創業者インタビュー

Vol.7 株式会社cooilio 代表取締役 大村 亜津子氏

2018.9.20

ペットファーストを原点に最終目標は総合ペット関連事業の実現

2018年11月取材

独自のアイデアを取り入れ急成長を続けているペットサロン「ボヌール・デ・シアン」。代表はレーシングドライバーとして国内外のレースシーンで活躍していた大村亜津子氏が務める。今回は5年前に起業した当時を振り返っていただき、そのきっかけや仕事にかける思いを語っていただいた。


株式会社tsukumo 代表取締役 金子 隆耶氏

株式会社cooilio
代表取締役 大村 亜津子氏


18歳から単身レース界に。フォーミュラーレーシングドライバーとして国内外のレースシーンで活躍。伝説の女性レーサーとして名をはせる。レーサーを引退後、ドッグトレーナーと動物看護士の資格を取り5年前に起業。2015年3月にペットサロンをオープンさせる。現在、犬のトレーニング「犬の幼稚園」を中心にトリミングサロン、ペットホテルといったサービスを提供している。


シャンパンファイトを行いながらも自分の居場所に疑問を感じていた

フォーミュラーレーシングドライバーとして数多くの国内外のレースに参戦してきた大村氏。表彰台にも上がってきた。しかしシャンパンシャワーを浴びながらも、孤独を感じていたという。男性社会の中で成績を残し脚光を浴びる機会が増えるにつれ、人間関係が複雑になる。楽しくて仕方がなかった世界がいつしか苦痛でしかなくなった。

「自分の居場所を見失いかけたとき、長年レース界のタブーだった車椅子のハンディキャッパーと健常者が一緒にレースを行うというプロジェクトを立ち上げたことがあります。その様子はテレビでも放送され大成功でした。当時のタブーはいまや夢ではなく現実のものになっています。人のための行動がこんなにも喜びに繋がるのか、そしてそれこそが自分の力が発揮できることだと感じました」

偶然にも、このころ一匹の犬と暮らすことになる。その犬との生活がきっかけでペット業界の裏側を知り、その凄惨な現状に愕然とした。

「何とかしなければ。罪もない動物たちが人間の犠牲になっている現状を変えなくては」

そこからドッグトレーナーの猛勉強をし、動物看護士としての経験も積み重ねた。けれどもどの団体もしつけとは、犬を人間の思い通りに操る手段でしかなかった。その考え方に違和感を覚え、それならば自分が理想としている犬との関わり方を『犬の幼稚園』という形で実現しようと考えた。しかし当時はまだ機が熟していないと感じていたため行動できなかったという。そうして5年前、ようやくチャンスが到来した。

さまざまな候補エリアから絞り込んで現在の場所に開店を決めた

店名は「ボヌール・デ・シアン」とした。フランス語でボヌールは「幸せ」、シアンは「犬」を意味する。自らがずっと思い描いていたコンセプトである。やるからには成功したい。開業するエリアは、色々と検討を重ねて東京・月島を選んだ。

「当時の統計データ『犬と住みたい街』によると世田谷と目黒が上位にランキングされていました。きっとペットとの生活が充実している街なのでしょう。でも逆に考えるとそれだけ競合店が集積しているということ。そこで東京五輪の開催が決定し、より賑やかになると確信していた湾岸エリアに注目しました。将来的に多くのタワーマンションの建設を控えていたことも選んだ理由の一つになります。結果的に正解でしたね。ペットに対する意識が高い方が集まっているエリアでした」

レーサー時代と比べると生活が一変した。

「死と隣り合わせだった人生から、動物と共に『生』を考える人生に。華やかではありませんが、今の暮らしは喜びに満ちています」

自分の生活の中からオリジナルのサービスが誕生した

「犬の幼稚園」とは、一般的には犬に人間社会のルールを教えるための施設だ。しかし当幼稚園が目指しているのは犬を笑顔にすることだと語る。

「犬が生き生きと育ち、飼い主様とコミュニケーションが出来るようにお手伝いしています」

仔犬のころはいつも笑顔だったのに、飼い主の知識不足でいつしか笑顔が消えていく犬をたくさん見てきた。最悪の場合は放棄につながることもある。そこで人間社会のルールを教えるだけでなく、「犬の心と体を育む」という新しいコンセプトメソッドを開発した。

「脳と身体、メンタルに対する課題に楽しく取り組むことで、幼稚園に通う犬たちはみんな笑顔です。もちろん家でもいつでも笑顔でいてほしいので、家族も一緒に勉強してもらう時間を設けています」

そして犬に優しいトリミングを提供したことで、犬が自ら来店したがるお店になった。

「さらに、今までのペットホテルの概念も変えました。一般的にはゲージで管理し夜は無人なのですが、その常識を打ち破りスタッフが犬と一緒の布団で添い寝をするスタイルで24時間対応しています。万が一、体調に異変があった場合、深夜であっても病院に行くなど自分の家族同様の対応をしています。実際、家族ですら気付かなかった異変を見つけて一命をとりとめることができ感謝されたこともあります」

将来的にはスタッフを増やしてコミュニティやネットワークを広げたい

将来的には総合的なペット関連事業として展開していきたいと語る。

「ペットは大切な家族の一員です。そうなるとメモリアル事業も必要になると思いますし、ペットと一緒に宿泊できるドッグパークも開園したいですね。同時にペットファーストの考えを理解できるスタッフも増やす必要もあります」

「私の最終目標は動物保護の事業化です。それも非営利団体ではなく、しっかりと社会貢献をしながら事業として利益を上げていく。そのためには今あるコミュニティやネットワークをさらに広げていかなければと思っています」

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。