Rising Eastプロジェクト(業平橋押上地区開発事業)

2010年4月取材

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記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

世界屈指のランドマークとなる東京スカイツリーRをシンボルとした
オフィス、商業施設、ターミナル駅の融合エリア

関野孝行氏

東武鉄道株式会社
賃貸事業統括本部 SC事業部
課長補佐

関野孝行氏

三木隆太氏

東武鉄道株式会社
賃貸事業統括本部 SC事業部

三木隆太氏

東京駅へは10分、新宿へ20分。羽田と成田の両空港とも直結!

東武鉄道伊勢崎線の浅草駅から1駅目、隅田川の対岸に位置する業平橋駅と4路線利用可能な押上駅の両駅の間に大規模な再開発エリアが形成されている。

「東武鉄道が今の浅草駅に乗り入れる以前は、業平橋駅は旧浅草駅として鉄道貨物の物流ターミナル拠点として重要な役割を果たしていました。北関東から貨物輸送した資材をここで船に積み込み、隅田川経由で都内の広い地域に運んでいたのです。ここに広い敷地が確保されていたのはそのためです。一方、押上駅も京成電鉄の東京側のターミナル駅として誕生した歴史があり、業平橋と合わせたこのエリアは東京の東部を代表する交通の要衝でした」(関野孝行氏

その後、押上駅には都営地下鉄浅草線と東京メトロ半蔵門線が乗り入れ、都営浅草線-京成押上線、東京メトロ半蔵門線-東武伊勢崎線の相互直通運転を行うようになったことで、ターミナル駅としての機能はさらに強化されている。

「業平橋駅構内における貨物物流機能を停止した頃から、跡地をどういう形で活用すべきか、何度も議論が繰り返されてきました。順当に考えればマンションとショッピングセンターの組み合せが妥当なのかもしれませんが、せっかくなら、もっと地域の活性化に貢献できるインパクトのある開発事業にしたいと、ずっと考え続けてきたのです」(関野氏

そして2003年、地上デジタルテレビ放送への移行に伴いNHKを含む在京放送事業者6社が600メートル級の新電波塔の建設を求めて推進プロジェクトを発足させる。翌年、それに呼応した墨田区と地元関係者たちが東武鉄道に協力を要請したことで、計画は一気に進展した。

「2005年2月に新タワー事業への取り組みを決め、2006年3月に建設地として最終決定を受けました。併行してタワー以外の施設をどうするかといった検討が続き、オフィスビルと商業施設を中心とした複合施設開発の計画が進んでいったのです」(関野氏

業平橋駅と押上駅に挟まれた敷地は東西に400メートル、面積は約3.7ヘクタールに及ぶ。

「これだけの広大な敷地にオフィスや商業施設等を開発していくというプロジェクトは、私たちにとっても初めての経験です。特にオフィスビルに関しては、従来のビジネスエリアとは必ずしも一致しないということからさまざまな意見が出ましたが、最終的に『ニーズは必ずあるはず』との結論に達し、オフィス用途の導入に踏み切ったのです」(関野氏

結論に至るまでには各方面から調査や分析を行ってきたが、オフィスビルの建設を決定した大きなポイントの一つが、前述した交通の利便性だという。

「東武鉄道の本社が押上駅のすぐ北にあるのですが、ここで働いていると、どこに行くにも非常に便利です。押上駅を玄関口としたオフィスを構える事は、都内の主要駅へスムーズにアクセスできることが大きな魅力といえます。さまざまなビジネスシーンに相応しい立地環境をアピールすることにより、ここにオフィスを持ちたいというニーズは絶対にあると確信したのです」(三木隆太氏

押上駅からの移動時間

東京駅:10分/大手町駅:15分/新宿駅:20分/渋谷駅:30分/品川駅:19分/上野駅:7分/羽田空港:42分/成田空港:70分(※成田新高速鉄道線(2010年7月)の開通により都心まで36分に短縮されることが予定されています。)

「羽田、成田の両空港にも押上駅から直通で行くことができますし、自動車利用の環境とすれば、首都高速の向島・駒形と錦糸町の出入り口が利用できる。つまり海外、全国、東京都心部とどのエリアでもカバーできる拠点としても絶好の立地なのです。このため、施設の設計にあたっては、交通の利便性を最大限に活かすようにしています」(三木氏

日本・東京を代表する開発エリアに最高の機能を備えたオフィスビル

それでは、建設が進む「(仮称)ライジングイーストプロジェクトオフィスタワー」の概要を見ていこう。

「オフィスタワーは開発エリアの東街区に位置しており、押上駅の改札口を出ると駅コンコースを経由してダイレクトにオフィス用シャトルエレベーターに搭乗できますので、移動時間は最小限に抑えられます。」(三木氏)

「駅との連絡や地上からのアプローチ、スカイロビーのレイアウトなどオフィスにとって最適な動線と利便性が確保されるように設計を進めてきました」(関野氏)

この辺のこだわりについて、「多くのお客様にご利用いただいてきた鉄道会社ならではの発想です」と関野氏と三木氏はそろって笑う。ただ駅に近いだけでなく、「デスクから電車に乗り込むまで」の時間をできるだけ短くしようという工夫が配置計画につながっている。

地下動線イメージ

地下動線イメージ

シャトルエレベーターは駅直結の地下3階と1階のエントランスホールに止まるだけで、一気に12階のスカイロビーに。

「12階はオフィスフロアへのエントランスとしての役目を果たします。また、スカイロビーには、サービス機能として会議室を6室、喫煙室・リフレッシュコーナー、カフェを用意しました。要望があればエレベーターホールなどへのセキュリティ機能の追加設置などもできるように柔軟性を持たせた施設設計になっており、幅広いオフィスニーズに対応できると思っています」(三木氏)

そして13~29階がオフィスフロアとなる。

明るく開放的なスカイロビー

明るく開放的なスカイロビー。西側には東京スカイツリーがそびえる。(完成予想CG)

「基準階は1フロアあたり約450坪(約1,500㎡)の無柱空間を確保し、さまざまなビジネススタイルにお応えできるように4分割できるほか、システム天井とフレキシブルに対応する空調システムにより照明や空調もきめ細かいゾーニングが可能です。幅広いビジネスニーズに応えられるオフィスビルになるはずです」(関野氏)

「交通アクセスの良さと充実した施設は大きなセールスポイントですが、私たちとしては、やはり、東京スカイツリーと一体化した新しい複合施設開発に存在するということを強調したいですね。開業後は東京でも最も有名なエリアの一つになるでしょうから、これほどわかりやすいオフィス立地はないでしょう。実際、すでに問い合わせをいただいているケースでは、東京スカイツリーのお膝元というところに多くの企業が魅力を感じてくださっているようで、充分な手応えを感じています」(関野氏)

基準階平面図(25~29階)

基準階平面図(25~29階)

そしてもう一つ、低層階に計画されたSC面積約16,000坪(約52,000㎡)の巨大な商業施設も駅周辺施設の開発などで賑わいを演出してきた鉄道会社らしいノウハウを活かしたものだ。

「オフィスへの最短の移動経路として駅コンコース直結のシャトルエレベーターがありますが、1階のオフィスEVホールからは商業ゾーンへの動線を確保しており、ショッピングや食事など、快適なビジネスライフをバックアップします。商業ゾーンは、さまざまな業種業態の専門店に入居していただく予定ですから、各種ニーズに対応できる使いやすい施設になります」(三木氏)

また東京スカイツリーに加えて、都市型水族館「(仮称)墨田水族館」と多機能型ドームシアター「(仮称)コニカミノルタTOKYOプラネタリウム」の開設も決まっている。

「東京スカイツリーを中心とした観光の拠点になると思いますが、それだけに頼ってしまっては何度も足を運んでいただけません。幸い、業平橋押上地区は浅草や両国・錦糸町ともつながる歴史ある下町なのですから、その個性を活かし、商業・文化・教育などさまざまな機能を備えた「タワーのある街」づくりを進めていくことで、周辺エリアと連携した賑わいのある街を目指していきます」(関野氏)

フロアゾーニング図

フロアゾーニング図

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