創業者インタビュー

Vol.3 株式会社ハチたま 代表取締役 堀 宏治氏

2018.3.1

「世界中の猫をもっと幸せに」を願って
世界初の猫ヘルスケアを開発した

2018年3月取材

猫と人を幸せにすることをコンセプトに誕生した株式会社ハチたま。この度、猫の「泌尿器の病気」の早期発見を可能にするTOLETTA(トレッタ)を開発。「世界猫の日」である8月8日から販売を開始する予定だ。ペットに対する熱い思いから約5年。創業までの経緯を中心にお話を伺った。


株式会社ハチたま
代表取締役 堀 宏治氏


大学卒業後、システムインテグレーターの最大手に入社。病院の情報システムを担当する部署に配属される。その後、外資系医薬品メーカーに転職。病院の経営コンサルタントに携わる。2003年に、その経験を活かしてメンバー3人で起業。取締役副社長として精力的に活動をする。
2011年、東日本大震災で被災地に置き去りにされたペットの惨状を見て株式会社ぺっとぼーどを設立。その後、よりグローバルな展開を目指し2015年に株式会社ペットボードヘルスケア(現、株式会社ハチたま)を設立。現在に至る。


大学では金融学を専攻。銀行に内定していたが
「システム」に興味を持ち、全く違う世界へ

2015年に株式会社ハチたまを創業した堀氏のビジネス人生は、ペット業界からはかけ離れた分野からのスタートだった。

「大学では金融学を専攻していて、そのまま都市銀行への内定も決まっていました。ちょうどバブルも終焉を迎えようとしていた時期です。このまま敷かれたレールに乗ったような人生でいいのか、迷った末、今後の時代を象徴するような事業内容に惹かれ、システムインテグレーターの最大手へ入社を決めました。そこでは病院の情報システムを担当していました」

全国の病院のデータを分析しているうちに経営に興味を持つようになる。そこで外資系医薬品メーカーに転職。病院を対象にした経営コンサルタント業務に携わる。

「当時の日本は診察費や治療費、医薬費などの費用が積み重ねられていく「出来高払い」という方式をとっていました。様々な治療方法を試せるというメリットがある一方で、無駄も多い。現に受診ごとに数種類の薬を処方するのが当たり前になっていました。この先、医療費が膨らみ国の財政がパンクする危険性を指摘する声も少なくありません。そこで諸外国のルールに合わせるマネジメントを提案していました」

医療費を抑えながら、治療の質は向上させる。理解を深めてもらうために各国の事例をもとに根拠を示していく。しかしその提案は医薬品メーカーにとって売り上げの減少につながってしまう。そんなジレンマを抱え、堀氏は退社を決意した。

「当時のメンバー3人と病院の経営コンサルタントを専門に行う会社をつくりました。僕にとっての初めての起業になります。ちょうどその頃、日本の医療制度に大転換がありました。DPC(包括医療費払い)という新しい診療報酬制度の導入です。患者の病名や治療内容の分類ごとに医療費が定められた計算方式で、病院側は新制度に合わせた運営が求められます。販促活動を行うにあたり、自分たちで分析をしたベンチマークを多くの病院に提供しました」

その後、メンバー同士の方向性に差異が生じたため袂を分かつことになる。立ち上げた新会社は、時代のニーズが追い風となり3年で1000超の病院と契約。しかし事情があってその会社ごと売却。精神的、体力的にピークに達していたため、しばらく休息期間を設けようとしていた。

東日本大震災で被災地に残されたペットを見て、何かしなくてはと思った

充電期間中の2011年3月11日。未曾有の大災害が人生の分岐点となった。

「テレビで被災地の光景が映し出されていました。住宅地ではペットが取り残されています。それを見て漠然とですが、動物愛護に関わることができればいいなと思ったのです。それから動物愛護のセミナーに参加し、ボランティア団体を手伝って。その時に初めて犬猫の殺処分の現実を知りました。とてもじっとしていられません。それで当時始まったばかりのクラウドファンディングに動物愛護を目的としたWebサイトをつくる企画を提出したんです」

2012年のこと、小さなプロジェクトだった。

「ペットへの想いだけでつくってしまいました。ペット業界もコンシューマ向けのビジネスも初めてのこと。広告収入を得るためのビジネスモデルでしたが全然収益はありません。次に始めたペット用品のECサイトも売り上げゼロ。とにかく売り上げなくてはという危機感から、ペットサロンの運営を始めました」

しかし過去を振り返ると全国の病院を相手にビジネス展開をしてきたスケール感が忘れられない。再び全国のステージで勝負したい。そこで別の会社を設立した。それが今の『ハチたま』の前身となる。

そうしてたどり着いたペットの幸せのための事業

データベースが生み出す価値の重要さは十分理解していたため、新会社ではペットのデータ収集からスタートした。

「最初、TV電話システムを使ったペット相談サービスや自動給餌器を足掛かりにペットのデータを集められないかと試みたのですがうまくいきませんでした。その時に『猫に対するニーズの高さ』を知り、猫についての大々的なリサーチを行ったのです」

リサーチを行う中で、大部分の猫は泌尿器系の病気になること、猫の健康状態と尿量には大きな関係があることなどがわかった。そこでIOTを活用した猫ヘルスケアの開発に進むことを決意する。

「なぜ猫のトイレかというと、猫種は腎臓がとても弱い生き物で、その中でも腎不全にかかる率が高いといわれています。我慢強い生き物ですから家族が気づいたときには手遅れになっていることが多いそうです。それならば、トイレにデータを計測できる機能を加えることで早期発見を可能にできないかと考えました。自宅で簡単に、体重や尿量を毎日測定しクラウドで管理。その日々のデータから病気予防に役立てます。さらに数匹を飼育しているケースにも対応できるようにそれぞれの猫の顔を識別できる機能をつけています。日本の住環境に合わせた二層式のシステムトイレが活用されているのも幸いして今回の開発が可能になりました」

現在、猫社員が2名。今後も猫と一緒に働ける環境を

2017年11月22日、ペットたちに感謝する日(THANKS PETS DAY)に社名を「ハチたま」に変更。8名で再スタートをした。社名に関しては、将来的には犬に関する事業やペットの保険事業を行うことも見据えたからだという。

「世界猫の日である8月8日から世界初の猫ヘルスケア『TOLETTA(トレッタ)』を販売する予定ですが、その量産基地として北九州に拠点を設けました。北九州市からの熱心なお誘いと新しい産業を作りたいという行政の思いに応えた形となります」

現在は鎌倉オフィスが社員の集まる場になっている。そこには2匹の猫社員が在席する。

「このオフィスを選んだ理由は、ペットと一緒の入居が認められていることですね。また、通勤ラッシュもなく、常に自然の変化を見ながら仕事ができるのも魅力です」

オフィスに対する立地のこだわりは全くないという。唯一条件に掲げたのは「猫と一緒に」働ける環境であること。当面はそれだけで十分だと語った。

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

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