グランフロント大阪 前編

2012年10月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

大阪の北と南で進行している再開発で大阪のマーケットが変わる(前編)

現在、大阪の北と南で大規模再開発が進行している。北の再開発は7haもの規模を持つ「うめきた先行開発区域プロジェクト・グランフロント大阪」。南の再開発は完成するとオフィスビルでは日本一の高さ300mとなる「あべのハルカス」のプロジェクトだ。それぞれ「広さ」と「高さ」で注目を集めている開発である。今回、それぞれの開発担当者に開発の特長やポイントを伺った。

山口修一氏

三菱地所株式会社
大阪支店
プロジェクト推進室
室長

山口修一氏

野田純司氏

三菱地所株式会社
大阪支店
次長

野田純司氏

グランフロント大阪

大阪駅北側の巨大な再開発区域「うめきた」は公民連携による大プロジェクト

一日の乗降客数約250万人、7駅12路線が集結する西日本最大のターミナル駅「大阪・梅田」。その大阪駅北側に約24haもの規模を誇る都市再生緊急整備地域「うめきた」がある。都市再生緊急整備地域とは、都市再生の拠点として、都市開発事業などを通じて、緊急かつ重点的に整備を推進すべき地域のことであり、2002年7月に指定された。その後、大阪駅北地区まちづくり推進機構の設立を経て、2004年12月に第Ⅰ期先行開発区域の都市計画が定められた。第Ⅰ期先行開発区域の施設名称は「グランフロント大阪」。竣工は2013年3月末を予定している。ちなみに「グランフロント大阪」という名称には、大阪の新たな玄関口に相応しい「世界に開かれた最前線の街であり続けたい」という思いがこめられているという。グランフロント大阪が完成すると、アジアはもとより世界へのゲートウェイとして、国際的な情報受発信や人材の集積・交流拠点が形成される。

「この開発は単に民間事業者により高層ビルを建てるだけのプロジェクトではありません。一つの街をつくるプロジェクトとして、公民連携により街づくりを進めています。土地区画整理事業により東西南北に新たな道路を整備するほか、第2期開発区域には新駅を開設し、関西国際空港から「特急はるか」が直接乗り入れる計画となっており、交通インフラの基盤整備が進められています。非常にポテンシャルの高い立地だけに、このプロジェクトに求められる役割は非常に大きいものがあると感じており、大阪・関西全体の経済を牽引する役割を果たす開発にしたいと思っています。なんといっても特長はナレッジキャピタルという新しい知的創造拠点を設けることです。具体的には、The Lab.やサロン、ナレッジシアターといった場を活用して、産官学連携による新たな産業創出や文化発信等に繋げていきたいと思っています」(山口修一氏

西日本最大級のターミナル駅に誕生する魅力あふれる街「グランフロント大阪」

グランフロント大阪は、大きくA・B・Cのブロックで構成される。大阪駅とは、地下と2階デッキで直結。A・Bブロックの各オフィスにも安全・快適なアクセスが可能である。Aブロックの高層部はオフィス、低層部は物販や飲食などの商業施設で構成される。もちろんエレベータの動線は分離されているのでセキュリティは万全である。さらに9階のオフィス専用スカイロビーにはオフィスワーカーの憩いの場となる屋上庭園。ちょっとした公園を思わせるような広さで、オフィスワーカーの憩いの場になる予定だ。

全景パース

全景パース

構成図

構成図

建物中層の屋上に拡がる緑あふれる庭園

建物中層の屋上に拡がる緑あふれる庭園。

建物中層の屋上に拡がる緑あふれる庭園

自然換気、屋上緑化、太陽光発電など最新の 環境技術を導入している。

執務フロアは、最大ワンフロア面積約850坪。天井高2.8mの開放感あふれる無柱空間のためワークスタイルに応じてフレキシブルなレイアウトプランが実現できる。

「JR大阪駅前の立地ということもあって、ショールームのように多くの人の目を引くことが必要なテナントやアクセスの良さを最大限活用できる営業部門の拠点に向いていると思います」(野田純司氏)

Aブロック地下1階~地上2階の3フロアにはパナソニック(株)のショウルーム「パナソニックセンター大阪」の出店が決定している。単なるショウルームではなく新しいライフスタイルを提案できる参加型ショウルームを構築させる予定だ。

Bブロックはサウスとノースに分けられている。Bブロックの低層部には、商業店舗に加え、感性と技術の融合により新しい知的価値を生み出す「ナレッジキャピタル」を設け、買うだけの店舗や見るだけのショールームではなく、生活提案や発見、学びなど来訪者をワクワクさせる空間「FLS(フューチャーライフショールーム)」には全21テナントが出店する。ノースタワーの高層部には関西初進出のインターコンチネンタルホテルの入居が決定。215室の客室と57室のサービスレジデンス、4つの宴会場・会議施設などを備える。

Aブロック基準階(15階)の平面図

Aブロック基準階(15階)の平面図。ワンフロア最大面積約850坪。開放感あふれる無柱 空間は、ビジネスシーンに応じたフレキシブルなレイアウトプランを実現する。

「Bブロックは静かな環境に立地しているため、落ち着いた中で業務遂行を希望する本社管理部門などに向いていると思います」(野田氏)

以下が具体的な施設概要となる。

施設概要

プロジェクト名称:うめきた(大阪駅北地区)先行開発区域プロジェクト
施設名称:グランフロント大阪
竣工:2013年3月末

Aブロック

敷地面積 約10,571㎡

延床面積 約187,800㎡

階数 地下3階・地上38階、塔屋1階

高さ 約180m

構造 S造・SRC造・RC造

主要用途 オフィス・商業施設

Cブロック

敷地面積 約4,666㎡

延床面積 約73,800㎡

階数 地下1階・地上48階、塔屋2階

高さ 約174m

構造 RC造・S造・SRC造

主要用途 分譲住宅

Bブロック

敷地面積 約22,680㎡

延床面積 約295,100㎡

階数
( サウスタワー)
地下3階・地上38階、塔屋2階
(ノースタワー)
地下3階・地上33階、塔屋2階

高さ
( サウスタワー)
約175m
(ノースタワー)
約154m

構造 S造・SRC造・RC造

主要用途
オフィス
ナレッジキャピタル
商業施設
ホテル・サービスレジデンス
コンベンションセンター

沿革・スケジュール

1987年

国鉄改革に伴い梅田貨物駅用地を国鉄清算事業団へ承継

2002年7月

都市再生緊急整備地域に指定

2002年9月

国際コンセプトコンペ実施

2004年3月

大阪駅北地区まちづくり推進協議会設立

2004年11月

大阪駅北地区まちづくり推進機構設立

2004年12月

第Ⅰ期地区(区画整理、道路など)都市計画決定

2005年6月

都市区画整理事業事業計画認可

2005年10月

大阪駅北地区都市再生着工記念式開催

2006年2月

地区計画、用途変更等都市計画決定

2008年2月

都市再生特別地区、地区計画変更 都市計画決定

2010年3月

新築工事着工

2011年2月

大阪駅北地区名称が「うめきた」に決定

2012年4月

第1期先行開発区域施設総称を「グランフロント大阪」に決定

参照:グランフロント大阪(www.granfront-osaka.jp)

ファシリティ面でも最新の環境技術を導入している。環境性能評価であるCASBEE大阪の最高位「Sランク」を取得。具体的には、エアインテーク(大型外気取入口)を採用し大規模な自然喚起システムを実現する。そのほか、1フロア6ゾーンごとに運転・停止の切替が可能な空調ゾーニング、座屈拘束プレースとオイルダンパーを組み合わせた高い耐震・耐風性を確保、などである。

竣工後はKMOとTMOがマネジメントを行う。KMOとは、ナレッジキャピタルにおける知的価値の創造を担うもので、研究者や科学者、先端企業の皆様を集めて国際会議、国際交流の開催、実際に創出された活動や成果のプロモーション、施設運営などを行う。一方、TMOは、先行開発区域全体の管理・運営を行なうもので街全体のエリアブランドを推進する。2つの組織が密接に連携して持続的な街の発展を実現させる。この両輪による運用マネジメント方法も、グランフロント大阪の特長の一つだ。

国内最大級の商業施設の誕生と同時に新たなオフィス立地が形成される

グランフロント大阪には、AブロックとBブロックの約44,000㎡に266店舗が出店する。西日本最大級の商業施設の誕生は、新たな人の流れを生む。

「この開発は、西日本最大のターミナル駅の駅前という整った立地に新たに創出された複合大規模ビルです。新たな街を作ることにより、新しい人の流れが生まれ、様々な人々の交流が生まれる。新しい街は一から形成され、働く人々や訪れる人々と一緒に育んでいくというところに、既存物件の建替えとは違う魅力があると思っています。交通至便な立地に最高水準のグレードを備えたビルと捉えており、賃料も相応の水準を確保したいと思っています」(山口氏)

工事が進捗するにつれて引き合いも多くなり、移転の動きが具体化してきたと聞く。それほど企業からの関心は高い。


まちの中心に位置するナレッジプラザ

まちの中心に位置するナレッジプラザ。7層吹き抜け空間が特長的だ。まちと来訪者、来訪 者同士などの関係づくりを促進し、新たな賑わいが創生される。

「交通アクセスの改善や事務所機能の集約化、またBCPの観点から築年数がかなり経過した既存ビルからの移転を検討している企業は今後も増えてくるでしょう。そのようなオフィスニーズにうまく応えていきたいと考えています」(野田氏)

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