東洋エンジニアリング株式会社
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東洋エンジニアリング株式会社
2025年4月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
自由な社風を活かし、新たな働き方を取り入れた
先進オフィスで持続的成長を加速させる
グローバルな総合エンジニアリング会社として、世界中のプラントやインフラづくりに貢献している東洋エンジニアリング株式会社。同社は2024年12月、30年以上にわたりオフィスを構えていた千葉県習志野市から千葉市幕張新都心へオフィス移転を実施した。それを機に、ワークスタイルも大きく一新したという。今回はその経緯と新しい働き方についてお話を伺った。

東洋エンジニアリング株式会社
経営管理本部 総務部長 兼 危機管理室長
高橋 憲弘 氏
Contents
- 地球環境に配慮したサステナブルエンジニアリングで社会に貢献
- 中期経営計画をさらに推進するためにオフィスの移転を決断
- 多彩な人財が快適に業務に取り組めるオフィスを目指した
- 全従業員が主体的に参加することで新しいTOYOづくりを目指した
- チームワークも個人作業も加速させる理想的なオフィスが完成した
- 自由でフレキシブルな働き方が次のコラボレーションを生み出し始めている

10階エントランス
地球環境に配慮したサステナブルエンジニアリングで社会に貢献
東洋エンジニアリング株式会社(以下TOYO)は1961年の創設以来、祖業のアンモニア・尿素という化学肥料分野を中心に独自技術を磨き、石油化学、石油・ガス処理、資源開発、発電など、多岐にわたる領域へと事業分野を拡大。現在、世界60ヵ国以上の顧客にエンジニアリングサービスの提供とプラント・インフラづくりを行っている。そして、「エンジニアリングで地球と社会のサステナビリティに貢献する」というミッションを掲げ、環境に配慮したエネルギーをつくる技術開発やそれらを安全に大量に届けるためのインフラを構築することで、持続性のある地域社会の実現に貢献している。
2021~2025年度の中期経営計画以降は、従前の「新技術・事業開拓」に加え、グループオペレーションの深化による、高い品質と収益の確保を目指す「EPC強靭化」の二重螺旋に基づいて進めていくという。
中期経営計画をさらに推進するためにオフィスの移転を決断
同社は1962年に千葉市に千葉事務所を開設し、1990年には習志野市に「総合エンジニアリングセンター」を設立した。その後、1999年に東京都内から同センターにコーポレート機能を移管。以降、合計約10,000坪の広さにグループ会社4社を含めて1,600人程の従業員が勤務していた。
「執務エリア以外にも食堂などの付帯設備を備えていました。しかし、全従業員の出社を前提とした固定席だったため、コロナ禍でのリモートワーク導入時には空きスペースが目立つなど、オフィススペースの有効活用が課題になっていました」
そして、中期経営計画の最終年度となる2025年度を前に、TOYOの多彩な人財のポテンシャルを最大限に引き上げ、チームワークの強化を実現するオフィスづくりの計画が本格的にスタートした。
多彩な人財が快適に業務に取り組めるオフィスを目指した
移転先については、幕張新都心の先進的なまちづくりの理念への共感、企業誘致に積極的に取り組む千葉市からのサポートも後押しとなり、幕張エリアに絞られた。移転費用の一部が補助される千葉市の「企業立地補助制度」なども活用した。
数棟の内覧をした結果、千葉市美浜区にある大規模オフィスビルのD棟とE棟、それぞれ5階~10階への入居を決定した。移転に伴う従業員の通勤負担が抑えられることに加え、各棟が連絡通路で繋がる形状と1フロアとして見たときに約760坪となるオフィス面積は多様な部門を一つに集積するのに適していたことが決め手となった。
「異なる部門同士がコミュニケーションを取りやすいオフィスが理想とよく言われていますが、このビルなら、コミュニケーションの活性化が図れると思いました」
新オフィスの総面積は約4,500坪。旧オフィスに比べると大幅な面積縮小となったが、ペーパーレスの実現や出社率を考えての面積策定だったという。
「新オフィスは出社率約75%を想定していますが、もちろん全従業員が出社してもワークポイントの数は問題ありません。十分な執務スペースを確保しているため、自由かつ快適に業務に取り組むことができます」
全従業員が主体的に参加することで新しいTOYOづくりを目指した
オフィスづくりのフェーズでは、個々の従業員がオフィスを通じて働き方を進化させ、自己裁量の最大化に期待したという。そしてオフィス設計や働き方ガイドラインの策定には、TF(TASK FORCE)による、各自が主体的に参加するプロジェクトを目指した。
「プロジェクト自体は、社長管轄で組織された『新事務所本部』が中心となりましたが、具体的なフロアレイアウトの要望などは、使用するフロアの各部署で意見交換を行ってもらいました。全従業員が主体的に関わることで自分たちのオフィスづくりへの参加意識を高め、その結果として移転後の働き方を自ら進化させる活動を期待してのことです」
新オフィスで求めたのは、「出社したくなるオフィス」。TOYOらしさを全面に打ち出し、従業員が誇りを持って働ける場所を構築したかったと語る。
「新オフィスは固定席にこだわることなく、ABW(Activity Based Working)を取り入れて、業務の内容や目的に合わせて働く場所を選択できるスタイルとしました」
デザインコンセプトは「BLUEPLANeT」。TOYOのブランドカラーであるブルーとサステナビリティを表すグリーンの2色を、さまざまなグラデーションにすることで地球環境との共生を表現している。
チームワークも個人作業も加速させる理想的なオフィスが完成した
それでは、新オフィスを紹介していこう。
最も特徴的なのは10階の来客エリアとなる。エレベーターホールからオフィスへ足を踏み入れると近未来的な空間が広がる。
「当社をイメージした、プラント内配管モチーフの曲線を照明や什器などオフィス内の至るところに用いることで、デザインの統一感を生み出しました。さらに、社内表示用に配管をイメージした独自の文字フォントまで作成し、細部にまでこだわりました」
仕切りガラスの先にはカフェテリアのようなオープンスペースがあり、その周りに大小20室の会議室が設けられた。また、壁も一律アースカラーを採用することで地層を表しており、デザインコンセプトである地球環境との共生がこちらにも表れている。

オープンスペース
同じく10階の別棟にはVIP専用の応接エリアを設けた。タイルを敷き詰めたヨーロピアンスタイルに和のテイストを取り入れ、同社のグローバルなイメージが表されている。枯山水を模した石庭は、砂利を盛り上げず照明の工夫で水の流れが表現されている。

VIP専用の応接室
5階から9階は執務エリアとなっており、異なる部署の従業員が同じフロアで執務をすることで、機動的なビジネスを創出させる。新たに採用したABWによって、旧オフィスには無かったメリハリのある空間をつくりだした。同社におけるABWは以下の7つのアクティビティに分類され、オフィスはこれらの生産性をより高める場として設計されている。
新オフィスにおける7つのアクティビティ
Co-work | 相談、指導、協議を交えた個人作業や共同作業に適したスペース |
Dialogue | チームや他部門の人と議論しながら作業することを目的としたスペース |
Creation | よりカジュアルな意見交換を行うスペース |
Collaboration | アイデア出しやプロジェクトの打ち合わせなどを気軽に行うスペース |
Discussion | オンライン会議に対応した防音ブースや大会議室を設けたスペース |
Focus | 集中力を高められるように落ち着いた色合いで統一したスペース |
Refresh | オフィスの中心に位置し、ライブラリーも設置したスペース |
フロアごとにレイアウトは異なるが、フロア中央部分の天井に配管をイメージした円形のデザインを用いて統一感を生み出した。また、ベンチやスツールなども丸みを帯びたデザインの採用と、各所に再生可能な素材を使用することで、サステナビリティへの配慮もなされている。

執務エリア
自由でフレキシブルな働き方が次のコラボレーションを生み出し始めている
今回の移転を機に策定された「働き方のガイドライン」では、各ABW部分の利用ルールやエチケットの指針が定められ、さらに服装規定も自由化された。従業員自身がその日の活動を踏まえた服装を考え、個々のアクティビティを高める。その自由でフレキシブルな働き方が風通しの良い場をつくりあげ、さらに進化し続ける仕組みを目指している。
そのように働き方まで一新された新オフィスは、社内から非常に好評だという。
「以前は部署ごとに分かれていたため他部署との交流があまりありませんでしたが、移転後は同じフロア内でのコミュニケーションが円滑になっています。また、今まで面識のなかった人同士が、挨拶を交わしやすくなったり、毎日席を選ぶことで交流範囲が広がったり。プラスの効果が早くも表れています」
社外の方々からも関心が寄せられており、見学希望の連絡が届いているとのこと。しかし、移転の真価が問われるのはこれからの働き方だと気を引き締める。
「今回のオフィス移転はゴールではありません。『移転完了日=Day1』として、今後も働き方を進化させていきます。それが個人とチームの成長を創出させ、最終的なゴールである持続可能な社会の発展に貢献できればと思っています」
そのため移転後も各フロアにオフィスアンバサダーを設けることで色々な意見を吸い上げ、改善に努めていくという。
「例えば、より良いコミュニケーションが取れるように名札をつけようといったアイデアも出ています。まさに移転を機に、自分たちの会社をリメークしていこうという意識が強まっているのを感じています。移転後、同じフロア内のコミュニケーションは、かなり改善されてきました。今後は異なるフロアで働く従業員同士の交流促進を図っていきたいと考えています。都度、必要があれば設備の追加も検討する予定です。新しい環境に慣れてくる半年後などを目処にアンケートを実施し、従業員の要望をできるだけ叶えていきたいですね」
最後に、オフィスの必要性について語っていただいた。
「リアルに接点を持つことは、オンラインのコミュニケーションではできない良さがあります。重要なことは、いつでも従業員同士が対面で話ができる場所を設けることです。会社として、出社したくなるオフィスを用意することは絶対に必要だと思います。それが、『共感・共鳴・共創』を生み出すと思っているからです」

再生可能エネルギーへの転換が世界的に求められる中、世界第2位の地熱資源を有するインドネシアの地熱開発事業に参画している東洋エンジニアリング株式会社。今後も、多岐にわたり蓄積してきた技術力や経験を活かし、最適なソリューションの提案を行っていく。また、多様なプロジェクトを通して、地球環境に配慮した脱炭素社会の実現に貢献していく。