東京のビジネスシーンを牽引する最先端オフィスビルが誕生する
JR品川駅港南口(東口)で進行している「芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用事業」。この開発は、NTT都市開発を代表企業として、大成建設、ヒューリック、東京都市開発、NT Tファシリティーズ、日本水工設計の事業者グループ6社が選定されたものだ。
「東京都の品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインの中で芝浦水再生センター地区が優先整備地区として、詳細なまちづくりの方向性を示され、さらに、東京都下水道局が下水道施設の老朽化にともなった再構築を計画したのが始まりです」(田口氏)
2008年7月に東京都下水道局主催の「芝浦水再生センター再構築に伴う上部利用者公開募集」があり、各社のノウハウを結集し、提案書を作成した。その後、2009年3月に総合評価一般競争入札方式による事業者として選定された。
品川は、東海道新幹線の発着や羽田空港の国際化、リニア中央新幹線計画など、その良好な交通アクセスから格段に注目度合いが上がっているエリアである。近年、品川駅港南口(東口)では、グローバルな企業も集積する新たなビジネス拠点として進化を続けている。
今回の開発は、東京都下水道局が地下に整備する下水道施設の上部に、合築の手法で環境に配慮したオフィス・商業複合ビルを建て、ビジネス拠点を創出するという公有地活用プロジェクトである。
ワンフロア面積1,500坪の整形な大空間オフィスフロアは
さまざまなオフィスニーズに対応可能
この新たに誕生するオフィスビルのポイントは大きく分けると次の6つである。
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ワンフロア1,500坪の整形大規模空間
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超高層オフィスビルでありながら免震構造を採用し高い安全性を確保
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専有部にも対応した非常用電源(ワンフロア最大49,700VA)
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国内最高水準の環境配慮型オフィスビル
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羽田空港13分、成田空港へダイレクトアクセス、新幹線発着の品川エリアに立地
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3.5haの広大な緑地がクリエイティブなワークスタイルを実現
ワンフロア面積1,500坪のオフィスフロア。整形の大空間のため、入居テナントのニーズに合わせたフレキシブルなレイアウトが可能だ。もちろん眺望を活かして受付や応接室の位置を自由に決めることもできる。さらに2, 900mmの天井高と相乗して、開放感あるオフィスを演出する。それらのスケールメリットを考えると、分散していたオフィスの統合ニーズを持つ企業からの引き合いが増えてくることが予測される。統合によってデッドスペースの削減ができ、効率の良いスペース活用が可能になるからだ。当然、それによって大幅なランニングコストの削減も図れることになる。
超高層オフィスビルでありながら安心・安全を確保した免震構造を採用
「公募時の提案条件として、ビルの建設・運営において高いレベルの環境配慮を義務付けられていました。それに加え、当社の提案では、安心・安全を考慮し免震構造を採用しました。その部分が、評価されたポイントのひとつだったのかもしれません。免震構造は最近のマンションなどで多く採用されている構造で、高い安全性を確保できるものの、平面系の大きな大規模オフィスではコスト面から採用が難しいと思われます。当ビルのように延床面積が20万㎡あり、かつ32階建という高さで免震構造を取り入れているビルというのはあまり聞いたことがありませんね」(仁藤氏)
「当ビルの場合は、地下が都市施設である下水道施設ということもあって、免震構造を採用しました。揺れを減衰させる「減衰機能付き積層ゴム支承」、地震による揺れを軽減する「天然ゴム系積層ゴム支承」地震エネルギーを吸収する「オイルダンパー」をバランスよく配置することで、大規模な地震による被害を最小限に抑え、長周期地震動にも対応することが可能となりました」(田口氏)
「その分、施工現場は大変な苦労をしました。構造計算をして、どこに「減衰機能付き積層ゴム支承」を配置させるのか。全部配置させれば楽なのですが、それだと経済効率が悪くなる。安全性と経済性の両局面から、何度も検討を繰り返しました。納品されたゴム支承自体も、実際多少の誤差はある。その誤差をも計算に入れて、安全性を割り出すわけです。一つひとつ地道に計算して、最終的に組み合わせました。どうしても目に見える派手な部分が注目されがちですが、このような地道な作業がこのビルを支えているのです」(仁藤氏)