TODA BUILDING

2022年10月取材

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※記載の内容については、現計画段階のものとなりますので、詳細は今後変更となる可能性があります。

芸術文化のDNAを持つ「京橋」に新たな大規模複合ビルが誕生する

中央区・京橋エリアで進行している大規模複合ビル「TODA BUILDING」の開発コンセプトは「アート&ウェルネス」。京橋に根付いている芸術文化のDNAを活かし、低層階には多様な芸術文化施設を設ける。これらの施設はテナント企業メッセージ発信の場でもあり、またワーカーの知的好奇心をくすぐる新しい働き方を提供する機能をも担う。今回は開発事業主である戸田建設株式会社の戦略事業推進室のメンバーにお話を伺った。

越部 豪 氏

戸田建設株式会社
戦略事業推進室 国内投資開発事業部
京橋プロジェクト推進部 
推進課
課長

越部 豪 氏

大野 伸泰 氏

戸田建設株式会社
戦略事業推進室 国内投資開発事業部
資産運用部 運用1課主任

兼 京橋プロジェクト推進部 推進課
主任

大野 伸泰 氏

神山 亮平 氏

戸田建設株式会社
戦略事業推進室 国内投資開発事業部
京橋プロジェクト推進部 
推進課

神山 亮平 氏

日本有数のビジネスエリアに隣接する京橋。
新たなコンセプトの大規模ビルが誕生する

東京駅八重洲口からのアクセスも良く、銀座、日本橋といったビジネス・商業エリアにも近い「京橋」。計画地の江戸時代の町名は大鋸町、かつて歌川広重、北大路魯山人といった文化人が居を構え、古来よりアートとモノづくりの文化を有してきた。現在も、開発地の周辺にはアーティゾン美術館や約130軒ものギャラリーや古美術商などが集積している。

そんな芸術文化を形成している京橋で大規模複合ビル「TODA BUILDING」の開発が進行している。開発、設計監理、施工の全てを戸田建設株式会社が行う。約120年もの間、この地に本社を構えていた同社の新社屋を兼ねるもので、竣工は20249月の予定だ。

本計画は、京橋一丁目東地区において東京都の開発制度「都市再生特別地区」を適用した2街区一体の開発で「東京・地域の文化的な魅力向上」を目指す。

TODA BUILDING 完成予想パース

TODA BUILDING 完成予想パース

「京橋は芸術文化のDNAを持つ街です。我々は周辺エリアのアート施設と相乗効果があり、街にとっても全く新しい芸術文化コンテンツの複合施設を設けることで少しでも街の賑わいに貢献ができればと考えました」(越部氏)

「アート&ウェルネス」をコンセプトに快適に働ける環境づくりを目指す

同ビルは地下3階地上28階建。低層部は1階から6階。文化・商業施設で構成される。

「街の魅力を探っている中で、アーティゾン美術館や骨董通りといった街が持つ多くの芸術文化資産に改めて気づきました。街と当ビルの芸術文化施設、そこで展開されるイベントを入居テナントのワーカーの皆様にも楽しんでいただきたいと考えました」(大野氏)

「アートを定義づけることは難しいのですが、我々の中では街の歴史やモノづくりなどの芸術文化もその一つとして考えており、街全体の魅力を広げていきたいと思います」(神山氏)

「都心の大動脈である『中央通り』沿いでは最大規模となる間口約80m・奥行き約20mの開放的な広場をつくります。高い樹木やふらりと立ち寄り休憩できるベンチを配し、来街者に楽しんでもらうためのスペースとしました」(越部氏)

「広場では、当社が自主運営するもアート活動やイベントを展開していきます。次世代の若手芸術家とコラボレーションしたアートイベントや、新サービスの発表をはじめとした企業メッセージの発信の場として入居テナント企業にも有効利用してもらえればいいですね」(大野氏)

中央通りに誕生する開放的な広場

中央通りに誕生する開放的な広場

1階エントランスロビーは、高さ約15mの開放感のある吹き抜け空間となる。壁面に映像を投影することもでき、アート作品の展示やマルシェのようなイベントも開催していく。

「誰でも自由に入ることができるエントランスロビーと2階の回廊部分では、大空間を活かした大型アート作品を中心としたパブリックアートを展開していきます。飲食店は、食事に関心が高いグルメな方々にもご満足いただけて、テナントの皆様が会食でも利用できるような『目的型の飲食店舗』に出店いただく予定です」(越部氏)

1階エントランスロビー

1階エントランスロビー

3階の「ギャラリーコンプレックス」では、ワーカーの発想力や創造力を豊かにしてくれる現代アートに触れることができる。4階の「ホール& カンファレンス」には大小2つのホールと大型会議室を構え、展示会や講演会など、幅広いニーズに応える。

「レセプションやイベント後の立食パーティにも使える中央通りに面したホワイエを配置し、大ホールと小ホールを組み合わせて使うことも可能です。大型搬送エレベーターを装備していますので、新車発表会などの大型イベントも開催可能です」(神山氏)

その他、6階には「ミュージアム」を整備。「音楽」「映画」「アニメ」「建築」「現代アート」といった話題性と集客力のある豊富なコンテンツを発信する予定だ。

6階には一般の方も使用できる『屋外テラス』も設けます。多くの植栽を配した自然を感じる空間となります。テナントの皆様には憩いの場や気分転換の場として使用していただき、ウェルネス効果にも期待しています」(大野氏)

6階屋外テラス

6階屋外テラス

充実のビジネススペックで最高のパフォーマンスをサポートする

高層部へのアプローチは2階のオフィスエントランスが起点となる。オフィスフロアは8階から27階。1フロア面積は約721坪だ。

2階オフィスエントランス

2階オフィスエントランス

「オフィスフロアは柱のない空間で開放感を演出します。また、平面プランの奥行を約18mで統一。テナントの皆様が組織変更などでも柔軟に対応できるようレイアウトを組みやすい設計としました」(神山氏)

「貸室内は6区画の分割ラインに合わせて空調機を設置します。約50㎡ごと・56ゾーンのきめ細やかな運転・停止、温度調節、風量調節を可能にします」(越部氏)

その他、基準階では天井高2,900mmOAフロア100mm、床荷重500kg/㎡(ヘビーデューティーゾーン1,000kg/㎡)、昼光センサー自動調光制御LED照明の採用など、快適な執務環境を提供する。

基準階平面図

基準階平面図

「多機能トイレも各フロアに2室用意しています」(神山氏)

13階には、テナント専用のビジネスサポート施設を集積させる。

「ウェルネスを意識しながらビジネスをサポートする空間となります。『カフェテリア』では、全180席を用意し、ワーカーの健康的な食生活をサポートします。ランチタイム以外はワークスペースとしてテナントの皆様は無料で利用できます」(大野氏)

13階カフェテリア

13階カフェテリア

同フロアには「ラウンジ」「貸会議室」も備える。

「コンシェルジュ付きのラウンジは大切なお客様をお迎えするための待合い、会議の事前擦り合わせ、貸し切りパーティなどさまざまな用途に利用できます。ミーティングルーム6室は12人~20人が使用できる施設になります。13階の貸会議室と4階のカンファレンスを活用することで、オフィススペースを効率よく使っていただければと思います」(越部氏)

28階には屋上庭園を配置する。

「ワーカー同士でコミュニケーションを深めるための場として用意しました。自然を感じられる環境がワーカーのウェルネスにプラスの効果を与えます。今後の多様な働き方を考える上で必要な要素となると思っています」(大野氏)

屋上庭園

屋上庭園

ゼネコンとしての技術力を最大に活かした設計を行った

構造面では、高さ150mを超える超高層ビルでは希少な「コアウォール免震構造」を採用。国内トップクラスの耐震性能を有している。

1階の地盤面に設けた免震層により、敷地の大部分を免震構造としています。地震時の揺れも一般的な鉄骨造制振の1/4、鉄骨造免震の1/2に抑えます。後揺れ時間も10秒程度で、衝撃を最小限に止めます。建設会社としての矜持と技術力で国内トップクラスの耐震性能を持つ大規模賃貸ビルを目指しました」(越部氏)

「広場も免震範囲となります。災害時にこの広場は帰宅困難者の一時滞留場所として提供します。そのためには広場も安心・安全を確保する必要があったのです」(大野氏)

電力供給は、通常時は3回線スポットネットワーク受電を採用。建物への安定した電力供給を行う。送電トラブルや停電時には、災害に強い中圧ガスを利用したコージェネレーションシステムと大容量オイルタンクによる非常用発電によって電力供給を可能とする。

「自然換気設備である『エコボイド』の採用は環境配慮と感染症対策の特長の一つとなります。自然換気は昨今のコロナ禍で必要性が高まっているもので、当ビルでは各フロアに自然換気口を設置し、エコボイドから排気することでオフィス内に新鮮な空気を取り込んでいます」(越部氏)

そして過去に同社が積極的に行ってきた開発同様に、人と環境に優しいエネルギー設計を導入している。

「国内トップクラスの環境性能を誇る大規模賃貸ビルを目指して、今までの当社開発物件をさらにバージョンアップさせた性能となっています」(大野氏)

ZEB ReadyLEED GOLDCASBEE Sランク、BELS★★★★★DBJ Green Building認証、東京都建築物環境計画書制度性能評価「段階3」といった多くの認証取得を進めていく。

「『CASBEE Sランク』は、建材に低酸素型のコンクリートを採用するなど、施工段階でもCO2削減に寄与しています。超高層の複合用途ビルにおけるSDGs対応版でのCASBEE-建築(新築)にてSランク認証取得は本件が日本初となります。加えて、建物全体でのZEB Ready取得も日本初です。工事中はもちろんのこと、運用中の電力も再生可能エネルギー由来の電力(RE100)を導入します」(神山氏)

その他、下記も大きなポイントである。

  • 緑化によるクールスポットの形成
  • 電動ブラインドによる日射遮断
  • 快適な空気循環を提供する潜顕分離空調システム
  • 中水再利用可能な節水型衛生器具
  • 昼光利用制御・人感センサー制御によるエネルギーの効率化
  • 外装ルーバー・バルコニーによる日射遮断
  • 太陽光パネルによる日射遮断
  • 次世代エネルギーの水素を活用した発電・蓄電

これら再生可能エネルギー由来電力の導入により、テナント企業の脱炭素経営をサポートしていく。

京橋という街の快適性と心地よいワークプレイスを提供する

2019年、一般社団法人京橋彩区エリアマネジメントを設立しました。誰もが気軽に芸術文化に触れられる街を目指し、隣接する『ミュージアムタワー京橋』とともにまちづくりに取り組んでいます」(越部氏)

「今は毎月1回、『芸術文化講座』というイベントを開催しています。『アートと生活』をコンセプトに掲げ、古美術や日本映画といった京橋に根付いたテーマから、絵画の中に見るワイン文化、ピアノの演奏会など、アートを幅広く捉えて講座を企画してきました。日頃アートに触れる機会が少ない方にも、さまざまな切り口で芸術文化の魅力を発信していきたいと考えています」(大野氏)

「京橋には多くの画廊や古美術店が点在しています。最初は入店するだけでもハードルが高いと感じる方も多いかもしれません。イベントを通してアートの存在を身近に感じ取り、街に繰り出すきっかけにしていただきたいですね」(神山氏)

「『アート&ウェルネス』をテーマに掲げたからには、単にオフィスの床を供給するだけではいけないと思っています。本開発の意義は楽しんで働いてもらうワークプレイスの提供。竣工後も時代の変化に合わせた同時代の『芸術文化』を感じられる働く場になるように取り組んでいきたいと思っています」(越部氏)

低層部 完成予想パース

低層部 完成予想パース

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