オフィスコラム

Vol.8 オフィス内の多目的スペース~働き方改革により浸透した空間について考える(前編)

オフィスのリフレッシュスペース~働き方改革により浸透した空間について考える

働き方改革や社風PRで一気に広がったオフィスの多目的スペース

皆でおしゃべりをしたり、クッションに座ってボーッとしたり。こうした、従業員が自由に使えるスペースの構築を重視する会社が増えています。その目的によってリフレッシュスペース、コミュニケーションスペース、オープンスペースなど呼び名はさまざまですが、いずれも従業員が部署や役職の垣根を超えて集まれる、というのが特徴です。多くの場合はオフィス移転を機に「せっかく広くなるならぜひつくろう」と計画する場合が多く、すっかり浸透してきたと言えるでしょう。

もともと、日本の企業では伝統的に、オフィスの中にリフレッシュをするためのスペースを設ける企業はさほど多くはありませんでした。あるとすれば社員食堂ですが、あくまでも食事がメインであり、休憩やリフレッシュはサブという発想です。タバコを吸う人には喫煙ルームが気分転換的な役割を果たしていましたが、非喫煙者との休憩の不公平性が取りざたされることも少なくありませんでした。

一方、ファシリティマネジメント(企業、団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動)に力を入れる組織が増加したのがここ20年ほどのことです。働く環境を工夫し、ブランドイメージの向上や採用強化といった理由で、オフィスをインターネットで公開する企業が急増。働き方改革がそれをさらに推し進めた形になっています。

多目的スペースの「正解」は? サボりまくる人はいないのか?

多目的スペースはどの会社も自由な発想でつくられることがほとんどですが、定義という点から見ると大きく分けて2つに分類されます。一つは、制限を設けず何をしてもいいスペースとするもの。もう一つはスペース内での仕事を禁止とする考え方。完全に休憩の場とするものです。

これらはどちらも正解といえます。制限を設けず誰もが気軽に集まれる場とすれば、偶発的な会話や刺激もより生まれやすくなるでしょう。一方、いくら自由の場とはいえ、仕事をしている人の横でぐうぐう寝るのも気が引けるものです。それをなくして本来のリフレッシュを優先するというのも、当然ながら「アリ」なのです。

たとえばWeb電話帳アプリを開発している株式会社Phone Appliでは、オフィス移転を機にたくさんのオープンなスペースを設置。「CaMP:Collaboration and Meeting Place」と名付けられたそのスペースには人工芝の上、スノーピーク社のテントやアウトドア用のテーブルと椅子が並びます。新たな機器を導入したということではなく、働き方自体を改革。「自然の中で生産性を高める」を実現しています。

株式会社Phone Appliのリフレッシュスペース「CaMp(キャンプ)」

株式会社Phone Appliのオープンスペース「CaMp(キャンプ)」

リフレッシュはもちろん、ライトなミーティングや社内勉強会も行われるというのが株式会社ネットプロテクションズの多目的スペース「iCOi」。人と人をコミュニケーションでつなぐというコンセプトで運用されています。

株式会社ネットプロテクションズのリフレッシュスペース「iCOi(憩い)」

株式会社ネットプロテクションズの多目的スペース「iCOi(憩い)」

「あまりに自由な使い方を許容すると、ダラダラ過ごしてしまうのでは……?」という不安も当然生まれることでしょう。ただ、導入されたさまざまな企業にお話を伺ったところ、実際は皆、節度ある使い方をしているという声ばかりです。敢えて時間や頻度に制限を設けなくても「そろそろ行くか」といったように、切り替えて過ごされているとのこと。あまり心配はしなくても良いのかもしれません。

覚えておきたい、2つのリフレッシュ

「ボーッとする時間も仕事のうち」という考え方が浸透しつつあります。次は何をしようか、あの企画をどうしようか……そうしたことに思いを巡らせる時間は、机の上でなくともできるはず。むしろ、こういう時間にこそひらめきが生まれることは、誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。

覚えておきたいのは、リフレッシュには2種類あるということです。まずは「体のリフレッシュ」。それから「頭のリフレッシュ」です。書き物をしていて手が疲れた、ずっと座っていて腰が疲れた。そういったフィジカルな疲れを癒やすだけではなく、本当に何もしない、ボーッとしていられる環境をつくることが大事です。会社によって何をしたらそれが得られるかは異なるはず。ぜひ、社内でいろいろと話し合ってみてはいかがでしょうか。

次回は、オフィスに多目的スペースを作る上で重要なポイントと、その効果についてご紹介します。

オフィス移転マニュアル