オフィスは一つの営業ツール
会社のイメージ戦略に役立っている

2017年10月取材

中小規模の事業主を中心にWebサイトの制作で順調に成長をしている株式会社エースユニオンデザイン。代表を務める須江琢磨氏は元バンドマンという異色の経歴を持つ。2009年に独立後、渋谷に現本社オフィスを構えて5年目に入った。今回は法人化した時代を振り返っていただき、そのメリットやオフィスの役割についてお話を伺った。

代表取締役 須江 琢磨氏

株式会社エースユニオンデザイン
代表取締役 須江 琢磨氏

岡山県津山市出身。元バンドマンとして年間100本以上のライブ活動を行なってきた。その後Webデザイン会社に転職。実績を積んだ後、2009年に独立。現在、WordPressを用いたWebサイトの企画・戦略・制作・デザイン・管理とさまざまな顧客の要望に応えている。

シンプルから本格的なものまでお客様ごとに最適なWebサイトを提供

Webサイトの作成に関わる全般業務を行っているエースユニオンデザイン。シンプルなものから本格的に構築する内容のものまで、お客様の要望に応じたWebサイトの制作を行っている。

「Webの制作会社ってたくさんありますが、他社をライバル会社としては捉えていません。得意分野や価格帯が異なるので、人手が足りないときにはパートナーになりえるからです。実際にお手伝いをさせていただいたり、サポートしていただいたりということもあります。また、私どものお客様はどちらかというと小規模な事業者が中心となっているのが特長です。中にはあまり時間もお金もかけられないといった要望も少なくありません。そこで低価格プランと本格的に制作を行うオーダメイドプランにサービスを分けたのです」

もちろんどちらのプランになったとしても、お客様の要望をじっくりと聞きだし提案をしていく。そして制作して終わりではなくそのあとのフォローも欠かさないという。

「ウェブサイトの制作が思うように進まない、という話をよく耳にします。多くはミスコミュニケーションが原因だと感じることがあり、弊社では入念なヒアリングを基に、業界トレンドを取り入れながら、目的を達成できるWebサイトの構築を提案しています。また、納品後もお客様がWebサイトを十分に活用できるようにアフターサポートにも力を入れています。」

元バンドマンが語る 音楽もサイト構築も妥協の無い世界

「若いときは音楽ライブを中心に活動していました。バンドのWebサイトは自分でつくっていましたね。そのときからWebサイトの可能性に魅力を感じていました。結局、音楽の夢は途絶えてしまったのですが、それならばWebサイトの制作で頑張ってみようと。きっと、『妥協のないクリエイティブ』といった面で通じるものがあったのかもしれませんね」

そうしてバンド解散後、Web制作の道に進む。会社勤めも経験した。

「フリーランスとして、営業から企画、デザインとすべてを一人で行っていた時期もありました。きっと運がよかったのでしょうね。色々な事業主の方を紹介いただき、お仕事をいただけるようになりました。そして継続してお仕事が増えてきたところで法人化することにしたのです」

社名にある「エース」は、逆にすると「スエ」。自分の名前から取ったという。

「須江と仲間たち。そんなイメージでしょうか。それともう一つ、個々が各自のフィールドでエースとなり、その集合体。そんな思いも詰まっています」

分からないことだらけの中で法人化を行う。思っていた以上に費用もかかった。それでも法人化してよかったと語る。

「やはりフリーランスと法人では相手の見る目が全然違います。法人化にしてやっとお客様と対等にやり取りができるようになった気がしますね。それに加えて、法人化してからは新たな事業主同士のネットワークが広がったように思います。また、小さいながらも会社の代表ですからお客様に対して、社員に対して、社員の家族に対して、間違ったことができないという責任感も増しましたね」

デザイン会社にふさわしいオフィスでイメージアップに役立っている

法人化とともにオフィス選びを行う。最初は自分の住まいの近くでと思っていたが、スタッフの一人から、デザイン会社らしい立地イメージも必要だとアドバイスがあった。

「それから選択肢を広げて探すことにしました。もちろん賃料などの固定費は安いほうがいい。そんなときにタイミングよく築1年の物件に空室がでていてすぐに契約しました。このビルは外観のデザインもいいですし、駅からもさほど遠くない。自分たちの要望にマッチしていました」

それによってお客様に来社いただくことも増えたという。

「オフィスでの打合せが増えました。決まって『デザイン会社っぽいオフィスですね』といわれることが多いですね。自分たちはオフィスがどこであろうと同じ仕事をしているつもりですが、ブランディング的なイメージ戦略に役立っているのかもしれません。それだけでもオフィスを構えてよかったと思います」

何年先になるかはわからないが、いずれはもう少し広いオフィスに移転したいと考えている。

「仕事柄、場所を選ばずどこでも仕事はできるので本当はオフィスが無くても成立するのかもしれません。しかしオフィスが無ければコミュニケーションが維持できないことも分かっているつもりです。僕らにとってのオフィスの意義って、もしかしたらそれが一番かもしれませんね」

■コラム 「女性の活躍する場を増やしたい」の思いから 新しいサービスを立ち上げた

 同社が現在力を入れているサービスが「SMARGE woman(スマージ ウーマン)」というものだ。これは働く女性にフォーカスしたWebサービスで、もっと女性の活躍する場を増やしたいという思いで企画したという。

「私自身が結婚・妻の妊娠・出産を経験し、女性がビジネスシーンで活躍し続けるにはたくさんの困難があることを痛感しました。そこには妊娠・出産という身体的な理由や、待機児童の問題、夫婦の家事・育児分担の割合などなど、課題は山積だと。それならば家事・育児をしながらでも活躍できるようサポートできることはないかと。そこで自分たちができる第一歩として、営業ツールの必需品であるWebサイトの制作・管理にかかるコストや労力の負担を軽減しようと思いました。そうすることで働く女性を応援できると思ったのです」

女性の活躍する場を増やしたいという強い想いは最近のパートナー先にも現れている。

「最近、パートナー先として在宅の女性デザイナーを募集しました。小さなお子様がいらっしゃるママさんや旦那さんの転勤に合わせてお引っ越しされた方などに一緒に働いていただいています。高いスキルを持っているのに、生活環境によって会社に所属できないために自分のノウハウや技術が埋もれてしまう。そんなのは実にもったいない話ですから。

「事業を起こし活躍する女性」と「在宅の技術を持った女性」が相互に良い関係を築ける、そんな循環を作り出したいと思っています。

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。