移転コストの上昇で注目が高まる セットアップオフィスの特徴

移転コストの上昇で注目が高まる セットアップオフィスの特徴

2025年12月15日公開

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セットアップオフィスとは

通常オフィスとフレキシブルオフィスの中間
セットアップオフィスとはビルオーナーが事前に内装工事を施した状態で貸し出すオフィスである。間仕切り壁および什器付きで契約開始から早期に執務を開始できるフルセットアップや、間仕切り壁のみが施され什器等はテナントが用意するハーフセットアップ等の種類がある。引き渡し時の造作・付帯サービス及び賃料水準の観点から通常オフィスとフレキシブルオフィスの中間に位置付けられる。
セットアップオフィスの位置づけ

セットアップオフィスの賃料プレミアム

フルセットアップでプラス5,000円/坪
セットアップオフィスは通常オフィスに比べ、内装や什器を備えている分の賃料プレミアムが存在する。都心5区においては、フルセットアップでプラス5,000円/坪が全体の26.7%、ハーフセットアップではプラス2,000~3,000円/坪が43.5%を占めている。ハイグレードな内装・什器を備え付けた区画では賃料プレミアムが10,000円/坪を超えるケースも少なくない。
セットアップオフィスの賃料プレミアム

セットアップオフィスの魅力

2~5年の賃借期間ではコストメリット

セットアップオフィスは一般的に入居時の内装工事や退去時の原状回復工事のコストと手間を大幅に削減できる。また、入居・退去時の工事期間が短縮されることで賃借期間を有効に活用することも可能となる。加えて、最新のトレンドを反映したハイセンスなデザインや比較的グレード感の高い内装も魅力だ。通常オフィスに比べてランニングコストは高くなるものの、入居時の内装工事費用や退去時の原状回復費用の削減効果を考慮すれば、2~5年の比較的短期間の賃借では通常オフィスより総費用を抑えられるケースが多い。

セットアップオフィスの特徴

セットアップオフィスの分布

千代田区・中央区や1フロア面積50~200坪のビルで供給多数

セットアップオフィスの供給は通常オフィスに比べて、エリア別では千代田区や中央区で、規模別では1フロア面積50~200坪の中型・大型ビルで多い傾向にある。100坪以下の面積帯での募集区画が多いものの、最近では数百坪クラスのセットアップ区画を計画するビルオーナーも現れている。1フロア面積200坪以上の大規模ビルにおいても分割区画でセットアップオフィスを導入する事例は増加している。

セットアップオフィスの分布

セットアップオフィスの注意点

退去時の原状回復には契約条件により大きな差異

セットアップオフィスでは退去時の原状回復工事が通常オフィスと異なる。損耗が少なく、クリーニングのみで済む場合もあれば、タイルカーペットや壁紙の張替えや什器の入れ替えが必要となる等、通常オフィスと同程度の原状回復工事費となるケースもある。セットアップオフィスは通常オフィスに比べて、契約条件により退去時の費用負担の差が大きいため、検討時には細部まで確認する必要がある。

建設工事費デフレーターの推移

[参考資料] 移転時の内装及び原状回復工事

コストの増加と工事期間の長期化

資材価格と労務費の高騰によって建設工事費は上昇傾向にある。加えて人手不足の深刻化で工事期間の長期化も進んでいる。そのため、オフィス移転時の内装及び原状回復工事に要するコストと期間は従前よりも大幅に増加している。この傾向が緩和する要素は見当たらず、今後も継続することが見込まれる。

公共工事設計労務単価の推移

アナリストの視点

従前はオフィスを比較的短期間で移転するベンチャー企業等がセットアップオフィスのメインの需要層であったが、建築工事費の高騰と工事期間の長期化を背景に、早期での入居やイニシャルコストの削減を希望するテナント等へも需要層は広がっている。ビルオーナーにとって、セットアップオフィスは賃料単価を引き上げることができ、収益性および資産価値の向上が期待される。工事費高騰の収まる見込みが薄い状況下では、セットアップオフィスはテナントとビルオーナーの双方にとって魅力的な選択肢となり、需要と供給双方の拡大が見込まれる。特に中小規模のビルでは、セットアップオフィスが一般的な選択肢として定着していくと考えられる。

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