記者会見、採用説明会などで使用することもありますね」

その奥に配されたのが執務室エリア。オープンエリアとはガラス壁で仕切られている。

「執務席は社員が固定デスクを持たないフリーアドレスを導入しました。状況に応じてさまざまな人とのコミュニケーションが円滑に図られることが目的です」

執務室エリア

執務室エリア

同オフィスでの在籍は、アパレルの企画開発部門、東日本の営業部門、新規事業の部署が主体となる。スノーピークビジネスソリューションズは愛知県岡崎市に本社を置いているが、東京での商談時などで自由に立ち寄って使用している。

正面の透明感のある部屋は社長室。主に役員会議や経営会議にも使用される。ちなみに室内には壁面植栽があり壁に、実際に明治神宮に生息する植物と同じ種類のものが植えられているという。

壁面植栽

壁面植栽

執務室エリアの最奥につくられたクローズの部屋が「ブレインストーミングルーム。プロジェクタを設置しており、その名の通りアイデア創出のための会議のほか、社内研修や勉強会での用途が多い。もちろんこの部屋の家具什器もキャンプ用品を採用しているため使用人数によって、自由に組み替えながらの使用が可能だ。

ブレインストーミングルーム

ブレインストーミングルーム

オフィスには自社の想いを可視化させブランディング効果を意識すべき

「私どもはオフィスを単なる働く場所とは考えていません。ブランドを可視化するための場所と捉えています。それはどの拠点についてもいえることです。今後もいくつかの海外拠点の開設を準備しているのですが、そこで働く社員はもちろん、ここに来るお客様にスノーピークが実現したい世界観を体感してもらうことを重視しています」

同社のビジネスの考え方は、まず体感してもらうこと。そしてその体感を共感に変えること。そうしてブランディングを意識したオフィスを構築することによって新たなビジネスチャンスの創出に期待をする。現に東京オフィス開設後、社内、社外からの評判も上々で、そのオフィス戦略は間違っていなかったと語る。

キャンピングオフィスを通じて新たな働き方を提案していく

同社が掲げている「キャンピングオフィス」。その概念はキャンプが持っている要素をビジネスに生かすというものだ。「オフィス」「都市」「大自然」の3つの場で新たな働き方を提案する。

一つ目は「オフィスの中でのキャンプ」だ。

「オフィスの一部に人工芝を敷くなどしてテントを設置します。導入企業によっては森の香りのアロマや小鳥のさえずりなどの音を流すことでさらに空間を演出する企業もあります。いかに自然に近づきながら人間本来の気持ちを取り戻しながら仕事に取り組めるか。各社の課題に応じた、その空間づくりのコンサルティングから行っています」

以前、期限を決めてトライアルを行った企業があった。最初は社員も戸惑っていたが、期間が終わるころには自然と人が集まる場所となっていた。加えて疑似的に焚火を囲むような場をつくったところフラットな意見交換ができていたという。

「実際のキャンプ場でも、共同作業を通じて家族の絆が深まったり、いつの間にか周りの人と仲良くなることってあると思うんですが、その感覚をオフィスに持ち込めればと思っています」

もう一つが「都市空間の中のキャンプ」。オフィスビルのガーデンエリアやビルの屋上、都市公園などにキャンピングオフィスを設営するというもの。使い方のイメージは時間貸しの会議室に近いという。

「反響はとてもいいですね。導入する側も利用する側もリピーターのお客様が多いです」

そして最後が「大自然の中でのキャンプ」だ。

「非日常の空間で発想を転換したいというニーズによるものです。役員合宿や商品開発部門、新規事業などのクリエイティブな会議などの場に活用され、研修のニーズも増えてきています。プログラムによっては、テントの設営から全員参加で行うこともあります。すでにそこからチームビルディング研修が始まっているのです。終わったらみんなでバーベキュー。そして焚火を囲んでの懇親会。世代や性別なくフラットな関係は、今までにない経験をもたらします」

大自然の中でのキャンピングオフィス(株式会社JTBと共同開発し、今年4月よりサービスを開始した「CAMPING OFFICE HAWAII」での写真)

大自然の中でのキャンピングオフィス(株式会社JTBと共同開発し、今年4月よりサービスを開始した「CAMPING OFFICE HAWAII」での写真)

オフィス戦略に完成はない。日々変わっていくことがあたり前

東京オフィスを開設して約1年半が経過しようとしているが、大きな改善点はないと考えている。

「どのような机の配置が集中しやすいか、コミュニケーションがとりやすいか、使いやすさを追求しながら日々レイアウトを変えてきました。オフィスは、そのトレンドや状況によって変わっていくことがあたり前でオフィス戦略に完成形はないと考えています。今後も事業の変化に応じて、より最適なオフィスを追求していきたいと思います」

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