東京システムハウス株式会社

2024年6月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

「アイデアを育む」をコンセプトに
多様な働き方を促進するオフィスを構築した

東京システムハウス株式会社は、独立系ITならではの「固定観念にとらわれない提案」で成長を続けてきた。2020年、業務効率の改善を理由に本社移転を行ったが、業務拡大による増員もあり「手狭感の解消」や「働く環境の向上」が課題に。それらの課題解決や新たな働き方を促進できる移転先を探していたという。その後、希望通りの物件に出会い2024年4月に本社移転を実施。取材では、その背景やオフィスコンセプトなどをお聞きした。

瀬戸 哲也 氏

東京システムハウス株式会社
システムサービス事業部
取締役 事業部長

瀬戸 哲也 氏

鎌田 佳宏 氏

東京システムハウス株式会社
コーポレート本部
シニアマネージャー

鎌田 佳宏 氏

原口 礼果 氏

東京システムハウス株式会社
コーポレート本部 経営企画室
広報担当

原口 礼果 氏

豊田 詠子

三幸エステート株式会社
神田支店
第二室

豊田 詠子

永田 佳大

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部
プロジェクトマネジャー

永田 佳大

Contents

  1. 独立系システムハウスとして質の高いサービスを提供してきた
  2. 旧オフィスの近隣でエリア最大級の大規模再開発
  3. 全従業員にアンケートを実施し、色々な視点からの意見を採用した
  4. 旧オフィスでの課題改善が自信となり、オフィスコンセプトがさらに進化した
  5. オフィスに対する強い想いはオフィス検討チームに引き継がれる

コワーキングエリア全景

コワーキングエリア全景

独立系システムハウスとして質の高いサービスを提供してきた

東京システムハウス株式会社は1976年に独立系のシステムハウスとして誕生。創業後、さまざまな最新技術をベースにした付加価値の高い製品やサービスを提供してきた。現在、金融・保険分野のSESや独自サービスの提供(ゴルフ場基幹システム、食品メーカー成分管理システム)、マイグレーション、研究開発機関のサポートサービス、RPAツールの販売/導入支援サービス、データ基盤(CDP)構築と、多岐にわたる製品群で多様な企業の業務をサポートしている。

前回の移転は約4年前。分散フロアによるコミュニケーション不足を改善することが目的だった。加えて、コロナ禍で導入したテレワークを推進するための働く場の整備も求められていた。同社として初めてフリーアドレスを採用したのもこの時期だったという。そうして希望していた1フロアへ統合。それによって、部署を超えたコミュニケーションも活発になっていく。そんな新たな働き方が進む中で、コロナ収束の兆しが見え始める。出社率の高まりも考え、オフィスの再設計が不可欠になっていた。

旧オフィスの近隣でエリア最大級の大規模再開発

「コロナ後の会社の方針として、テレワークを活用しながらも出社を増やしていくことが決定しました。来社されるお客様も増えてきましたし、応接会議室も足りていません。Web会議用ブース設置の要望にも応える必要があります。これらの設備に関する不満は、従業員のモチベーション低下に結びつく恐れがありました」(瀬戸氏)

「とはいえ、やみくもに移転を考えるのではなく、今後の人材確保や企業ブランディングを考えた上で最も良い移転先を探す必要がありました」(鎌田氏)

そんな中、入居ビルの近隣で進行していた大規模再開発の全貌が明らかになる。

「手順に沿って移転計画を進めたというよりは、この新築ビルありきで移転を検討したというイメージです。ですから、このビルでなければオフィス移転は実現しなかったかもしれません」(瀬戸氏)

前回同様、オフィスづくりにはPM会社のサポートが必要だと考えていた。そこで早急にコンペを実施。その結果、三幸エステートへの発注が決まった。

「オフィスづくりには広範囲にわたってやるべきことが存在します。PM会社のサポートなしでは困難だと判断しました」(鎌田氏)

「三幸エステートさんは長年にわたってオフィス仲介の現場で多くのビルオーナー様と折衝を行ってきました。その交渉力を移転候補のビルでも発揮していただきたいと思ったのです。仲介からオフィスづくりまでのフェーズを一連の流れで行えることも魅力でした」(瀬戸氏)

「以前、三幸エステートさんに部分的な改修をお願いしたことがあります。そのときのサポート内容がとても良かったので、安心して依頼することができました」(鎌田氏)

「早い段階での検討ということもあり、面積ごとのレイアウトパターンを提出することができました。それをもとに必要面積を割り出して、その後ビル側との条件交渉を行って240坪の面積で契約を締結しました」(豊田)

全従業員にアンケートを実施し、色々な視点からの意見を採用した

その後、三幸エステートのPMメンバーと設計会社が同席のもと、定期ミーティングが開催された。

「約200名の従業員のうち、100名ほどは常駐先での業務が主で、このオフィスにいないことが多いんです。今回の定期ミーティングには、そうした部署の責任者にもあえて加わってもらいました。普段オフィスにいないからこそ感じる課題を顕在化したいと思ったのです」(瀬戸氏)

「全従業員に向けてアンケート調査も行いました。会議室の増室、個人ブースやコラボレーションスペースの有無、稼働可能な家具の採用などは、多くの従業員からの声を反映したものです」(原口氏)

「新オフィスでの営業開始日は3月25日に設定していました。期日に遅れるわけにはいきませんし、スケジュールを優先してクオリティが下がることは許されません。全体スケジュールの調整には気を使いましたね」(永田)

旧オフィスでの課題改善が自信となり、オフィスコンセプトがさらに進化した

旧オフィスを構築する際に定めたオフィスコンセプトは「カジュアル&ナチュラル」。当時は複数フロアによる動線の悪さがコミュニケーション不足を生み出していた。その改善のために、エントランス部分よりもコミュニケーションスペースの割合を優先したという経緯がある。

それに対して新オフィスのコンセプトは「アイデアを育む」とした。

「前回の移転で、コミュニケーションの活性化という課題をクリアしたことが自信になりました。そこで、さらに一歩進んだ課題解決に取り組むことにしたのです」(瀬戸氏)

「『アイデアを育む』を軸として、『コミュニケーションで発想を育む場』『EC(従業員満足度)を推進する場』『業務効率を高める場』という3つの要素を取り入れています」(鎌田氏)

それでは新オフィスの特長的な部分を紹介していこう。エントランスの見せ方には、かなりこだわったという。

「会社の顔となる部分ですので、何度も打ち合わせをしてつくり込みました。壁面にシルバーを用いることでIT企業のイメージを醸し出す一方で、植物や自然素材を使って環境への配慮を演出しています。完成前に電飾を追加したことで、壁面のロゴマークがくっきりと見えるようになりました。最近は、この場所での取材撮影が増えています」(原口氏)

エントランス

エントランス

「旧オフィスではあえて社内外共有のコミュニケーションエリアをつくりました。しかし運用を重ねる中で、やはり社内と社外の動線は分けたほうがいいだろうと。その学びからこのエリアに来客用会議室を配置しています」(瀬戸氏)

来客用会議室

来客用会議室

「可動式の壁を採用して、大会議室として使用できる部屋もつくりました。当時はここまで広い部屋は必要ないという意見もありましたが、運用してみるとかなり稼働率は高くて。現在は社内会議が中心になっていますが、いずれは外部セミナーなどでも活用したいと思っています」(鎌田氏)

セキュリティに守られた壁の内側が執務エリアだ。一面にコワーキングエリアが広がっている。形状の異なったテーブルやカフェにいるかのようなソロスペースで構成。全席フリーアドレスで、場所ごとに色調や照明を変えている。

コワーキングエリアのテーブル席

コワーキングエリアのテーブル席

「外部の方に気を使うこともなく自由な会話を楽しんでいます。結果として、それも業務効率の向上につながっていると思っています」(瀬戸氏)

そのほか、背の低いパーテーションと組み合わせたボックス席、人気の高い集中スペース、Webミーティング用のブース、窓際のカウンター席、日が差し込むソファ席、ファミレス席など、目的に応じて働く場を選択できる空間となっている。

集中スペース

集中スペース

Webミーティング用のブース

Webミーティング用のブース

窓際のカウンター席

窓際のカウンター席

日が差し込むソファ席

日が差し込むソファ席

ファミレス席

ファミレス席

カフェカウンター

カフェカウンター

「水回りを整備してほしいとの要望でパントリーもつくりました」(永田)

「従業員同士の交流の場として使っています。新オフィスで移転パーティーを行ったのですが、まるでお店にいるような盛り上がりでした」(原口氏)

オフィスに対する強い想いはオフィス検討チームに引き継がれる

コンセプトワークに時間を割いたため工事期間は短かったが、当初の予定よりも早く新オフィスを完成させることができた。

「三幸エステートさんには、最後まで寄り添っていただきました。多くの山積みの課題にも真摯に向き合っていただいた。スケジュールに遅れが生じなかったのも、何をすべきなのかを明確に指示していただいたおかげです」(鎌田氏)

「個々の課題に対する対応スピードが速かったですね。今後の改善計画も相談させていただければと思っています」(瀬戸氏)

オフィス移転の完了を機に「オフィス構築チーム」は解散となった。そしてオフィスに対する強い想いは「オフィス検討チーム」に引き継がれることになる。

「オフィスの完成がゴールではなく、今後も従業員からの要望に応えていく方針です。すでに『オフィス検討チーム』には、部署を超えて参加者が集まっています。定期的にアンケート調査を活用しながら、色々なアイデアを形にしていきたいですね」(原口氏)

最後に、同社にとっての「オフィスの役割」について語っていただいた。

「オンラインが便利なのは理解していますが、従業員同士が集まれる場も必要です。せっかく集まるのなら、良い環境であるに越したことはない。そう思っています」(瀬戸氏)

「コロナ禍では、当社のほとんどの業務がテレワークに移行しました。テレワーク期間中のオフィスは、『出社日だから行くもの』でした。しかし、本来は『目的があるから出社する』であるべきだと思っています。オフィスは目的達成のための空間になると思っています」(原口氏)

「オフィスづくりで色々な方と打ち合わせを重ねました。そこで、とりとめのない会話からアイデアが生まれることを知りました。まさに新オフィスのコンセプトである『アイデアを育む』ですね。それこそがオフィスの役割だと思っています」(鎌田氏)

「移転後に『オフィス検討チーム』の活動が始まりました。眺めていると、ワイガヤでホワイトボードに付箋を貼りながら議論をしていました。昔ながらのやり方かもしれませんが、時間効率だけでは測れないものは間違いなく存在します。オフィスでの会話もその一つではないかと思っています」(瀬戸氏)


東京システムハウス株式会社
多様な分野でITサービスを提供している東京システムハウス株式会社。創業当初から「ES(従業員満足度)なくしてCS(顧客満足度)なし」を掲げて事業を継続してきた。今後も従業員の声を反映させた新オフィスで顧客の事業発展をサポートしていく。


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