二子玉川ライズオフィス(二子玉川東地区第一種市街地再開発事業)

2010年4月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

大型SCと住宅地で知られる「二子玉川」が ビジネスエリアとしても注目を集めている

高尾博之氏

東急不動産株式会社
ビル事業本部
プロジェクト開発部
事業企画グループ
グループリーダー

高尾博之氏

仁ノ平 隆久氏

東急不動産株式会社
ビル事業本部
ビル営業部
ビル営業グループ
課長

仁ノ平 隆久氏

森下清史氏

東急不動産株式会社
ビル事業本部
ビル営業部
ビル営業グループ

森下清史氏

オフィスから広大な自然が眺められる それでいて渋谷まで11分という好立地

東京急行電鉄二子玉川駅の周囲は、オフィスが2010年12月、ショッピングセンターが2011年3月の開業を目指し、急ピッチで工事が進んでいる。建設途中のオフィス棟「二子玉川ライズオフィス」の高層階から見える窓の外の広大な光景には圧倒されるほどだ。目の前を流れる多摩川の向こうに、西は富士山、丹沢から東は横浜、川崎まで見通せ、都心のビルとは違う開放的な雰囲気が味わえる。

「この自然環境・景色は最大の財産ですから、コアを北側に集め、フロアの南側は多摩川に面した広い空間を確保するようにしました」(高尾博之氏

二子玉川ライズオフィス(完成予想CG) 二子玉川ライズオフィス(完成予想CG)

窓も床まで届く大きなものにし、風景を最大限に楽しめるようにしている。

「ただし、リバーサイドビューであることだけがこのビルのセールスポイントではありません。たとえそれがなくても、多くの企業に選んでいただけるだけの内容を持ったオフィスビルなのです」

そう言って高尾氏は、交通に関する資料を取り出した。

「二子玉川駅は田園都市線の急行で渋谷までわずか11分です。しかも、駅のすぐ目の前にオフィス専用のエントランスがありますから、掛け値なしにこの時間で移動できる。都心のビルでも駅まで徒歩10分以上かかるところは少なくありませんから、交通の利便性でいえば、かなり条件のいいオフィスになるのです」

  • その他のエリアへの移動時間
    大手町駅:26分/品川駅:18分/横浜駅:25分/羽田空港:36分/成田空港:80分
  • オフィスアクセス オフィスアクセス

    しかも、移動時間ができるだけ短くなるように駅の改札からデスクまでの動線が徹底的に工夫されている。

    「駅前のオフィス専用エントランスホールから直通エレベーターで6階のオフィスエントランスロビーへ行き、そこから6~16階の各フロアに向かいます。この方式であればセキュリティの条件を満たしながら最短の移動ができるのです」(仁ノ平 隆久氏

    改札口とオフィスエントランスの間も屋根で結ばれるので、「実質的には駅の上にオフィスがある感覚」で使えるという。

    さらに交通の利便性はこれだけではない。

    「首都高速の用賀、東名高速の東京、第三京浜の玉川と3つのインターチェンジに3~4分で到着するので、自動車で移動するビジネスマンにとって最高の立地です。商業用と兼用で全624台分の駐車場を用意し、ニーズに応えられるようにしています」(仁ノ平氏

    交通の利便性を活かすことで、これまで渋谷を拠点としてきたIT系企業や関東西側に営業拠点が必要な企業にとっては、かなり魅力的なビルになりそうだ。

    断面図

    もちろんビルの仕様も、先進オフィスのスペックを徹底的に追求したものになっている。

    「ワンフロアの貸室面積は基準階で約567坪(約1874㎡)とかなり広いものになっています。しかもコアが中央になく、幅19メートル、長さ84メートルのスペースをぎりぎりまで使えますから、レイアウトの自由度はかなり高いはずです」(森下清史氏

    さらに個別空調システムはフロアを45分割したゾーンでコントロールが可能で、この点も広い空間を活かすうえで大きなポイントになっている。

    基準階平面図(8~12階) 基準階平面図(8~12階)

    「眺望を楽しむ広い窓があるため、窓側とコア側では室温が変わってきますからその調整に細かいゾーニングは有効です。また、個室をつくるときにも空調の増設は必要ありません。当然、グリッド型システム天井なので、どんなレイアウトプランにも対応できます」(森下氏

    ショッピングセンターと一体化した賑わいを感じられるオフィスビル

    再開発事業の第1期工事では二子玉川ライズ オフィスに続いて開業するのが商業施設「二子玉川ライズショッピングセンター」だ。そしてここは、東急沿線を代表する集客エリアになるはずだ。

    「交通の便を考えれば東京の南西部だけでなく神奈川県のかなり広い地域からも集客が可能であり、完成後はこれまで以上の人気スポットになるのではないでしょうか」(高尾氏

    「二子玉川」を代表する商業施設玉川高島屋S・Cはハイグレードな大型ショッピングセンターであるが、今回新たに誕生する約9600坪のショッピングセンターでは、より幅広い顧客層が楽しめるような店舗構成にし、二子玉川地区全体の更なる発展に寄与していくつもりだという。

    「改札口を出るとエスカレーターで導かれる地下は、駅の西側から東まで広がる大きな空間を提供します。そこには東急百貨店と東急ストアによる約6000㎡の食料品売場が入り、日常的な買いものから、お土産、贈答品まで、さまざまな用途の需要に応えられるはずです」(仁ノ平氏

    そして地下から広がるショッピングセンターは、そのまま商業ビルとオフィスビルの両方をシームレスにつないでいく。これらは地上のガレリアや各階を結ぶ連絡橋でも行き来が可能であり、全体として巨大な立体商店街を形成する。

    「オフィスビルの地下1階から地上5階までが商業ゾーンとなるうえ、隣の商業ビルと直結するので、まさにデパートの上にいる感覚になりますね。多くの複合オフィスビルのように店舗と分けることなく、6階のオフィスエントランスロビーの階からエスカレーターで降りて行けるのも、仕事も生活もどちらも便利にしたいという私たちからの提案の一つなのです」(森下氏

    駅、商業施設、オフィスを近い距離で密接に結びつけながら、それぞれの利用者の動線を明確に確保して移動しやすくする。完成予定の敷地レイアウト図を見ると、今回のプロジェクトにおける工夫が強く感じられ、まさに新しいまちをつくろうという熱意にあふれている。

    「住宅エリアに建設されているマンションではすでに販売が行われていますが、より魅力的なまちになるということで大変好調です。オフィスについても、従来と違う環境を求める先進的な企業に強い関心を持ってもらえればうれしいですね」(高尾氏

    なお、オフィスおよび商業施設とマンションの建設地の間には開発地の約3分の1を占める第2期事業施行地区が残されている。都市計画上の用途は「店舗・事務所・ホテル・駐車場」となっており、こちらも完成すれば二子玉川エリアの利便性はさらに増すはずだ。

    「個人的には住宅街区の南東に整備される大きな公園に注目していますね。ここは自然あふれる空間になるだけでなく、道路(多摩堤通り)を一部トンネル化してその上部を越えて、そのまま多摩川の河原にも出られます。こういう環境がオフィスの近くにあるなんて、最高の贅沢ではないでしょうか」(森下氏

    多摩川に沿った地域は桜の花見に加え、夏には東京と神奈川の両方で打ち上げる花火大会などでも賑わう。

    「そういったビジネス以外のメリットを『おもしろい』と感じてくれるような企業に入っていただければ、私たちもうれしいのです」(仁ノ平氏

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